唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第61話

 

『Aブロックまで10分を切りました!唯我選手と影浦選手は開始5分前までにゲートに行くようにお願いします!』

 

迅と別れ、玲達と訓練室内の客席にて待機していると武富から呼び出しを受ける。いよいよだな……

 

「では行ってきます」

 

そう言うと最初に玲が近寄ってきて、両手で俺の手を包み込む。その際に国近と小南はジト目を向けてくる。

 

「影浦先輩の相手は厳しいと思うけど頑張って。無茶な事を言うけど、尊君が負ける所は見たくないわ……」

 

そんな風に上目遣いで俺の勝利を願う玲は凄く美しかったが、相手が相手なので確約は出来ない。

 

「最善は尽くします。応援感謝します」

 

そう言うと玲は優しく微笑み俺から離れる。するとすぐに国近が前に出て同じように両手で俺の手を包み込んでくる。それによりさっきまで微笑んでいた玲もジト目になり、小南に至っては目を吊り上げる。

 

「頑張ってね〜。勝ったらお姉さんがご褒美をあげるからね〜」

 

歳上のお姉さんからのご褒美ってエロく聞こえるな。まあ国近の事だからエロ要素のないご褒美だろうけど。

 

「別にご褒美目的ではありませんが頑張ります」

 

「ほ〜い」

 

国近はニコニコ笑いながら手を離す。玲、国近と手を握られたので思わず小南を見ると、目が合ってしまう。

 

すると小南はバツが悪そうに目を逸らしたかと思えば、やがて頭をガシガシかいてから両手で俺の手を握ってくる。

 

「勘違いしないでよね!あんたがやって欲しそうだからやってあげてるだけで、あたしは別にそんなつもりはないんだから!」

 

そう言ってくるが、その反応は可愛いだけだからな。

 

まあ更に可愛い反応が見たいから攻めるけど。

 

「やっぱり小南先輩は優しいですね。俺は小南先輩にやって貰えて嬉しいです」

 

「ふぇっ?!い、いきなり何よ?!あたしも2人みたいにやるつもりだったんだから変な事を……って!やるつもりなんてなかったわよ!今のはノーカンよ!忘れなさい!」

 

そう言って自身の顔を俺の顔に近づけてくるが、やっぱり小南の反応って他の2人より凄いよな。

 

とはいえこれ以上キスしかねないこの体勢を維持するのはやめよう。背後にいる玲と国近が凄い眼差しで見ているし。

 

「わ、わかりました。では失礼します」

 

俺は小南の手を離して、そのまま入場ゲートに向かう。その際に3人の方を見ると、小南はそっぽを向いてからチラチラ見てきて、玲と国近は小さく手を振ってくる。

 

よって俺も手を振り返していると……

 

『さあいよいよ予選トーナメント決勝戦です!選手入場!赤ゲート!圧倒的な防御力と奇抜な発想力で対戦相手を惑わすトリックスター!太刀川隊あたっ……射手の唯我尊選手!』

 

武富の言葉と共に訓練室に入るが、アイツまた俺を攻撃手呼びしようとしたな。個人ポイントはアステロイドが1番高いので射手だ。実況をやるなら間違えるなよ。

 

『続いて青ゲート!放つ一撃は変幻自在!狙った獲物は逃がさない漆黒の餓狼!影浦隊攻撃手影浦雅人選手!』

 

そんな物騒な呼び方と共に向かい側から影浦がやって来る。影浦から放たれるオーラは鋭く、南沢や香取のオーラとはレベルが数段違う。

 

普段太刀川とやり合ってなかったらビビっていたかもしれないな。

 

「宜しくお願いします」

 

ともあれ相手は先輩なので礼儀を払うのは当然なので頭を下げる。

 

「……あぁ」

 

対する影浦はぶっきらぼうな態度を取りながらも会釈をするので、これ以上の挨拶はいらないだろう。

 

そして開始地点に立ち、レイガストを展開する。対する影浦は前のめりになるが、スコーピオンを手に展開していない。

 

『さあ間も無く開始時間となります!勝って決勝トーナメントに出場するのは唯我選手か!それとも影浦選手か!』

 

