唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第25話

「はっはっはっ。中々面白い戦術だったぞ。まさかレイガストをマジックアームみたいに使うなんて」

 

「けど捕まえられなかったし、お蔵入りですね」

 

作戦室にて太刀川は笑いながらどら焼きを食べる。結局新戦術を何度か試したが、太刀川を捕まえる事は不可能だった。

 

「そうでもないぞ。確かに俺を捕まえる事は出来なかったが、B級中位レベルなら捕らえられると思うし、お前の一番の武器はしつこい防御だ。カッとなった相手ならB級上位やA級の連中も捕まえられるかもしれない」

 

まあそうだな。結果的に太刀川を捕まえる事は出来なかったが、後一歩って事は2、3回あったしそこらの相手なら捕まえられるだろう。

 

「それにだ唯我。お前は確かニュース、台風によって傘が裏返ってる所を見て今回の戦術を思いついたんだよな?」

 

「そうですね」

 

「それならマジックアームのようにして無理に敵を捕まえようとする以外に、相手の腕の可動域を減らすのに使えるぞ」

 

あ、なるほどな。確かにレイガストのシールドを広げ相手を囲むようにすれば、向こうは動き難くなり苛立つだろう。

 

「それに拘束技を見せつけたら、対戦相手は警戒して攻めあぐねるし、時間稼ぎには向いてると思うよ〜」

 

「チーム戦なら捕まえた瞬間にレイガストを放して距離を取り、身動きを取れなくなった相手に俺が合成弾を撃つって事もできるし、直ぐにお蔵入りするのは勿体ないな」

 

国近と出水がそう言ってくるが、言われると色々選択肢があるな。とりあえずお蔵入りするのは性急過ぎたか。

 

「と、言うわけで唯我。お前は今から個人ランク戦ブースに行って、経験を積んでこい」

 

「了解しました」

 

太刀川からそんな命令を受けた俺は頷いて作戦室を出るが、気分は悪くない。

 

理不尽なノルマに悩む事なく、自分がやりたいと思うことをやる……最高の人生じゃないか。

 

原作開始までまだ1年以上あるが、それまでに太刀川隊として相応しい隊員になってみせる。

 

……そうすりゃ、もう1つの目標である女子との出会いも達成出来るかもしれないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、しかし唯我の奴、本当に予想外の方向に向かってますね」

 

唯我が作戦室から出て行く中、出水がそう呟くと国近と太刀川も頷く。

 

「そだねー。もう射手って言いにくいよねー」

 

「いやいや、もう完全に射手じゃないでしょ。この前二宮さんも「伸び代は感じるが、アレは絶対射手じゃない」って言ってましたし」

 

「ま、この調子で伸びてけば、そう遠くない未来には京介の穴を埋められるだろ」

 

太刀川は玉狛支部に移った自分の部下の名前を口にする。サポートの上手い部下が抜けた次のシーズンに唯我はコネで入ってきた。

 

当初は半人前のお荷物と思っていたが、ある日を境に人が変わったかのようにハングリーさを剥き出しにして日々鍛錬を重ねるようになった。

 

今はまだ荒削りであるが、予想外の発想には光る物を感じるし、唯我が高校生に上がる頃には一人前になるだろうと太刀川は確信している。

 

「まあ京介とは全然戦い方が違いますし、何とも言えないですけどね」

 

烏丸の仕事は太刀川のサポートと、自身でも点を取る事だった。しかし唯我はこの調子で伸びれば、格上に対しての足止めと出水のサポートが仕事になる可能性が高い。

 

そんな風に話しているとチャイムが鳴ったので出水が来客を迎えるべく、ドアを開けると……

 

「うおっ!」

 

予想外の来客が現れて思わず目を見開いてしまった。

 

 

 

その後来客は唯我の所在を聞き、個人ランク戦ブースに行っていると言われたのでそのまま去って行ったが、作戦室にいた3人は意外な来客に興味を抱いたのだった。

 

 

 

 

 

ギィン ギィン ギィン

 

鈍い音が手にあるレイガストから響くが、それを無視してスラスターを発動してシールド突撃をして、木虎を吹き飛ばす。

 

そして後ろにジャンプしながらアステロイドを放つ。スラスターを使用したレイガストの投擲でも悪くないが、入隊したばかりの木虎ならまだしも今の木虎には通用するとは限らない。

 

