おっぱいフロントライン ※休載中※   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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やっぱ恋愛描写って難しいなあ………。


M4「バ、罰ゲーーーーーーム…その2です」指揮官「お、おう」

〜グリフィンの基地内での一幕〜

 

「ふ、ふふふふふふ………」

 

基地内のカフェでニヤニヤと笑みを浮かべながらコーヒーを飲むヘリアントスがいた。

普段とは全く違う別人のような彼女の顔に、周りにいる人形達はドン引きしている。

 

「ヘリアンさん?とてもご機嫌ですね?」

 

柔和な笑顔を見せながらカフェの店長であるスプリングフィールド(春田さんとも呼ばれている)が話しかける。

気味が悪くて誰もが知らんふりを決め込む中で、話しかけたスプリングフィールドに他の人形達は「流石春田さん……私達では気まずくて聞きにくい事でもアッサリ聞いてしまうなんて!そこに痺れる憧れるゥ‼︎」と思いながら二人の様子を伺っていた。

 

「む、やはりそう見えるのか?実はだな………この間の合コンで」

 

 

 

 

 

「結婚を前提にお付き合いさせて下さいと言われたんだ‼︎」

 

 

 

 

 

 

「「「「「何ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ⁉︎」」」」」

 

 

 

ヘリアントスの衝撃の告白にカフェ内の人形達が絶叫する。

まあ無理もない。

合コン失敗が最早伝説となりつつある、あのヘリアントスがついに男の心を掴んだのだから。

 

「ええっ⁉︎それは本当ですか‼︎よかったですね、ヘリアンさん」

 

唯一スプリングフィールドだけが平静を保っていたが、流石に驚きを隠せなかったようで口元に手を当て小さく声を上げた。

 

 

「………でね、その時指揮官が…」

 

不意にカフェの扉が開き、AR小隊の面々がカフェへとやってきた。

何やらえらく騒ついているカフェにM16が疑問の声をかけた。

 

「………?今日は珍しく騒がしいな。何かあったのか?」

 

M16がそう言うと同時に、ヘリアントスが椅子から立ち上がりAR小隊の方に駆け寄って来た。

 

「聞いてくれ、とうとう私にも春が………!」

 

「話が見えないが………ま、まさか⁉︎」

 

M16は、己の勘を限界まで働かせてある結論に至る。

 

「ついに男を諦めて百合の道に走ったのか………⁉︎」

「違う。というかお前は私をそう言う風に思っていたのか?」

「じゃ、じゃあまさか…本当のホントに?」

「そうだ。この間の合コンで告白されたんだ。もうこれで恋愛クソ雑魚ナメクジなどと言わせないぞ‼︎」

 

ガッツポーズを決め込んでドヤ顔で胸を張るヘリアントスにAR小隊の面々も呆気にとられてしまう。

しかし、そこはM16。

ある可能性を思い付き、つい口に出してしまった。

 

「結婚詐欺じゃないのか?」

 

その一言にカフェの空気が凍りつく。

炎天下から氷河期にまで変わったのではないかと言わんばかりの空気が漂う。

 

「結婚詐欺ですよ、それ」

「結婚詐欺ね」

 

M16に続くようにして、いつの間にか現れたカリーナとAR-15が言う。

 

「なん………だと⁉︎それはどういう意味だ⁉︎」

 

ヘリアントスは僅かに動揺しながらM16に詰め寄った。

 

「いくら合コンで気が合ったとしても、その日のうちに結婚を前提の付き合いだなんて………怪しくないか?」

 

妙に説得力のある言葉にヘリアントスも黙ってしまう。

 

「そう言えば、その相手の男はどういう人物なんだ?」

「あ、ああ…現役の正規軍の将校だ。似たような職業をしているからか話が合ったんだ。それで、トントン拍子に………。だ、大丈夫だ!仮にも正規軍の将校が結婚詐欺なんてそんな事!」

「そんなの分からないだろ。正規軍の将校っていうのも本当かどうか怪しい。ヘリアンさんがグリフィンの幹部と知って近づいてきた可能性も………」

 

M16の言葉にヘリアントスの顔が蒼白になっていく。

 

「いや、そんな………まさか………。ま、待て!所詮それは推測だ!何の根拠もない!だが………一度確かめてみるか」

 

先程とは打って変わってハア、と溜息をついて机に突っ伏すヘリアントス。

 

