唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第72話

1dayトーナメントが終わってから数日……夏休みになっても基本的な生活は変わらない。適度に防衛任務とランク戦をやり、トリガーの改造をしに開発室に行くくらいだ。

 

そんな中、俺は今……

 

「うーむ……どこにしようか」

 

俺はパソコンで三門市にある賃貸住宅について調べている。理由は簡単で一人暮らしをする為だ。

 

この世界における実家は豪邸だが、元々貧乏で貧乏が染み付いた俺には広過ぎて落ち着かないのだ。よってボロアパートとは言わないが、そんなに大きくないアパートに住みたい。

 

更に言うと玲達と甘え合うスペースが欲しい。基本的に彼女らが甘えてくると大抵第三者に見られて色々面倒だから、誰にも見られないプライベートスペースが有れば良いと思ったのだ。

 

一人暮らしについての不安はない。こちとら前世で極貧生活をしていたから節約術などは完璧だ。

 

そして親からの許可は得ている。一人暮らしをして自立していきたいと言ったら泣いて喜ばれたくらいだ。どんだけ甘やかされて育ってきたんだよ。

 

そんな事もありながら俺は物件をチェックしているが中々難しい。一人暮らしするだけなら安くてボーダー基地や学校から近い場所一択だが、玲達を招くならある程度綺麗で大きい場所を選ぶべきである。

 

ボーダーの給料はそこそこあるが、だからといって豪華な物件で贅沢な暮らしをしたらあっという間に枯渇してしまうので、しっかり考えないといけない。

 

いっそボーダー基地の部屋を借りるって選択もあるが、そこに玲達を招いたら変な噂が立ちそうだから却下した。

 

後、玲達との家からはそこそこ距離をとっておいた方がいい。露骨に近過ぎると邪な気持ちがあると勘ぐられるからな。

 

ともあれネットで情報を見ているだけじゃ分かりにくい点もあるし、実際に調査する事も視野に入れないとな。

 

俺は一度伸びをして作戦室のソファーに寝転がる。長時間のパソコンは目に悪いからな。

 

そこまで考えていると作戦室のドアが開いた音が聞こえてくるのでドアの方を見ると……

 

「お〜、お疲れ尊君」

 

柚宇がのほほんとした笑みを浮かべながら作戦室に入ってくるので身体を起こす。

 

「お疲れ様です。見苦しい姿をお見せしました」

 

今の俺はこの部隊において1番の下っ端だからな。柚宇なら気にしないだろうが、礼儀は大切だ。

 

「別にかしこまらなくて良いよ〜、ところで尊君は何を調べているのかね?」

 

言いながらパソコンを覗き込むと、すぐに好奇心を宿した眼差しを向けてくる。

 

「およ、尊君は一人暮らしをするつもり?」

 

「ええ。少しずつ自立していこうと思い」

 

「ほ〜ん。じゃあさ、一人暮らしを始めたら偶に泊まりに行って良い?」

 

まさかの速攻でそんなオファーが来ましたよ。いずれ泊まって貰いたいと思ってはいたが、予想よりも数段速いとはな。

 

本音を言うと即座に了承したいが、欲を出すのはNGなので確認を取る必要がある。急がば回れ、急いては事を仕損じるだからな。

 

「あの、俺個人の意見なら構いませんが柚宇先輩的に良いんですか?一応俺、男ですよ?」

 

「良いよ〜。私、尊君が相手なら全然嫌じゃないからね〜」

 

そう言うなり柚宇は俺に抱きついてくる。柚宇のいきなりの行動に俺はソファーに倒れてしまう。

 

しかし柚宇はそんなことを気にしないで俺の胸元にスリスリと甘えてくる。

 

「えへへ〜、私は尊君とお泊まりしたいな〜。一緒にご飯作って〜、一緒にお風呂に入って〜、一緒に寝てみたいよ〜」

 

作戦室だからかいつも以上に甘えん坊になる柚宇。高2にしては大きな胸を無意識のうちに押し付けて、更には顔を俺の顔に近づけて頬擦りをしてくる。

 

正直言ってメチャクチャ可愛いが、太刀川や出水も来るだろうから少しは自重して欲しい……『ブー!ブー!ブー!』何だ?今のブザー音?

