唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第93話

「ああ、決めたよ。保証人が必要だからそこは頼む」

 

『わかった。もしも辛くなったらいつでも帰ってこいよ』

 

「ありがとう。じゃあまた」

 

そう言って通話を切って息を吐く。

 

「相変わらずの親バカだな。まあこれで8月中に一人暮らしが出来るな……」

 

俺は息を吐きながら不動産屋を見る。つい先ほど、気に入った賃貸物件を見つけたので借りたいと思ったが、保証人が必要であったのでこの世界の親に連絡を取って、了承を得たところだ。

 

そして8月中に一人暮らしが出来るので、そうなれば玲達を呼んでも邪魔が入らない。ボーダー基地で玲達と甘い時間を過ごしていると、偶に邪魔が入ってくる。

 

(プライベートスペースはハーレム計画には必須だからな)

 

俺は現在「唯我尊育成計画」と「B級隊員量産計画」と「ハーレム計画」の3つの計画を立てている。

 

唯我尊育成計画とは唯我尊、つまり俺をA級1位として相応しい人間にさせる計画だ。原作の唯我尊は余りにも弱過ぎであり、唯我尊に憑依した俺からしたら、折角ワールドトリガーの世界に転生したのにお荷物扱いされる惨めな人生は真っ平ゴメンだからな。

 

これについては何時頃達成するかはわからないが、自分でも成長を感じるので遠くない未来には達成出来る。

 

 

 

B級隊員量産計画は原作であるアフトクラトルの大規模侵攻による被害を減らすためだけ。あの時は市民からの死者や拉致被害者は出なかったが、ボーダーからは死者が数名と拉致被害者が40人近く出た。

 

原作に入った以上、少しでも減らしたい。もちろん被害を0にするのは至難だろうが、少なくとも死者は0にする。死者が出るのと出ないのでは全然違うからな。

 

まあ原作の時期になって玉狛第二がA級に上がれるかどうかは不安に思うがヒュースも入れば多分大丈夫だろう。もしかしたら漫画によくある御都合主義が……いや、ワールドトリガーはないな。修なんて修行したのに速攻で東に落とされたし。

 

 

 

 

そしてハーレム計画はボーダーの可愛い女子数人を囲って甘々な生活を送る計画だ。予定としては最低5人、多くて7人ぐらいまで囲いたい。

 

この計画については順調とも言えるし順調じゃないとも言える。既に玲と柚宇と桐絵は俺が囲もうとしなくても寄ってくるし、桐絵に至っては唇同士のキスをしてきたからな。

 

問題は全員を囲っても彼女ら1人1人に受け入れて貰えるかだ。現状、玲も柚宇も桐絵も独占欲がそこそこあるし、草壁を始めとした今後狙う女子も最初は受け入れて貰えないだろう。

 

一応受け入れて貰える為の策が無いわけじゃない。しかもそこまでリスクが大きくない策が。

 

しかしこの策は難しくない反面、使うタイミングが非常に少ないので厄介だ。

 

(まあ今は気にしなくていいか。とりあえず草壁と交流を深めながら新しい女子ともコンタクトを取っておくか)

 

5人目にコンタクトを取る相手は決まっている。B級隊員量産計画の際には接点が出来るだろうからそこを利用する。

 

とはいえ難易度は草壁ほどじゃないが高いだろうから慎重に行かないとな。

 

そう思いながら俺は炎天下にさらされた道を歩くが、汗がダラダラ流れて仕方ない。

 

コンビニにアイスでも買おうか思っている時だった。

 

「あっ……尊……」

 

曲がり角から荷物を持った桐絵が現れて、俺に気付くと頬を染めながらもバツの悪そうな表情になる。どうやらまだキスについて気にしてるようだ。

 

「お疲れ様です桐絵先輩。防衛任務上がりですか?」

 

「えっ……ううん。買い物に行ってきた帰り。尊こそ防衛任務上がり?」

 

「いえ。俺は一人暮らし用の物件探しです」

 

そう返すと桐絵はキョトンとした表情に変わる。

 

「え?尊、一人暮らしをするの?」

 

「はい。自立していきたいので。もし一人暮らしを始めたら遊びに来てください」

 

そして俺抜きでは生きていけないレベルまて甘やかす。

 

それには……

 

「ええっ?!む、無理よ!恥ずかしいじゃない……!」

 

