唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第90話

「では次に②について説明をしたいと思います」

 

「②……一定以上の実力を持つC級隊員への昇格研修とあるが、昇格条件を増やすという事か?」

 

「はい」

 

風間の問いに頷くと草壁は新しいスライドを表示する。そこには新しい円グラフがある。

 

「①については攻撃手と銃手、射手に向けた対策で②については狙撃手に向けた対策です。まあこれについては狙撃手なら予想はつくでしょう」

 

言いながらこの部屋にいる狙撃手を一人一人見てから、スライドを見る。円グラフには「合格13人」「不合格72人」の2つの項目がある。

 

 

「現在ボーダーには狙撃手の訓練生が85人います。そしてC級狙撃手がB級に上がる条件は「合同訓練において3週連続で上位15パーセントに入ること」です」

 

狙撃手がチームにいる隊員なら知ってるだろうが、チームに狙撃手がいない隊員やB級に上がったばかりの隊員は知らない可能性があるので改めて説明する。

 

「そして上位15パーセントに入った事があるC級狙撃手は13人いる中、B級に上がれる狙撃手は1シーズン、つまり4ヶ月に1人か2人です。これは明らかに少過ぎますが、ぶっちゃけ合同訓練の際に正隊員を含むのは厳し過ぎます」

 

上位15パーセント、つまり13位以内に入らないといけないが、順位については正隊員を入れた上での順位だ。

 

確かに正隊員は全員が毎回訓練に出るわけではないが、それでも上位10位を占拠するのはザラにある。

 

そして正隊員は毎回最低でも8人は合同訓練に参加しているので、C級狙撃手は5つの枠を奪い合っているのだ。

 

加えて3週連続でその枠に入らないと正隊員にはなれないが明らかに厳し過ぎる。

 

「まあ俺も2週連続で上位入り出来たのに、最後の週でギリギリ入れなくてやり直しだった時はショックだったなぁ」

 

「茜ちゃんも最後の最後で上位入りできず、また最初からって泣いてたわね」

 

ここで外岡と玲が頷く。実際原作も読んだ時もハードルが高いと思った。少なくとも俺が狙撃手を目指すなら、攻撃手や射手としてB級になってから狙撃トリガーを勉強する方針にしただろう。

 

「そんなわけで、今の昇格条件ではB級狙撃手を増やすのは難しいです。しかし大規模侵攻ではトリオン兵を警戒区域から出さない事が絶対であり、離れた場所を攻撃出来る狙撃手の数は増やしておきたいので、昇格条件を追加したいと思いました」

 

「モニターには昇格研修と書かれているが、それはつまり上位15パーセントに入った経験がある訓練生に特別な訓練を施すのか?」

 

No.2狙撃手の奈良坂が質問をする。

 

「俺は狙撃手じゃないので訓練内容は考えられないですが、まず上位15パーセントに入った事がある隊員に対して上位狙撃手に対して、訓練を施して、訓練の成績やこれまでの訓練に対するやる気などを審査して貰いたいです」

 

「それでB級隊員に上がっても問題がないと判断したら昇格させるべきと考えているのか?」

 

「いえ。それだけでは足りないです。正隊員に近い成績を出す現在の昇格方法をスルーするなら代案が必要です」

 

俺はアイスティーを飲んで一息つき……

 

「自分としては先程提示した審査を第1審査とします。そして審査が通った隊員に対して1ヶ月間、あらゆる部隊の防衛任務に同伴させる事を希望します」

 

その言葉に再度部屋に多少の騒めきが生じる。しかしそれも当然だ。

 

C級隊員は訓練以外でトリガーの使用は禁止で防衛任務にも出れないというのがボーダーの常識だが、常識をぶっ壊すと提案したのだから。

 

ともあれ話を続けよう。

 

「防衛任務の際はベイルアウト付きのトリガーを貸し出し、先実際にトリオン兵を狩ってみる。これを1ヶ月……防衛任務は大体2、3日に1回なので10回ちょっと繰り返してから審査をして、問題がないと判断した隊員を昇格……というのが自分の考えです」

 

「つまりB級になれるレベルにいる隊員に実戦経験を積ませる、と?」

 

「そうなります。先程も言いましたが今のやり方ではB級昇格は難しくモチベーションの低下に繋がる可能性もあります。結局1番重要なのはやる気ですから」

 

努力も大切だが、努力をするにはやる気がないと無理だから、先ずはやる気を出しやすい環境を作るのが第1だ。

 

「以上で戦闘員に関する説明を終わりにします。次に草壁からオペレーターなどその他に関する説明をしますが引き継ぎをする為、少しお待ちください」

 

一礼して俺はマイクを切って、草壁がいるパソコンデスクに向かう。

 

「お疲れ様、良い発表だったわ」

 

「ありがとな。次は俺がパソコンをやる」

 

言いながら俺はマイクを渡すと、草壁はマイクを受け取ってから立ち上がるので入れ替わる形でパソコンデスクに座る。

 

そして草壁がモニターの前に立ち、口を開けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上で戦闘員に関する説明を終わりにします。次に草壁からオペレーターなどその他に関する説明をしますが引き継ぎをする為、少しお待ちください」

 

唯我はそう言って一礼するとパソコンデスクに向かって歩き出す。

 

「思った以上に良い内容だったな」

 

そんな唯我を見た玉狛第一隊長の木崎レイジは隣に座る迅に話しかける。一方の迅はぼんち揚を食べながら頷く。

 

「まあね。色々トラブルはあると思うけど、きっと上手く……っ!」

 

そこまで話していると迅はいきなり額に手を当てて俯く。予想外の光景にレイジは軽く目を見開く。

 

「どうした?頭痛がしたのか?」

 

「ま、まあな……」

 

迅は珍しく歯切れの悪い返事をする。視界の先では唯我が草壁にマイクを渡してパソコンデスクに向かっているが……

 

(アイツ……草壁ちゃんとも仲良くなるのかよ……!あんな草壁ちゃん初めて見るぞ……!)

 

迅は草壁を見た際にある未来が見えたのだ。

 

いつ起こる未来はわからないが……

 

(草壁ちゃんってあんな可愛く笑うのかよ?!)

 

迅の見た未来では草壁が唯我に向かって小さく、それでありながら確かな笑みを浮かべていたのだ。

 

普段はクールで全然笑わない草壁の笑みを迅はこれまで見た事がなかったが、ギャップがあるからか凄く魅力的に見えた。

 

同時にそんな笑顔を向けられる唯我に対して戦慄の感情を抱いてしまう。

 

(もう勘弁してくれよ……さっき国近ちゃんと那須ちゃんのキスシーンを見て甘ったるいのに)

 

内心にて嘆いてしまう。会議室に入った際に先に部屋に入った柚宇と玲を見たが、その際に2人が別々の場所で唯我の唇にキスをする未来を見てしまった迅はそれだけで砂糖を吐きそうになった。

 

ただでさえ玉狛支部にいる時に桐絵を見た際、偶に唯我にキスをする未来が見えてるのに、更には柚宇と玲もだ。

 

迅もハードな人生を送っているとはいえ、高校三年生。人並みに色恋に興味はあるので、唯我の関係を見ると羨ましく思ってしまう。

 

(頼むぜ唯我。俺に砂糖を吐かせまくったんだし、しっかりボーダーに貢献してくれよ)

 

迅は内心にて強く祈りながら前にいる唯我と草壁を見るフリをするのだった。

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