唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第20話

結論から言うとウチの隊が勝った。

 

俺がベイルアウトした後、二宮は出水・菊地原・犬飼がいる方向に向かった。その際菊地原は狙われると判断したからか、二宮が来る前に捨て身で犬飼を倒し、その隙を突いて出水が菊地原を変化炸裂弾で吹き飛ばした。

 

そして出水と二宮の一騎打ちは二宮が勝ったが、出水が最後の悪あがきで放った徹甲弾が二宮の左腕と左足を吹き飛ばし、二宮はこれ以上の戦闘は不可能と判断してバッグワームを装備して民家に隠れた。

 

一方、太刀川・風間・辻の攻撃手三つ巴の戦いは、太刀川と風間が鳩原の援護付きの辻に攻めあぐねたが、やがて痺れを切らしたのか風間が鳩原を狙いに行った。

 

その際に風間同様に鳩原をウザいと思っていた太刀川は風間を止めず、辻に集中した。風間に狙われた鳩原は一旦身を隠したが、それに伴って辻の援護が出来なくなり辻が太刀川に斬られた。

 

辻がベイルアウトすると太刀川も鳩原がいる場所に向かい、2人で鳩原を探して先に見つけた風間が鳩原を撃破。

 

そして残った太刀川と風間のタイマンでは太刀川が風間を下したが、太刀川も左足を失い、太刀川も二宮と戦うのを嫌がったのでバッグワームを装備にしてマンションに隠れた。

 

そして太刀川と二宮は試合終了まで身を潜めて、時間切れとなった。

 

今回は生存ボーナスがないので太刀川隊が4点、二宮隊と風間隊が2点入って試合はウチが勝った。

 

 

 

試合が終了したことに安堵の息を吐いていると太刀川が戻ってきた。

 

「お疲れさま〜」

 

国近がのほほんとした声で太刀川を迎える。

 

「後半はずっと隠れてたからそんな疲れてないな。それより唯我は初陣はどうだった?」

 

「二宮さんがメチャクチャ怖かったです」

 

太刀川の問いに即答する。二宮の攻撃は出水よりも過激で怖過ぎた。

 

つか原作じゃ二宮隊がB級に在籍してるが、あの怪物が隊長の部隊をB級に落とすとかマジでふざけてるだろ。

 

「まあそうだな。A級でも二宮と相対したら削り殺される事が多い。とはいえ二宮に潰される前に歌川を倒したのは頑張ったな」

 

太刀川は肩をポンと叩いて笑ってくるが、素直に喜べない。

 

「いえ。アレは二宮さんのおこぼれを貰えたからで、タイマンだったら倒せなかった可能性があります」

 

あの時歌川は二宮のハウンドを防ぐ為、固定シールドを展開した。そして俺は固定シールドの展開により動けなくなった隙を突いたから歌川を倒せたが、もし二宮の介入が無かったらレイガストの投擲を避けられたかもしれないし、まだまだだ。

 

「いやいや、俺はお前の防御を見たが、実際歌川相手に粘れたしお前の実績だ」

 

出水が背中をバシバシ叩いてくる。確かにマスタークラス相手に粘れたし、その辺りは成長を感じられる。

 

「なんにせよ実際にやりたい事は見えてきたか?」

 

「そうですね……何となくイメージは出来てきましたが、今は暫く捌きの練習に集中したいですね」

 

俺が考えているスタイルはいくつか候補はあるが、それを確立するにはレイガストによる防御を高める事が最低条件だ。よってレイガストによる防御をある程度高めるまでは、他の事は必要最低限しか練習しない。二兎を追う者は一兎をも得ずって諺もあるからな。

 

「あ、エンジニアに頼んでレイガストを軽くしたりするのはどうかね?さっき歌川君と戦ってるのを見た際に、もうちょっとレイガストを速く動かせないかと思ったよ」

 

国近がそんな提案をしてくる。確かに一理あるな。レイガストの重量を弄るとなればレイガストのシールドモードの耐久力が下がるかもしれないが、シールドモードは充分硬いし、ワンランク下げて軽くするのも悪くない。

 

「もしくはレイガストの変形速度を上げるってのも悪くないな」

 

「それも良いですね。ともあれ後でエンジニアに相談してみます」

 

「そうしろそうしろ。寺島さんところに行けば間違いなく歓迎してくれるから」

 

太刀川がそう言ってくる。寺島って確か元々攻撃手だったけど、弾丸トリガーの流用にムカついたからエンジニアに転職してレイガストを作った人だよな。そんで原作だとエネドラッドと一緒に映画を見ていたっけ?

