唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
大規模侵攻対策 B級隊員量産計画
唯我尊 草壁早紀
モニターにこのようなスライドが表示されると部屋からは多少の騒めきと好奇の視線を感じる。まあ名前からして大々的な内容に思うだろう。
そう思いながらも俺は口を開ける。
「正隊員の皆様ならご存知であると思いますが、迅さんが大規模侵攻に関する未来を薄っすらと見えた事で、上層部は施設強化やトラップ設置の為に正隊員からトリオンを集め始めています。しかし……」
一息……
「トラップや設備を増やしても備えあれば憂いなしです。それにもし市民から死者が出たらボーダーの評価は大幅に下がるでしょう」
「なるほどな。そうなったらボーダー最大のスポンサーである唯我グループの評価も下がる可能性が高いから、このような計画を立てたんだな」
そこまで話すと最前列にいる風間がそう言ってくるので頷く。
「仰る通りです。唯我グループの会長の息子として、そのような事を避けたいと思い、こちらの計画を立てたのです」
そう言ってから草壁にアイコンタクトをすると、スライドが変わり三段階に分かれたピラミッドが表示される。
「こちらは現在のボーダーの勢力図です。現在A級隊員が30人弱で、B級隊員が80人前後、C級隊員が300人前後です。そして年に3回ある正式入隊日には大体30人近く入りますが、C級隊員が多過ぎで戦える人間が少な過ぎます」
実際原作開始時点で400人以上いたが、多過ぎると思ったのでこの世界に来てから改善したいと思った。
「よって自分はC級隊員をボーダー全体で鍛え上げて戦える人間を増やすべきと思いました。大体1シーズン、4ヶ月に5、6人がB級に上がりますが、これを10人以上にすることを目標です」
いきなり20人以上増やすのは無理だからな。しかし1シーズンに10人増やせたら、アフトクラトルによる大規模侵攻の時には原作よりも30人以上の正隊員がいるだろう。
加えて俺の原作知識を迅を介してボーダーに渡せば被害を大きく減らせる可能性は高い。まあ原作と違う展開になるかもしれないから油断は出来ないが。
「そしてその為に必要な事を考えました。先ずは戦闘員に関する事ですが……」
草壁にアイコンタクトをするとスライドが変わる。
①正隊員による各トリガーの使い方に関する教本の作成、及び指導教室の開設
②一定以上の実力を持つC級隊員への昇格研修
この2つが表示される。
「先ずは①について説明しますが、ぶっちゃけ今のボーダーにおいてC級隊員に対する扱いは雑過ぎます」
「はっはっはっ、ハッキリ言うなお前」
壁に寄りかかる太刀川が笑い、東とか迅など一部の連中は苦笑いを浮かべる。
「狙撃手の訓練はまだしも、攻撃手と銃手らはオリエンテーションで訓練について説明したら後は殆ど放置。これでは一部の人間を除いて昇格する人は少ないです」
そう言ってから草壁にアイコンタクトを取り、次のスライドが映る。
「これが現在ボーダーに所属する狙撃手以外のC級隊員221人の所有ポイントについての円グラフです」
そこに表示された円グラフには「3500以上、3人」「3000以上3500未満、6人」「2500以上3000未満、22人」「2000以上2500未満、49人」「1000以上2000未満、74人」「1000未満、67人」の6つの項目があった。
「唯我君、全隊員のデータをピックアップしたの?凄いじゃない」
円グラフを見せると壁に寄りかかる加古が褒めるが、プレゼンではグラフなどを利用して明確なデータを見せることが大切だからな。
「ありがとうございます。更に調べたところ、個人ポイントを3000以上持つC級隊員9人は少しずつポイントを増やしているので、遅かれ早かれB級に上がるでしょうから問題ありませんが、それより下です」
次のスライドに映ると折れ線グラフが沢山表示される。
「例を挙げますと、こちらは個人ポイントが「2500以上3000未満」の隊員22人の1日ごとのポイント変動のグラフです。グラフを見ればわかりますが22人中14人は3000以上になっても割と直ぐに3000未満に落ちて伸び悩んでいます」
3000以上をキープするC級隊員と3000の境界線を行ったり来たりするC級隊員の間には結構差がある。
「彼らからしたら3000の壁を越え続けたいと思っていますが中々上手く行っていません。加えて正隊員に教えを求めるとしても中々ハードルが高いです」
A級とB級の間にそこまでの差はないと思うが、B級とC級の間には絶対的な格差がある。それは実力のみならず、給料や作戦室などあらゆる面でだ。
そして圧倒的な格差がある以上、中々話しかけるのは難しい。C級が正隊員と交流するならクラスメイトだったり、正隊員がスカウトなどを目的に話しかけるくらいだ。
「またポイントが全然伸びず、モチベーションが上がらない隊員もいますが、適正トリガーではない可能性もあります」
C級隊員は入隊が決まったら、ボーダー本部が適性を判断してトリガーを支給するが、人によっては合わないトリガーかもしれない。
「もちろん使用トリガーが適してないなら変更もできますが、相談出来る相手がいないとそれも難しいです」
中にはトリガーが合わないと思わず「自分が弱いから」と思い、変更しない隊員もいるだろう。
「よって正隊員の方から歩み寄る事が重要だと思います。軍事組織ではなく民間組織である以上、強制は出来ませんが放置するのは問題ですし、教本や指導教室の存在は必要だと思います」
実際に伸び悩んで腐っているC級隊員もいるだろうが、それを放置するのは勿体ない。よって上にいる人間が強くなる機会を用意するべきだ。
「そして教本や指導教室などを用意するには正隊員の存在が必要です」
ここまで言えば俺が呼んだ理由は馬鹿でもわかるだろう。
「つまり唯我は俺達にそれらの準備を手伝って欲しいということか」
「はい」
嵐山の問いに俺は頷く。これらについては俺1人では無理だ。トリガーの中には殆ど使ったことがないトリガーもあるからな。
「今回呼んだメンバーは大半が人格者で基本に忠実なタイプですが、そのような人間が重要です」
射手を例を挙げるが出水とか二宮なんかはトリオン量において絶対的な才能があり、割と火力重視のスタイルが、そういった人間は今回求めてない。
俺の計画は凄く強い人間を作るのではなく、一定以上の実力を持った人間を量産することだ。
その場合、出水や二宮みたいに才能があり過ぎる人間より、水上や蔵内みたいに才能はそこそこで基本に忠実な人間の方が必要性がある。
「もちろんそれが合う人間も居れば合わない人間も居ますが、このまま雑な扱いをするのは勿体ないです。重要なのは可能性の提示だと思います。①についての説明は以上ですが反対意見などがあるならお願いします」
一礼して一歩下がり、周りを見るが否定の色はない。
「訓練や教本の内容はまだ決まってないからその点は何も言えないが、C級隊員の扱いの改善については賛成だな」
「そうだな。正式入隊日前には大量のトリガーを作るが、正隊員に上がれないなら予算の無駄になってしまう」
俺が①について締めくくると木崎や風間などが賛成してくれる。ボーダーでも屈指の実力者2人が賛成してくれるなら説得力はあるだろう。
暫く意見を聞くが反対意見は特にないので次に行かせて貰おう。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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4人
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6人
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7人
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10人以上