唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第68話

開始と同時に桐絵は詰め寄ってくる。桐絵は必ず開幕から突撃をしてくるのは有名だ。

 

マスタークラス以下の攻撃手ならカウンターで沈められる自信はあるが、桐絵クラスにカウンターを仕掛けるのは難しい。

 

ともあれ何もしないのは悪手なのでレイガストでガードしようとするが、桐絵は同じタイミングで左手にキューブを展開して……

 

「メテオラ!」

 

分割しないで地面にぶっ放す。それを見て認識した俺はメテオラが地面に直撃する直前にレイガストを後ろに向けてスラスターを起動して、この場から距離を取る。

 

 

ドォォォォォォォォォンッ!

 

瞬間、爆発が生じて爆風が生まれる。爆風が生まれる前に距離を取ったので爆風に飲み込まれずに済んだが、飲み込まれたら予選の時の玲みたいに殺られていたかもしれない。

 

というか桐絵は開幕直後に目眩しからの速攻を仕掛ける予定だったのだろう。

 

ならば乗るつもりはない。レイガストは重いし、遠隔操作を出来ないから視界が悪い場所で戦うのは論外だ。

 

爆風が広がる中、俺はアステロイドを27分割して威力を殆ど0にして、あらゆる方向に発射する。まずは爆風に紛れている桐絵の居場所の炙り出しだ。

 

すると右側からガキンッとシールドと弾がぶつかる音が聞こえてきたので、そちらに身体を向けると爆風の中から桐絵が出てきて物凄い勢いで袈裟斬りを放ってくる。

 

対して俺は左手に持つレイガストで受け流してからリボルバー銃を顕現しようと右手を腰に移動させるが、その前に桐絵は俺の左側……リボルバー銃を即座に撃ちにくい場所に移るので、リボルバー銃ではなく、アステロイドを分割しないで威力重視でぶっ放す。

 

対する桐絵は集中シールドでガードするが、こっちも反撃に移れる。

 

「スラスター、ON」

 

スラスターを起動してシールドモードのレイガストを桐絵にぶちかます。直撃を受けた桐絵は後ろに吹き飛ぶが、背後には壁があるので直ぐにぶつかるだろう。

 

それを見ながら俺は前に出る。そして壁にぶつかる桐絵との距離を10メートルを切った瞬間にリボルバー銃を生み出して……

 

ドパッ!ドパッ!ドパッ!ドパッ!

 

一撃必殺の弾丸を4発、桐絵の頭と肩と胸と足に向けて放つ。1発1発が弧月の一振りに匹敵する徹甲弾だ。桐絵のトリオン量は平均的だから集中シールドでも防げないだろう。

 

両防御なら防げるかもしれないが、全て防ぐのは無理だろうから削れる。そして桐絵が守るとするなら頭と胸だろうから、足と腹を削れる筈だ。念には念を入れて2発の弾丸は温存してるから死角はない。

 

そう思っていたが……

 

「グラスホッパー!」

 

何と桐絵はグラスホッパーを展開して自身の身体にぶつけて真横へ吹っ飛んだ。

 

その際に3発の弾丸は外れ、1発が桐絵の脇腹に当たるが桐絵は気にしないで空中で体勢を立て直しながら再度グラスホッパーを使って、今度は俺との距離を詰めながら弧月を振るう。

 

俺は迎撃するべくレイガストを構えて防御体勢になる中、桐絵は弧月をレイガストに叩きつけて、その勢いで空中でロールしながら俺の上をとる。

 

慌ててレイガストを構えようとするが、桐絵の方が一歩早く弧月を振り下ろす。狙いは俺の脳天だ。

 

急いで首を横に動かしながら後ろに下がるが、左耳が斬り落とされ、それに続く形で肩から腹付近まで僅かだが斬撃が刻まれる。

 

幸い斬り落とされてはないし、伝達系にもダメージは小さいがトリオンはかなり漏れてしまった。トリオン消費が大きい合成弾を使う俺にはかなりの痛手だ。

 

