唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

98 / 148
第96話

「着いた着いた。それじゃあゲームセンターを楽しもっか」

 

柚宇はいつもの調子でそう言ってくる。

 

さっきまでエロゲコーナーを見ていたことからドス黒いオーラを出していた柚宇だが、漸くいつも通りの柚宇に戻った。

 

ちなみに冬島についてはゲーセンに同行する事を希望していたが、エンジニアに呼び出しを食らって哀愁を漂わせながらボーダー基地へ向かった。元社会人の俺としては冬島の気持ちは痛いほど理解出来る。俺も休日出勤は大嫌いだったし。

 

しかし冬島の場合は金が出るだろうからまだマシだろう。俺のところでは出なかったし。

 

「やっぱり尊君は初めてかね?」

 

「いや。前に玲さんと行った……っ!」

 

「ふ〜〜〜〜ん?」

 

柚宇は再度ドス黒いオーラを撒き散らしながら笑顔で俺を見てくる。笑顔なのに感じるのは恐怖だけだ。

 

「そっか〜、それは楽しそうだね〜。尊君って美人が好きだもんね〜」

 

柚宇は一歩近づいてくる。こういう時の対処法は……

 

「否定はしない。美女と過ごしたいのは男としての本能だからな。実際美女の柚宇と過ごすのは楽しいからな」

 

「っ……尊君。そういうのは面と向かって言わないでよ。大体私は美女じゃないよ」

 

「そうか……まあ柚宇は美女というより可愛い系だよな」

 

実際美女ってのは玲とか加古とか月見で、柚宇とか桐絵は可愛い系女子だろう。

 

「もう……馬鹿っ」

 

柚宇は俺の胸をコツンと叩いてくるが、その仕草は可愛いな。

 

「馬鹿って言うな。というかそもそも本題に戻りたいんだが、何のゲームをやるんだ?」

 

今はデートの最中だ。こういうやり取りも悪くないが、久しぶりのゲーセンなので羽目を外したいのが本音だ。

 

「おっとそうだった。じゃあ格闘ゲームで」

 

格闘ゲームか……作戦室で柚宇とやる時は柚宇が高い勝率を誇っているんだよなぁ。ま、勝ち負けに拘りはないから構わないが。

 

俺が了承しようとしたが、そのタイミングで電話が鳴る。相手を見れば本部長だった。

 

「済まん。ちょっと電話が来たから先に筐体に行っててくれ」

 

「ほ〜い」

 

柚宇から了承を貰った俺はゲーセンの外に向かう。ゲーセンって音が煩過ぎるからな。

 

そしてゲーセンから出て電話に出る。

 

「はいもしもし唯我です」

 

『唯我か。以前君が頼んだことについてたが、20日の午前10時からで大丈夫か?』

 

「少々お待ちください」

 

俺は鞄からメモ帳を取り出してスケジュールを確認する。20日については俺は午後3時から防衛任務で、草壁は完全なオフだから大丈夫だな。

 

「多分大丈夫ですね」

 

『わかった。もし予定が変わりそうなら早めに連絡をするように』

 

「わかりました。では宜しくお願いします」

 

そう言ってから電話が切れるのを待ち、切れたら草壁に20日の10時は空いてるかの確認メールを送る。直ぐには来ないだろうし、とりあえず柚宇の元に向かうか。

 

俺はゲーセンに戻り、格ゲーがある場所に向かうが……

 

(んだありゃ?ナンパか?)

 

見れば中学生か高校生らしき男子2人が柚宇に話しかけている。まあ柚宇は見た目が可愛いから仕方ないか。まあ柚宇は乗り気では無いようで首を横に振って断っているが。

 

しかし男は気に食わなかったようで柚宇の腕を掴んでくる。

 

それを確認した俺は早足で詰め寄り男の腕を引っ張り、柚宇から引き離す。

 

「っ……、何だよお前、邪魔すんなよ」

 

「こっちのセリフだ。コイツは俺の連れだ」

 

柚宇の腕を掴んでいた男が睨みつけるが意に介さず、反論する。

 

すると片方の男が鼻で笑いながら柚宇に話しかける。

 

「おいおい。こんな冴えない奴と過ごすより、俺らと遊んだ方が楽しいぜ」

 

「だな。って訳だからお前はどっか行けよ、殺すぞ」

 

