唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
「んじゃ失礼します」
「おぅ、また次も頼むぜ」
「ご教授ありがとうございました!」
帯島との訓練が終わり、弓場と帯島に挨拶をした俺は一礼してから作戦室を後にする。今日は疲れたし、家に帰ってゴロゴロするか。
そう思いながら自販機でお茶を買って飲みながら廊下を歩いていると……
ドンッ
曲がり角で人とぶつかってしまい、お茶が自分の服を濡らしてしまう。
「わあっ!」
一方、ぶつかった人はアニメ声を出してくるので顔を上げると……
(うおっ、小南桐絵かよ)
そこにいたのは玉狛支部のエース攻撃手の小南桐絵だった。女子高生でありながら現役戦闘員では1番の古株で、ボーダーでも屈指の実力を持っている。何つったて防衛任務では1人で1部隊と扱われているくらいだ。
そしてとても可愛い。原作でも烏丸にからかわれている小南はマジで好きだった。制服を着ているので生身のようだ。
「すみません。よそ見してました」
とはいえ先ずは謝罪だ。お茶を飲みながら歩いていたこちらが悪いからな。
「ううん。こっちこそ携帯見てたし、服を濡らしてごめん」
あ、片手に携帯があるな。
「いえ。トリガーを起動するんで大丈夫です」
言いながらトリガーを起動して太刀川隊の隊服に変わる。すると彼女は目を見開く。
「あ!どっかで見たと思ったらアンタ、とりまるの後任ね?!」
「はい。唯我尊です。そちらは小南桐絵さんですよね?」
「そうよ。この前ランク戦見たわ。コネ入社って聞いたけど、泥臭くて結構まあまあの実力ね」
結構まあまあ……それどれくらいの強さなんだ?
原作だと小南はB級中位をそこそこまあまあ、B級上位をかなりまあまあ、A級を全力でまあまあと評価していたが、結構まあまあってのはどのくらいなのかわからない。
つかまあまあしかいないって……実際小南と太刀川ってどっちの方が強いんだ?
何にせよ遅かれ早かれ接触する予定だったのでチャンスだ。原作だと小南は負けず嫌いでチョロいし心象を良くしておこう。
「ありがとうございます。尊敬してる小南先輩にそう言って貰えると光栄です」
「ふ〜ん。どんな所を尊敬してるのかしら?」
興味なさそうな声だが、ドヤ顔を浮かべている。原作の唯我と同じように尊敬されたがってそうだしな。
「そうですね。可愛らしいルックスに加え、戦闘記録を見ましたが、強さと美しさも持っている素晴らしい女性と思います」
小南の戦闘記録は玉狛所属だからか余り数はないが、太刀川とは別ベクトルで素晴らしい太刀筋だ。独自な動きもあり参考にはならないが見栄えは良い。
「そうなのっ!?もう!初対面の相手にそんなお世辞やめなさいよ、お世辞じゃないのかもしれないけど!」
小南はそう言ってポカポカ叩いてくるが、口元は緩んでいてメチャクチャ嬉しそうだ。
小南は似たような台詞を原作で言っていたが、あの時と同じ表情だ。
あの後烏丸に嘘と言われ、小南は八つ当たりとして修の頭をかじったのは印象に残っている。
しかし俺は嘘というつもりはない。別に嘘をついてるわけじゃないけどな。というか頭をかじられる趣味はない。トリオン体だろうと嫌なものは嫌だ。
「お世辞じゃなくて事実です。小南先輩が可愛いのも強いのも美しいのも事実だと思いますね」
「ふぇっ?!」
すると小南は真っ赤になってテンパりだす。原作でも思ったが、チョロ過ぎだろ……烏丸がからかう気持ちがよくわかる。
「失礼。初対面なのにいきなりでした」
がっつき過ぎると心象が悪くなるのはどの世界でも共通だからな。
「べ、別に謝る事じゃないわよ。あたしが強くて可愛くて美しいのは当然なんだから……」
そう言っているが恥ずかしそうにしている。しかし事実とはいえ自分で強くて可愛くて美しいと言うなんて、自信家でもある。まあ人気投票でも2位と3位だからな。
