唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
「ふぁ〜」
「お前凄え欠伸だな。医務室で寝たんじゃないのか?」
警戒区域にあるアパートの屋上にて、欠伸をすると出水が話しかけてくる。
昨日玲とデートした俺だが、今は防衛任務で警戒区域にいるが凄く眠い。トリオン兵が殆ど来てないので眠くて仕方ない。
「アレは睡眠じゃなくて気絶ですから。どっかの誰かさんが炒飯地獄に道連れにした所為で」
普通部下を地獄に誘うか?ウチの隊長、本当に戦闘以外はダメ人間だ。
「全くだ。堤の奴、俺の部下を巻き添えにするなんて酷い奴だ」
巻き添えにした太刀川はあたかも堤が悪いように言うが……
「さて、風間さんにあることないことを吹き込むとするか……」
「待て待て待て!」
風間に電話しようとしたが、太刀川に携帯を取り上げられる。ちっ、風間の太刀川に対するジャーマンスープレックスが見れると思ったんだがな。
『はいはい。痴話喧嘩はそこまで〜。時に唯我君に聞きたいことがあるんだけど、良いかね?』
と、ここで国近から通信が入る。俺個人に聞きたいことがあるってことは防衛任務関係だろう。
「何ですか?」
『丁度今オペレーターグループのLINEで那須隊の小夜ちゃんから『那須先輩が唯我君を名前呼びしてる』って報告があったんだけど、これについての説明宜しく〜』
「ぶほっ!」
予想外の質問に思わず吹き出してしまう。一方、太刀川と出水は目をキランと輝かせて詰め寄ってくる。
「おいおい唯我。お前も中々やるなぁ」
「もしかして那須ちゃんと付き合ってんのか?」
「い、いえ。別に玲さんとは付き合っないで「「『玲さん?』」」……何でそこでハモるんですか…….」
名前呼びをしてしまい、2人は更に詰め寄ってくる。
「お互いに名前呼びになるなんて良いことでもあったのか?」
「那須ちゃんにはファンが多いし月のない夜道には気をつけないとな」
出水が物騒な事を言ってくるが、嫉妬を向けられても流石に闇討ちはないだろう。いや、大丈夫だよな?
「「『で、なにがあった?』」」
3人が聞いてくるので、俺は黙秘権を行使する選択肢を選ぶのだった。
「ったく……幾ら防衛隊員でも恋バナに興味あるあたり学生だよな」
防衛任務を終わった俺は報告書を作成してから作戦室を後にする。結局玲との関係について白状することはなかったが、3人はあの手この手で聞き出そうとしてきて、流すのにメチャクチャ苦労した。
今日は帯島とのトレーニングもないし、個人ランク戦でもやりに行くか。
そう思っていると前方から小南が歩いてきているが、怒りを丸出しにしている。
「お疲れ様です小南先輩。機嫌が悪そうですがどうしましたか?」
話しかけると小南も俺に意識を向ける。
「あっ、唯我?聞いてよ!あたし詐欺に遭ったの!」
怒り声だ。どうやらまた烏丸に騙されたのだろうと思ったが、詐欺って言った時点で烏丸じゃないな。もしも烏丸に騙されたから「またとりまるに騙された!」って言ってるだろう。
「何があったんですか?」
しかし詐欺と言ってる時点で穏やかな話じゃないな。とりあえず事情を聞いてみよう。
「2週間くらい前に、食べると胸が大きくなるって飴を沢山買ったんだけど、全然大きくならないからネットで調べたら全くの嘘っぱちらしかったのよ!酷いと思わない?!」
あー、原作でもそんな嘘があったな。確かに詐欺行為は酷いとは思うが、そんな嘘に騙されるお前もどうかと思うぞ?つか買う前にネットで調べろや。
しかし馬鹿正直に言ったら嫌われそうだから、小南を立てよう。
「そうですか。ちなみに何ですが、何故胸を大きくしたがるんですか?確かに男は一般的に大きい胸を好みますが、女性も大きな胸を持つ事でメリットがあるのでしょうか?俺は男なんでそこのところよくわからないんですが」
前世で胸が大きい同僚がいたが、「肩がこるし、下卑た視線を向けられる」と嫌悪していた。
「え?まあ色々あるけど、一番の理由としてはスタイルが良くなれば大人っぽく見られるからね。男子も格好良く見せたいから筋トレする人とかいるでしょ」
俺の質問に考える素振りを見せながらそう答える。
「そうでしたか……確かにスタイルの良さは大人らしさを出すかもしれないです。しかし小南先輩は旧ボーダーの頃から戦って人生経験が豊富ですし、見る人が見れば大人らしいんじゃないですか?」
実際原作を見ても、玉狛支部で過ごす時は1番子供っぽいが、戦闘シーンでは年齢以上の雰囲気を醸し出しているからな。
「え?そ、そう?」
俺の言葉に小南は若干戸惑いの表情に変わる。このまま攻める。
「俺はまだ小南先輩と知り合ったばかりですから何とも言えないですが。まあ何にせよ余り気にする必要はないと思いますよ」
「何で?」
