唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
「じゃああたしはそろそろ帰るわ。今日の夜ごはんの担当あたしだし」
医務室にて小南はそう言ってくる。名残惜しいが、食い止めるわけにはいかない。
「今日はありがとうございました。また機会があれば揉んでください」
「次戦う時にはもっと強くなっておきなさいよ!あたしはその更に上にいるからね!」
小南はピシッと指を突きつけてから医務室を後にする。仕草が一々可愛いし、さっきまでの言動からしてやっぱりチョロいな……マジで将来詐欺に遭ってしまいそうで怖い。
何にせよ実力を評価され、名前呼びされるようになったし良しとしよう。後もう少し交流を深めたら日頃のお礼という形で出掛けないかと誘ってみよう。
そう思いながらも俺は息を吐く。一応頭痛はしなくなったが疲れが取れた訳じゃないのでもう少し休みたいのが本音だ。
俺は小南が持ってきてくれた自分の鞄からタブレットを取り出して、先程の試合を見るが、やはり差を感じる。
技術もそうだが、トリガーの性能に差はないのに攻撃する際の圧力に差がある。この圧力は長年の経験によって得られるものであると思うが、向こうの世界で戦った事も含まれているだろう。
そうなると遠征に行けない俺は他のやり方をしないといけないが……まあ今無理に考える必要はないな。
(とはいえ反省点を洗い出さないといけないし、集中して記録を見直さないとな)
それから俺は腹が減るまで医務室で記録を見直し、帰りがてら美味いラーメンを食べて帰路に着いた。
翌日……
「ふぁ〜、よく寝た」
俺はベッドから起きて伸びをしながら時計を見る。時刻は7時半で今から着替えて飯を食えば8時には家を出れる。
学校まで20分ちょいだから、余裕で間に合うだろう。
俺は手早く支度を済ませて家を出て、走りながら学校に向かう。
BBFで唯我尊の身体能力はワースト5に入る酷さだ。これは余りに酷過ぎるのでトップ10は無理だろうが、上位30パーセント圏内に入れるくらいまで鍛えるつもりだ。
まあ転生した直後は少し走っただけでバテたが、今はそこまで疲れないので今の唯我尊をBBFの身体能力グラフに乗せたら下の上くらいはあるだろう。
そんな風に体力向上を目指して走って学校に到着して自分の席に座ってる。こうやってもう一度学生生活を送っているが、この学校にはボーダー隊員がいないので退屈だ。
今は中3で来年高校に上がるが、BBFによれば唯我は高校に上がる際にお坊ちゃま校に入っている。俺としては真っ平ゴメンだし何とか親を説得して三門市立第一高等学校に入れるようにしたいものだ。
出水や国近と同じ学校なら色々融通が利くし、他のボーダー隊員ともコネクションを作りたいからな。
俺は今後の未来について考えながらHRが始まるのを待ち始めた。
数時間後……
「ふぅ、終わった終わった」
退屈な授業が終わって、俺は席を立ち教室を出る。大学の専門授業ならまだしも、中学生や高校生の授業内容は大半が簡単過ぎるのでクソ退屈だ。
救いがあったのは歴史の授業が楽しかった事だろう。流石に暗記モノについては忘れていて、新鮮な内容だったし。
学校を出て基地に向かっていると電話が鳴る。携帯を取り出すと、国近からだった。
「もしもし?」
『唯我く〜ん。今日期末試験の範囲が発表されたからお助け〜』
電話越しに国近の情けないヘルプ要請が入ってくる。前回の中間試験の際に試験勉強のアドバイスをした結果、赤点を回避出来たからだろう。
正直言って怠いのは否定しないが、チームメイトである事に加えて貸しを作れる可能性があるので拒否するつもりはない。
「わかりました。とはいえ今日は帯島との訓練があるので、今日中に試験範囲をコピーしたものと前回の中間試験の問題用紙を作戦室に置いといてください。2日以内に模擬試験を作ります」
前回も模擬試験を作ったら、似た問題が多く出たと褒められたしまた作るだけだ。国近の頭で上位入りは無理だが、赤点回避はそこまで難しくない。
『ありがと〜。なんかお礼したいけど、何が良いかね?』
オペレーターの紹介をお願いします
って言いたいが、それ言ったらドン引きされそうだからな。極力女好きである事は表に出さないようにしないといけない。
「そうですね……では夏休みに三門市で面白い場所を案内してくれませんか?」
さりげなくデートの誘いをしてみる。
『ん?私は1年前に三門市に来たから、ずっと三門市に住んでる唯我君の方が詳しいんじゃない?』
そうだ。国近は確か県外スカウトで来たんだった。これは怪しまれないように返事をしないといけない。
「あ、いえ。確かに三門市に住んでましたが、ボーダーに入隊する前は学校や家繋がりのパーティー以外殆ど出かけてなかったので」
こういう時に家を出せば疑われないだろう。
『なるほどね〜。良いよ〜、お姉さんが楽しい場所を案内しようじゃないか』
と言っても十中八九ゲーセンやゲーム屋だろうけどな。普通に想像出来る。まあそれでも構わない。折角学生に戻ったんだし、学生生活を満喫するべきだ。
そう思いながら俺は早足で基地に向かい、トリガーを使って基地の中に入りエレベーターに乗って弓場隊の作戦室がある階まで上る。
そして作戦室前に着いたのでインターフォンを押すと直ぐにドアが開く。
「失礼します」
「おう、来たな」
作戦室に入ると最初に弓場が話しかけてくるが、その後ろには帯島以外のメンバーもいた。
「お疲れ様です。今日は全員いるのですね」
「さっきまで防衛任務だったんだが、この際だし顔合わせをしようと思ってな」
弓場がそう言うと最初に話しかけてきたのはオペレーター服を着た巨乳の女性……藤丸ののだった。
「オペレーターの藤丸ののだ!昨日の小南との試合を見たぜ!お坊ちゃんかと思ったけど根性あんじゃねーか!」
「よ、宜しくお願いします」
そう言って背中をバシバシ叩いてくるので若干気圧されながら返事をする。今日初めて話したし、原作ではまだ登場してなかったが、姉御キャラだったのか……あの作者、本当に色々なキャラを作っているな。
「俺は神田忠臣。帯島の面倒を見てくれてありがとな」
そう言って手を出してくる男については、BBFには載ってなかったので全く知らないが雰囲気を見る限り優しそうな人だ。原作では対人トラブルとかではなく受験とか家の都合で辞めたのだろう。
「唯我尊です。宜しくお願いします」
とはいえ出された手をスルーするわけにはいかないので、握手をする。しっかり握ってから手を離すと、最後の1人が前に出る。
「俺は外岡一斗、唯我とは同じ年だけどよろしくね」
何というかのんびりした雰囲気の男だ。特徴的な隊員が多いボーダーでは珍しい。まあこういう人間は話しやすそうだし、こちらとしてもありがたい。
「こちらこそ宜しく」
そう言って挨拶をしてから弓場を見る。
「んじゃ挨拶も終わったし、今日もよろしくな」
「よろしくお願いします!」
帯島の礼に応えようとした時だった。
pipipi……
携帯が鳴る。それだけなら別におかしいことじゃないが、複数の電子音が鳴る。その数は6、つまり部屋にいる全員の携帯が鳴った事を意味する。
偶然とは思えないので、十中八九ボーダーからの通知だろう。
俺達は軽く目配せしてから携帯を開く。
そこには……
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
-
4人
-
5人
-
6人
-
7人
-
10人以上