唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第27話

木曜日

 

「えーっと弓場隊の作戦室はこっちだな……」

 

俺は廊下を歩き弓場隊作戦室に向かっている。昨夜弓場から太刀川隊か弓場隊のどちらかの作戦室に集合すると言われたが、一応俺は中3だから先輩を立てて、弓場隊作戦室に向かっている。

 

タブレットに表示されたマップに従って歩いていると、ドアが開いている部屋があった。あそこが弓場隊作戦室だな。

 

俺はその部屋に向かうと、入ってすぐの所に弓場が腕を組んで立っていて、その隣には帯島ユカリもいるが弓場の威圧感が凄ぇ……

 

「ご足労感謝するぜぇ、唯我ァ」

 

いや、アンタ本当に高3かよ?絶対年齢詐称してるだろう。

 

「帯島ァ!挨拶しろ!」

 

「ッス!自分は弓場隊攻撃手帯島っス!唯我先輩の粘り強さ!発想力を尊敬してます!以後宜しくお願いします!」

 

弓場の言葉に帯島は背を伸ばして堂々と挨拶をしてくる。ヤンキー漫画でありそうな光景だな。原作で弓場隊は見てないが、インパクト強過ぎだろ。

 

「宜しく。ちなみに他の隊員はいないんですか?」

 

「今日はオフだからな。んじゃ早速始めても大丈夫か?」

 

「はい。ちなみにルールについてはどうしますか?ずっと防御に徹しましょうか?」

 

別にそれでも構わない。それはそれで鍛錬になるからな。

 

「そうだな……最初の2分は防御に徹してその後に反撃、で良いか?」

 

「わかりました」

 

「決まりだな。帯島はさっきも言ったように失敗を恐れずガンガン攻めてけ」

 

「ッス!」

 

帯島は大きく頷くが、なんか部活の連帯感を思わせるなぁ。

 

そう思いながら俺達は仮想空間に入り、弓場がウィンドウを展開して周囲に建物を作り出す。

 

それを確認した俺はトリガーを起動して太刀川隊の隊服に変わる。一方帯島は既にトリオン体のようだが、私服に近い隊服だ。こういった隊服はシンプルで新鮮に感じるな。

 

風間隊とか那須隊は映画で出てくる宇宙服っぽいし、ウチの隊服はかっこいいが厨二感があるし、二宮隊に至ってはスーツだし。

 

そしてレイガストを展開してシールドモードにして構えると向こうも弧月を展開する。

 

同時に弓場が離れて距離を取り、手を挙げ……

 

「始め!」

 

手を振り下ろす。同時に帯島は距離を詰めて弧月を振るってくるのでレイガストで受け止める。

 

それから直ぐにあらゆる方向から弧月を振るってくるが焦らずに一撃一撃防いでいくが……

 

「攻める時は常に前を見ろ。剣を振る方向に視線を向けると攻撃を読まれやすくなる」

 

まだB級上がりたてだからか、攻撃する際に剣を振る前から振ろうとしている方向を見ているので先読みがしやすい。

 

まあ俺の場合、防御を極めようとしている中で観察力も鍛えてるからな。才能がないなら努力で埋めるしかない。

 

「ッス!以後注意して行きます!」

 

帯島は攻撃しながらそう言ってくるがか、「ッス」って毎回言うと頭の中で学ラン着て口に葉っぱを咥える姿の帯島が浮かぶからやめて欲しい。

 

そう思いながら再度ガードを続けていくと、帯島は偶に横を向くことはあるが、懸命に俺を見ようとしながら攻撃を重ねる。

 

B級上がりたてにしては鋭い一撃が次々と振るわれて、レイガストを介して腕に衝撃が伝わってくる。

 

「攻める際は大振りを多用するのはやめとけ。今は防御に徹してるからまだしも、防御をやめたら隙だらけだぞ」

 

正直言ってレイガストを割ろうとする大振りよりも防御のリズムを崩そうとする細かい連撃の方が厄介だ。

 

「ッス!」

 

帯島はまた頷くが、いずれ弓場のようにリーゼントにならないか不安でしかない。

 

そうこうしながら防御を続けているとアラームが鳴り出す。約束の2分が経過したようだから反撃させて貰う。

 

俺はレイガストの形状を変化させ、レイガストに太い切れ込みを作る。

 

そして帯島が弧月を振るった瞬間、レイガストを動かして弧月が切れ込み部分に入るように誘導する。

 

そして切れ込みが入った瞬間に再度形状を変化させて切れ込みを無くす。それにより帯島の弧月はレイガストに拘束されて抜けなくなる。

 

それを見た帯島は目を見開くが、隙だらけだ。

 

俺は足払いをかけてバランスを崩し、そのままレイガストをシールドモードのまま帯島にぶつけ、地面に押し付ける。

 

床とレイガストによりサンドイッチの具みたいに挟まれた帯島は身動きが取れなくなるので、そのまま帯島の頭に手を突き出し……

 