 

「そうですね。あ、でもその前に腹が減ったんで軽くなんか食べに行ってきます」

 

昼飯は食ったが緊張で余り食えず、試合が終わった開放感により腹が減ってしまった。

 

「あ、俺も行くわ。昼飯食ってないから腹減って仕方ねぇ。お前らはどうする?」

 

太刀川が俺に同伴するようで手を挙げて出水と国近に聞く。

 

「俺はさっき槍バカと飯を食ってきたんで結構です」

 

「私はこれからゲーム〜」

 

つまり俺と太刀川だけのようだ。2人に会釈をして作戦室を出て、エレベーターを待っているとドアが開く。

 

「あら太刀川君に唯我君、お疲れ様」

 

「おう加古」

 

エレベーターに乗っていたのは加古望だった。いずれ近付きたいと思っていたが、まさかここで会うとはな。

 

そう思っていると加古は俺に話しかけてくる。

 

「試合見たわ。レイガストの捌きは見事だったし、二宮君相手によく粘っていたわ。初めて見た時とは雲泥の差ね」

 

「……いえ。まだまだ未熟ですので精進します」

 

多分次回からは向こうも対策を練ってくるだろうし、上手くいくとは限らない。警戒、対策をされて尚乗り切る事が出来てこそだ。

 

「……本当に別人になったわね。もしかして二重人格者?」

 

加古は興味深そうに俺をジロジロ見てくるが、漫画の世界に入ったなんて言えないんだよなぁ。

 

「すみませんが入隊当時の話はしないでください。マジで黒歴史なんで」

 

実際俺は無関係だが、入隊当時の唯我尊の行動によりボーダー内での評価は高くないからな。憑依した当初に比べたらマシになっているが、それでもまだ低いのでこれから評価を上げるように頑張りたい。

 

「それは失礼。ところで2人はどこに行くのかしら?」

 

「小腹がすいたので軽く食べに……」

 

「ばっ!お前……」

 

太刀川が慌て出すので何事かと思えば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?だったら私の作戦室に来て。炒飯をご馳走するわ」

 

あ、死神の足音が聞こえてきた。

 

加古が満面の笑みを浮かべながらそう言ってくる。そうだ、加古のデス炒飯の存在をすっかり忘れていたわ。

 

「い、いや炒飯は小腹が空いた時に食べるものじゃないだろ……」

 

太刀川は冷や汗ダラダラになりながら必死で逃げようとするが、加古は気にしないで笑う。

 

「大丈夫よ。一人前を2人で分ければ問題ないわ」

 

あかん、このままだと俺は炒飯を食べる事になるかもしれない。

 

内心冷や汗ダラダラになっているとエレベーターが止まってドアが開く。

 

「着いたわね。ご馳走するから遠慮しないで」

 

加古はそう言って俺と太刀川の手を引っ張ってエレベーターを出る。

 

(唯我お前!加古の前で料理の話はすんな!)

 

(すみませんでした)

 

太刀川の目がそう語っている。うん、今のは俺の過失だな。

 

いずれ加古とは近付きたかったが、こんな形で近付きたくはなかった。

 

こうなったら俺に出来るのは当たり炒飯が来ることを祈るだけだ。確か加古の炒飯は8割が当たりで、2割がデス炒飯だったはすだ。

 

8割当たりなら問題ないだろう。というか太刀川が作戦室で寝込んでいるのを何回も見た俺からしたら、問題ないと思わないとやってられない。

 

こうして俺は希望を抱きながら加古に引っ張られるのだった。

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