おっぱいフロントライン ※休載中※   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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おっぱい。


指揮官「俺の出番はなしか………」G11「じゃあベッドで寝よ?」

指揮官達が触手と戯れているのと同時刻。

鉄血の侵攻を阻止するため陸路からB-29地区へと入った第2部隊は、これといった攻撃を受けることもなく地区の中心部に近づきつつあった。

 

 

「G36、どうかしたの?」

 

第2部隊の隊員であるLWMMGが隊長であるG36に問いかける。

G36は僅かに眉間に皺を寄せて鋭い目付きをしたまま何やら通信を聞いているようだった。

 

「………カリーナさんから報告がありました。ご主人様と404小隊が乗っていたヘリが地対空ミサイルで攻撃を受けたそうです」

「それ本当?指揮官達の安否は?」

「報告では、ご主人様達はヘリからの通信が途切れる数分前に空挺降下したようです。おそらく無事であると思いますが」

 

G36の言葉に第2部隊の面々が安堵の表情に包まれる。

 

「何ていうかG36って落ち着いてるよね。指揮官が心配じゃないのー?」

「ミサイル程度で死ぬような人ではありませんから。そう言うBARも然程心配してないでしょう?」

「まあ指揮官なら大丈夫かもねー。前も私が5階の執務室から投げ飛ばしたけど、怪我一つなく戻ってきたし」

 

しみじみと懐かしむように過去を思い出しながら独りごちるBAR。

配属されて間もない頃、仕事のドサクサに紛れて胸を揉もうとしてきた指揮官を勢い余って投げ飛ばしたが、傷一つなく戻ってきたのは良い?思い出だ。

 

「………って言うか、私達のいる基地で指揮官に胸関係で何かされた事のない人形っていないよね?」

 

BARがそう言うと、全員が沈黙し顔を背けた。

 

「フンッ、ホントに変態ねアイツ。あんな好色指揮官が私達の上司だなんて不幸だわ」

 

WA2000が憮然としながら言うと、それを聞いたBARがニヤニヤと笑う。

 

「な、何よ?」

 

「いやー?わーちゃんって何時もそうやってツンツンしてるけど指揮官の事が本当は心配なんでしょ?」

 

「なっ………!そんな訳無いじゃない!だ、誰があんな奴………」

 

「成る程成る程。じゃあ指揮官がどうなろうと、わーちゃんは何とも思わない訳だ?」

 

「そ、そうは言ってないわよ!確かに指揮官は巫山戯ていて、バカでしょっちゅう私の胸を掴みにくる真性の変態だけど!そ、そんな奴でも何かあったら作戦や指揮系統に支障が出るでしょ⁈」

 

「つまり心配してるって事だね。わーちゃんってば本当ツンデレなんだから」

 

「ツ、ツン………ッ⁉︎私はツンデレなんかじゃ…って、さり気なくわーちゃんって言うなーッ‼︎」

 

ムガー‼︎と顔を赤く染めて猛抗議するWA2000。

その姿は実に微笑ましいものであった。

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ第1部隊との合流ポイントですね」

 

黒い軍服を身に纏う第2部隊隊員のMP40が地図を確認しながら言う。

 

「出撃前のブリーフィングでは、ジュピターが展開されてると聞いてたけど全く姿を見ないね………」

 

LWMMGがそう言いながら辺りを見渡すが、視界に入るのは廃墟と瓦礫だけだった。

ジュピターどころか鉄血兵も居ないのではーーーーーー?

