唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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なんか今日は妙にスラスラ書け、ストックも溜まった……いつもこんな調子なら良いのに……


第42話

(ああ……良いものだ)

 

俺は内心にて強く頷く。視線の先にいるのはエプロンを着けてキッチンにいる国近。

 

エプロンを着た女子が作る料理を待つ事がこんなに良いものとは思わなかった。青いエプロンがヒラヒラしているのを見るとグッとくるものがある。

 

そう思っていると国近は鍋つかみを用意し始めたので、俺も立ち上がり、箸と茶碗としゃもじを持って炊飯器に向かう。

 

そして米をよそってから箸と一緒にテーブルに置くと、同じタイミングで国近は鍋をカセットコンロの上に乗せて、火をつける。

 

そしてエプロンを脱いで俺の向かい側に座るが、ただエプロンを脱いでるだけなのに妙に色気を感じる。

 

内心ドキドキしながらもテーブルを注視すると鍋の中にある出汁はグツグツと泡立ち始め、美味そうな香りを漂わせる。暫くすると肉の赤も消えてきた。

 

「いただきま〜す」

 

「いただきます」

 

互いに挨拶をしてからお玉で具をよそって皿に乗せて食べ始める。鶏ガラの味がしっかりと食材に伝わっていてかなり美味い。

 

「美味しいですね。鍋は得意なんですか?」

 

「家族が鍋好きだからね〜。私もしょっちゅう調理を手伝ってたし得意ではあるかな。唯我君は鍋は初めてかね?」

 

「初めてではないですが、余り食べてないですね」

 

前世でした食事の大半は安上がりの食材の詰め合わせ弁当だった。鍋なんて準備や片付けに時間がかかるし、外で食うと金が飛ぶから会社に入ってからは食べた記憶がない。

 

「ところで唯我君。食後に時間があるならもう少し勉強に付き合ってくれないかね?」

 

俺がつくねを食べていると国近がそんな事を聞いてくる。

 

「もちろん良いですが、国近先輩から提案するなんて意外ですね」

 

前回の中間試験前には国近の成績が今回よりも遥かに悪かったので、半ば強引に勉強時間を増やしたが、自分から提案するとは思わなかった。

 

「まあね〜、けど折角付き合って貰ってるんだし、やる気を出さないと思ったからね」

 

「そうでしたか。まあ俺はいくらでも付き合いますから」

 

「ありがと〜」

 

言いながら国近は頭をポンポン叩いて子供扱いしてくる。クスクス優しく笑っているがさっき子供扱いした仕返しのつもりか?

 

だとしたら無意味だ。表向きは真面目を装っているが本日は女好きの俺からしたらご褒美でしかない。寧ろスキンシップされてる事から以前よりも仲良くなっているように思えるくらいである。

 

とはいえもっと子供扱いされたいので、わざと嫌がるふりをする。

 

「国近先輩、子供扱いしないでください」

 

「おねーさんを子供扱いした唯我君に言われたくないなぁ〜、ほれほれ」

 

案の定国近は楽しそうに笑いながら頭をポンポンしてから、指で俺の額をツンツン突いてくる。予想通り更に子供扱いしてくるが最高すぎるわ。

 

俺は幸せ気分全開で食事を進めるが、先ほどよりも数段味が良くなったような気がする。

 

それから20分くらい食事を続けて、鍋が空になったので立ち上がり、食器などを流しに運ぶ。

 

そして洗おうとするが、国近が後ろからくっついてきて俺の手を掴む。

 

「お客さんにそんな負担をかけさせるわけにはいかないから、唯我君は食後の紅茶を待っていたまえ」

 

「わかりました。ではお言葉に甘えて」

 

国近は結構頑固なところもあるしここは大人しく引き下がった方がいいだろうな。

 

俺はテーブルに戻り、先程国近がやったプリントを整理する。国近がわざわざやる気になったのだから、俺もそれに応えて全力で接しないといけない。

 

暫く整理を続けて、次に何をやるかを考えていると国近がテーブルに戻り、目の前に紅茶の入ったカップを渡してくる。

 

「出来たよ〜。日頃高級な紅茶を飲んでそうな唯我君の口に合うかわからないけど」

 

