唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
『会場の皆さん!長らくお待たせしました!これより1dayトーナメントを開催します!』
訓練室にある巨大モニターに実況システムの考案者の武富桜子が映る。いよいよ始まりのようだ。
モニターに注目が集まる中、武富はテンションを上げながら口を開ける。
『今回の1dayトーナメントでは実況解説システムを導入しました!実況は私、中央オペレーターの武富桜子。解説には元A級1位部隊隊長にして、ボーダー最初の狙撃手、現在第3期東隊隊長を務めている東春秋さんにお越しいただきました!』
『どうぞよろしく』
モニターに映る武富の横に東春秋が現れ、会場は盛り上がる。やはり東の人気は凄いな。前世で原作を読んでいた時は後輩の育成の為とはいえ、東がB級にいるのは反則だろと思っていたくらいだ。東については本部長をやれてもおかしくないだろう。
『本日は参加して頂きありがとうございます!』
『いや。武富が上層部にプレゼンをした時から興味があったし、こちらこそ感謝するよ』
『そう言って貰えると企画者としては嬉しいです!このイベントを糧にいずれはチームランク戦にも導入したいと思います……っと!挨拶はこのあたりにしてルール説明と行きましょう!』
武富がそう言うとモニターに5つのトーナメント表が表示される。1つのトーナメント表にある参加枠は8人から10人だ。しかしまだ名前は表示されていない。
『先ずは予選トーナメントです!AブロックからEブロックまであり、優勝者5人が決勝トーナメントに進めます!ちなみに今回の参加者の内、太刀川隊長と二宮隊長、小南隊員については決勝トーナメントからの参加となります!』
だろうな。今回の参加者の中でこの3人は群を抜いているからな。風間隊は防衛任務だが、防衛任務が無かったら風間も決勝トーナメントから参加だろう。
(何はともあれ、小南と戦うには決勝トーナメントに上がらないといけないようだな)
つまり予選トーナメントで優勝する必要はある。しかし各ブロックには2、3人のA級隊員がいるだろうから容易じゃないのは明白だ。
『また制限時間は10分で、残り時間が0になったタイミングで決着が付かない場合、トリオン体の損傷具合で勝敗を決めます!』
なるほどな。つまり一撃当てて逃げ回るってのも場合によってはアリってことか。
『それでは予選トーナメント表の発表です!』
武富の言葉にモニターが光ると、間髪入れずにトーナメント表に沢山の名前が現れる。
俺の名前は……
Aブロック
第1試合
唯我尊 VS 南沢海
第2試合
笹森日佐人 VS 香取葉子
第3試合
影浦雅人 VS 巴虎太郎
第4試合
米屋陽介 VS 照屋文香
Aブロックにあったが、AブロックにはNo.4攻撃手の影浦の名前がある。要するに小南と戦うには影浦に勝たないといけない、ハードな道のりだ。というか俺が最初の試合かよ?
(初戦は生駒隊の南沢……グラスホッパー使いの攻撃手だが、太刀川で慣れているから大丈夫か?)