「それにしてもやっぱり後輩はこんな感じじゃないと。とりまるなんて強いけど完全にあたしのこと舐めてるし」
「何かあったのですか?」
気になったのでつい聞いてしまう。すると小南は肩を怒らせながら口を開ける。
「それがね!昨日ガムを飲み込んだら、とりまるに「ガムを飲むとお腹の中で爆発する」って言われたから病院に行ったら、医者の先生に思い切り笑われたのよ!他にもしょっちゅう嘘を吐いてるし、酷いと思わない?!」
あー、BBFでそんな事書いてあったな。
というかこれについてはそんな嘘に騙される小南が悪い気がする。
騙される方も馬鹿って言葉があるし、幾ら何でもガムを飲み込んだら腹の中で爆発するって嘘を信じるなんて馬鹿すぎる……
しかしそこは先輩を立てておこう。
「まあ先輩を騙すの烏丸は余り感心しないですね。しかし俺には小南先輩は眩しく見えますよ」
「?どういう事?」
「小南先輩はしょっちゅう騙されているようですが、それでも烏丸を信じるという事は純粋な心を持ってるでしょう。立場上大人の醜い部分をよく見ている俺からしたら、小南先輩は眩しく見えます」
まあ実際前世で社会人になってからは人間の醜さを沢山見たからな。今時小南のように純粋な心を持つ人間はそう多くないだろう。
「ですから小南先輩は可能ならこれからも変わらず純粋なままでいてください」
というか人を疑う小南は小南じゃない。俺としてはずっともてかわだまされガールでいて欲しい。
「も、もう……褒めすぎよ……恥ずかしいじゃない」
「小南先輩には褒めるべき点が多いから褒めただけです。無いなら褒めませんし、小南先輩は恥ずかしがらずに堂々として良いんですよ」
「ふ、ふーん。アンタ見る目あるじゃない」
興味なさそうにしているがさっきよりも口がゆるゆるだ。ぶっちゃけ可愛い。
「ところで何故小南先輩は本部に?太刀川さんあたりとランク戦ですか?」
「えっ?ううん。私は今から防衛任務。最近Bに上がった隊員の付き添い」
なるほど。まあB級上がりたてがいきなり防衛任務なんて厳しいだろうから当然か。
「そうでしたか。お勤め頑張ってください」
「ありがと。あ!連絡先教えなさいよ。あたしが本部に来た時にしごいてあげる。あたしは太刀川より強いわよ」
そう言ってるが、実際どっちが強いんだろうか。BBFによれば2人とも自分の方が上と思ってるらしいけど。
「わかりました」
ともあれ折角のチャンスだし当然断るなんて事はない。俺は携帯を取り出して連絡先を交換する。
「これで良し。なんか悩みがあったら相談に乗るから。あたし先輩だし!」
この上ないドヤ顔を浮かべているが、こういったところは原作の唯我そっくりだな。まあ小南は自信を裏付ける実力を持ってるけど。
「感謝します。太刀川さんが相手だと俺がレポートの相談を受ける立場ですから」
太刀川の奴、俺や出水にもレポートを頼んでくるが、表向き俺は中3だぞ。
「太刀川は剣以外はダメダメだから仕方ないわよ。そういうときは忍田さんか風間さんにチクリなさい」
「わかりました」
というかもう既に出水と一緒にチクってるがな。
「じゃあまたね!」
小南はそう言って去って行く。見えなくなるまで頭を下げた俺は小南と連絡先を交換した嬉しさを感じているが、それ以上に……
(ちょ、チョロ過ぎだろ……)
予想以上のチョロさに驚きを感じていた。アイツ将来絶対に詐欺に遭ったり、連帯保証人になりそうで怖くて仕方ない。
ま、まあ予想よりも早く接点、それも好印象を持てたし良しとしよう。
そう思いながら俺は帰路につき、自宅のベッドでゆっくりと休むのだった。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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