唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第138話

 

 

「はぁ……」

 

俺はため息を吐きながら廊下を歩く。仕事の疲れもあるが、先程降って湧いたイベントが追い討ちをかけている。

 

「おっ、唯我じゃねーか!」

 

いきなり名前を呼ばれたので振り向くと出水、三輪、米屋、仁礼、熊谷と普通校の高1のメンバーの一部がいた。

 

「……お疲れ様です。米屋先輩と仁礼先輩は期末試験どうでした?」

 

「おう。赤点は回避出来たと思うぜ」

 

「初めて40点以上取れると思ったぜ」

 

「そうでしたか。ただ気を抜かないでくださいね。今日の会議でボーダー推薦について、一定以上の学力を持たない生徒は推薦しないって話も出たんで」

 

まあ提案したのは俺だけど。

 

「「なにっ!?」」

 

米屋と仁礼はありえないとばかりに目を見開く。

 

「ま、当然だろうな。太刀川さんって悪例があるからな」

 

「忍田本部長も偶に悩んでいるから当然だな」

 

出水と三輪は納得したように頷く。

 

「マジで?あたしも余裕がそこまでないし頑張らないといけないね」

 

熊谷はそこまで悪くないから気にする必要はないだろう。勉強会で俺に質問してきたが、理解が早かったからな。

 

「加えて高2の生徒じゃ柚宇さん、当真さん、影浦先輩も酷いですから。ボーダー推薦の生徒が留年したら、スポンサーの実家にもダメージが来るかもしれないんで、俺も賛成です」

 

「マジか……」

 

「こうなったら卒業後はボーダーに就職するか!」

 

いや、勉強しろよ。今はそれで良いかもしれないが、10年後20年後にボーダーがどうなってるかわからない以上、大学は卒業しといたほうが良いだろう。

 

「まあ馬鹿2人はほっとくとして、唯我は落ち込んだ顔をして何かあったか?」

 

「はい。実はクリスマスの件で……」

 

そこまで話すと出水と熊谷の目が変わる。

 

「そうだな!クリスマスは大切だな!柚宇さんでも小南でも那須ちゃんの誰でも良いから手を出してそのまま付き合え!そんで俺とお前のホモ疑惑を消してくれ!」

 

「ちょっ!手を出すなら玲以外にしてよ!この前あの子の鞄から穴の空いたコンドームが出てきたんだから!」

 

おい待て。今とんでもないことを言わなかったか?穴の空いたコンドームだと?つまり玲は既成事実を作ろうとしてるのか?

 

「え?マジで?」

 

これには他の面々も驚きの表情を浮かべている。

 

「本当よ。だから唯我、玲とは一線を越えないで。百歩譲って越えるなら自分が用意したコンドームを使って」

 

「いや、一線を越える気はないんで大丈夫です」

 

越えるとしたら、成功失敗関係なく草壁の攻略が終わってからだ。

 

「なら良いけど……」

 

「そうそう。唯我は弾馬鹿と一線を越えるからな」

 

「出水には5万賭けてるからなー」

 

「ぶっ殺すぞお前ら」

 

出水が米屋と仁礼に対してキレている。ボーダーのネットワークじゃ俺が誰と付き合うかという賭けが盛り上がりを見せているが、俺が柚宇達に手を出してないことからホモであると出水が本命になっているらしい。

 

実に不本意な話だが、いずれその噂を払拭しないといけない。

 

「話が逸れ過ぎだ。結局唯我は何があったんだ?クリスマスに予定が入ったのか?」

 

三輪が本題に戻してくれるが、多分コイツも犠牲者なんだよなぁ。

 

「はい。クリスマスなんですが、柚宇さん達とのクリスマスパーティーは夜なんですが、昼に加古さんの炒飯パーティーに呼ばれてしまって……」

 

「あ、唯我も呼ばれたんだ。ウチの隊じゃ秀次と蓮さんも召集がかかったぞ」

 

米屋の言葉に三輪が苦虫を噛み潰したような表情が浮かべる。察するに去年死んだな。

 

「……忠告しておくが体調不良や家の用事で欠席しても意味ないぞ。後日お土産扱いで送りつけて東さんを医務室送りにしたからな」

 

マジか……何があっても炒飯パーティーからは逃げれないようだ。というか元隊長にも外れ炒飯を作るのかよ。

 

「……了解しました」

 

結局家の用事の言い訳は使えないのか。

 

「ちなみに昨年は誰が来たんですか?」

 

