唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
玲に引っ張られながら食堂に着き、お互いに料理を注文して料理を持ちながら歩いていると、国近と小南を発見する。
「お疲れ〜」
「お疲れ様です。先ほどは無視して逃げるような事をしてすみませんでした」
国近の迎えに対して玲は頭を下げて謝罪する。
「ま、悔しかったら思い切り悔やみなさい。そうした人間が強くなるんだから」
小南はそう言ってドリアを口にする……が、直ぐにジト目を俺に向けてくる。
「で?尊は今度はどんな風に玲ちゃんを誑かしたのかしら?」
酷い言い草だな。まあ事実だから否定しないが、俺としてはお前や国近についても甘えん坊になるように頑張るつもりだ。
「待ってください。俺は別に誑かしたつもりはありません」
「本当よ。落ち込んでる私に真摯に向き合ってくれて、好きなだけ甘えて良いって優しく抱きしめて貰っただけよ」
「やっぱ誑かしてんじゃない!」
「尊君は相変わらずだね〜」
玲の言葉に小南はブチ切れて、国近は笑顔のまま額に青筋を浮かばせる。というか玲は余計なことを言うな。
「誑かした訳ではありません。玲さんが甘えてきたので、甘えたいなら甘えて良いと言っただけです」
「ふ〜ん。じゃあ私が人前で甘えて良いって言ったら甘やかしてくれるかね?」
「もしも国近先輩が甘えたいなら俺は受け入れますよ。国近先輩にはお世話になっているし叶えられる願いは叶えてあげたいですから」
あくまで本人が望むなら、という形で肯定する。そうすれば本人らから疚しさを感じ難いだろうからな。
「じゃあ今日から私のことを名前呼びしてくれるかね?」
しかし国近とも進展したいので拒否するつもりはない。
「わかりました柚宇さん、これでいいですか?」
「うん、良いよ〜。後これからはガンガン甘えるから宜しくね〜」
柚宇が満足した笑みを浮かべる。その仕草はとても可愛らしい。
「……尊君。国近先輩に甘えられるのは尊君の自由だけど……私も甘えて良いよね?」
一方、玲は不安そうな眼差しで見てくる。そんな玲の頭を右手で撫で撫ですると玲はくすぐったそうに目を細める。
「んっ……気持ち良いわ。もっと撫でてくれるかしら?」
「もちろん」
頷いてから玲の頭を撫で撫ですると、柚宇は口を膨らませながら俺を見てくる。
「む〜、私の頭も撫でて」
「わかりましたよ」
「えへへ〜」
国近がそう言ってくるので撫で撫ですると国近は口元を緩ませて撫で撫でされる。玲も国近も凄く可愛く痛ぇっ!
いきなり足に痛みを感じたので足元を見ると、小南が足をグリグリ踏んでいた。
「何デレデレしてんのよ?!やっぱアンタは女誑しだわ!」
小南が真っ赤になって怒っている。しかし目を見ると怒りの色はあるが蔑みの色はない。これは、嫉妬か?
だとしたら小南についても名前呼びしてみるか。もう既に目立ってるし、妥協するつもりはない。
「待ってください小南先輩。俺は2人の要望に応えただけです」
「えぇ。私は尊君に甘えたいわ」
「私も〜」
「うっ……」
そう返すと小南はバツの悪そうな表情になる。まあ当人らがそう言うなら強く反論出来ないわな。
とはいえ足をグリグリするのはやめないし、少し手を打つか?
