唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第41話

「ではそろそろ始めましょう。最初に国近先輩にはこれをやって貰います」

 

言いながら俺は数学、物理、化学、英語、古典のプリントを渡す。

 

「今回の期末の範囲における基礎だけ載せた問題です。1枚あたりの制限時間は10分で、今からやってください」

 

これで国近の期末試験における理解度を調べ、理解度が低い科目を重視していく。8割以上取れるならその科目については必要最低限だけで問題ない。

 

「世界史とか日本史とかはないの?」

 

「それらは問題が多くなりそうなんで今回は作ってないです。後で、どの辺りを覚えるべきか教えます」

 

「ほ〜い」

 

「じゃあ始めてください」

 

言いながらタイマーをセットすると国近は教わる立場だからか文句を言わずに始める。

 

俺は待つだけだが、ソシャゲとかやっていたら国近の気が逸れてしまうから太刀川から頼まれたレポートの作成をするか。

 

俺はパソコンを開き、起動してから先ほど太刀川から預かったUSBメモリをセットして、実験データとWordを開き入力を始める。

 

幸い太刀川はまだ大学1年生だからレポートの難易度もそこまで高くない。高校の範囲の復習も兼ねている部分もそれなりにあるし、この程度なら2週間どころか3日で終わるな。

 

俺はそこそこ速く、それでありながら太刀川の馬鹿っぽさを頑張って表現しながらレポートを書き進める。

 

暫くするとアラームが鳴るので保存して、パソコンをテーブルから下ろす。視界の先ではグロッキーになった国近がいる。テーブルに身体を倒しているため、胸がぐにゅりと形を変えていてエロい。

 

「疲れた……放課後に勉強なんて辛いよ〜」

 

「学生なんですから諦めてください。ていうかスカウト受けた際に中卒で働けば良かったじゃないですか?」

 

「本部長に最低でも高卒の肩書きは持てって却下されちゃった」

 

「そうでしたか。とりあえず採点するんで休んでください」

 

「その間、ソシャゲの体力消費して良い?」

 

「……採点が終わってから切り替えてくれるなら構いません」

 

ここで却下したら国近のモチベーションが下がりそうだからな。

 

「ありがと〜、荒船君や今ちゃんだとドス黒いオーラを出すんだよね〜」

 

いや、俺はあくまで後輩だから却下しないだけで、同い年なら荒船や今と同じ態度を取ると思うぞ。

 

そう思いながら割とゆったりとしたペースで国近の答えをチェックして○✖︎を付けていく。

 

そして5分くらいかけて採点を済ませると、同じタイミングで国近はスマホを置く。

 

「それでどうだったかね?」

 

そんな風に聞いてくるが……

 

「全科目5割弱ですね。赤点完全回避には足りないので、基礎科目を集中してやりましょう」

 

「ほ〜い」

 

国近は残念そうに呟くが、中間前に似た問題をやらせた時は全科目3割以下で殴りたくなった事を考えると、少しは勉強したようだ。これなら中間の時よりは多少楽だろうな。

 

「んじゃ失礼します」

 

言いながら俺は国近の横に座る。自分から座りに行ったが問題はない。中間試験の時に向かい合って教えていたら、文字が読みにくいから横に行って良いかと聞いたらOKを貰ったし。

 

「じゃあ先ずは特に苦手としている数学の証明問題から始めましょうか」

 

「宜しくお願いしま〜す」

 

国近はのほほんとした声で返事をしながら俺に寄ってくる。その際に女子特有の香りにドキリとしながらも表情に出さないように努力しながら、説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は休憩を挟みながらも1時間半近く、国近に勉強を教えた。

 

国近は勉強嫌いではあるが、夏休みに補習によりゲーム生活を侵害されたくないのか真面目に取り組んでくれている。

 

ぶーぶー文句を言われたらやり辛いが、真面目にやってくれるならばこちらとしてもありがたい。

 

とはいえ元々勉強を嫌う人に長時間の勉強はキツイだろうし、一旦休むか。

 

「そろそろ休憩にしましょうか」

 

「やった〜。じゃあご飯作るから唯我君は座ってて」

 

