唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第80話

脱衣所に入った俺は近くにある籠が備え付けられた棚に向かう。共用の脱衣所ではないので、脱衣したものを入れる籠の数は少ないがそれでも5人分ある。2人で風呂に入るには充分だ。

 

「えっと……じゃあ入りますか」

 

「そ、そうね」

 

俺は手を繋いでいる桐絵に対してそう告げると、桐絵は恥ずかしそうに頷きながら服に手をかける。

 

そんな光景に目を奪われそうになるがガン見したら、引かれて一緒に風呂に入る約束が無くなる可能性があるので、俺は目を逸らして自分の服に手をかける。

 

そして1枚1枚脱いで、残りをボクサーパンツ1枚になったところで視線を感じたので振り向くと……

 

「あの、桐絵先輩。そんなに見てますが、何かおかしな箇所がありました?」

 

桐絵だが、俺の着替えをガン見しているのだ。

 

しかもそれだけでなく、桐絵も服を脱いで上下共に水色の下着が露わになっていて、下着姿の女子が全裸になろうとしている男をガン見している状況だ。

 

「あ、ゴメン!」

 

桐絵は慌てて謝罪するな否や逃げるかのようにブラジャーに手をかけて外すが……

 

「って!アンタもガン見してんじゃない!」

 

桐絵のブラジャーが外れ、プックリした桜色の先端が露わになった瞬間、桐絵は手で胸を隠し真っ赤になって叫ぶ。

 

ま、まあ確かにガン見したのは事実だが、いきなり逃げるように脱いだ桐絵にも責任の一端がある気がする。

 

しかし……

 

「失礼しました。水着姿でも魅力的な桐絵先輩でしたので、つい魔が差してしまいました」

 

桐絵は理屈っぽい言い訳で逃げるのを嫌うだろうから潔く謝るべきだ。

 

言いながら頭を下げて謝罪すると、桐絵は直ぐに顔を上げろという言うので上げると、桐絵は手ブラのまま、口を開ける。

 

「ま、まあ一緒に入るのを提案したのは私だから……驚いただけで怒ってはないわよ。けど余り見ないで欲しいわ。あたしの身体は魅力的じゃないから。玲ちゃんみたいに綺麗じゃないし、柚宇さんみたいに胸は大きくないわ」

 

桐絵は弱々しく笑うが……

 

「そんなことありません。俺は桐絵先輩の身体は魅力的だと思います。抱き合った際に感じた桐絵先輩の温もりは心地良かったです。幾ら本人とはいえ、桐絵先輩を卑下するのはやめてください」

 

俺はとにかく桐絵の自嘲を止めに入る。強気な桐絵に自嘲は似合わないし、何より俺が一緒にいたい桐絵は明るい桐絵だ。桐絵が今の状態のままなら面白くないのは確実だ。

 

「……本当?あたしの身体って魅力的?」

 

「当たり前です。川で泳いだときなんて桐絵先輩の水着姿にドキドキしっぱなしでしたから」

 

「そっか……ありがと。尊にそう言って貰えると嬉しい……」

 

桐絵はそう言ってクスリと笑うと胸を隠す手を外す。それにより胸を露わにさせるとショーツに手をかける。

 

このまま見てても咎められないだろうが、万一もあるしこれ以上脱衣所で何かするのはやめておこう。

 

俺は桐絵から目を離し、本来の予定通り下着を脱いで腰にバスタオルを巻いて、衣類を籠にしまう。

 

同じタイミングで桐絵の方もバスタオルを身体に巻いて、準備完了状態となった。昼に見たビキニより露出は少ないのに、何故かあの時以上の色気を感じる。

 

「綺麗、ですね……」

 

「ありがと。尊の身体も改めて見ると筋肉、ついてきてるね」

 

そりゃ生身の肉体が弱いと不利だからな鍛錬は必須だ。最低でも高校に上がるまでにはボーダーでも中堅以上になりたい。

 

「では行きましょうか」

 

俺の呟きに桐絵が頷いたので脱衣所から温泉に出ると、風が吹いてくる。夏だから涼しいレベルだが、冬なら凍りつきそうだ。

 

しかし遥かに離れた場所にある街の光は微かにしか見えないが凄く綺麗で、近くを流れる川の音は心地よさを教えてくれている。

 

「じゃあ尊、さっき言ったみたいに身体を洗うから座って」

 

バスタオルを落ちないようにしっかり巻いた桐絵がそう言ってくるので、シャワーの前にある椅子に座る。

 

同時に桐絵が手拭いを濡らしボディーソープを付けてから、俺の背中に手拭いを当てて擦り付けてくる。手つきは凄く優しく疲れが取れるのがわかる。

 

「上手いですね」

 

「少し前まで陽太郎を洗ってたから」

 

なるほどな。あの子供は原作開始時点で5歳で、今は3、4歳だ。そう考えると少し前に桐絵が身体を洗っていてもおかしくない。

 

というか陽太郎って何者なんだ?俺が見ていた時までの原作では詳しい設定が明かされてないが、只者じゃない気がする。

 

まあそれについては原作の時期になったらわかるかもしれないし、今は桐絵に洗ってもらう事に集中しよう。

 

桐絵の手は背中のみならず腕や腰、脇なども優しく擦ってくれる。まるでお風呂屋(意味深)に行っているような気がする。どうせなら俺の息子も擦って欲しいがそれをリクエストしたらど変態扱いされるだろうから我慢だな。

 

暫くすると桐絵の手が前に出てシャンプーを取ったかと思えば、俺の頭を擦り始める。

 

(ああ、マジで幸せだ)

 

そう思いながらシャワーで泡を流すが、心も浄化されそうに思えてくる。

 

「とりあえず頭と背中は洗ったわ。それと前はちょっと恥ずかしいから自分で洗って……」

 

