唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第48話

ドパッ! ドパッ!ドパッ!

 

3回引き金を引いて20メートル先にある3つの的の中心を穿つ。すると直ぐにレーダーに新しい反応が2つ出るが、焦らずに身体を動かして正面から的と直ぐに向き合って引き金を引く。

 

ドパッ! ドパッ!

 

結果、両方とも中心部付近を撃ち抜くことに成功する。そしてまたレーダーに複数の反応が現れたので、現れた方向に身体を動かして同じように引き金を引く。

 

それを暫く繰り返すとブザーが鳴る。そしてトレーニングステージの隅にいる男、弓場を見ると頷く。

 

「……良し、合格だ」

 

どうやらOKのようだ。訓練した甲斐があったもんだ。

 

「しかし思ったよりも早かったな。俺はてっきり8月になってから合格と思ったが」

 

「国近先輩が良いトレーニングプログラムを作ってくれましたから」

 

加えて国近のアドバイスは凄く参考になったのもデカい。ここ最近国近は助けて貰ってばかりだ。

 

「なるほどな。まあ何にせよ、次の段階に進むが、これについては余り苦労しないだろうな」

 

「多分動く敵に当てる内容だと思うのですが、何故ですか?」

 

「動く敵に当てるのに必要なのは相手の動きを先読みする事なのはわかるよな」

 

弓場がそう言ってくるので頷く。

 

「先読みするには実戦経験が重要だがお前の場合、レイガストによる防御を会得する際に相手の動きを先読みする事を最優先にしてるから、苦労しないと思ったんだよ」

 

なるほど。レイガストは重いし遠隔防御は出来ないが故に、俺は常に敵の行動について先読みしようとしているからな。

 

「よってタイマンならお前はそこまで苦労しないで敵に弾を当てれるだろうが、問題はチーム戦の時だ。何故問題かわかるか?」

 

「視界の外から攻めてくる敵にも警戒しないといけないからです」

 

「そうだ。自分と相対している敵以外の敵がいる時はソイツの攻撃についても警戒、防御しないとならねぇ。かと言ってそっちに意識を集中すると、向かい合っている敵を逃がしたりしてしまう事もある」

 

要するに射撃と警戒と防御に意識を向ける際はバランスが重要ってことだ。

 

そしてバランスをとるのは言うは易く行うは難しで、実際にチーム戦になると序盤は焦って落とされてしまうだろう。

 

「対策としてはチームメイトに対処を任せるのが1番だな」

 

まあ弓場隊はそうだろう。弓場が敵とタイマンをしてる際は神田が指揮を執り、弓場を狙おうとする敵を狙うのが弓場隊のスタイルだ。結果として弓場はタイマン相手以外の敵に対する警戒心を薄くすることが出来ている。

 

ウチの隊ならフォローの達人の出水が適任だろう。アイツなら二宮や風間以外のA級隊員なら余裕で足止めできるし。

 

「とはいえチームメイトと合流出来ない可能性もあるから楽観視はすんな。まあこれについては実戦で経験を積むしかねぇな。お前は秘密主義だが、次からのチームランク戦ではガンガン使って慣れてけ」

 

まあそうだろう。弓場隊が練習に付き合えば経験にはなるが、複数のチームが攻めてくる可能性もあるし、チームランク戦で磨くのは絶対だ。

 

「了解しました」

 

「良ォし。んじゃ動く敵に当てる訓練に入るが、聞きたいことがある」

 

「何でしょうか?」

 

「訓練の出来次第では、例のトーナメントで銃を使うのか?」

 

「その予定です」

 

俺がトーナメントに参加する一番の理由は小南に成長した姿を見せることで、可能なら直接ぶつかって見せたい。が、トーナメントの運もあるが多分小南と戦うには相当勝ち上がる必要がある。よって初見殺しの技を用意しておきたいのが本音だ。

 

「そうか。なら使用する銃の設定についても考えとけ。俺と全く同じにするのはやめときな」

 

そりゃそうだ。今からトーナメントまで死ぬ気で訓練すれば、それなりの形になるとは思うが、銃や弾トリガーを弓場と同じ設定にしたら弓場のデッドコピーでしかない。

 

もちろんB級下位や中位レベルなら通用するかもしれないが、普段弓場と渡り合っているB級上位やA級連中には通用しないだろう。弓場はランク戦を多くやるタイプの人間だから、弓場と全く同じ武器を使っていては強い連中に勝てない。

 

よって銃を使う場合、銃の性能や使用するトリガーを変えないと意味がないだろう。

 

「肝に銘じておきます」

 

「わかったならそれで良い。それじゃあ訓練に入るぞ」

 

「宜しくお願いします」

 

何にせよある程度実力を付けなきゃ意味はない。実力が無ければトーナメントで導入するなんて論外だからな。今は訓練に集中だ。

 

そう思いながら俺は意識を切り替えて弓場と向き合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その夜……

 

「うーむ……設定をどうするかだな……」

 

自室のベッドに腰掛けながらタブレットを操作してため息を吐く。

 

動く敵に当てる訓練では思ったよりも上手くいった。弓場もこの調子なら本番までに形になると言ったので、トーナメントで使う事も視野に入れている。

 

問題は銃の設定だ。トリガー構成については弓場と同じようにアステロイドとバイパーを入れたい……というかメテオラとハウンドを入れるのは悪手だ。

 

メテオラは着弾すると爆発するが、射程の短い銃でメテオラを撃ったら自分の周りにも爆風が生まれる。爆風によって視界が見えなくなるのは防御の際にレイガストを使う俺からしたらリスクが大き過ぎるから除外。

 

ハウンドについては弾の速さが速過ぎると誘導性能が発揮しないので、弾速の速過ぎる銃では使えない。

 

よってトリガー構成については同じにするのがベストだが、そうなると弾の威力と射程と弾速を変えるしかない。

 

威力を捨て、射程と弾速に特化したバイパーで攻めるのも悪くない。トリオン体の耐久力に差はないし、バイパーの弾パターンを3パターンくらい用意すれば格上を食えるだろう。

 

しかしそうしたら、最初に使った相手を倒す事は出来るだろうが、以降の相手は広範囲シールド固定シールドを展開するのは容易に想像できる。そうなったら仕留めるのが難しくなる。

 

(どうしたものか……ん?待てよ。よく考えたら悩む必要なんてないじゃねぇか)

 

元々他の連中と比べて異常な戦闘スタイルなんだ。もうこのまま躊躇うことなくぶっ飛んでやる。小南は俺の戦い方を気に入ってるし、玲や国近は俺の戦闘スタイルを馬鹿にしてないし、多分このやり方でも引かれないだろう。

 

そして一度方針が決まればイメージはしやすい。今後ボーダー基地では訓練を重ね、家にいる時は常に記録の見直しとイメージトレーニングを当日までやり続ける。

 

 

待っていろ小南。必ずお前と戦えるまで勝ち進んでやる。

 

俺はそう決心しながらイメージトレーニングを始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから日は流れ続け……

 

7月25日(日)

 

1dayトーナメント、開幕

ヒロインは何人まで希望?4人は確定

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