「まあまあ…まだ結婚詐欺と決まった訳じゃ無いですからコーヒーでも飲んで元気を出して下さい。」

 

その姿を見兼ねたのか、スプリングフィールドが励ますように声をかける。

ヘリアントスの背中からは哀愁が漂っていた。

 

 

 

「ねぇ、カリーナさん。結婚詐欺ってなんなの?」

「いいですか、SOPさん。結婚詐欺というのはですね………」

 

 

こっちはこっちで通常運転だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスターとの話を終えて店の中に戻ると、M4は静かにコーヒーを飲みながら窓の外を眺めていた。

 

「すまん、話が長引いてな。何を見てたんだ?」

「指揮官………」

 

M4の見ていた先には、窓の外の歩道を仲睦まじそうな親子が歩いている姿が映っていた。

 

「こんな事を言うと変かも知れませんが、あの人達を見てると、何だか………とても懐かしい気持ちになったので………」

「………そうか」

 

苦笑しながらM4が俺を見る。

その瞳は、何故だかとても切なさそうな目をしていた。

 

「おかしいですよね。私は人形なのに………懐かしいだなんて」

 

「M4………お前、泣いてるのか?」

 

えっ?と言いながらM4が目蓋を拭う。

彼女の両目からは、涙が止めどめなく流れていた。

 

「あ、あはは…ど、どうして涙流してるんだろう………?分からない………どうして?」

 

両頬が涙で濡れていく。

悲しみの滝は止まらない。

 

「指揮官………私は、何故泣いているのでしょうか…?」

 

M4が困惑した表情を浮かべ、泣きながら俺を見つめる。

 

 

 

「指…揮……官?」

 

俺は黙って彼女にハンカチを渡す。

 

「大丈夫だM4。大丈夫なんだ………」

 

 

 

M4は目を僅かに見開き、俯いてしまう。

すまない。

今の俺には、お前に何をどうしたらいいのか頭に浮かばないんだ。

こんな事くらいしか出来ないが、何の根拠もないが言っておこう。

 

「M4、お前の感情は多分正しいモノの筈だ。何かがあるからお前は泣いてるんだ。例え思い出せなくても、それは………間違いなく。お前だけが持ち得るものだ」

 

俺がそう言うとM4は頷き、暫くの間彼女の啜り泣く声が続いた。

 

 

 

 

 

 

「コーヒー、冷めちゃいましたね………」

「何、問題ない。俺はこう見えて猫舌でな」

 

俺が気を使って言っていると思ったのか、M4は申し訳なさそうな顔をする。

別の話題を振った方がいいかも知れないな。

 

 

その後、俺とM4は色々な話をした。

他愛のない話からAR小隊の思い出話………。

話が弾み、気が付けば夕暮れに差し掛かっていた。

 

「っと、もうこんな時間か。結構話し込んじまったな。そろそろ行くか」

「そうですね。もう基地に帰りますか?」

 

コーヒー代を払い、マスターに礼を言って俺とM4は喫茶店を後にする。

 

「あ、そうだ。最後に一つだけ寄り道しても構わないか?」

「え?は、はい。どこに行くんですか?」

「この街で一番空に近い場所だよ」

 

 

 

 

 

 

 

この街の中心部には、天体観測用の展望台が存在している。

元々は第三次世界大戦が起こるよりも前に建設されたそうだが、大戦の混乱と現在に至るまでの諍いの最中で放棄されてしまっている。

撤去しようにも費用や諸々の問題で結局放置されているのが現状だ。

天体観測が好きな一部の人間が出入りしているものの、人の気配はあまりない。

それでも綺麗に施設が維持されているところを見る限り誰かしらが掃除や修復をしてくれているのだろう。

 

「この場所は………?」

「ここは展望台だった場所だ。世界大戦が起こるまでは人の出入りも多かったそうだが今ではこの有様って訳さ」

 

階段を上り屋上へと出る。

日が沈みかけているというのも相まって星空が綺麗に広がって見えていた。

 

「綺麗ですね………」

「そうだろう?ここは星空がよく見える絶景スポットでもあるんだ。だから展望台がある訳だが」

 

散りばめられた宝石のように散々と光り輝く空を見上げて俺は思いを馳せた。

だが、こうしているとどうしても思い出してしまう。

あの時のマスターに言われた言葉と、かつての忌まわしい記憶を。

 

 

 

…………………………。

 

 

『君!何辛気臭い顔してるのさ?ほらほら、シャキッとしなさいシャキッと!』

 

 

『………ッ領域が広がり続けてる!?接続を遮断してッ!!君がやらないと皆死ぬの!!男なら決断しなさい!!』

 

 

『そう………それ…で………いい………の。決………あ………………ては………………!!』

 

 

…………………駄目だな。

やはり俺はまだ諦めがつかないらしい。

あれからもう7年も経つというのに………。

 

何故ここに至って俺は思い出してしまったのか?