柚宇の腕を掴んだ男はそう言いながら俺の胸倉を掴み上げるが……

 

(殺す、ねぇ……安い言葉だな)

 

中学生や高校生は言葉に酔う傾向があり、直ぐに死ねだの殺すとか口にする。まあ年頃だから仕方ない、俺も学生時代は友人にからかわれた際に軽い調子で死ねとか言っていたからな。

 

とはいえ……嫌がる柚宇の手を掴むだけじゃ飽き足らず、人の胸倉を掴むのは看過できないな。

 

柚宇は本当に素晴らしい女子だからな。

 

 

 

 

 

 

「はっ、そんな安っぽい脅しで引くと思ってんのか……殺すぞ」

 

俺は本気の殺意をぶつけながら男の頚動脈がある箇所を撫でる。こちとら前世では本気で上司を殺そうとしたから、本物の殺意を出す事は可能だ。

 

「「ひいっ!」」

 

殺気を理解出来る事は出来るようで2人は悲鳴をあげて腰を抜かしたかと思えば、逃げるように走り去っていく。

 

やっぱり学生の殺す発言なんて中途半端だな。しかし殺意をぶつけただけで退いてくれたのは助かった。正直俺の身体能力は転生当初に比べたらマシだが、2人を相手にして勝てるほど強くないからな。

 

そう思っていると肩を叩かれたので振り向くと、柚宇が驚きながらも真剣な表情を浮かべながら俺を見てくる。

 

「……尊君。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」

 

多分柚宇も殺気を感じたのだろう。柚宇も近界に行った経験があるから戦いを知っていて、必然的に殺意というものを理解したのかもしれない。

 

そして大きく変わったとはいえ、平和な世界で生きていた人間には出せない殺意と俺の存在を疑ったのだろう。

 

(仕方ない。柚宇には全てを話すか)

 

既に柚宇には自分の本性を曝け出したことがあるので、誤魔化すのが難しい。一応誤魔化せないわけじゃないが、下手したら信用を失う可能性が高いので正直に話すつもりだ。

 

こうなることを想定して、回答パターンは用意してるしな。

 

「わかったよ。とりあえずゲーセンは後回しにして良いか?」

 

その言葉に柚宇が頷くので俺は柚宇の手を引っ張ってゲーセンに出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかったよ。とりあえずゲーセンは後回しにして良いか?」

 

唯我の言葉に柚宇が頷くと、唯我は柚宇の手を引っ張り歩き始める。

 

唯我の手にドキリとしながらも唯我の背中を見る。

 

(やっぱ尊君はなにかを隠してるみたいだけど、漸く知れるのか〜)

 

柚宇は唯我の背中を見ながらそう思う。先程柚宇はしつこいナンパを受けていたが、唯我に助けて貰った。

 

最初は好きな男に助けて貰い、嬉しく思っていた。

 

しかしナンパしてきた方が唯我の胸倉を掴んだ際には焦りが生まれ、唯我が殺意を剥き出しにした際は驚きの感情が生まれた。

 

アレには驚いた。パソコン越しとはいえ近界で本気の戦闘を見た事がある柚宇からしたら、幾ら強くなろうと改心してもあそこまでの殺気を出せるなんて有り得ない。

 

(可能性として考えた事はあるけど、尊君って尊君じゃないのかな?)

 

以前から唯我は変わったと皆が言うが、以前車に轢かれかけた際に唯我の態度を見た柚宇だが、今回の件でそう思うようになった。幾ら何でも成長し過ぎであり得ないと思い始めた。

 

(正直怖いとも思うけど、しりたいな〜)

 

怖い気持ちもあるが、それ以上に聞きたい気持ちがあるので全て聞くつもりだ。

 

そして唯我の隠し事をしっても絶対に受け入れると思っている。唯我が偶に見せる冷徹な表情は毎回自分の為に出しているので、根は優しい人間である事はわかってるからだ。

 

(だから尊君には正直に話してほしいなぁ。私はなにがあっても君の事が好き、だから……)

 

柚宇は自分の恋心を内心にて呟きながらも唯我に手を引っ張られてゲーセンを後にした。

 

唯我の全てを知るために。

ヒロインは何人まで希望?4人は確定

  • 4人
  • 5人
  • 6人
  • 7人
  • 10人以上
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。