放たれたアステロイドは体勢を崩した木虎の左手と左肩を穿つが戦闘不能になるレベルじゃない。

 

木虎はダメージを気にしないでこちらに突撃をしてスコーピオンを振るってくるので焦らずに防御する。

 

「……本当にっ、しつこいにも程がありますね」

 

「生憎だが今の俺が持つ武器はそれしかないんでな」

 

忌々しそうに呟く木虎の攻撃を一つ一つ防いでいく。原作で木虎はスパイダーを利用した戦術を使っていたが、この時代の木虎はまだスコーピオンとハンドガンだけしか使ってない。

 

よってワイヤーによる変則的な戦術は使ってきてないので、防ぐのは難しくない。何せこっちは成績と引き換えに圧倒的な戦闘力を持った男にしごかれているのだ。

 

太刀川にぶった斬られまくった事を思い出しながら暫くガードを続けていると、案の定木虎の剣筋が荒くなってきている。攻撃が通らないってのは相当イラつくだろうな。

 

実際前世でワールドトリガーを読んでいた時はレイガストの使い手の村上を見て、硬すぎだろって思ったし。

 

そうこうしていると、痺れを切らしたのかレイガストを叩き割るかのような大振りをしてくる。

 

同時に視野が狭くなったと確信した俺は足払いをかけて、体勢を崩した隙にレイガストのシールドの形状を変え、木虎を挟み込むように広げ……

 

「んなっ?!」

 

先程太刀川に試したようにレイガストで木虎を捕まえる。しかも両腕もレイガストに捕まっているので身動きが一切取れなくなっている。

 

「木虎……ゲットだぜ!」

 

そんなアホな事を言いながら俺は威力に殆どのトリオンを注ぎ込んだアステロイドで木虎の頭を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

20分後……

 

『女子をクレーンゲームの景品のように掴むなんて随分と嫌らしい戦術ですね。そんなだから皆に嫌われてるんですよ』

 

5本先取勝負にて5ー2で俺が勝つと木虎がいるブースからそんな嫌味が聞こえてくる。

 

まあ5本中3本はレイガストで木虎を捕まえて勝ったからそう言われるのも仕方ない。

 

しかしそんな風に某蟲柱が言ったような事を言われるのは結構イラっとくるな。まあコネで入隊したから嫌われてるだろうけど。

 

しかし俺は……

 

「俺は嫌われてない」

 

一度言ってみたかったセリフを口にする。アレ前世で好きだったんだよな。連載当初は速攻で終わるって評価されてたけど、普通に好きだったし続きが読みたい。

 

『あぁそれ……すみません、嫌われている自覚が無かったんですね。余計なことを言ってしまってすみません』

 

するとそんな言葉が帰ってくる。まさかそう来るとは……まさか木虎も転生した人間なのか?

 

「惨めになるから謝んな。後負けたからって強く当たるな」

 

『……さっきは調子が悪かっただけです。もうすぐ防衛任務ですから帰りますが、次はボコボコにしますので』

 

その言葉と共に通信が切れるが、負けず嫌いに火がついてしまったようだ。

 

内心溜息を吐きながら違う対戦相手を探すが……

 

(相手が居ねぇ……)

 

4000以上、つまり正隊員は2人しかいないが、その2人は現在対戦中だ。

 

(しかもスコーピオンで14425ポイント、アステロイドで15241ポイント……これ絶対風間と二宮だろ)

 

太刀川の個人ポイントは17000ちょいで、出水の個人ポイントは10000ちょいだ。出水以上太刀川以下のポイントを持つ隊員は数人しかいないが、今戦ってるのは風間と二宮以外考えられない。

 

(仕方ない。今日は諦めるか)

 

二宮については勝てる未来が全く見えない。トリオン量に差があり過ぎるから近づくことすら出来ないだろう。

 

風間については、太刀川相手に僅かながらに勝ち星を挙げたこともあるし、ほんのごく僅かだが勝ち目はある。

 

しかし2人の戦いは当分続きそうだしまた明日にしよう。

 

俺は伸びをしてからブースから出る。とりあえず一旦作戦室に戻って「おい」いきなりそんな声が聞こえてきたので振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この後時間あるか?唯我ァ」

 

ツーブロックリーゼントの髪型が特徴的なヤンキー風の男……弓場拓磨が鋭い目で俺を見ながら話しかけてきた。

 

 

え?どういう事?

ヒロインは何人まで希望?4人は確定

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