一人で考えるのが怖かったからなのか。

過去にしがみ付く自分を自覚してしまうからか。

誰かと居れば断ち切れると思ったからなのか。

 

 

 

 

 

俺自身にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

展望台の屋上で星空を眺めたまま沈黙してしまった指揮官。

彼はとても悲しげな表情をその顔に浮かべていた。

まるで、もう戻ってこない過去に思いを馳せているような顔。

いつも笑みを浮かべて、おちゃらけながら陽気に振る舞う人物とは思えなかった。

 

「指揮官………?」

「………っすまない。少し昔のことを思い出しただけだ」

 

指揮官は、少しずつ何かを吐き出すように語り始めた。

 

「俺はグリフィンに入社する前、正規軍のとある研究所にいた。これでも昔は一人の研究者として様々な実験研究をしていたよ。だが、ある時に実験で大きな事故が起こってな」

 

その時の事を思い出したからなのか、指揮官の顔が苦々しいものへと変わる。

 

「事故………ですか?」

「そうだ。………大勢の死人が出る程の事故だ。俺は、その時の事故の責任を問われて研究所から追い立てられ、別の部隊へと異動になった。だが上手くいかずに結局辞めたんだ。行く宛も無かった俺をクルーガー氏がグリフィンに勧誘してくれた。採用試験の後、指揮官適性があるからって理由で前線基地に配属されたという訳だ」

「……………」

 

ふと、M4は気付く。

指揮官たる男の身体が僅かながらに震えていることに。

それを見たM4は思わず指揮官の手を掴み、両手で包み込む。

 

「M4………?」

「大丈夫です、指揮官。私がいます」

 

そう言って微笑むM4に指揮官は僅かに呆然としているようだった。

 

「………そうか。ありがとうM4。少し元気が出たよ」

「そう…ですか?なら、よかったです………」

 

顔を綻ばせて笑う指揮官の姿を見てM4も笑った。

 

「………そうだな、M4。君になら話して良いかも知れない。実を言うと先程の事故の話だが」

 

指揮官はいつになく真剣な顔でM4に向き直った。

 

「事故なんかじゃなかった。アレは………事故などではないんだ」

「それは、一体どういう………」

 

指揮官の瞳には畏怖と恐怖が浮かんでいた。

やがて、意を決したように指揮官は口を開く。

 

「本当は、実験の産物として喚び出した恐るべき存在に襲われたんだ。あの時の自分は思い上がっていたんだよ。例え実験の過程で何が現れようとも制御できるだろうと傲慢にも思っていた。その結果、俺は大事な人を失う事になったんだ」

 

指揮官は俯いて声を震わせる。

暫くすると顔を上げ、M4に少しずつ詰め寄った。

 

「もし君が、これから先において恐怖や絶望に呑まれそうになった時は、この名を思い出せ。この世界………いや、この宇宙には鉄血やELIDなどでは足元にも及ばない程の、より絶対的な破壊の力が潜んでいる。だからこそ、強い恐怖をあらかじめ知っておけば、これからの苦難にも立ち向かえる筈だ」

 

 

 

 

 

 

「その恐るべき破壊の名は………」

 

 

指揮官はM4の耳元に口を近づけると、呟くように囁いた。

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

 

 

M4の顔色が不安に染まる。

 

「指揮官、それは………」

 

「記憶の片隅に留めておくと良い。但し、決して人前でその名を口にしてはならない。名前というのは、それ自体が強い意味を持つからな」

 

そう言って指揮官はいつも通りの笑顔を浮かべた。

 

「もう帰るとするか。何か買っていきたい物があるなら言ってくれて構わないぞ?」

「いえ、大丈夫です。姉さん達も心配するかもしれないですから帰りましょう」

「ん、じゃあ帰ろうか」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいーっす!帰ったぞー‼︎風呂と飯を準備してくれ」

「た、ただいまー」

 

