唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第70話

『こ、ここで試合終了!極限の攻防を制したのは小南選手でした!』

 

『良い試合でしたね。小南が体勢を崩した際に唯我がアステロイドを展開した時は唯我が勝ったと思いました』

 

試合が終わり、仮想戦闘モードであるのでトリオン体が修復される中、耳には実況と解説が入ってくる。しかし精神的に疲れたからか、身体を起こしたくなかった。

 

『その点なのですが、あの時唯我選手はリボルバー銃とレイガストとアステロイドの3種類のトリガーを展開してましたが、アレはどういう事なんでしょうか?』

 

『リボルバー銃の機能をOFFにしたのでしょう。そうするとリボルバー銃を使えず新しい銃をトリオンを消費して作らないといけないですが、アステロイドを使う事が出来ます。嵐山隊あたりは銃とシールドを使っていると見せかけて、シールドとスコーピオンを使う戦術を得意としています』

 

『なるほど……しかし唯我選手の対応は早過ぎると思いますが……』

 

武富がそう言うとモニターにさっきのやり取りが映る。モニターでは俺が銃を向け、桐絵が体勢を崩しながら弧月を銃に向かって振るう中、銃が破壊される前にトリオンキューブが展開されている光景が再現されている。

 

『恐らく、小南なら体勢を崩しながらも対応してくると思ったのでしょう。小南なら銃に対応出来ると信じていたからこそ、あの強力な銃を囮にして勝ちを得ようとしたのだと思います』

 

『その言い方ですと、読み合いでは唯我選手が勝っていたように聞こえますね』

 

『実際読み合いは勝ってました。ただ極限下における小南の対応力がそれを覆したのです。唯我が勝ってもおかしくない試合でしたよ』

 

東はそう言ってくるが負けは負けだ。それに極限の状況下で動けるかどうかは強さの判断要素となるだろうが、多分俺は動けなかったと思う。

 

そういった点から判断するに俺はまだまだ足りないものが多いのは間違いない。もっと上手く立ち回れるようにしないとな……

 

とはいえ試合は終わったんだし礼をしておかないといけない。親しき仲にも礼儀ありだからな。

 

俺は身体を起こして桐絵と向かい合い、軽く頭を下げる。

 

「桐絵先輩、どうもありがとうございました」

 

「こっちこそ。以前戦った時よりも強くなってたわよ」

 

「ですがまだまだ未熟なので精進します。また強くなったら戦ってくれますか?」

 

「もちろんよ。あたしもあんたの戦い方を見て勉強になるからね」

 

まあ確かに桐絵も敵を崩す際に俺がやりそうな戦術を使っていたからな。

 

「ありがとうございます。俺も勉強になりました」

 

そう言って手を出すと桐絵も手を出してガッシリと握手してくれる。

 

しかし直ぐに手を離し、恥ずかしそうにモジモジし始める。

 

「そ、それとあたしが勝ったんだから例の約束、守りなさいよ……」

 

例の約束……確か温泉旅館の宿泊券がペアで手に入ったから、俺に同行を求めたアレだよな。

 

「もちろんです。後日スケジュール調整をお願いします」

 

当然断るつもりはない。桐絵の湯上り姿や浴衣姿が見れるだろうし、宿泊券による泊まりなら同じ部屋かもしれない。

 

そうなったらチャンスである。桐絵を褒め殺し、ツンデレからデレデレに変えれたら最高だ。

 

「わかったわ!あ、それと玲ちゃんと柚宇さんには内緒よ?」

 

だろうな。2人が知ったら色々揉めそうな気がするので賢明な判断だ。

 

しかし……

 

「え?何でですか?」

 

俺は敢えて知らないフリをして桐絵に質問する。理由は簡単で、普段俺の言動は狙ったものではなく天然であるものと認識させる為だ。

 

意図的にハーレムを作ろうとしているのを知られるのは避けないといけないので、鈍感さを見せて無自覚でハーレムを作ろうとしていると認識させないといけない。

 

「そ、それは……と、兎に角内緒にしなさい!良いわね?!」

 