キスを引きずっている状態をなんとかしないといけない。

 

「何故ですか?この前の旅行では一緒にお風呂に入ったり寝たじゃないですか?」

 

「そ、そうだけど……」

 

「もしかしてこの前のキスについて気にしてるのですか?」

 

「う、うん……」

 

桐絵は恥ずかしそうに頷く。

 

「アレは楽しい旅行にしてくれたお礼のキスと言っていましたが、外国ならよくあると思います」

 

外国行ったことないからわからんけど。

 

「それに俺も尊敬する先輩からのキスなら恥ずかしいとは思いますが、嬉しかったです。ですから桐絵先輩も気にしないでください」

 

「……本当?あたしに半ば無理矢理キスされて嫌じゃなかった?」

 

桐絵は上目遣いで俺を見てくる。凄く可愛い。

 

「嫌なら桐絵先輩を家に誘いませんよ」

 

「そ、そっか……ありがと」

 

桐絵は照れながらも礼を言ってくる。これで少しずつ立ち直るだろう。

 

そう思いながら俺は桐絵の手にある荷物を自分の手に移す。見たところ結構な量があるからな。

 

「自宅か玉狛かわかりませんか、送りますよ」

 

「自宅だけど良いの?」

 

「構いませんよ。今日は本部に行かないんで」

 

言いながら俺は桐絵の家の方に向かって歩き出すと桐絵も横に並ぶ。

 

「そういえば尊、レイジさんから聞いたけど正隊員を増やす為に頑張ってるみたいじゃない」

 

「B級隊員量産計画の事ですか?」

 

「そうそれ。もし良かったらあたしも協力するわよ」

 

桐絵はそう言いながら上目遣いで見てくる。俺の気のせいでないなら頼られたいと目が言っているような気がする。

 

「気持ちはありがたいですが、桐絵先輩はスペシャリストですから無理ですね。指導教官には基本に忠実な人間が向いてますので、桐絵先輩は大規模侵攻で人型を倒してください」

 

「なるほどね……わかったわ。人型はあたしが倒すわ!」

 

桐絵はテンションを上げながらそう言う。ぶっちゃけ感覚派の桐絵に指導役なんて向かないからな。

 

とはいえ馬鹿正直に言ったら不機嫌になるだろうからスペシャリストと褒め、別の役割を頼むのが1番だ。

 

そんな事を思いながら歩いていると、桐絵がモジモジしながら話しかけてくる。

 

「ねぇ尊。聞きたいことがあるんだけど良い?」

 

「何ですか?」

 

「答えたくないなら答えなくて良いんだけど……尊って好きな女子っている?」

 

遂にこの質問が来たか。この返事については決まっている。

 

「今はいませんね。少し前に好きな子が居ましたが、告白する前に彼氏持ちとわかったんで」

 

これについては前世で似た事があったので強ち間違いじゃない。

 

「そ、そうなんだ。じゃあボーダーの誰かと付き合いたいって考えたりしてないのね」

 

「まあ今は忙しいですし、それ以上に俺の知り合いの女性は魅力的な人が多いですから、誰か1人を選べって言われても選べないですよ。全員選んで良いみたいな選択肢があれば楽なんですが」

 

ここでさりげなくハーレムを希望している事を遠回しに言う。まあ念の為にフォローするが。

 

「すみません。女子の桐絵先輩からしたら今の意見は不愉快かもしれないですね」

 

「えっ……そんな事ないわ。真面目な尊がそう考えてたのは驚いたけど、人間の感情は複雑だしね」

 

桐絵はそう言ってくるが、軽蔑の色は無かった。とりあえずこれなら問題ないだろう。

 

そう思っていると桐絵の家に到着したので俺は桐絵に荷物を渡す。

 

「ではこれで失礼します」

 

「あ、待って。その……また助けて貰ったお礼を……」

 

桐絵は恥ずかしそうにしながらも目を瞑り、そのまま俺に近付き……

 

ちゅっ

 

以前のように唇を重ねてくる。それに伴い以前も感じた熱が顔に生まれる。

 

「じゃあ尊。またね……荷物、ありがと」

 

桐絵は早足で家に入るが、今後はお礼をする際にキスをするだろう。

 

とりあえず夏休みが終わるまでに柚宇と玲に対しても動くとしようか。

 

俺は内心満足しながら自宅に向かうのだった。

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