そう言われるが前世では会社のウォータークーラーの水を1番利用していたので安い紅茶でも全く問題ない。というか紅茶なんて淹れる人の腕次第だからな。

 

「いただきます」

 

一口飲んでみるが、普通に美味いので何の問題もない。しかし甘さが足りないので砂糖を入れようと、砂糖入りカップに手を伸ばすが同じタイミングで国近も手を出して互いの手が重なり合う。

 

「あっ、すみません」

 

「大丈夫だよ〜。それにしても今の、少女漫画にありそうだよね〜」

 

国近は笑いながら手を振ってくるが、特に恥ずかしそうにしないのでこっちも平常心のままだ。

 

「国近先輩って少女漫画読むんですか?」

 

「む〜、その言い方だと私が女の子っぽくないって聞こえるよ?」

 

「いや、さっきの部屋や普段の作戦室を見る限り「何か言ったかね?」なんでもありません。国近先輩は可愛い女の子です」

 

国近の圧のある笑顔に屈してしまう。確かに天然なところは女子っぽいが、生活態度については間違いなく男寄りだろう。作戦室の掃除をいつもやってる俺がそう思うから間違ってはないだろうが、これ以上言うのは危険だ。

 

「そう?ありがと〜」

 

国近は圧を消して普通の笑みを浮かべるが、あのまま男っぽいと言ったらどうなっていたのやら……

 

内心ヒヤヒヤしながらも紅茶を飲むのだった。

 

 

 

 

 

2時間後……

 

「さて、そろそろ夜遅いですし、これまでにしましょう」

 

9時を回ったあたりでキリが良くなったのでそう告げる。国近から疲れが見えてるし、これ以上長居したら迷惑になるだろう。

 

「ん〜、疲れた〜」

 

国近はそう言って伸びをするが、それによって高2にしてはかなりデカい胸が揺れて、目を奪われてしまいそうになる。

 

しかし女子はそう言った眼差しに敏感なので気持ちを表に出さず、一切気にしてないように振舞いながら話しかける。

 

「思ったよりも中間の時の内容を覚えていましたね。これなら中間の時よりゆったりしたペースでも間に合うでしょう」

 

「本当?この調子なら赤点は回避出来る?」

 

国近が伸びをやめて俺に質問してくるが、目には純粋な疑問の色しか宿ってないので多分バレてないな。

 

「余程サボらないなら大丈夫でしょう。今日はもう休んでもいいですが、明日以降は授業中に寝ないようにしてくださいね?」

 

テスト前の授業はテストの対策をすることもあるし、寝るなんて言語道断だから釘を刺しておく。

 

「ほ〜い。今日はありがとね」

 

「どういたしまして。ではお休みなさい」

 

「お休み〜」

 

最後に挨拶をしてから部屋を出る。夏だが既に夜なのでそこまで熱くないのが幸いである。

 

とりあえず今日は帰ったら部屋で出来る筋トレをしてから風呂に入ろう。原作開始まで後1年以上あるが、努力はしてもし足りない。

 

強くなる一番の理由はモテたいからだがこの世界に入った以上、アフトクラトルによる被害を抑えたい。

 

原作ではイルガーの爆撃で20人近くの死者が出て、第二次大規模侵攻ではC級が40人近く拉致され、ボーダー職員が数人死ぬ結末だった。

 

この被害を全て無くすのは厳しいかもしれないが、原作知識を持っている以上少しでも減らしたいのが本音だ。

 

ま、大規模侵攻についてはイレギュラーゲートが出る前後に迅に相談するが、知識を持つ俺が弱いんじゃ話にならない。

 

よって時間がある限りあらゆる方向で実力をつける必要がある。

 

そう思いながら夜の街を走っていると、曲がり角から人が出てきたので慌てて急ブレーキをかける。

 

「すみません……って、玲さん」

 

曲がり角から出てきたのはまさかの玲だった。危ねぇ、もしもぶつかっていたら身体の弱い玲は大怪我をしてた可能性がある。

 

「あっ……尊君」

 

向こうも俺に気付いたようで驚きの表情を浮かべるが……

 

 

 

(ど、どうしたんだ?)

 

玲は何故か俺と認識した瞬間に、元気がなく不安そうな表情に変わって俺を見てくる。

 

 

え?なんか嫌われるような事をしてしまったのか?

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