そう皆が思うと同時だった。

 

 

 

 

 

「おやおや………こんな所で何をしているんだ?グリフィンの鉄屑ども?」

 

「ッ⁉︎」

 

 

 

突如、頭上から聞こえてきた声。

それを聞くと同時に第2部隊の隊員達は一斉に警戒して距離を取った。

声が聞こえた方を見ると、そこには長く白い髪をした人形が佇んでいる。

 

 

 

その人形に見覚えのあるG36は、思わずその名を口にした。

 

 

 

「アルバトリオンッ………‼︎」

 

 

「アルケミストだッ‼︎私はモ◯ハンに登場するモンスターじゃないッ‼︎」

 

 

 

 

自分の名前を間違えられた事に鉄血のハイエンドモデル人形・アルケミストは憤慨した。

 

「おや、違うのですか?」

 

「違うに決まってるだろう‼︎バカにしているのか⁉︎」

 

キョトンとした表情で言うG36に、アルケミストは盛大に突っ込みを入れる。

 

「どうしてハイエンドモデルである貴方が護衛もなく、このような場所に?」

 

「フン………それはだなーーーーーー」

 

 

 

 

 

〜回想〜

 

鉄血の司令部にて。

 

「申し上げます!グリフィンの人形部隊が我々の占領地域内に現れましたぁ‼︎」

 

バタバタと慌しく司令部に飛び込んで来た一人の鉄血兵の報告に、司令部にいるハイエンドモデル達が騒めいた。

 

「ダニィ⁉︎」

「ば、バカな⁉︎侵入されるまで分からなかったというのか⁉︎」

「不味いですね………!」

「もうダメだ、おしまいだぁ………!」

 

突然の事態に大混乱に陥り、喚く者や戦意喪失する者が出始めたその時だった。

 

「話は聞かせて貰ったぞ‼︎」

 

バァンッ‼︎と扉を蹴破る音で場は一気に静まり返る。

 

「あ、貴方は⁉︎」

「おお!あの方は‼︎」

 

長身の白く長い髪の女性が堂々とした佇まいで現れた一人の人形。

そう、彼女こそ‼︎

 

 

 

 

数多いる鉄血人形の中でも、抜きん出たおっぱいを持つ最強鉄血ハイエンドモデル人形・アルケミストッ‼︎

 

 

 

 

 

「グリフィンなど私に任せておけ。何、五分もあればあんな連中は一瞬で始末できる」

 

 

ドンッ‼︎という擬音を響かせながらデカイ胸を張るアルケミスト。

彼女から溢れ出る自信と力強さに、周囲の鉄血兵やハイエンドモデル達の目に力が戻る。

 

「か、勝てる………!人形界のSM女王であるアルケミスト様がいれば………‼︎」

「流石はアルケミスト様!我等、鉄血が誇る血塗られし守護神‼︎」

「アルケミスト様素敵‼︎あの方の責めを私も受けたいッ‼︎」

 

 

希望と称賛の眼差しを向けられたアルケミストは、満足そうに微笑み

 

「さあ、覚悟しろよ?グリフィンの鉄屑ども。スーパーキュートラブリー人形の私がお前達を可愛がってやるからな☆」

 

とカメラ目線でウィンクして見せたのだった。

 

 

 

〜回想終わり〜

 

 

 

 

 

 

そうして、今現在アルケミストは第2部隊の前にガイナ立ちで現れーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んな訳ないだろうがああああああああああああああああああああああああああああッ‼︎私のキャラを勝手に捏造するんじゃないッ‼︎」

 

 

ーーーーーーた訳ではなかった。

 

 

 

 

「おや、違うのですか?」

 

G36の推測回想を、全力で叫びながら否定するアルケミスト。

急に叫んで疲れたのか、ハアハアと肩で息をする彼女の姿に皆が生暖かい視線を送る。

 

「それで、鉄血のSM女王兼血塗られし守護神(笑)のアルケミストはどうしてここに?」

 

「誰がSM女王の血塗られし守護神(笑)だッ‼︎私にそんな痛々しい通り名はない‼︎そもそも、私がここにきた理由はーーーーーー」

 

怒りと羞恥で顔を赤らめながらも、アルケミストは再び語り出した。

 

 

 

 

 

 

〜回想(本当の)〜

 

 

「アルケミスト、宜しいですか?」

 

