唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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なんかふと『唯我に転生したらどうなるんだ?』と思ったので書いてみました。


プロローグ

それは唐突だった。

 

「おいコラ唯我っ!」

 

気が付けば俺の顔面に足が飛んできた。

 

「がはっ!」

 

当然俺は避ける事が出来ずに吹き飛ぶが……アレ?痛くないぞ?

 

疑問に思いながら俺は地面に倒れこむ。しかし全く痛みは感じない。マジでどうなってんだ?ブラック企業で働き過ぎて痛覚が麻痺したのか?

 

(どうなってんだこりゃ?てか何で蹴られたんだ?)

 

確かに俺が働いている会社はブラックで上司が暴力を振るう事は日常茶飯事だが精々叩くくらいで今までに蹴りはなかった。

 

身体に感じる違和感と疑問点を抱きながら身体を起こすと……

 

「……え?」

 

視界には予想外の人物がいた。髪の毛がバーコードとなっていて小太りの上司ではなく、金髪の髪を持ち、千発百中と書かれたTシャツを着ている少年がいた。

 

俺はこの少年を知っている。彼は……

 

「出水、公平……?」

 

「あん?いきなりフルネーム?」

 

現在少年ジャンプで連載している漫画『ワールドトリガー』に出てくるキャラクターだった。

 

(マジでどうなってんだ?仕事のし過ぎで幻覚を見てるのか?)

 

思わず目を擦ってから再度見るも、正面には上司ではなく出水公平がいた。

 

「えっと……本物?」

 

「あん?何言ってんだ唯我。蹴られた拍子に頭がおかしくなったか?」

 

俺の呟きに目の前にいる出水公平は呆れた表情をしている。ここまで細かい仕草をしてくる以上、幻覚とは思えない。

 

つまり……

 

(もしかして俺……ネット小説によくある転生をしたのか?)

 

正直言って信じられない……が、目の前にいる出水公平を見るとそれが事実だと嫌でも理解してしまう。多分俺はワールドトリガーの世界に転生したのだろう。

 

(ま、まさか本当に転生があるとはな……てっきり二次元の中の話だと思った)

 

しかしネット小説とは随分違うな。ネット小説だと基本的に……

 

①事故に遭って死ぬ

 

②特殊な世界で神と会う

 

③特典を貰う

 

④転生する

 

って感じだ。しかし俺の場合、仕事をしていたら突如足が飛んできた。気が付いたら転生していたって感じだ。

 

(いや、それは今どうでも良い。問題は……)

 

「どうしたんだ唯我?もしかしてトリオン体の痛覚をONにしてたのか?だったら悪かったな」

 

目の前にいる出水公平が呼んでいる名前についてだ。

 

「あ、あの……俺の名前って……」

 

嫌な予感を抱きながら目の前にいる出水公平に話しかける。対する出水公平は訝しげな表情を浮かべながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の名前?唯我尊だろうが」

 

嫌な予感が的中した。

 

(唯我尊だと?よりによって何で唯我尊に転生したんだよ?!)

 

唯我尊。それはワールドトリガーの世界に存在するキャラクターだが、作中最弱候補の1人だ。

 

ワールドトリガーの世界に存在する組織『ボーダー』の中で最強チームに所属する人間だが、実力で入ったのではなく親のコネで入隊した雑魚中の雑魚。加えてプライドの高い性格も相まって他のキャラクターからの扱いも悪いキャラだ。

 

(何でよりによって唯我なんだよ?!転生なら風間蒼也とか烏丸京介とか二宮匡貴みたいな強くてイケメンなキャラにしてくれよ!)

 

唯我って言ったらアレだぞ。実力がない上にモテない、一番転生したくないキャラだ。ワールドトリガーのファンブックであるBBFのデータでも1番モテないキャラだし。

 

(マジでふざけんな。可愛いキャラが多いワールドトリガーの世界に入りたいと思った事はあるけど、こんな形で入りたくなかったわ!)

 

ワールドトリガーの世界には可愛い女子が沢山いる。唯我尊と同じ部隊に国近柚宇を筆頭に三上歌歩、綾辻遥、木虎藍、加古望、etc……

 

俺は何度もワールドトリガーの世界に入ってそんな女子達と付き合う事を夢見ていたが、唯我尊では厳しい、というか無理だろう。

 

そこまで考えているとある事に気付いた。

 

(ん?5月16日だと?)

 

俺は転生前にワールドトリガーを読んでいたが、その時作中の時期は2月でランク戦の最中だった。しかし今は5月。その事から俺の知らない時期だという事を理解した。

 

と、同時にある考えが浮かぶ。

 

「あの……出水、先輩」

 

俺は目の前にいる出水公平を先輩呼びする。実際俺は30手前だが、唯我尊となった以上出水公平は先輩だからな。

 

「何だよ?てかマジで今日のお前、おかしいぞ」

 

ほっとけ。てか俺からしたら訳もなく蹴られたんだからな?ぶっちゃけ殴りたい。

 

しかしその怒りを押し留める。今は重要じゃないから。

 

「すみません。それよりも、僕が入隊してからどれくらい経っていますか?」

 

「は?つい先週だろうが」

 

出水公平は呆れた表情を浮かべる。それに対して俺は胸中に喜びの感情が生まれるのを自覚する。

 

(よし、入隊して直ぐならまだ何とかなる!)

 

俺が転生した時期が、俺の知っているワールドトリガーの時期より後だったら絶望していたが、入隊して1週間ならまだどうにかなる。

 

これが俺の知っているワールドトリガーの時期なら『コネで太刀川隊に入って入隊して1年半近く居座っている傲慢な雑魚野郎』だが、入隊して1週間なら『コネで太刀川隊に入隊した男』だ。評価は低いと思うが、まだ立て直せるレベルだ。

 

そうなると俺のやる事は1つだ。

 

「出水先輩!」

 

「な、何だよ?いきなりデカイ声出しやがって」

 

目の前にて驚いている出水公平に向かって俺は……

 

 

 

 

 

 

「お願いします!俺を徹底的にシゴいてください!」

 

「……はい?」

 

歳上としてのプライドやさっき蹴られた事によって生まれた怒りを捨てて、頭を下げるのだった。

 

 

俺のやる事。

 

それは今から真剣に修行して強くなって、俺の知っている『弱くてモテなくて、舐められまくりの唯我尊』ではなく、『強くてモテる、舐められない唯我尊』になる事だ。

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