唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
「……以上の事から今回のイベントについても、各隊員が切磋琢磨した事で非常に有意義な……」
訓練室の中央、俺は決勝トーナメント進出者7人と一緒にトーナメントを企画したボーダー職員の話を聞いているが……
(俺、予選はともかく決勝トーナメントの試合は見てねぇんだよなぁ……)
桐絵に敗北した後、柚宇と玲と桐絵が俺に抱きついて思い切り甘やかしてきたのだがその破壊力に気を失ってしまい、目が覚めた時には丁度決勝が終わったところだった。
ちなみに決勝トーナメントの流れについて柚宇に聞いたところ……
1回戦第2試合の加古と生駒の対決は、序盤に加古がトリッキーな戦術を駆使して生駒を攻めるが、途中で生駒は障害物で射線を切りながら家越しの生駒旋空で加古を真っ二つにした。
1回戦第3試合の太刀川と弓場の対決だが弓場が勝ったらしい。もちろん弓場が強いのもあるが、柚宇によれば太刀川は試合前に俺にレポートの代筆を頼んだ事が忍田にバレたらしく、その所為で説教を受けまくりポテンシャルを発揮できなかったようだ。アホ過ぎる……
1回戦第4試合の出水と二宮の試合は暫くは拮抗していたが、出水がアステロイドと見せかけたバイパーで二宮のトリオン体を削り、最後はゴリ押しで二宮を下した。出水のフェイントほど恐ろしいものはないと嫌でも認識させられた。
続く準決勝第1試合では桐絵と生駒が戦った。単純な剣の腕なら桐絵に劣ると判断した生駒は生駒旋空を軸に遠距離から攻めて主導権を握ろうとした。しかし途中で桐絵が生駒旋空に伸びた弧月を自分の弧月2本で受け流してから距離を詰め、接近戦に持ち込んで剣技の差で桐絵が勝利した。
準決勝第2試合で弓場と出水が戦ったが、相性の差もあり出水が勝った。弓場の戦闘スタイルは俺ほどじゃないが接近戦に特化しているので、膨大なトリオンと圧倒的なトリオン制御能力と全種類の射撃トリガーを持つ出水に殆ど近付けることが出来なかった。まあこれについては仕方ないだろう。
そして決勝については……
「表彰。準優勝、出水公平」
「はいっ!」
職員の声に出水が前に出て賞賛の声と表彰状を貰って、周りから拍手を貰う。
そして……
「優勝、小南桐絵」
「はい!」
優勝したのは桐絵で、元気良く返事をして賞賛と声とトロフィーを貰うので拍手をする。
直接試合を見たわけではないが、桐絵はグラスホッパーやメテオラで出水を撹乱させて半ば無理矢理距離を詰めて勝ち星を挙げたらしい。
しかし俺としては優勝するのは桐絵か太刀川と思っていたのだがな。まさかレポートの代筆がバレたことによりポテンシャルが発揮出来ないとか誰が予想できるだろうか。
「以上より1dayトーナメントの閉会式を終わります。次回もたくさんの隊員が参加することを待ってます」
そんな言葉により閉会式が幕を閉じ解散となる。同時に訓練室のドアが開き、忍田本部長が入ってくる。
それに伴い太刀川はビビり、太刀川の隣にいた生駒と加古は太刀川から距離を取る。
「さて慶。先程も言った通り久しぶりに稽古をつけてやろう。それとも話を本部長室で先にするか?」
ドス黒いオーラを出しながら太刀川に問うが、正直言ってメチャクチャ怖い。
「……話から先で」
どうやら話という名前の説教を先に望むようだ。
太刀川の返事に忍田は太刀川の襟首をつかんで引っ張り始めるが、俺の前で立ち止まり、軽く頭を下げてくる。
「不肖の弟子が迷惑をかけた。今後はレポートの手伝いはしないで欲しい。誰の為にもならないからな」
「あ、はい。わかりました」
そう返事をすることしか出来ずにいると、そのまま太刀川を連れ去っていく。
暫く沈黙が続くも、いつまでもこうしている訳にもいかないので、とりあえず桐絵と出水に祝いの言葉をかけにいくか。
「優勝おめでとうございます桐絵先輩。出水先輩も準優勝おめでとうございます」
「おう。といっても小南には一方的にやられたけどな」
「当然よ。あたしは実質1位なんだから!」
桐絵は余り大きくない胸を張り、出水の頭に青筋が浮かぶ。
「はいはい。唯我に対しては甘えん坊になる斧バカは実質1位ですよ」
すると桐絵は真っ赤になって慌て出す。
「は、はぁ?!誰が甘えん坊よ!てか誰が斧バカよ!」
「いやいや。客席で柚宇さんや那須ちゃんと張り合って唯我に甘えてただろ?これについて唯我の意見は?」
出水に話を振られるので、どう返すべきか悩んだが、馬鹿正直な意見を言う事にした。鈍感さを見せて、怪しまれないようにするのは絶対だからな。
「確かに3人はよく甘えてきますね」
「んなっ……あんたは余計な事を言うなー!」
桐絵は更に真っ赤になって俺をポカポカ叩いてくる。その際に爆笑している出水や加古、ヒソヒソ話をしている生駒と弓場については何とか気にしないようにする。
ちなみに二宮はスタスタと帰っていくが、あのストロングスタイルは見習っておきたいところだろう。
結局、俺はしばらく桐絵にポカポカ叩かれたが、全然痛くなく、寧ろ愛おしく思ったのは言うまでもないだろう。
その日の夜…….
「うーむ……やっぱり狙撃手をB級に上げるのはこれしかないから仕方ないな。問題は攻撃手と銃手と射手だな」
俺は自室にてパソコンを使っている。作っているのは以前迅にも渡したB級隊員量産計画だが、いくつか改善点が思いついたので入力し直している。
現在ではまだ机上の空論であるが、この計画が実行して成功出来れば正隊員の増加が可能だ。
これは原作の大規模侵攻の被害を減らすためでもあるが、もしもこの計画が成功すれば発案者である俺の存在に箔がつき、更に動きやすくなる。
まあ原作よりもB級隊員が増える事で、玉狛第二が遠征部隊に上がれる可能性が下がるかもしれないが、そこはまあ……修達に頑張って貰おう。
そんなことを考えながら編集を進めていると携帯が鳴るので見てみると、桐絵からメールが来ている。
『夏休み期間中の予定を教えるから、あたしが暇な日の中で尊も暇な日を教えて』
そんな一文と一緒に日付が添付されているので、自分のスケジュールと見比べる。
(1番近いのは8月3日と4日だな……よし、そこにしよう)
長引かせるのは嫌だし温泉で関係を深めることが出来れば、夏休み後半は今まで以上に甘い日常を過ごせるかもしれないからな。
俺は『8月3日と4日はどうですか?』と返信すると直ぐに『了解!』と元気のいい返信が来る。さて、どんな旅行になるか楽しみだぜ。
俺はメチャクチャ楽しみにしながらパソコンの操作を再開するのであった。
同時刻……
「えへへ……3日と4日が待ちきれない……って!これじゃああたしが尊の事が好きみたいじゃん!べ、別にあたしはアイツの事なんて何とも、本っ当に何とも思ってないんだからぁ〜!」
小南桐絵は自室で真っ赤になって思い切り叫んでいた。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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6人
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7人
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10人以上