 

疑問符を浮かべていると柚宇が俺から離れてパソコンを操作すると、ブザー音が聞こえなくなる。メールか?しかしそれにしちゃ明らかに大きい音だ。

 

すると作戦室のドアが開いて、隊長会議に行っていた太刀川が入ってくる。

 

「お疲れ〜、おっ、唯我は一人暮らしを考えてるのか?」

 

作戦室に入って冷蔵庫の中からお茶から取り出しパソコンを見ながら話しかけてくる。

 

「そうですね。一応考えてます」

 

「良し。じゃあ忍田さんや風間さんや蓮から隠れる為に偶に貸してくれ」

 

おい太刀川。それについては自業自得だろうが。というかこの前に代筆がバレてからは忍田のみならず風間や月見にもう太刀川に大学に関する協力はするなって釘を刺されたんだけど。

 

「まあ一応考えておきます」

 

「頼むぞ。それとさっき隊長会議でな、迅によれば大分先だが大規模侵攻が起こる可能性が僅かながらにあるらしい」

 

その言葉に柚宇は驚きを露わにする。俺は転生者だから知ってるが敢えて驚くフリをする。

 

「それは本当ですか?だとしたら防衛体制も変わるかもしれないですね」

 

「まあ不安定な未来だから直ぐには変わらないらしい。けどB級以上の戦闘員は基地から帰る際に少しずつ自分のトリオンを開発室に渡せって要請が来たから、唯我は家に帰る時は忘れるなよ?」

 

「わかりました」

 

原作開始まで1年以上ある。今から少しずつトリオンを集めれば、大規模侵攻の時には原作以上の数のトラップを用意出来るし、冬島のワープの設置も可能だろうからな。協力するつもりだ。

 

「出水にも言っといてくれ。俺はこれから防衛任務だからな」

 

「太刀川隊は非番だから混成部隊みたいですが、誰と組むのですか?」

 

「俺、当真、米屋、佐鳥、仁礼だな」

 

「アホの子だらけだね〜」

 

柚宇の言う通りだ。戦闘力は高いがBBFだと全員成績がクソ悪い連中の集まりだ。挙句オペレーターも馬鹿だし、世紀末な防衛任務になりそうだ。

 

俺も偶に混成部隊で防衛任務に参加するが、どうせなら柚宇、桐絵、玲の3人と組んで参加してみたい。

 

「いやいや、この中じゃ頭がいい方だぞ」

 

ソイツはどんぐりの背比べだろうが。中学生にレポートの代筆を頼む奴が頭良い訳ないだろ。まあ口にはしないが。

 

「じゃあ俺はもう行く。またな」

 

太刀川はお茶を飲むとそのままドアの方に向かう。

 

「お疲れ様です」

 

「お疲れ〜」

 

柚宇と2人で見送る中、太刀川は作戦室から出て行く。ドアが閉まると同時に俺は柚宇を見る。

 

「そういえば柚宇さん。さっきのブザー音は何ですか?」

 

なんかいきなりパソコンから鳴っていたが、気になって仕方ない。

 

「アレはね〜、私と尊君が作戦室にいる時限定で発動するシステムで、太刀川さんと出水君のトリガー反応が近づいたらブザーが鳴るの。そうすることで尊君に甘える姿を第三者に見られずに済むからね」

 

な、なるほどな。確かに太刀川や出水のみならず2人の友人が2人と一緒に太刀川隊作戦室に来て、見られたら色々マズイだろう。

 

しかしそんなシステムを構築するとは……まあ愛される気がして悪くないが。

 

「さて、ブザー音の説明は終わったし、甘えて良いかね?」

 

柚宇はそう言いながらも俺が返答する前に抱きついてスリスリしてくる。

 

(ったく、柚宇は本当に甘えん坊だな……)

 

そう思いながら俺も柚宇の背中に手を回して優しく抱きしめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜……

 

「あ、もしもし迅さん。例のB級隊員量産計画の概要を作り終えたんで次のフェイズに移行したいと思います」

 

俺は自室で迅に連絡している。パソコンには俺が作った企画書が表示されている。

 

『おっ、出来たのか。次のフェイズはいつ頃移るんだ?』

 

そう言ってくるが最低でも今日から1週間以上してからだ。余りに速いと疑われるからな。というか桐絵との旅行の後が良い。

 

「では……10日にお願いします。迅さんには……を当日前までにやっていただきたい」

 

迅に頼む事は俺には出来ないからな。

 

『わかった。この実力派エリートに任せておけ』

 

「ありがとうございます。では失礼します」

 

『あ、そうそう。お前今度小南と温泉行くみたいだけど、理性を保っておけよ』

 

「は?」

 

思わずそう呟くが既に迅からの連絡は切れている。理性を保っておくって……なんかエロいイベントがあるのか?

 

まあ折角貰ったアドバイスだから無下にするつもりはないが。

 

そう思いながら俺はパソコンの電源を切って、ゆっくりとベッドに寝転がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後……

 

遂に桐絵との温泉旅行の日を迎えた。

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