基地に帰隊した俺達を出迎えたのは水色オッパイこと、HK416だった。

何故かエプロンを身につけて髪をポニテにしているが、あえて突っ込まない事にする。

 

「仕事帰りのサラリーマンかアンタは‼︎いいご身分ね、一日中遊び呆けた気分はどう?」

 

俺をしこたま睨みつけながら、腰に手を当てて怒り出す416。

カリカリすんな。落ち着けよ。

 

「なら明日俺の代わりにこの企画に参加するか………?明日はM16かも知れないぜ?」

「そんなのコッチから願い下げよ!ほら、さっさと着替えてきて下さい!」

「はいはい。んじゃ、俺は一旦執務室に戻るからM4も先に宿舎へ帰っていてくれ」

「あ、はい。分かりました。なら私もM16姉さんに報告して来ますね」

 

 

 

 

 

 

 

M4が宿舎に行くのを見届け、執務室に帰ろうとすると廊下でUMP9に出会った。

 

「あ!指揮官、お帰りー!」

「おう、ただいま。一つ聞きたいんだが、416の格好はどういう事なんだ?」

「G11がパンケーキ食べたいって強請るから、作ってあげてるみたいだよ?何だかんだ言って甘々だからね〜」

「お母さんかアイツは」

 

成る程、そういう事か。

しかし、エプロン姿の416なんて貴重な物が見れたな。

俺もああいう風に出迎えてくれる嫁がいれば幸せこの上ないが………。

まあ、無い物ねだりをしても仕方がない。

 

「あ、そうだ。M16が帰ってきたらカフェに来るようにって言ってたよ?多分クジ引きじゃないかな?」

 

だあああ!

クソッ、そういやまだ二人終わっただけなんだよな。

あと残るはAR-15とM16か………順番逆の方が良かったな。

 

 

 

 

 

 

 

「フッフッフ、よくぞ試練を乗り越えここまで辿り着いたな勇者よ‼︎褒めてやる‼︎」

 

カフェに入った俺をM16が笑いながら出迎えた。

RPGの魔王かよ、お前は。

 

「何が試練だよアホらしい。で、クジ引きやるんじゃないのか?」

「ツレないなあ、指揮官は。それより、M4とのデートはどうだった?悲しませたりしてないよな?」

「お、おう。勿論だ。M4から聞いてないのか?」

「当然聞いたが、やはり指揮官自身の口から聞いた方がいいと思ってな。で?どうなんだ?」

 

「いや、全く問題ない。楽しく終わった一日だったよ。M4もそう言ってなかったか?」

 

………まあ実を言うとM4泣いたりしてたし、完全に否定するのは難しい気がする。

だ、だがあれは俺が原因ではないしノーカンだな、ノーカン。

もしM4がデート中に泣いたなんて言えばM16にどんな目に合わせられるか分かったもんじゃない。

 

「そうか?ならいいんだが………。さて、指揮官。人形恋愛前線3回目のクジ引きと行こうじゃないか。今日クジを引いてくれるのはUMP45だ。45、頼むぞ」

 

「はいはーい。このクジの結果で指揮官の運命が決まるわね〜」

 

おい待て、不吉な事を言うな‼︎

UMP45の奴、楽しそうに笑いやがって‼︎

45の手によって箱の中からクジが取り出され、M16に手渡される。

 

 

 

「ほう………コイツは面白い。さあ、記念すべき3回目のクジ引きの結果は‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『AR-15』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指揮官がクジの結果に天を仰いでいる姿を見ながら、私は今日一日の事を思い出していた。

展望台での、あの言葉を。

 

 

 

「もし君が、これから先において恐怖や絶望に呑まれそうになった時、この名を思い出せ。この世界………いや、この宇宙には鉄血やELIDなどでは足元にも及ばない程の、より絶対的な破壊の力が潜んでいる。だからこそ、強い恐怖をあらかじめ知っておけば、これからの苦難にも立ち向かえる筈だ」

 

 

指揮官は、そう言って私の耳元にまで近づくとその言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

「その恐るべき破壊の名は……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギドラだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

「パンパカパーン!パパパ!パンパカパーン‼︎」ーーーーーーAR小隊の隊員・M16A1

 

「もう突っ込む気すら起きねぇ」ーーーーーー人形恋愛前線に参加させられている哀れな男・指揮官

 

「このマラカスって何に使うの?歌が下手な人を殴る用かしら?」ーーーーーーAR小隊の隊員・AR-15

 

 

 

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