「まあ、桐絵先輩本人が望むなら構いませんが……」

 

「なら良し!じゃあ訓練室を出るわよ!また後で!」

 

桐絵はそう言って踵を返して自身が入ってきたゲートに向かって行ったので、俺も桐絵に背を向けて自分自身が入ってきたゲートに戻る。

 

そしてゲートを出て玲達の元に戻ろうとすると正面から加古がやってきて、軽く手を振ってくる。

 

「お疲れ様唯我君。ナイスファイト」

 

「ありがとうございます。加古さんも頑張ってください」

 

「ありがとう。ただ1対1で生駒君の相手は厳しいけど」

 

そう言って加古は去って行くが、加古の言うことを否定はしない。加古の相手はボーダー随一の旋空使いと評される生駒達人だ。最大射程は40メートルと実にふざけた存在だ。

 

元々射手は攻撃手と相性が悪いのに、生駒は射手の間合いでも戦えるのでタイマンなら加古が不利だろう。

 

ま、既に負けた俺としてはどっちが勝とうが関係ない。どっちが勝とうが桐絵が勝つ、というか勝って欲しい。

 

そう思いながら俺はトリガーを解除して、伸びをしながら玲達の元に向かう。

 

すると柚宇が真っ先に近寄ってきて……

 

「お疲れ〜尊君」

 

そのまま俺を引き寄せて、それにより俺の顔が柚宇の胸に埋まる。

 

(な、何だこの柔らかさは……!)

 

圧倒的な弾力が顔に伝わり押し返そうとしてくるが、国近が頭を抱いているからかずっと胸の柔らかさが伝わってくる。

 

「さっきの試合、凄くカッコ良かったよ。トレーニングのサポートをするからまた頑張ろうね」

 

そう言って頭を撫で撫でしてくる。ヤバい、幸せ過ぎて昇天しそうだ。

 

「く、国近先輩、何をしてるんですか……!?」

 

と、ここで玲の焦った声が聞こえてくる。まあ柚宇の胸に顔が埋まっているので玲の表情は見えないけど。

 

「何って頑張った尊君を労ってるだけだけど、問題があるかね?」

 

「そ、それは……だったら私も労います……」

 

そんな言葉が聞こえてくると今度は左後頭部にも柔らかな感触が伝わってくる。まさかの玲もやってくれたのか?

 

「お疲れ様尊君。私、頑張ってる尊君を見て、凄くドキドキしたわ……」

 

そして頭を撫で撫でされる。マジで天国かよ?

 

「む〜、尊君は私が労うから体の弱い那須ちゃんは休みなよ」

 

「大丈夫ですよ。今日は絶好調ですから」

 

そんな風なやりとりが耳に入る。俺としては2人から甘やかされるのは最高だから揉めないで欲しい。

 

その時だった。

 

 

 

「アンタはなに母性の塊に甘えてんのよ?!」

 

背後から桐絵のドスのきいた声が聞こえてくる。そしてズンズンと足音も聞こえてくる。

 

しかし言い訳をさせて欲しい。俺が自分から甘えたのではなく、2人が俺を甘やかしているのだ。

 

「いやいや、私達が甘やかしてるだけで尊君は甘えてないよ」

 

「なっ……〜〜〜っ!あーっ、もう!」

 

そんな声が聞こえてきたかと思えば、今度は右後頭部に柔らかな感触が伝わってくる。

 

遂には桐絵もかよ……

 

「か、勘違いしないでよね!想像以上に頑張ったご褒美だから、それ以外の理由なんてないから!」

 

「相変わらず素直じゃないね〜、ともあれ尊君はゆっくり休みたまえ」

 

「いつも尊君には勇気を貰ってるから、して欲しいことがあったら何でも言って……」

 

その言葉に皮切り、三方向から柔らかな感触が、頭頂部には優しげな撫で撫での感触が伝わってきて…〜

 

 

(ヤバい、もう限界……)

 

遂に頭がオーバーヒートしてしまったのか徐々に眠気がやってきて、ある時を境に意識がプツンと切れてしまったのだった。

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