テンション高めの実況を耳にしながらも俺は息を吐いて腰を低くする。影浦のスタイルや性格から開始同時に攻撃をしてくるだろうから、最初の攻防を無傷でやり過ごせるかが勝敗のカギだ。

 

最初の攻防で影浦から一撃を受けたら影浦は勢いに乗るだろう。一方で最初の攻防を凌げれば向こうはストレスが溜まるだろうから、こっちの戦術に嵌る可能性はある。

 

そう思いながらも開始まで警戒しながら待機していると……

 

『予選トーナメントAブロック決勝戦、開始!』

 

遂に開始のゴングが鳴り響いた。

 

すると影浦は予想通り突撃を仕掛けてくる。右腕を振り上げると手の先からスコーピオンが出てきて、ワンテンポ置いて左手にもスコーピオンを出して振るってくる。

 

俺はレイガストを傾けて早めに右手のスコーピオンにぶつけてガードしながら右足を軸に左足を前に出して、左手のスコーピオンもガードする。

 

しかし影浦はその程度の攻防は予想していたようで、後ろにジャンプしながら右手を振るうが、その際にスコーピオンを蛇のようにくねらせながら振るってくるので慌てて後ろに下がる。

 

するとレイガストの裏側にスコーピオンが回り込み、左手に掠りトリオンが漏れる。

 

一歩遅かったら左腕がもげてレイガストが持てなくな……っ!

 

そこまで考えていると影浦が、両手を僅かに引かせる。あの構えはマンティスだ。

 

俺は即座に右手にアステロイドを展開して……

 

(低速散弾……)

 

弾速と射程を殆ど0にして、威力特化に設定してから無数に放つ。

 

同時に影浦の両手から物凄い速度でスコーピオンを飛び出し……

 

 

ガキィンッッッッッ!

 

アステロイドとぶつかり粉砕されるのだった。

 

スコーピオンが砕けるも、影浦は即座に距離を詰めて腕を振るってくるので、レイガストで捌きながらアステロイドを展開して27分割して射出する。

 

狙いは影浦の頭から足まで様々な部位に当てるためだ。

 

しかし……

 

「ちっ」

 

影浦に当たる弾丸だけ全てシールドで防がれる。やはりサイドエフェクトで何処を狙っているのか丸分かりなんだろうな。つくづくサイドエフェクトってぶっ飛んでやがる。

 

内心舌打ちする間にも影浦は執拗に攻め続けるので、レイガストで防ぎながらもアステロイドで反撃するも、全てシールドで防がれてしまう。

 

「スラスター、ON!」

 

突破口を切り開くべく、そう叫びレイガストによるシールドバッシュをぶちかまし、影浦を住宅地の壁に向かって飛ばす。

 

そしてレイガストをブレードモードにして再度スラスターを発動しようとするが、そのタイミングで影浦は両手からスコーピオンを出して、先端を鉤爪のようにして地面に引っ掛けることで壁にぶつかる前に体勢を整えた。

 

そしてスコーピオンで地面を引っ張るように引き、その勢いでこっちに向かってくる。

 

予想外の行動に再度レイガストをシールドモードにしようとすると、同じタイミングで影浦は再度マンティスを放ってくる。

 

さっきはアステロイドによる低速散弾で相殺したが、今回は間に合わないので、シールドモードになったレイガストで防ごうとするが……

 

「ぐっ……」

 

一歩遅く、脇腹を掠りトリオンが漏れ出てしまう。戦闘には支障ないが、向こうが無傷なのは痛い。

 

「今ので殺るつもりだったんだが、思った以上にやるじゃねーか」

 

影浦は獰猛な笑みを浮かべながらそう言ってくるが、正直言って結構ヤバい。

 

搦め手がサイドエフェクトにより通用しないし、ある意味太刀川よりもやり難い。太刀川も桁違いだが、搦め手が決まれば勝ち星を挙げれるからな。

 

そう思いながらも影浦と向き合う。小南との約束を果たす為にも負けるわけにはいかないのだから。

 

俺は漏れ出るトリオンを無視して、レイガストを前方に構えながら影浦に突撃するのだった。

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