「それと小南先輩。何故小南先輩は怒ってるんですか?」
「ふぇっ?!い、いきなり何を言ってんのよ?!」
小南は真っ赤になって慌て出す。
「いや、玲さんや柚宇さんが嫌がってるなら付き纏うなって怒るのはわかりますが、2人の望みに応えただけで何故小南先輩が怒るのでしょうか?」
ツンデレの弱点を突かせて貰う。ツンデレは素直じゃないから馬鹿正直に聞かれるのが苦手だ。そして問い詰めるのではなく、純粋な疑問のように聞けば嫌味とは思われないだろう。
「ええっと……その……」
小南はしどろもどろな口調になる。正直もっといじめたいが、いじめ過ぎは「小南はね〜、私と那須ちゃんに嫉妬してるけど、素直になれないから尊君に当たってるんだよ」……柚宇の奴、堂々と言いやがった。ある意味俺以上のいじめだろ?
「ゆ、柚宇さん!変な事言わないでください!」
「え〜、でもさっき「尊に甘えられるのは悪くない気分だけど、偶に甘えたくなる」って言ったじゃん」
「なっ……なっ……なっ……」
柚宇の爆弾発言な小南は金魚のように口をパクパクしてしまう。これには玲も小南に同情の眼差しを向けている。
しかし暫くして小南と目が合うと小南は今まで以上に真っ赤になって俺を睨みつけてくる。
「な、何よ?!文句あるの?!」
「いえ。ただ俺としては小南先輩のおかげで強くなれた恩もありますから俺に甘えたいなら甘えてください」
恩を理由として小南にそう伝えると、小南は恥ずかしそうに頭をわしゃわしゃするも、やがて顔を真っ赤にしながらジト目で見て……
「……あたしの頭も撫でなさいよ。後あたしの事も名前で呼びなさい!あたしだけ名前呼びであんたが苗字で呼ぶのは不公平よ!」
そんな風に言ってくる。公平も不公平もない気がするが当然断る理由はないな。
「わかりました……すみませんが玲さん、一旦離しますね」
「あ、私の事を撫でなくて良いから、尊君は2人を撫でて」
と、ここで柚宇がそんな提案をしてきる。本人が良いなら従おう。
俺は柚宇の頭から手を離し、桐絵の頭を撫で撫でする。
「んっ……あんた撫でるの上手いわね。どれだけ慣れてるのよ?」
「別に慣れているわけではないです」
「どうだか……んんっ、もっと優しく」
桐絵はそう言いながらも大人しく撫でられる。と、ここで柚宇がスプーンを持って俺が注文したカレーを掬い……
「尊君、あーん」
そのまま口に入れてくる。同時に口の中に辛味が広がるが、柚宇から甘い空気が漂ってきて相殺される。
「何してるの?!」
ここで桐絵が真っ赤になって怒り、玲もジト目で柚宇を見る。対する柚宇は小さく笑う。
「何って尊君の両手がふさがってるから食べさせてあげてるだけ〜」
「っ……尊君」
「どうしました玲さん?」
「私、カレーも少し食べたいの。だから私のパスタと交換しない?」
そう言ってフォークで自分のパスタを取る。このタイミングでそんな提案をしてくるって事は……食べ合いっこってヤツか?
「じゃああたしのドリアとも一口ずつ交換しなさいよ!」
「私もカレー食べたいな〜、豚カツと交換しよ?」
言いながら3人は自分の頼んだ料理を突き出して口に入れてくる。パスタとドリアと豚カツが順番に口の中に入るので1つ1つ食べる。
全て食べ終えると3人は口を開けて待機しているので……
「はい柚宇さん、どうぞ」
「あーん……ありがとね」
「桐絵さん、どうぞ」
「んっ……中々辛いわね」
「玲さん、どうぞ」
「ありがとう尊君、美味しいわ」
3人に一口ずつ食べさせる。3人が喉を鳴らす仕草は妙に色気を感じドキドキしてしまう。
その後、各々が注文した飯を食べたが、柚宇がもう一度食べ合いっこをしようと提案したので快諾したのは言うまでもない。
周りからの殺気?んなもん実害ないから放置だ。どのみち今後も殺気を向けられる予定なんだし、今から一々気にしたら負けだ。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
-
4人
-
5人
-
6人
-
7人
-
10人以上