まあ油断はしないけどな。
「尊君は大変だろうけど、無茶しないでね?」
玲は心配そうに呟く。玲に心配されるのは悪くないな。
しかし玲の場合、自分の心配をした方がいいだろう。玲はEブロックだが……
Eブロック
第1試合
三輪秀次 VS 木虎藍
第2試合
出水公平 VS 小荒井登
第3試合
来馬辰也 VS 王子一影
第4試合
那須玲 VS 堤大地
と中々ハードだ。予選決勝で当たるのは出水だと思うが、原作開始以降ならまだしも、入隊して長くない玲が勝つのはかなり厳しいだろう。出水は機動力以外は玲の上位互換だからな。
ともあれ、どのブロックにも強い奴はいるから油断は出来ない。というか仮に予選トーナメントで勝っても、決勝トーナメントで早々に小南と当たらないと再戦は叶わないだろう。決勝トーナメントに出場する隊員は大体予想出来るが、全員格上だし。
一応影浦を倒す算段はあるが、そのやり方をやると決勝トーナメントで警戒されるから勝ち上がるのが不可能になる。
『それでは時間となりましたので始めましょう!試合の流れとしてはAブロック1回戦の次はBブロックの1回戦をやる感じです!2回戦についてはEブロックから始めますのでよろしくお願いします!』
つまり俺が最初の試合で、勝ち上がったら2回戦においては最後となるわけか。
『それではこれよりAブロック1回戦第1試合、唯我尊 VS南沢海の試合を開始します。唯我選手は赤ゲートに南沢選手は青ゲートに来てください!』
っと、指名が入ったから行かないとな。
「んじゃ行ってきます」
「ほ〜い。頑張ってね〜」
2人の手を離すと、国近は俺の頭を撫で撫でしながら激励をしてくる。それだけで元気百倍だな。
「尊君」
続いて玲が俺を見てくる。何をするかと思えば、そのまま両手で俺の手を掴んでくる。
「行ってらっしゃい」
……ヤバい、グッときた。顔が熱くて仕方ない。
「……ありがとうございます」
俺は逃げるように訓練室の入り口に向かった。
「那須ちゃん、ちょっとスキンシップが激しくないかな?お嬢様なのに良いの?」
「応援しただけで、別にスキンシップをしたつもりはないです。国近先輩こそ、スキンシップが激しくないですか?」
赤ゲートに到着すると訓練室のドアが開き、床に訓練室を指す矢印が表示される。入れってことだろう。
『さあ選手の入場です!赤ゲート!防御力と発想力はボーダー屈指!今シーズンにおける台風の目!太刀川隊攻撃手……失礼!一応射手の唯我尊選手!』
武富の言葉に、正隊員の一部の連中がドッと笑う。一応アステロイドの方がポイントが高いので射手だが、皆は射手ではないと思っているようだ。まあレイガストのインパクトが強いからな。
『続いて青ゲート!ノリノリに乗った際はマスタークラス!縦横無尽に跳び回る男!生駒隊攻撃手南沢海選手!』
向かい側から南沢が入ってきて、客席に向かってピースをしている。会うのは初めてだが、見た目通りノリが良いのだろう。
『東さんはこの試合についてどう思いますか?』
『そうですね。南沢も伸び代がありますが、普通に攻めるだけじゃ唯我の防御を突破するのは難しいでしょうから、グラスホッパーと旋空を利用することが勝負のカギでしょう。もちろんそれは唯我選手もわかっているので対策はしてると思いますが、唯我も南沢と相性は良くないですね』
『と、言いますと?』
『唯我の弱点は攻撃力が低い事です。唯一攻撃力があるレイガストの投擲も動作が大きいのでスピードタイプの南沢に当てるのは困難ですから』
東の言ってることに間違いはない。俺はカウンターを軸にしているし、決定打となる技がレイガストの投擲しかないがグラスホッパーを使う相手に使うと隙を見せてしまうので、余り使いたくない。
そう思いながらも南沢と距離を詰めると向こうは人懐っこい笑みを見せながら手を出してくる。
「宜しく〜、前から唯我ちゃんの防御を崩してみたいと思ってたんだよね〜」
「宜しく。それと悪いがそう簡単に崩されるつもりはない」
ガッシリ握手をすると、同じタイミングで周囲に住宅が大量に現れ、殺風景だった訓練室に住宅街が生まれる。どうやらトーナメントではステージが存在するようだ。
『今回のステージは市街地Aです!両選手は開始地点に向かってください』
武富からアナウンスが流れるとレーダーに赤いマークと青いマークが表示されたので赤いマークの所に向かう。
正面20メートル先には南沢がいて弧月を展開するので、俺もレイガストを展開して、互いに武器を構えながら警戒し合う。
そして暫くの間、沈黙が流れる中、遂に……
『予選トーナメントAブロック1回戦第1試合、開始!』
開始のゴングが鳴り響いた。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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4人
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6人
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7人
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10人以上