「アステロイド」

 

そのまま威力重視のゼロ距離射撃で帯島の頭を吹き飛ばした。

 

『戦闘体、活動限界』

 

アナウンスが流れ、直ぐに帯島の頭が再生する。

 

「まずはワンセットだな。とりあえず初見だから仕方ないが、次回以降は武器を封じられても、焦らずに新しい弧月を展開しろよ」

 

大抵の相手は武器を封じられると焦るが、そこを突くのは戦術として当然だ。実際俺も太刀川にレイガストをぶっ壊された当初は焦って、そのままぶった斬られたからな。

 

「ッス!もう一本お願いします!」

 

「了解。んじゃ弓場さん、合図をお願いします」

 

「おぅ、んじゃ……始め!」

 

その言葉と共に2戦目が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

20分後……

 

『戦闘体活動限界』

 

5回目の戦闘体活動限界のアナウンスが流れ、帯島の胸に空いた風穴が治る。

 

今ので5戦終わったが、一応俺の全勝だ。

 

「ま、最初はこんなもんだろ。最後の勝負は良かったじゃねぇか」

 

弓場はそう言って帯島を労う。実際最後の勝負で、帯島は俺に足払いをかけてバランスを崩してきたのだ。まあ倒れる前にシールドモードのレイガストにスラスターを展開して帯島を吹っ飛ばしてセーフだったけど。

 

「そうですね。最後は割と焦りました。多分帯島がハウンドを入れていたら負けていましたね」

 

BBFだと帯島は万能手でハウンドを入れていたが、この世界の帯島はまだ攻撃手で、射撃トリガーを使ってない。

 

「まぁな。ただ先ずは弧月を極めるべきと思ったから暫くは弾トリガーについては使わせねぇ。お前と同じようにな」

 

「?唯我先輩も何かしらのトリガーを使用禁止されているのですか?」

 

帯島が不思議そうな表情になる。話すべきか一瞬悩んだが、弓場と同じチームである以上、いずれバレるので話す事にした。

 

「誰にも言うなよ。俺はいずれ弓場さんお得意の高速射撃技術を身につけるつもりだ」

 

「え?!弓場さんの技術をですか?!」

 

「ああ。弓場さんの技術は攻撃手に向いてるし、会得したいんだよ」

 

弓場の使う銃トリガーは他の隊員が銃トリガーに比べて、射程が短い代わりに威力と弾速が桁違いで、攻撃手からしたらこの上なく恐ろしい。記録を何回か見たが、マスタークラス以下の攻撃手は速攻で負けているくらいだ。

 

そして俺としてはレイガストによる防御で相手を崩した後のトドメに弓場の技術を使いたい。レイガストによる投擲は威力も射程も弾速もあるが、単発である為外れる可能性があるからな。

 

「んで帯島を鍛える条件で、俺が太刀川さんからレイガスト以外の技術を学ぶ許可を貰ったら弓場さんにしごいてもらうことになった」

 

太刀川がいつごろ許可を出すか知らないが、少なくとも俺としては太刀川の攻撃を3分以上凌げるようになってから弓場に教えを請うつもりだ。

 

そして最終的には攻撃手に特化した戦闘員になるつもりだ。半端な戦術では太刀川隊としてポジションを確立するのは無理だからな。

 

「まあそれは当分先になると思うし、続きを行くか。弓場さんも一戦どうですか?」

 

遅かれ早かれ弓場の射撃を生で見てみたいし誘ってみる。

 

「良いぜ。お前が会得したいモンを直で受けてみろや。帯島ァ、号令をやれ」

 

すると弓場は応じてくれて、腰部分にホルスターを顕現する。

 

同時に俺は弓場から離れてシールドモードのレイガストを右手に持つ。いつでも始められる体勢になると帯島が手を挙げる。

 

 

 

「始め!」

 

そしてそのまま振り下ろすので最初に防御の構えを取ろうとするが……

 

 

 

ドドドドドドッ

 

弓場の周囲に6つの光が現れたかと思えば俺の全身に複数の穴が出来て、俺は尻餅をついている。

 

『戦闘体活動限界』

 

そんなアナウンスが流れ、トリオン体は治るがハッキリ言って早過ぎる。いつ銃を抜いたか見えなかった。

 

(今は見えねぇが……いつか絶対に会得してやる)

 

そう思いながら俺は身体を起こす。

 

「付き合っていただきありがとうございます。強くなったらまた相手してください」

 

「楽しみにしてるぜ。尤もこっちとしてはそう簡単には負けるつもりはねぇけどなァ」

 

だろうな。まあこっちも鍛えまくるし、いつかは良い勝負がしたいものだ。

 

それから再度帯島の訓練に付き合ったが、訓練が終わるまで頭の中で弓場の早撃ちが脳裏によぎっていたのは言うまでもない。

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