唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第88話

「さて、そろそろ開始30分前だが誰か来てもおかしくないな」

 

「今回呼んだメンバーは真面目な人が多いし15分前には集まるでしょ」

 

8月10日13時30分、俺は今第2会議室にある巨大モニターの前で草壁と雑談している。

 

自分達の正面には3つのテーブルがコの字になって設置されていて、テーブルの上にはケーキとアイスティーが置いてある。折角ご足労してくる相手に対するもてなしは重要だからな。

 

「オペレーターの方は誰を呼んだんだ?柚宇さんは俺が呼んだが」

 

「今日来るのは三上先輩、綾辻先輩、人見先輩ね。月見さんとか宇佐美先輩は用事があったわ」

 

人柄と腕で判断したようだが正解だろう。草壁は俺と計画の統括をやるから指導に関わる可能性は低いが、コイツや冬島隊オペレーターの真木理佐あたりがやったら精神が死ぬオペレーターが出るかもしれない。

 

そう思っているとドアが開くのでそっちに意識を向けると……

 

「ん?唯我がいるのは知ってたが、草壁もいたのか」

 

ドアからはボーダーで最も優秀と思われる東春秋だ。現役戦闘員で誰が最強かと聞かれたら意見は割れると思うが、最も優秀な隊員は誰かと聞かれたら大半が東を選ぶだろう。第2候補はボーダー唯一の完璧万能手のレイジだと思う。

 

「お疲れ様です東さん、一言で言うなら成り行きです」

 

草壁はペコリと頭を下げる。歳上にもタメ口を使う草壁だが、東には使うようだ。まあ気持ちはわかるがな。

 

「そうか。今日のプレゼンは楽しみにしているから2人とも頑張れよ」

 

言いながら俺達の頭をポンポン叩いてから席に座る。東は後輩に対して背を押したつもりかもしれないが、俺からしたら元A級1位部隊長からの期待によりプレッシャーを感じてしまう。

 

実際草壁も口元を痙攣らせている。我の強い草壁でも東には頭が上がらないようだ。

 

ともあれここまで来たら頑張るしかないが。

 

と、ここでまたドアが開く。次に来たのは三輪隊狙撃手の奈良坂だが……

 

「うーす」

 

「おっ、マジで草壁ちゃんといんのかよ」

 

続いて入ってきたのは三輪隊攻撃手の米屋と我が太刀川隊に所属する出水だった。いや、何でいるの?

 

「?米屋先輩と出水先輩は呼んだ覚えがないわ」

 

草壁の呟きに米屋は苦笑いをして出水は口元を痙攣らせる。

 

「相変わらずクソ生意気だな……俺達が来たのは偶然だよ。廊下を歩いてた奈良坂が迅さん経由で唯我に呼ばれたって聞いたんでな。というか大規模侵攻に関する対策なんて面白いもん考えてんなら教えろよ」

 

出水がそう言ってくるがそれは無理だ。

 

「申し訳ありません。しかし万が一C級の方に漏れて、そこから外部に漏れたらパニックになると判断して、協力者になり得る人間にしか話せませんでした」

 

壁に耳あり障子に目ありだからな。

 

B級隊員は給料と守秘義務など責任あるものに触れるから口は堅いが、C級隊員にはそういった制約がないので万が一に備えて話を聞く人間は少数にした。

 

ついでに言うと今回呼んだ人間については強さを基準にしてない。もちろん強い人間もいるが、強さ以外で呼ぶ人間を決めた。

 

小さく頭を下げて説明すると出水は納得したように頷く。

 

「なるほどな。なら仕方ねぇな」

 

「はい。それと申し訳ありませんがケーキは参加者の数しか用意してませんがご遠慮ください」

 

「ま、俺達は飛び入り参加者だから。後ろから立ち見させて貰うぜ」

 

米屋はそう言って出水と一緒に壁に寄りかかり、奈良坂は適当な席に座る。

 

「チーズケーキか……次にこういった機会があるならチョコケーキを頼む」

 

そういやコイツはチョコ好きでキノコ頭なのにたけのこ派だったな。

 

「……まあ今回の発表が成功したら、後日何回か話し合いをするのでその時の参考にはします」

 

「楽しみにしておく」

 

そんな返事をしながらアイスティーを飲む奈良坂を見ながら俺は2つの紙カップにアイスティーを注ぎ、壁に寄りかかる出水と米屋に渡す。

 

「おっ、悪いな。来るまでに汗を流したからありがてぇ」

 

