唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
「ふぅ、疲れた……」
プレゼンが終わって、聴者が部屋から出て行くのを確認した俺は大きく伸びをする。
「まあ東さんや風間さんの前で話すのは肩がこるわ」
草壁も息を吐きながら肩をコキコキと動かしながら近くにあるテーブルに触れる。聴者はともかく、会議の準備をした俺達には片付けの仕事があるからな。
「何にせよ予想以上に反応が良かったし、今日明日で予算の対策案を考えて、1週間以内に上層部にプレゼンをするわよ」
まあ来月の正式入隊日に始動したいことを考えると当然だ。
「そうだな。ちなみに草壁は予算の対策案があるか?」
俺は椅子を片付けながら質問をする。
「一応あるわ」
「そうか。俺も一応あるから聞かせてくれ。まあ絶対に却下されると思うがな」
「じゃあ多分私と同じね。私としては先のない訓練生については除籍して、その訓練生が持っていたトリガーを次のシーズンに入隊する訓練生に支給するべきだと思う」
「やっぱそれだよな」
草壁の案に頷く。正式入隊日に入隊する訓練生はシーズンごとに変わるが、大体30人から40人だ。つまりその度にトリガーを新しく30個から40個も作る必要がある。
いくらベイルアウトシステムとかが付いてないとはいえ、結構な金がかかるだろう。
しかし既に作られているトリガーを支給すれば金はかからない。そして既に作られているトリガーを確保するなら、先のない訓練生を除籍して没収すれば良いというのが俺や草壁の考えだ。
ぶっちゃけB級隊員量産計画が始動できたとしても上がれない人間はいるだろう。それについては仕方ないが、その中でやる気が見えない訓練生は除籍しても良いだろう。強くなろうとしない訓練生などクソの役にも立たないからな。
しかし……
「弱者をリストラ出来るほどボーダーは組織として強くないからな」
大企業がリストラをするのとは話が違う。ボーダーは出来上がってから3年しか経っていない未熟な組織だ。
今の時期に弱者をリストラする方針を取って世間に知られたら大バッシングを受けるだろう。
記憶封印処理についてもダメだ。仮にリストラ対象の記憶を封印しても家族や友人相手にボロを出してしまい、その事が露呈したら更にヤバいからな。
弱者をリストラする方針を取るにはボーダーは組織として更に大きくしないといけない。最低でも後5年くらいは必要だと俺は思う。
「残念ながらそうでしょうね」
「随分と辛辣な事で」
「事実を言っただけよ。才能がないならまだしも、努力をしない人間なんかいても周りの足を引っ張るだけよ」
ごもっとも。
「そんな訳で別案を考える必要があるわ。今日のところは解散して別案を思いついたら情報共有して、計画に組み入れるわよ」
「ああ。今日はお前のおかげで良いプレゼンになった。ありがとな」
草壁の考えが無ければ、B級隊員を増やすことは出来ても、安定した部隊を作る事は出来ない未来があったかもしれない。
「こっちも有意義な時間になったからお互い様よ」
「そう言ってくれるとこちらもありがたい。礼と言っちゃなんだが、次のA級ランク戦、風間隊と三輪隊を戦うが見てほしい」
そう言うと草壁は興味深そうな表情を浮かべる。
「面白い戦術を使うの?」
「既に太刀川さん達の了承を得てる。お前は以前俺の戦略について興味がある云々言ってたからな。草壁隊に使えそうな戦術を使うつもりだ」
「なら楽しみにしておくわ。じゃあ私はこれで」
草壁が会釈をして部屋から出て行くので、俺も私物を整理して鞄に詰め込んで戸締りを確認すると電気を消して会議室から出る。
すると……
「「お疲れ〜(お疲れ様)、尊君」」
会議室から出ると、柚宇と玲が部屋の入り口付近にいてそのまま両腕に抱きついてくる。草壁は既に去ったようでこの場にいない。
「さっきのプレゼンテーション、凄くわかりやすかったわ。それに……発表してる時の尊君、凄くか、かっこよかったわ……」
右腕に抱きつくのは玲で、恥ずかしそうに褒めてくる。しかし腕にはしっかり抱きついて離れる気配を見せない。
「色々大変だと思うけど頑張るから。私も尊君の支えになるからね〜」
左腕に抱きつくのは柚宇でいつもののんびりした口調でありながら、俺を見る目には艶があり、俺の左腕には物凄く柔らかな感触が伝わっている。
甘えん坊な2人を見ると疲れがみるみる取れてくる。とはいえ完治はしないだろうから少し休もう
「ありがとうございます。お2人にそう言って貰えると嬉しいです。ところでお2人にお願いがあるのですが、良いですか?」
「良いわよ、何かしら?」
玲が聞いてきて柚宇も頷く。俺は今から2人にアプローチを仕掛けるつもりだが、今の彼女らなら受け入れてくれるだろう。
「実は今から仮眠室で休む予定なんですが、お2人に時間があるなら一緒に寝てくれませんか?」
俺の頼みに2人は顔を見合わせるが、やがて笑みを浮かべて……
「「良いよ〜(良いわよ)」」
了承してくれる。それを見た俺は嬉しく思いながら仮眠室に向かう。
「ありがとうございます。ここ最近はプレゼンの準備で疲れたんですよ」
瞬間、2人はジト目で見てくる。
「草壁ちゃんと夜遅くまで頑張ったのかな〜」
「そういえば尊君はいつ草壁さんと仲良くなったのかしら?正直草壁さんと一緒にいたのは驚いたわ」
2人はジト目を向けながらも不安そうに抱きしめる力を強める。まずは事情を知らない玲に話すべきだな。
「草壁とは戦術を話している時に意気投合して、俺が計画について説明したら、手伝いを買って出たんだよ」
「そ、そうだったのね……(てっきり尊君がまた無意識のうちに口説き落としたのかと思ったけど違うようね)」
玲は小さい声でなんか言っているが、何を言っているのやら……まあ何にせよ、さっきよりもジト目は弱まってるし玲は大丈夫だな。
問題は柚宇の方だ。俺はジト目を向ける柚宇に対して、柚宇の手に自分の指を絡める。それによって柚宇はジト目を消して恥ずかしそうにしながら指を絡め返してくる。
俺は柚宇の指をニギニギしながらも仮眠室に到着したので、使われてない仮眠室に入り鍵をかける。
そして直ぐにベッドの上に乗ると……
「「尊君、お休みのキスをして」」
2人は左右を陣取っておねだりをしてくる。
「2人もですか?」
瞬間、2人は不機嫌な表情にはなる。え?今怒るところあったか?
「"も"って事は桐絵ちゃんともしたのよね?」
そ、そこか……
「多分旅行の時だと思うけど……まさか唇同士?」
「いやお休みのキスにおいて唇同士のキスはしていないですよ。したのは額です」
旅行の終わりにお礼として唇にキスをされたけど。
「そうなんだ〜。じゃあ私の額にもして」
「私も……」
柚宇は腕に抱きつきながら、玲は服を引っ張りながらおねだりを再度してくる。
当然断るつもりはないので……
「ではお2人とも、お休みなさい」
ちゅっ ちゅっ
俺は2人の額にキスをする。すると2人はより一層密着して……
「「お休み、尊君」」
ちゅっ ちゅっ
俺の両頬に柔らかな感触が伝わってくる。どうやら2人は頬にキスをしてくれたようだ。
その事に嬉しく思い俺は2人の温もりを感じながら眠りにつくのだった。
それから2時間後、俺は目を覚ましたが2人は眠りながらも甘えていて凄く魅力的だったのは言うまでもなかった。
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