唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第45話

「じゃあまずは実際に出してみるぞ」

 

弓場がそう言いながらウィンドウを操作すると俺と帯島の両手にあったハンドガンとアサルトライフルが消えて、代わりにリボルバー拳銃が現れる。重さはさっきのハンドガンより若干軽い程度だ。

 

「帯島は知ってるだろうが、俺が使う銃は射程と弾数を切り詰めてる。普通のハンドガンの射程は30〜35メートルくらいでアサルトライフルの射程は40〜50メートルなのに対して俺の使う銃は22メートルと短い」

 

「射程が短いのは記録で知ってますが、弾数って何ですか?」

 

基本的に銃トリガーは引き金を引き続けていれば弾丸はずっと放たれている。

 

「簡単な話だ。俺の銃はリロードする時間が設けられる」

 

なるほどな。リボルバー拳銃だから6発撃ったら弾切れ扱いされるようだ。

 

「ちなみにリロードのシステムはどんな感じなんですか?6発撃ったらリロードされるのはわかりますが、弾切れにならないとリロード出来ないんですか?それとも1発でも撃ったら自動的にリロードされるんですか?」

 

「後者だな。とはいえ撃ってる最中はリロード出来なくて、撃った数によってリロード時間は違う。6発撃ったらリロード時間は数秒だな」

 

そこらの雑魚ならともかく、強者が相手ならその数秒がウィークポイントとなりそうだ。

 

「メリットは威力と弾速だ。流石に二宮さんや出水が相手ならともかく、大抵の相手は集中シールドを使わないと防げない威力に設定してる」

 

それは知ってる。集中シールドを使わないと碌にガード出来ないのは記録で見た。また集中シールドを使おうとして弓場の動きと弾速が速すぎるので上手くガード出来ない隊員もかなりいる。

 

「ま、百聞は一見にしかずだ。とりあえず撃ってみろ」

 

弓場にそう言われたので右手で銃を持ち、人差し指を引き金にかけて引いてみる。

 

ドドドドドドッ

 

瞬間、銃から6発の弾丸が放たれて、的を粉々にする。改めて見ると凄い威力だ。これならトリオンが高くない俺でも、レイガストの投擲以外に点を取る手段として使えるだろう。

 

「こんな感じだ。俺は攻撃手との戦いに備えて編み出したが、カウンター重視のお前とも相性が良いだろうし、訓練も比較的苦労しないだろう」

 

「?何でですか?強い銃手になるには夥しいほどの反復練習が必要ですから苦労すると思いますが」

 

銃手は反復練習を重ねて、反射的に撃てるようにする事が重要なので苦労すると思うのが俺の感想だ。

 

「理由は2つある。銃手ってのは止まった状態のみならず、走りながらも撃つ必要がある。それはわかるな?」

 

「そうですね」

 

相手が射程に出たら距離を詰める必要があるし、攻撃手が寄ろうとしてきたら逃げながら牽制射撃をする必要もあるからな。

 

「けど唯我の場合、どっしり構えて相手の隙を見つけたら射撃するスタイルになるだろうから、他の銃手と比べて走りながらの射撃をする重要性は高くない」

 

なるほど。確かにレイガストを持つ俺はスピードタイプじゃないから距離を詰めて射撃をするのは厳しいし、攻撃手が寄ってきたら牽制射撃よりレイガストによる防御の方が有効だろう。

 

ついでに言うとチームで連携をするなら、距離を詰めて援護射撃をするより出水のガードに回る方が機能するし、走りながらの射撃を習うよりガードしながらの射撃を身につけるべきだ。

 

「第2の理由は簡単だ。常日頃から太刀川さんを相手に防御の反復練習をしているお前なら、根気があるから成果が出なくても腐らないと思ったからだ」

 

まあ俺は太刀川に何百何千とぶった斬られても腐らずに鍛錬をしているから根気があると思われてもおかしくない。

 

