唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第136話

 

 

 

「んんっ……」

 

目を覚ますとまた白い天井……医務室の天井が目に入る。

 

(俺は確か……そうだ。草壁に出された加古の外れ炒飯を代わりに食べて……)

 

まさか1日に2回医務室送りになるとはな……

 

内心ため息を吐いていると、ベッドの脇に突っ伏している人がいるが、ツインテールだから草壁だろう。

 

(ずっと側にいてくれたのか?だとしたら面倒をかけたな)

 

と、ここで俺が身体を起こしたからか、草壁も身体を揺らしてから起き上がる。

 

そして眠そうな目を擦ると俺に気付き真剣な表情に変わる。

 

「唯我先輩。もう起きて大丈夫なんですか?」

 

「口の中はアレだが大丈夫だな。医務室に運んだのはお前だろ?ありがとな」

 

「確かに私ですけど、何でお礼を言うんですか?元々私が躊躇わずに食べてれば唯我先輩に被害はなかったのに」

 

そう口にするが幾ら何でもあの状況で当たり炒飯を食べたら罪悪感で死ぬわ。

 

……ちょっと攻めてみるか。

 

「単純な話だ。あの時見えたお前の涙を見たくなかったからだ」

 

少しだけカッコつけてみよう。これで「は?キモイんですけど?」なんて言われたら、反省して次に活かそう。

 

そう思いながら草壁を見ると……

 

「…………〜〜〜っ!」

 

顔を俯かせて震えている。アレ?地雷だったか?

 

「く、草壁?」

 

「……ですっ」

 

「ん?」

 

「泣いてなんかないですっ!」

 

真っ赤になって大声を出す。いや、アレは確実に泣いていただろう。

 

とはいえそこを突いたら機嫌が悪くなるだろうし、突っ込まないでおこう。

 

「……まあそういう事にしておく」

 

「しておくも何も泣いてないですっ!でも私の代わりにあの炒飯を食べてくれてありがとうございますっ!」

 

怒りながらも礼を言ってくる草壁。やっぱり張り合う草壁が1番魅力的だな。

 

「どういたしまして。また外れ炒飯を引いたら連絡しろ。代わりに食ってやるから」

 

「結構ですっ!次は私が食べますから!」

 

草壁はそっぽを向きながらそう返す。香取とは別の意味でからかいがいのある奴だ。まあ香取については烏丸のファンの上、10回はもぎゃらせているから攻略は出来ないだろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(最悪……よりによって見られてなんて).

 

ボーダーからの帰り道、草壁は自己嫌悪に陥っていた。他人に涙を見られるなんて嫌だったが、よりによって1番見られたくない唯我に見られる事になるとは思わなかった。

 

草壁からしたら唯我は越えるべき存在である。本人は自分を強くないと言っているが、初見殺しの戦術、トリガーの予想外の使い方、執拗な防御を組み合わせる唯我は間違いなく強敵だ。

 

隊長を務めている草壁自身、様々な戦術を考案する唯我には負けなくないし、唯我の発案したプロジェクトに協力しているのも、自分の糧になるものを探す為である。

 

その中で唯我と何度も話をしたが勉強になる反面、負けたくないという気持ちがより強くなっていた。

 

そんな中で今日、負けたくない相手に涙目を見られてしまった。外れ炒飯を食べてくれたことは本当に感謝しているが、恥ずかしい気持ちは消えずにいた。

 

(実際は社会人の唯我先輩が広めるとは思わないけど、何とかして唯我先輩に忘れて貰わないと……!そのためにも「草壁!」)

 

いきなり背後から呼ばれたかと思えば、肩を引っ張られ後ろに下がるがバランスを崩し、背後に何かがぶつかる。

 

何事かと思えば、先程草壁がいた場所を自動車が通り過ぎて、目の前の歩行者信号は赤を表示してしていた。

 

同時に振り向くと怒りを露わにした唯我がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(コイツ何しようとしてんだよ?!)草壁!」

 

医務室を後にした俺達はもう夜なので帰宅する事になり、途中まで草壁を送る事になったのだが、草壁はボーダーを出たあたりから考え事を始めたので特に話しかけなかった。

 

しかし歩行者信号が赤なのに渡ろうしたのは焦ったので肩を掴んで引っ張った。

 

それによりもうスピードの自動車との激突は避けたが、これは説教が必要だ。

 

「お前が何を考えていかは知らないが、集中する必要がある重要な事なら作戦室や自宅で考えろ。道では余計な事を考えるな」

 

「……はい。ごめんなさい」

 

強い口調で怒ると草壁も負い目はあるようで素直に謝ってくる。なら必要以上に責めるのは酷だな。

 

「反省してるなら良い。青になったし渡るぞ」

 

「はい」

 

いつの間にか信号は青になっていたので俺達は渡り真っ直ぐ進む。

 

それから15分くらい経過して、いつもの別れ道に着く。普段草壁と帰る際はここで別れる事になる。

 

「俺はここで失礼する。あんまり無茶するなよ?」

 

「はい。今日は申し訳ありませんました」

 

「それを言うなら研修のオペレートを務められずに悪かった。じゃあまた明日」

 

「はい。また明日」

 

最後に一言交わして俺達は別れる。そして10分くらい歩いて借りているアパートに到着する。

 

自室に入ると鞄を床に置いて俺自身も床に倒れ込む。。今日は2回も気絶したから余り眠気はない。

 

とはいえ明日も忙しいので何とかして眠らないといけない。しっかり眠らないとトリオンも回復しないで体力も低下するからな。

 

(それにしても草壁はやっぱりガードが硬いな。ライバル視されているのも障害だし、桐絵と違って長丁場になるな)

 

まあそれは最初からわかっていたからな。仕方ない仕方ない。

 

俺は起き上がって戸棚から睡眠薬を取り出して水と一緒に飲んでから、歯磨きをして、そのままシャワーだけ浴びてからベッドに倒れ込む。

 

(また明日も頑張らないとな)

 

 

 

 

 

 

 

 

それから月日は流れていった。それに伴い、B級昇格者の数も前期以上となり、計画は順調だった。

 

草壁の件については予想以上の長丁場だった。

 

草壁と2人で話すのは仕事中、仕事前後の打ち合わせや反省会の時くらいで9月中はプライベートな時間を作れなかった。

 

しかし時間をゆっくり賭けてでも少しずつ距離を詰めて、10月中旬に初めてオフの日に2人で食事をした。とはいえ会話の内容は研修の話で進展はなかった。

 

それから何回も食事をして11月末に初めて互いのプライベートな内容を話すようになった。

 

ここまで長かったが、まだ油断はしないで少しずつ、本当に少しずつ距離を詰めていった。

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、唯我先輩……クリスマスイブの夜って空いてますか?」

 

12月中旬、草壁からそのような質問をされるのだった。

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