鉄血の司令部で、暇を持て余し少女漫画を読み耽っていたアルケミスト。

そんな彼女に声を掛けてきたのは上司であるハイエンドモデルの代理人ことエージェントだった。

 

「ああ、構わないが………何かあったのか?」

 

「ええ、少々問題事が。ここ最近、B-29地区を哨戒していた兵が複数行方不明になるといった事案が何度か発生しています」

 

代理人はそう言うと、大型モニターに映し出されているB-29地区を指す。

モニターには行方不明になった場所が赤く表示されていた。

 

「グリフィンの仕業じゃないのか?」

「私もそう思いましたが、どうやら違うようですわ」

 

モニター画面が別の画面に変わる。

何処かの防犯カメラに映っていた映像だろうか、画面に映っている鉄血兵が、次々と泥状の何かに呑み込まれていく。

残った者達が反撃とばかりに射撃をするが為すすべなく呑まれていった。

 

「………何だこれは?グリフィンの新型兵器か?」

「流石に私にも分かりませんわ。唯、この泥は人間や動物も襲う事が分かっています。グリフィンの作った兵器ならそんな事は無いでしょうし、判断に困りますわね」

「E.L.I.Dとかいう奴等じゃないのか?」

「資料で見た限り、あのような形状のE.L.I.Dは確認出来ませんでした。となると、全く別の存在である何かですわ」

「別の存在ね………」

 

確かB-29地区は僅かな数の人間が住んでいた場所だ。

戦略的にも然程重要でないという事と、グリフィンや軍の施設も無い事から放置していたが、こんな面倒事が起こるとは。

 

「そういえば、B-29地区から人間が居なくなったのは三カ月程前からだったか?」

「そうです。事案が発生するようになったのもこの頃からですわね」

「む………?行方不明になった兵は皆この同じような場所でやられているようだな」

 

モニターに映る行方不明場所は、ある一つの建物を中心にした付近で起こっている事に気づいたアルケミスト。

 

「あの建物を調べた方がよさそうだ」

「同意見ですわ。だから貴方に今回の件を任せようと思います。くれぐれもヘマをしないように」

「いいだろう。今動かせるハイエンドモデルは誰がいる?」

「ハンターと………潜入任務から一時帰還しているウロボロスがいますわ」

「ハンターは構わないがウロボロスか………。大丈夫なのか?」

「貴方の指示に従うように伝えているので問題ないとは思います。まあ、余りに勝手が過ぎるようでしたら『教育』しても構いませんわ」

「了解した。後は私に任せておいてくれ」

「今回の件には、ご主人様も関心を示しておられます。何度も言いますが、油断慢心で無用な損害を出さないように心掛けて下さい」

「分かっている。またな」

 

代理人に手を振りながら、アルケミストは司令室から出る。

久しぶりの大規模な作戦になりそうだ、とアルケミストは僅かに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………という訳だ」

 

 

 

 

 

「フム、つまり『不甲斐ない部下に変わって、おっぱい魔人である私がチョチョイのチョイと問題を解決してあげるわ☆ハンター!ウロボロス!アルケミスト!私達こそ、鉄血が誇るハイエンド三天王だッ!エージェント、私達の活躍ぶりを舐めるようにして見ていてね♡月に代わってお仕置きよ(テヘペロッ☆)』という訳ですか」

 

「気色の悪い台詞補正を入れるなッ‼︎私は☆や♡を台詞に含んだりはしないッ‼︎」

 

メタい発言をしながらG36に食って掛かるアルケミスト。

おっぱい魔人の部分について否定しない所を見るに、自覚はあるのかも知れない。

 

「所で、貴方以外のハイエンドモデルや兵は何処に?」

 

「そんな事をペラペラと話すと思うか?私の目的は件の建物の調査だが、お前達と出会ってしまった以上、やるべき事はたった一つだ。ーーーーーー楽に死ねると思うなよ?」

 