最も腐らずに鍛錬している理由については最低な理由であるがな。モテたいからって理由は客観的に見て酷い理由であるのは間違いない。

 

「とりあえず今日は銃を撃つ際の基本的な構えとかを教える。ま、俺が教えられるのは基礎だけだ。結局実力を上げるには指導より鍛錬が重要だからな」

 

それは否定しない。良い指導員がいようと、生徒が鍛錬を怠ると伸びないだろう。

 

「じゃあまずは両手で構えてみろ。帯島も今後に備えてやってみな」

 

「ッス!」

 

帯島は頷いてから両手で銃を持ち構えを取るので、俺も同じように構えを取る。

 

「唯我は脚を広げ過ぎだ。銃手は仲間との一斉射撃をする時以外、動きを止めることは少ないから直ぐに動きやすい構えを意識しろ。それじゃ移動の際の初速が落ちる」

 

「わかりました」

 

「帯島はもう少し銃を下げろ。頭狙いってバレバレだ」

 

「ッス!」

 

「重要なのは直ぐに動ける体勢、どこを狙っているか判断させない事だ。それを踏まえた上で自分にとって理想な構えを見つけろ。それが全ての基礎となるからな」

 

それは間違ってない。俺もレイガストで防御する時はどのような体勢が次に繋げやすいか考えてるが、銃を使う場合も同じなのだろうな。

 

暫く色々な構えを取り、構えを見つける。身体を若干屈めて、腕を少し曲げながら銃を的に向ける。

 

「構えが決まったら実際に撃ってみろ。撃ちにくいと判断したら迷わずに違う構えを探せ」

 

そう言われたので引き金を6度引き、的を粉砕する。流石に10メートル先にある巨大な的に当てることは出来る。

 

「撃ちやすいんで、基本的な構えはこれでいきます」

 

「よォし。これで初歩の説明は終了だ。次の段階についてはおめェーが動かずに止まってる的を外さないようになってからだ」

 

つまり次の段階までは俺自身の反復練習が重要ってわけだな。

 

「了解しました。ちなみに訓練の流れでおススメはありますか?」

 

「先ずは今やった銃を両手で持って10メートル先の的に撃つ訓練だ。的についてはどんどん小さくして、最終的に……そうだな、直径30センチの的に対して全弾命中出来るようになれ」

 

「それが出来たら、次は片手で撃つんですか?」

 

「もしくは的との距離を広げるかだな。まあ次の段階に行く条件として、動かない状態による片手射撃で20メートル先にある直径30センチの的に全弾命中出来るようにすることだ」

 

「わかりました。出来たら次の段階でもご教授お願いします」

 

随分と先になるだろうがやるつもりだ。確かに大変な訓練かもしれないが、極めれば実力は付くだろう。

 

実力が付けばボーダー内で名を挙げることは可能だ。加えて現在仲良くなろうとしている女子の内、小南は俺に強くなれと言っているし、玲は頑張っている自分を気に入っているらしい。

 

だから実力が銃トリガーを極められたら、2人とは更に仲良くなれる可能性がある。要するにハイリスクハイリターンってヤツだ。

 

一方前世では終電ギリギリまでの仕事が当たり前な癖に残業代は出ずに、遅れたら上司の罵声の嵐というハイリスクローリターンな生活だった。(ついでに基本給は少ないし、有給システムも形骸化しているし、「ボーナス?何それ食えんの?」状態でもあった)

 

あんな糞みたいな生活を送ってきた俺からすれば、ハイリスクハイリターンってのは博打に入らない。寧ろリターンが大きいのだから喜ばしい。

 

(良し。帯島の訓練の後に国近の勉強を見終わったら、3時間トレーニングルームにこもって訓練だな)

 

俺は今日の方針について決めるのだった。

 

 

その後弓場は帯島の為に射手の説明をして、その後に帯島との模擬戦をしたが、その際も実力が付くように一戦一戦を大事にしたのは言うまでもないだろう。

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