「俺、月見さん、二宮さん、太刀川さん、風間さん、諏訪さん、堤さんが当日参加で、炒飯を送られたのが東さんと沢村さんだ。ハズレを引いたのは俺、二宮さん、太刀川さん、堤さん、東さんだな」

 

9人が炒飯を食って死んだのが5人って……生存率が5割を切ってんじゃねぇか。クリスマスは創作意欲が増すのか?というか二宮はノーチャレンジと聞いているが、クリスマスは逃げられなかったようだ。

 

俺は出水と米屋と仁礼が喧嘩声をBGMにしながらため息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外れ炒飯については運に身を任せるとして、飯屋はどうしようか?」

 

自宅に帰った俺はインターネットで三門市の飯屋を調べる。草壁とは何回も飯に行ったが、その時は居酒屋やファミレス、カフェやファーストフードを使っていた。

 

しかし今回は今年最後、それも草壁からクリスマスイブに誘ってきたし、普段とは違う場所にしたい。

 

実家のコネがあるから星付きレストランも行けるが向こうが気後れする可能性があるから除外。

 

しかしいつものような店ではいつも通りの流れでは面白くない。

 

(待てよ。これなら行けるか。普段のアイツなら余裕だろう)

 

ある考えを思いついた俺はある店をピックアップして、草壁にメールを送った。

 

 

 

 

 

 

 

pipipi……

 

自宅で書類作業をしていた草壁は手元の携帯が鳴るので確認すれば唯我、もとい竜賀からで若干緊張してしまう。

 

つい先程自分からクリスマスイブに食事に誘った相手からのメールだ。何の内容かと確認する。

 

from唯我

 

飯屋について候補が出たから確認してくれ。不満があるなら考え直す

 

そんな一文とURLが添付されていたのでURLをクリックする。

 

開いたページだがフランス料理レストランだった。HPを見る限り結構豪華イメージだ。

 

(コースメニューはそこまで高くないわね。けどこれは……)

 

HPの写真を見るとある事に気付き、他のURLから別のレストランのHPに飛んでみる。

 

表示されたのはイタリア料理店や中華料理店などの店だ。値段は学生には高いが、A級隊員には絶対的に高いというほどではない。

 

しかし全ての店にある共通点があって草壁は悩んでしまう。

 

(もしかして節目だからってランクが高い店を選んだのかしら?)

 

だとしたらこちらもちゃんと動かないといけない。

 

草壁はフランス料理レストランを希望すると返信してから別の連絡先に電話をかけ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよだな……」

 

クリスマスイブ、俺は駅前のロータリーにあるベンチの前で草壁を待っている。今日行くフランス料理店は値段は星付きほどじゃないが上品な店でドレスコードが重視される店だ。

 

だから俺は上品なジャケットを着ているが、草壁はオペレーターだから普段のトリオン体で楽勝だろう。オペレーターの服はネクタイもあるし上品だし。

 

そんな風に考えていると……

 

「お待たせしました……」

 

背後から呼ばれたので振り向くと絶句してしまう。

 

そこにいたのは真紅の綺麗なドレスを着た草壁だった。クールな見た目と情熱の真紅が合わさって心臓が高くなる。

 

「あ、余りジロジロ見ないでください!」

 

草壁は恥ずかしそうに怒ってくるが目を逸らせない。

 

「あ、ああ。けどその格好は?」

 

「ドレスコードを重視するレストランを選んだのは唯我先輩じゃないですか?だから小佐野先輩に相談して、モデル時代にコネを作った貸衣装屋で選んだ貰ったのがこれなんです」

 

真面目かよ。そういや小佐野って元モデルだったな。

 

「いや、俺はオペレーターの服で来るかと……」

 

「あっ……!」

 

草壁は今気づいたようで真っ赤になって悶え出す。仕草が可愛いな。

 

暫く見ていると草壁は顔を上げて俺を見てくる。

 

「……今日はトリガーを持ってきてないので行きましょう」

 

「あ、ああ。あと草壁」

 

「何ですか?」

 

「そのドレス、似合ってるぞ」

 

「〜〜〜っ!行きますよ!」

 

草壁はそっぽを向いて歩き出すが、見ていて和むな。

 

まあ折角のクリスマスイブを楽しもう。明日は地獄になるかもしれないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや……?アレはブッダにサッキーだけど、クリスマスデートかな?ユーチューバーには情報を共有した方が良いよね」

 

 

 

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