「良ければ手伝いますよ」

 

「唯我君も疲れてるでしょ?」

 

「いや全然大丈夫です」

 

何せ前世ではサービス残業を月に100時間以上やっていたからな。高校生に勉強を教えたり、大学生のレポートをやる事なんて全く苦痛とは思わない。

 

「気持ちだけ受け取っておくよ。それに鍋だから手間かからないし」

 

余りしつこいと嫌われるし、引くべきだな。

 

「ではお言葉に甘えて」

 

「ほ〜い……っ!」

 

国近はのんびりした返事をして立ち上がろうとするが、いきなり俺の方へ倒れ込んでくる。

 

予想外の展開に俺は国近を受け止めることができず、そのまま倒れ込んでしまう。

 

上半身を起こすと、国近が俺の腹の上に顔を乗せている。

 

「どうしたんですか?」

 

「ッ……ごめん。同じ体勢で座ってたからか足が痺れて……しかも攣ったみたい」

 

あー、アレか。勉強机なら椅子があるが、床に長時間座ったら足が痺れるな。

 

加えて攣ったなら今みたいに倒れてもおかしくない。

 

「立てますか?」

 

「ちょっと無理、かな……」

 

「わかりました。ではゆっくり寝てください」

 

言いながら俺は国近を床に横たわらせる。

 

「攣ったのはどっちですか?」

 

「右足」

 

「では深呼吸をしながら右足を掴み、ゆっくり身体の方に引っ張ってください。辛いなら俺がやりますが」

 

「じゃあお願いして良い?」

 

「もちろんです」

 

了承した俺は心に蓋をする。でないと国近の足に触れて煩悩が生まれるかもしれない。

 

理性をキープする準備をしてから国近の右足を優しく掴みゆっくりと身体の方へ持って行く。その際に国近は痛そうにピクンと跳ねるので、更に力を弱める。

 

それを暫く続けていると国近が肩を叩いてきたので、足から手を離す。

 

「大丈夫ですか?」

 

「うん。勉強を見て貰ってるのに更に迷惑をかけてごめんね」

 

そんな風に謝ってくる。珍しくのほほんとした雰囲気は無く、シュンとしている。

 

「気にしないでください。俺だって国近先輩にいつも迷惑をかけてますから」

 

「?特に迷惑をかけられてないよ?」

 

「いえ。いつも訓練の際に付き合って貰ってるじゃないですか」

 

作戦室で太刀川や出水と模擬戦する時や新しいトリガーの組み合わせを試す時は毎回国近に手伝って貰っている。時には2時間近く付き合って貰った事もあるので迷惑をかけているだろう。

 

「別に私が勝手にやってることだから気にしなくて良いのに」

 

「そうですか。では俺は勝手に国近先輩を助けてるだけですから、先輩も気にしないでください。先輩に落ち込んでる顔は似合いません」

 

そう言ってポンポン国近の頭を叩くが、前世で大量のサービス残業に苦しんでいる後輩を慰める時の癖が出てしまった。

 

これは嫌われるかと思ったが、国近は頬を膨らませながらジト目で見てきてはいるものの、軽蔑や怒りより恥ずかしさが見て取れる。

 

「む〜。何か唯我君って時々凄く大人っぽくなるよね〜」

 

そりゃ見た目は中3だが、実年齢は30手前だからな。実際は国近よりも10年近く長く生きてる。

 

「そうですかね?しかし歳上の女性に大人っぽく思われるのは悪くない気分です。ともあれ暫く足は休ませておきましょう。夕食は少し遅くても大丈夫です」

 

俺の言葉に譲る気がないとわかったのか国近はため息を吐く。

 

「は〜い、けど唯我君」

 

「何ですか?」

 

「歳上のおねーさんの頭を子供っぽく撫でて子供扱いするのはやめたまえよ。私はおねーさんなんだからね?」

 

ジト目を向けながら俺の頬をプニプニしてくるが、その仕草は子供っぽいからな?

 

そう思いながらも俺は国近の足の痺れが取れるまで、国近に頬をプニプニされまくったが、これはこれでありだろう。

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