唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第24話

「おー、唯我君おかえり〜」

 

「レイガストの改良は終わったのか?」

 

作戦室に入ると国近と出水がテレビゲームをしていた。

 

「はい。寺島さんに頼んで改造しました。それとすみませんが6時になったらテレビを借りて良いですか?」

 

時計を見ると5時半だ。2人がやってるのは格ゲーだから後30分もすれば止めるだろう。

 

「ん〜?別に良いけど、見たい番組があるの?」

 

「実はですね……」

 

国近の質問にさっき迅から受けたアドバイスについて説明する。

 

「迅さんがね……未来視のサイドエフェクトを疑うわけじゃないけど、ニュース見ただけで新しい戦略が浮かぶのか?」

 

出水の言う通りだ。戦闘記録を見直すならまだしも、ニュースを見て戦略が思いつくとは思えない。

 

「まあ疑わしいですが、こんな小さな事で嘘をつくとは思えないんで」

 

「そりゃそうか」

 

出水は頷きながらゲームを再開するが国近にボコボコにされている。容赦無しか。

 

そんなことを思いながらノンビリゲームを眺めているが、5時50分になるとゲームをやめてテレビを譲り、2人は俺の左右に座る。

 

「で?どのチャンネルだ」

 

「三門テレビですね」

 

言いながらリモコンを操作して待機するとニュース番組が始まった。

 

しかし真っ先に挙げられたニュースは海外の首相選挙で見ていても特に何も感じない。

 

その後は国内で起きた事故や事件を取り上げているが、戦略とは全く関係ないニュースが続いて行く。

 

「なぁ?本当にニュース見て戦略が思いつくのか?」

 

出水にそう言われるが、不安になってきたところだ。

 

若干不安な気持ちを抱きながらもニュースを見るが特に思い浮かぶことなく天気予報に切り替わる。やっぱり騙されたのか?

 

『こちら九州地方です。台風16号は全く衰えることなく進んできて、通行人は歩くのすら苦労しています』

 

九州からの中継のようだが画面の中では大雨と暴風が吹き荒れて、リポーターは転ばないように踏ん張っている。

 

「いやー、九州は大変そうだね〜」

 

「三門市は余り台風が来ない地域ですから新鮮に……んんっ?」

 

「どうした唯我?」

 

出水が問いかけてくるが、俺は画面に映るある存在に気付き、食い入るように画面を見る。

 

「……これだ!」

 

新しい戦い方を思いついた。俺の考えが上手くいけば、トリガー構成を変えなくても相手に与えるストレスを増やす事が可能かもしれない。

 

「何だ?良い案が浮かんだのか?」

 

「はい。実は……」

 

2人に説明すると2人は納得したように頷く。

 

「なるほどね〜、確かに良い考えかも」

 

「んじゃ早速実戦は……無理か。そのやり方、攻撃手に対して特化したやり方だし」

 

出水の言う通りだ。このやり方は攻撃手以外には使えないし、後で太刀川が来たら模擬戦を頼もう。

 

「そうですね。とはいえ折角思いついたんで太刀川さんが帰ってきたら付き合って貰います」

 

「それが良いね。でも唯我君ってどんどん独特なスタイルになっていくね〜」

 

「それは俺も思った。射手を名乗ってるけど、絶対射手じゃないだろ」

 

「いやいや。弾丸トリガーを入れてますし、レイガストを射出していますから立派な射手ですよ」

 

苦し紛れの言い訳だが、射手だろう。本当にギリギリだが。

 

そんな事を考えていると作戦室のドアが開き太刀川が入ってくる。迅の未来によれば3日後に加古の炒飯で死ぬ事が決まっていて、俺が本部にいたら巻き添えにするという酷い隊長だ。まあ俺も太刀川の立場なら巻き添えにするけど。

 

「あ、太刀川さん。ちょっと模擬戦に付き合ってくれませんか?」

 

「ん?レイガストの改良が済んだのか?もちろん良いぞ、国近」

 

「ほ〜い」

 

国近が頷くとパソコンに向かい、操作を始めるので俺と太刀川は仮想訓練室に入る。

 

「さて、わざわざ模擬戦をするって事はレイガストの改良に加えて新しい戦術も考えたんだろ?」

 

「まあそうですね」

 

言いながらレイガストを右手に構えると、太刀川は右手に弧月を構える。

 

『模擬戦開始〜』

 

国近のノンビリとした声と共に太刀川が突っ込んで袈裟斬りを放ってくるので、レイガストをシールドモードに変えて防御する。流石に何千回もぶった斬られたので、単発の一撃なら確実に防げるようになった。

 

とはいえ問題はこれからだ、と思う間に太刀川は上段斬りを放ち、間髪入れずに斬りあげて、そのまま鋭い一撃を連続で放ってくる。

 

それを何度か防ぐが、防ぐ度にレイガストを持つ手に衝撃が走る。何千、下手したら何万回も受けているが一撃一撃が鋭過ぎる。コイツの師匠の忍田はどんだけ怪物なんだって話だ。

 

そう思いながらも俺はガードを続ける。今まで色々な奴の攻撃を防御してきたが、あることに気づいた。

 

それはどの隊員も大小差はあれどある程度攻撃すると、一呼吸おき、その際に攻撃の速度を緩めるのだ。

 

そしてそこが最大のチャンスである。実際俺は太刀川相手に僅かだが勝ち星を挙げていて、その勝ち星は毎回太刀川の攻撃が緩くなった時に挙げている。

 

(耐えろ。チャンスは必ず来る……)

 

太刀川の激しい連撃を受けながらも絶対に負けてなるものかと、耐え抜く。

 

そしてチャンスは来た。一度落ち着く為か攻撃速度を緩めて、僅かに距離を取る。

 

普段からここでスラスターを利用してシールド突撃をするが……

 

(今だ!)

 

俺はスラスターを使わずにシールドモードのレイガストの形を変える選択をする。

 

レイガストの四隅が動き始め、やがてマジックハンドのような形となり太刀川を掴もうとする。

 

これには太刀川も予想外のようで目を見開く。まさかレイガストで掴もうとすると思わなかったのだろう。

 

太刀川はレイガストの外側に逃げようとするがもう遅い。太刀川がレイガストの外側に逃げる前に、捕まえて顔面に弾丸を打ち込む。身体を捕まえるついでに腕を捕まえられたら弧月も振れなくなるし俺の勝ちだ。

 

そう思いながら俺は距離を詰めて、拘束が終わると同時にゼロ距離射撃をする準備に入った時だった。

 

太刀川は手にグラスホッパーを起動する。上にジャンプして逃げるつもりなのだろうが、最大威力の射撃で削れば勝算はある。

 

しかし……

 

太刀川のグラスホッパーは太刀川の足元ではなく、太刀川と距離を詰めようとしている俺が持つレイガストの持ち手付近に展開された。

 

瞬間、レイガストにグラスホッパーが当たり、俺はレイガストと一緒に後ろに吹き飛んでしまう。

 

地面に倒れた俺は急いでマジックハンドのような形をしたレイガストを持って立ち上がろうとするが、目の前には居合の格好をした太刀川がいて……

 

 

 

 

「旋空弧月」

 

その言葉と共に弧月のリーチが伸びて、レイガストを真っ二つにしてから俺の下半身が吹き飛ばした。

 

(あ、やっぱ太刀川相手に距離を取ると真っ二つにされるんだな)

 

俺は真っ二つにされながら現実逃避気味にそう思うのであった。

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