唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第23話

「ふーむ……どうするべきか」

 

食堂にて、俺はタブレットで色々な隊員の戦闘記録を見ながらパンを食べる。

 

レイガストを改良したのは良いが、ただ防御に徹する以外の戦術を用意したい。

 

とはいえ基礎が出来てない状態で今から新しいトリガーを選んだ所で付け焼き刃だし、今あるトリガーで戦術の幅を広げたい。

 

主トリガー

アステロイド

シールド

グラスホッパー

ハウンド

 

 

副トリガー

メテオラ

レイガスト

スラスター

バッグワーム

 

 

これが俺のトリガー構成だ。攻撃トリガーについては基本的にアステロイドとハウンドは牽制用でメテオラは目眩し用、レイガストとスラスターが防御と投擲に使われている。

 

この中から相手が予想できないような戦術を生み出すには使用用途を変えるのが1番だ。

 

さてさて、どうしたものやら……

 

「お困りのようだね若者よ。悩み事かい?」

 

そんな声が聞こえてきたので顔を上げると迅がいた。

 

「どうも迅さん。本部にいるなんて、セクハラしに来たんですか?」

 

「セクハラなんて酷いなぁ。俺はただ本能に逆らってないだけさ」

 

「太刀川さんからはサイドエフェクトを使って尻を触ると聞いてますが」

 

「それは太刀川さんの勘違いさ」

 

「わかりました。では本能に従って本部長の前で沢村さんの尻を触ってください」

 

「ごめんなさい。サイドエフェクトを使って尻を触る相手を選んでます」

 

やっぱりそうじゃねぇか。今更だがサイドエフェクトの使い方酷過ぎだろ。

 

「冗談はともかく何の用ですか?俺の力を必要とするのは1年以上経ってからだと思いますが」

 

以前迅は俺の力を借りると言っていたが、少なくともイレギュラー門の件や大規模侵攻まで俺のアドバイスは必要ないだろう。

 

と、ここで迅は不思議そうに見てくる。

 

「1年以上経ってから?俺はまだそんな先に起こる事件に関する未来は見えてないけど、何があるんだ?」

 

し、しまった……思わず口を滑らせてしまった。どうやら第二次大規模侵攻はこの時点では確定してない未来のようだ。

 

話すべきか悩んだが……話すことにした。理由としては単純に犠牲者を減らせるかもしれないから、そして既に迅に目を付けられている以上、シラを切ると面倒なことになりそうだからだ。

 

「……話すのは構いませんが、俺について必要以上に詮索しないでくれませんか?」

 

「もちろん。無理に聞き出すよりお前とは友好的に過ごしたいからね」

 

「その言葉を信じますよ……単刀直入に言いますと、再来年の1月に大規模侵攻が起こる可能性があります」

 

そう言うと迅は目を見開く。演技には見えないので本当に知らないようだ。

 

「それは本当か?」

 

「絶対とは言いませんが。敵の狙いはC級隊員の確保で、人型も基地に侵入して死者を出しました」

 

もうここまで来たらある程度話した方が吉だ。

 

「なるほどね……どうやってそんな知識を知ったかは興味あるけど……」

 

「すみません。それについてはちょっと……」

 

この世界は漫画の世界であり、前世でこの漫画を読んだからなんて言っても絶対に信じて貰えないだろう。迅なら信じてくれるかもしれないが、上層部あたりは信じなさそうだ。原作でも頭が硬かったし。

 

「まあ良いか。いつか教えてくれよ。何にせよ今貰った情報は利用させて貰うよ」

 

「?今言った話を上層部にするんですか?」

 

正直信じてもらえるとは思えないんだが。

 

「具体的な話はしないよ。ただ1年くらい先に大規模侵攻が起こる未来が薄っすらと見えたって話して、今から備えて貰うだけ」

 

なるほどな。1年くらい先に大規模侵攻が起こるかもしれないと言ったら、上層部もトリオンの備蓄や防衛施設の設立について今以上に力を入れるだろう。

 

実際に脅威が来ると解って備えるのと、脅威を知らないで備えるのは全然違うからな。

 

「けど俺が話すことが未来が変わるかもしれないですよ?」

 

俺が話した事でアフトクラトルもこっちの世界の備えを知り、攻めてこないかもしれない。

 

「そうなったら俺が責任を取るから気にすんな。それに備えあれば憂いなしって言うからな」

 

それなら安心だ。まあ確かにこの世界が原作から乖離してアフトクラトル以外の国が攻めてくる可能性があるからな。

 

「ただ時期が近づいたら、またアドバイスをして欲しい」

 

「わかりました」

 

特に反対するメリットはないし、迅と敵対するのは避けたいからな。

 

「助かるよ。お礼に良い情報を教えてあげるよ」

 

「良い情報?」

 

「うん。お前は3日後に本部に来ない方がいい。本部に来たら太刀川さんと堤さんと一緒に加古さんの外れ炒飯で死ぬから」

 

「忠告感謝します」

 

マジで感謝だ。あの外れ炒飯でくたばった俺からしたら二度と食べたくないし。

 

「ちなみに太刀川さんと堤さんには話すんですか?」

 

「2人は大学の帰りに加古さんに捕まるから未来を覆せないんだよね。そんでお前が本部に行ったら太刀川さんが巻き添えにするってわけ」

 

おいコラ。確かに俺は半人前だが、だからといって巻き添えにすんなや。

 

「ではその日は本部には行きません。それともう1つ聞きたいのですが……」

 

そう前置きして俺は現在どのような戦術を身につけようか悩んでることを相談する。

 

「ふむふむ。まあレイガストは使い手が少ないから難しいよな。ウチにいるレイジさんもレイガストを使うけど、唯我の役には立ちそうにないし」

 

そりゃな。レイガストで相手をぶん殴るスタイルなんて筋力の足りない俺には無理だろう。アレは自分の身体を完璧に使いこなせるような人間にしか出来ないし、今から学んでも数年かかる。

 

そう思っていると迅は俺の見てくるが、やがて笑みを浮かべる。もしかして新しい未来を見たのか。

 

「じゃあ実力派エリートからのアドバイス。今日の6時からやる三門テレビのニュースを見てみな。きっと役に立つから」

 

夕方6時からニュースを見ろ?確かにニュースはよく見ているが、戦術の役に立つとは思えない。

 

とはいえわざわざアドバイスをしてくれたのだから見てみよう。嘘をつくならもっとマシな嘘をつくだろうし。

 

「わかりました。助言感謝します」

 

「うんうん。若いんだから色々試してみな」

 

いやアンタも若いだろ。人生経験が豊富なのは間違いないだろうが、学ラン着てるし。よくよく考えたら迅って原作開始時点だと19歳で、今は高3なんだよな。

 

「じゃあ俺はもう行くよ。お前から聞いた件について、未来が見えたってことにして報告しないといけないし」

 

「あ、はい。わざわざありがとうございます」

 

「気にすんなって、こっちもお前とは仲良くしたいし……あ、最後に1つお願いだが、例えどんなに幸せになっても、周りの人に砂糖を吐かせ過ぎるなよ?」

 

迅はそう言って去って行くが……最後のアドバイスからして、俺が周りの連中が砂糖を吐くくらい幸せになる未来は濃厚って事か?

 

(だとしたら今以上に精進しよう)

 

俺は迅のお願いを聞き、今まで以上にモチベーションが上がるのを自覚するのだった。

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