やっぱりな。まあこれについては慌てる時期ではない。もっと親密度を上げてからで良い。

 

「わかりました。どうもありがとうございます」

 

「どういたしまして。あたしも身体を洗うけど、洗い終わったら先に温泉に入ってて」

 

言うなり桐絵は俺の隣の椅子に座ってバスタオルを外し、生まれたままの姿になる。ガン見しないのは山々だが、怒られたら嫌だし俺は桐絵の裸を一瞥するだけで直ぐに前を向き、腰に巻いたタオルを外して身体を洗い始める。

 

そしてパパッと前を洗った俺は椅子から立ち上がり、温泉に向かおうとしたら桐絵が話しかけてくる。

 

「た、尊!タオル忘れてるわよ!」

 

桐絵は焦りながらそう言っているが……

 

「いや、温泉にタオルを入れるのはマナー違反ですから持っていかないんです。ルールを破るのは嫌いなんで上がる時に回収します」

 

「なっ……!ま、まあそうだけど……」

 

案の定桐絵は慌てだす。ルールを破るのは嫌いって言えば桐絵もバスタオルを巻かないで温泉に入るだろう。バスタオル姿の桐絵も良いが、一糸纏わぬ姿の桐絵と温泉に入りたい。

 

しかし俺の煩悩は見抜かれないだろう。何故なら温泉の中にタオルを入れるのがマナー違反であるのは紛れも無い事実だからな。

 

俺は桐絵の慌てぶりをチラ見してからそのまま温泉に入る。

 

「あ〜〜、生き返る〜」

 

余りの気持ち良さに久しぶりに前世の自分のだらけた声が出てしまう。しかしそれも仕方ないだろう。前世を含めて久しぶりの温泉なんだから。これで少しの酒があれば文句ないんだがな。

 

まあ背後からシャワーの音が聞こえている事から察するに桐絵は今の俺の声は聞いてないだろうから問題ない。

 

そして暫く夜景を眺めていると背後からシャワーの音が聞こえなくなり、ヒタヒタと足音が聞こえてくる。

 

俺の斜め左後ろ辺りで足音が聞こえなくなったかと思えば、パサッて軽快な音が聞こえ、ワンテンポおいて俺の左横に水紋が生じる。

 

俺はチラッと左横を見ると……

 

「た、尊……あんまり見ないで……恥ずかしいわ……」

 

タオルを巻かずに一糸纏わぬ姿の桐絵が真っ赤になって切なそうな声を出していた。

 

そこには普段の強気の桐絵の姿は一切なく、気弱な雰囲気の桐絵がいた。普段とは全然違う姿の桐絵にギャップ差を感じ、メチャクチャにしたい感情が一瞬浮かんだほどだ。

 

「失礼しました」

 

言いながら俺は目を逸らす。逸らすが意識は桐絵に向いているし、桐絵からの視線はビシビシ感じる。

 

チラッと横を見れば……

 

「っ!」

 

桐絵と目が合い、桐絵は真っ赤になって目を逸らす。そんな桐絵を見て愛おしく思った俺は桐絵を見たまま口を開ける。

 

「桐絵先輩。改めて今回は誘ってくれてありがとうございます。桐絵先輩と過ごす時間は気分転換になりました」

 

最近はランク戦や訓練やプレゼン作成などに時間を費やしていたからな。前世で鍛えた精神力があるからストレスはそこまで溜まらないが、遊びたい気持ちはあったからな。

 

「……あたしも凄く楽しかった」

 

桐絵はこっちを向きながらそう言ってくる。結果的に互いに見つめ合う体勢になるが、互いに目を逸らすことはなかった。

 

「桐絵先輩、近付いて良いですか?」

 

「良いわよ」

 

そして互いに距離を詰め合い、遂に肩と肩がぶつかり合う。

 

「ねぇ尊。頭撫でて」

 

桐絵は俺の肩に頭を乗せてそんなおねだりをする。当然断る理由はないので俺は桐絵の頭を優しく撫でる。

 

「んっ……やっぱり尊の撫で方、気持ちいいわ……」

 

そんな風に言ってくる桐絵は凄く可愛らしいのでこっちも攻めてみるか。

 

「それは何よりです。それと桐絵先輩、抱きしめて良いですか?」

 

「ふぇっ?!い、いきなり何を言ってんのよ?!」

 

桐絵は案の定テンパりだすが、全然嫌そうに見えないのは気のせいじゃないだろう。

 

「川で遊んだ際に桐絵先輩と抱き合った時の温もりが気持ち良かったので、またあの温もりを感じたくなりお願いしました。もちろん嫌ならしません」

 

「べ、別に恥ずかしいだけで嫌じゃないわよ……良いわよ、来なさい」

 

桐絵は恥ずかしそうに頷き、俺と向き合う。そんな桐絵の一糸纏わぬ姿に俺は我慢出来ず、それでありながら欲を出さないように心がけながら、桐絵をゆっくりと抱きしめる。

 

それにより桐絵の胸が俺の胸板に押し付けられて、この上ない柔らかさを感じる。

 

すると桐絵も俺と同じように背中に手を回して抱きついて、お互いに生まれたままの姿で抱き合っている。

 

「尊の温もり、凄く幸せ……尊」

 

「何ですか?」

 

「あたし、尊と過ごす時間は凄く好き。だからこれからも一緒に居てくれる?」

 

不安そうに聞いてくる桐絵だが、言葉は決まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろんです。桐絵先輩が望むなら、喜んで」

 

俺からしたら当たり前の返事を桐絵に返す。

 

すると桐絵は目尻に涙を浮かばせて礼を口にして抱きしめる力を強めるので、俺は桐絵に負けじと今以上に桐絵の身体を抱きしめるのだった。

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