 

G36の問いに、笑いながらアルケミストが武器を構えて冷徹に告げる。

 

こうして、第2部隊とアルケミストは交戦状態に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、別の場所では……………。

 

 

「つまらん」

 

仏頂面をしながら呟いたのは鉄血のハイエンドモデル・ウロボロスだった。

久々に本部に戻って休暇を取ろうと思った所に今回の任務。

しかも指揮をするのは自分ではなく、あの拷問好きのイカれたハイエンドモデル・アルケミストだ。

それが余計に腹立たしく面白くない。

己はあの過酷な電脳世界での蠱毒に打ち勝ち、通常のハイエンドモデルを上回るスペックを持っている。

己の力と頭脳を持ってすれば勝てぬ敵など存在しないのだ。

こんな事なら街で潜入任務を続けていれば良かった。

アレはアレで中々楽しかったのだが………。

 

「さて、エージェントが言っていた建物とやらはこれか?」

 

ウロボロスの視線の先には白い大きな建物が存在していた。

不気味な程に静けさが漂っている。

 

 

 

「せめて少しくらいは楽しませて貰わねばな………」

 

 

 

そう言って足を踏み出したウロボロスは、突如建物の影から現れた車に跳ね飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

跳ね飛ばされたウロボロスが地面に倒れこむ。

彼女を跳ね飛ばした車は何事も無かったかのように停車すると、その中から武装した黒ずくめの男達が現れた。

 

「油断するなよ。相手は見た目は女でも人形だ」

 

男達はゆっくりと倒れたまま動かないウロボロスに近づき………一瞬で吹き飛ばされた。

 

「クッ!ハハハハハッ‼︎中々愉快な『出迎え』だな⁉︎」

 

ウロボロスが笑いながら服についた埃を払って立ち上がった。

勿論彼女の身体には傷一つない。

それもその筈、ウロボロスには攻撃を通さない特殊な『電磁シールド』が備わっている。

シールドを展開している限り、銃弾などと言ったあらゆる火器は意味をなさない。

 

 

「おぬしらは何者だ?などとつまらぬ事は聞かんよ。興味もない。まあ、取り敢えず死ね」

 

そう言ってウロボロスは腰に装着されている機銃による掃射を行う。

 

「ひ、ヒィィィィィッ⁉︎」

「まさか、これ程とは………」

 

ウロボロスの情け容赦ない攻撃に狼狽える男達。

それを見たウロボロスは心底から詰まらなさそうに溜め息をついた。

 

「口程にもない雑兵だな。まあ、退屈凌ぎ程度には楽しませて貰えたぞ。故に華々しく散らしてやる。感謝しながら逝くが良い」

 

ガシャン‼︎という音と共にウロボロスの特殊兵装がその姿を現わす。

 

 

『スティンガーバースト』

 

 

ウロボロスが保有する小型ミサイル兵装だ。

 

それを放とうとした瞬間、ガァンッ!と何かが電磁シールドに当たる。

何だ?と思いながら音の方向を振り返ると、そこには拳銃を持った一人の白衣を着た男がいた。

 

 

「き、木原さん………」

 

 

男達が白衣の男に声を掛ける。

それを一瞥した木原と呼ばれた白衣の男は、ハアと溜息をつき、自分に声を掛けた男の眉間を拳銃で撃ち抜いた。

 

「ひっ………!」

 

周りの男達が恐怖の眼差しで木原を見る。

すると、木原はようやく口を開いた。

 

「だーから言ってんじゃねーかよー。こんなヌルい方法じゃ、人形を仕留める事なんざ出来ねーんだっての。やっぱ、この俺じゃねーとなー………」

 

ニヤリ、と凶悪な笑みを浮かべて白衣の男『木原数式』は笑った。

 

 

 

 

次回予告

 

「ま、そんな訳で死んでくれや。鉄血人形さんよ」ーーーーーー謎の研究者・木原数式

 


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