「小南先輩が自身のスタイルを良くないと思ってようが、小南先輩の一番の魅力は純粋さですから。逆に見た目やスタイルが良くても性格がブスな女に価値はありません」
もちろん俺も可愛い女子と付き合いたいが、性格がブスなら絶対に付き合うつもりはない。そんな女と付き合っても向こうは俺をATM扱いするのがオチだ。
「ふ、ふ〜ん。アンタ意外と言うわね」
興味がないように振舞っているが、口元は緩んでいる。多分一番の魅力は純粋さと言って嬉しく思ったのだろう。
「色々なパーティーに行くと、俺に対して欲望丸出しな表情で話してくる女性は多いですから」
何度か家がらみで社交界に出入りしたが、大半は唯我の家からおこぼれを貰おうとする連中ばかりだし。転生してから、家の用事に参加することはそこそこあるがハッキリ言って面倒だ。
「もし大人らしさを出したいなら、香水とか化粧に拘るのはどうでしょうか?または運動して引き締まった身体を作るとかは?」
「う〜ん。あたしの学校は化粧とか香水には煩いから、やるとしたら運動ね」
そういや小南の学校はお嬢様学校だし、そういう事には厳しいだろう。つか小南って猫を被ってるようだが、被れているのか?
「ま、色々考えてみるわ。愚痴を聞いてくれてありがと」
「いえ。それと時間がありましたら。是非手合わせしてくれませんか。ボーダー最強の実力を直に体感したいので」
ここは敢えてボーダー最強という。太刀川と良い勝負なんて言ったら、あたしの方が強いって怒りそうだし。
「ふふん!良いわよ!あたしの力、とくと見せてあげるわ!」
案の定、小南はご機嫌になって俺の頼みを承諾してくれる。やはりこの子、チョロ過ぎるぞ。
「ありがとうございます。では行きましょうか」
そう言ってから小南と一緒にエレベーターに乗る。
「ところで小南先輩は防衛任務上がりですか?」
「違うわ。給料の受け取りと、さっき言った飴を瑠衣ちゃんにあげたの」
なるほどな。そして諏訪隊オペレーターの小佐野は胸が大きくなるんだよなぁ。
そうなったら小南は機嫌を悪くしそうだし、ここで攻めるか。
「なるほど。しかし仮に小南先輩の胸が大きくなり、スタイルが良くなったら近寄り難くなったかもしれないですね」
「?何で?」
「いやだって、ただでさえ可愛くて強くて純粋で美しくて明るい小南先輩がスタイル抜群なったら、完璧過ぎじゃないですか」
「ふぇっ?!い、いきなり褒めるんじゃないわよ!」
小南は真っ赤になって俺をポカポカ叩いてくるが、痛みは全くない。
「褒めるというか……単純にそう思っただけです」
「もう……馬鹿」
小南は文句を言っているが、口元はゆるゆるでご機嫌丸出しだ。やっぱコイツチョロ過ぎだろ。
というか仮に俺が小南と付き合えても、このチョロさから考えるにその辺の男に騙されそうなのが怖い……
そんな事を考えながらもランク戦ブースに到着したので、個室に入る。
そしてモニターを見ると、俺が入った部屋の隣の部屋から対戦申請が入る。
弧月で15745……太刀川より低いが、小南は玉狛支部所属で余り対戦してないので太刀川より劣っているとは思えない。
『勝負形式はどうする?』
「10本勝負でお願いします」
『オッケー』
小南から了承を貰うと、俺はランク戦のブースから仮想空間へと転送される。目の前には小南がいる。隊服は原作でも見た隊服だが、手に持ってるのは手斧ではなく、短めの弧月を二本持っている。
(とりあえず目標は1本取る)
厳しいと思うがやるしかない。小南は弱い奴が嫌いと原作で言っていたが、遊真が1回勝ってからか可愛がるようになっていたし、実力を示せばもっと近付ける。
勝算については全くない訳じゃない。戦闘記録は何度も見直したし、太刀川を相手にしたら10本中1本、運が良ければ2本取れる時もあるから1本取る為に必要な力はある。
そう思いながらレイガストを展開してシールドモードに変える中……
『対戦ステージ市街地A、個人ランク戦10本勝負、開始』
戦端が開かれた。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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4人
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5人
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6人
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7人
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10人以上