まさかグラスホッパーを使ってくるとはな……

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここで両者動く!唯我選手がレイガストで崩しを入れてから必殺の弾丸を叩き込み、小南選手がまさかのグラスホッパーで回避してから、グラスホッパーと回転の勢いを利用した斬撃を叩き込んだぁっ!』

 

『お互いに小さくないダメージを受けてますね。とはいえこのままだとトリオンの消費が大きい唯我が不利です』

 

「ほーん。唯我のみならず小南も新しいトリガーを入れてきたか」

 

「唯我君の影響じゃない?彼の射手としての発想力は凄いから」

 

武富と東の話を聞きながら太刀川は面白そうに呟くと加古が頷く。A級の特典であるトリガー改造をふんだんに利用している彼女は誰にも思いつかない唯我の独特のスタイルを気に入っている。

 

「ふん、あんな初見殺しの詰め合わせの何処が射手だ」

 

加古の言葉に二宮が鼻を鳴らしてそう返す。

 

「あら?トリオン量が多いからって前線でバカスカ撃ちまくる二宮君に言われたら唯我君も可哀想ね。射手の理想は出水君みたいな子を言うんじゃないかしら?出水君も最近二宮君に毒されて弾バカになってるし」

 

「出水が射手として理想的なのは事実だが、スコーピオンを使うお前に言われたくない」

 

加古がクスリと二宮を笑うと、二宮は不機嫌そうに反論する。

 

「どっちでもいいだろ。どの道俺が頂点であることには変わりないんだしな」

 

ここで爆弾を投下する太刀川。それにより二宮と加古の額に青筋が浮かぶ。

 

「高校の勉強を犠牲に得た頂点に何の価値がある?そんな事を言うなら、高校時代のように勉強を見ないからな」

 

二宮や加古は高校生の時に太刀川の留年回避に尽力した。本人らはやる気が無かったが、忍田本部長に頭を下げられた事や先輩である風間が参加した事もあり渋々協力した。

 

そんな二宮に対して太刀川はドヤ顔を浮かべる。

 

「ふっ、問題ないな。何故ならウチの唯我に手伝って貰えるからな!」

 

「……貴方、中3に手伝って貰ってるの?」

 

「恥を知れ」

 

これには二宮も加古もさっきまでの怒りを消してドン引きしまう。まさか4歳下の中学生にまでヘルプを求めているとは思わなかった。

 

2人のドン引きに対して太刀川は慌て出す。

 

「おまっ、唯我は凄いんだぞ!高1の中間試験をやらせたら総合点が出水より150点以上高くて、赤点常連の高2の国近の期末試験を全科目40点以上まで上げて、俺のレポートについても代筆がバレないように俺の頭に合わせたレベルのレポートを作ってくれたんだぞ!」

 

太刀川の力説に2人は更にドン引きする。

 

「お前のチームは唯我以外馬鹿しかいないのか?」

 

「多分唯我君は実家で英才教育を……あ」

 

加古がある存在に気付いてポカンとしてしまう。二宮も同じようにポカンとする。2人の姿に違和感を感じる太刀川だが……

 

 

 

 

「……ほう。全ての提出物をちゃんと出したと安心したが、そんな事情があったのか」

 

背後から聴こえてくる低い声にビクリと跳ねる太刀川。恐る恐る振り向くと……

 

「まさか4歳下の中学生にまでレポートを頼むとはな、慶」

 

自身の師匠でボーダー本部長の忍田がドス黒いオーラを纏いながら腕組みをして太刀川を睨んでいた。

 

「し、忍田さん?!会議があったんじゃ……!」

 

余りの圧力に太刀川は腰を抜かしてしまっている。

 

「もう終わった。そんな事よりもだ、高校時代に同級生を中心に迷惑をかけたにもかかわらず、今度は中学生にレポートのヘルプをするとはな。良い機会だ、トーナメントが終わったら久しぶりに稽古を付けてやろう」

 

そう言って忍田は太刀川を逃がさないよう、腕組みをしたまま太刀川の背後に座る。余りのプレッシャーに太刀川は腰を抜かしたまま涙目になり、二宮と加古は即座に逃走するのであった。

 

 

そうこうしている間にも訓練室では戦闘が続いていた。

 

 

 

 

 

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