「サンキュー。それにしても随分と人を集めたな」

 

出水は椅子と机を見るが、その数は20以上とかなりあるからな。

 

「まあ人が多いに越したことはありませんから」

 

そう思っている間にも次々と人が入ってくるので俺は出水と米屋に一礼して草壁の元に戻る。

 

「やっぱ集まるのが早いな」

 

「呼んだメンバーがメンバーだからでしょ。唯我先輩の計画に必要な人間は人格を重視してるし」

 

まあな。今回俺が呼んだ人間は全員人格が良い人間だし、戦闘スタイルについても丁寧なスタイルの人間であるし、遅刻するような人はいないだろう。

 

部屋にいる人間は俺を見て驚きはしないものの、草壁を見て驚きを露わにしているのが大半だ。一部の人間は草壁に手を出したのかと思っているかもしれないが、これについては気にしない。

 

それから10分、俺は他にも出水と米屋以外で立ち見希望でやってきたメンバーにアイスティーを渡していると、集合時間15分前に漸く全ての席が埋まったので俺と草壁は並んで、集まった人間と向かい合う。

 

「集合時間は14時ですが、全員集まったようなので始めたいと思います」

 

軽く一礼してから正面を見る。改めてメンバーを見ると錚々たるメンバーが揃っている。俺が迅に頼んで用意したメンバーだが……

 

太刀川隊からは柚宇

 

二宮隊から犬飼澄晴、辻新之助、鳩原未来

 

風間隊から風間蒼也、歌川遼、三上歌歩

 

嵐山隊から嵐山准、時枝充、綾辻遥

 

三輪隊から三輪秀次、奈良坂透

 

影浦隊から北添尋

 

生駒隊から水上敏志

 

弓場隊から外岡一斗

 

王子隊から蔵内和紀

 

荒船隊から荒船哲次、穂刈篤

 

東隊から東春秋、人見摩子

 

柿崎隊から柿崎国治、照屋文香

 

そして玉狛支部から協力者である迅悠一と木崎レイジが来ている。

 

俺が呼んだのは24人だ。

 

加えて立ち見希望で出水と米屋のみならず太刀川を始め、玲や二宮匡貴に加古望、当真勇に里見一馬、影浦雅人に絵馬ユズル、etc.……

 

 

結果として40人以上の人間が俺と草壁を一斉に見ている。柚宇と玲がいるから桐絵も来ると思ったが防衛任務か?

 

(つか迅は俺を恨めしげに見てるが、何か嫌な未来でも見たのか?)

 

正直気になるが、それは後回しだな。もう全員集まってるし。

 

「先ずはこの場に来ていただきありがとうございます。迅さんもコネクションが確立出来ていない自分の為にこれほどの面々を集めていただき改めてお礼を言わせてください」

 

特に三輪あたりは迅を嫌っているし、相当苦労しただろう。

 

「気にすんなって。お前の行動はボーダーの為になると思ったから協力しただけだ。でも草壁ちゃんがいるのは予想外だったぜ。どうやって口説いたんだ?」

 

迅は半ば呆れた表情だが、やっぱそこを聞かれるよな。一部の人間も興味深そうに見ていて、柚宇と玲はジト目で俺を見てる。

 

「どちらかと言えば唯我先輩の立てた計画を知った際に私の方が参加させろと口説いたわね。協力する事は自分の糧になると判断しただけよ」

 

そんな好奇の視線に対して草壁は素っ気ない口調でそう返す。実際草壁とは何回も話をしたが、色気は一切無い会話だった。

 

関わってから1週間もしてないので当然だが、いつか必ずクールな表情のみならず、恥ずかしそうな表情やデレデレの表情を向けられるようになるつもりだ。

 

草壁の言葉に好奇の視線は弱まったが、迅は引き攣った表情を浮かべている。もしかして俺が草壁と仲良くなる未来でも見えたのか?

 

だとしたらありがたいが、今は後回しだ。全員集まった以上、私事で時間を潰すのは論外だからな。

 

「ともあれ全員集まったので始めましょう。面白く無いかもしれないですが、最後まで聞いていただければ幸いです」

 

そう一礼してから俺はモニターの横に移動して、草壁は部屋の隅にあるパソコンデスクに座って、パソコンの操作をすると……

 

 

 

 

 

 

大規模侵攻対策 B級隊員量産計画

 

唯我尊 草壁早紀

 

 

 

 

俺が作り上げたスライドによるスライドショーが始まるのだった。

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