おっぱいフロントライン ※休載中※   作:スクランブルエッグ 旧名 卵豆腐

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先ず言い訳をさせて。
仕方ないんだ、モンスターハンター・アイスボーンが面白過ぎるのがいけないんだ。
ポケモン剣盾発売されたし、やる事が山積みなんだ。


………更新遅れてごめんね‼︎



指揮官「UMP45とAR-15。二人揃って『まな板シスターズ‼︎』ウケるwww」UMP45「殺るか?」AR-15「殺っちゃいましょう」

さて、準備は万端。

覚悟やよし。

気分は好調、体調もバッチリ!

 

完璧だな!そう思うだろ、わーちゃん?

 

「思わないわよ、この変態!私のおっぱいを掴むな!揉むな!わーちゃんって言うなーーーーーーッ‼︎」

 

 

ウガラー!とキレながら、凄まじい速度で繰り出されるわーちゃんの連続蹴りを、俺はアメンボのような滑らかな動きで躱す。

 

「こんの変態ドスケベ指揮官!今日という今日は許さないわよ‼︎」

 

落ち着け、わーちゃん。

君も知っている通り、俺はこれから一命を賭けた決死の任務を遂行しなければならない。

君と話が出来るのも、これが最後になるかも知れないんだ。

だから、せめて死ぬ前にわーちゃんのおっぱいを心から揉みしだきたかったんだ。

 

許してくれるか、わーちゃん。

 

「〜〜〜!………ハア、もういいわ。アンタが救いようのない変態だってのは皆知ってる事だしね。精々死なないよう頑張りなさい」

 

そう言って顔を赤くしながらそっぽを向くわーちゃん。

 

へへぇッ、相変わらずチョロいな。

 

 

「………とでも言うと思ったかあああああ‼︎」

 

 

「グヘアアアアアーーーーーーッ⁉︎」

 

 

次の瞬間、わーちゃんが振り向き手に持っている何かが俺の顔面をぶち抜いた。

よく見ると、わーちゃんの右腕には筒状のロケット砲のようなものが付いており、そこからバネのついた鉄製の拳型をした物体が伸びて来ている。

何なんだ、その暴力アイテムは⁉︎

 

「ペルえもん…じゃなかった、16LABのペルシカさんが開発してくれた対指揮官用制裁アイテム『ミンチメーカー君0号』よ」

 

ペルシカアアアアアアッ‼︎

変なもん開発してんじゃねぇよ⁉︎

しかもミンチメーカーって………。

物騒な名前だな。

って言うか、わーちゃん今さり気なくペルえもんって言ったよね?

まあ俺も時々言ってるけどさ。

 

「ま………死なないように祈るぐらいはしてあげるわ。で、でも勘違いしないでよね!指揮官が死ぬと業務に支障が出るから、心配してるだけなんだからね!」

 

はいはい、ツンデレ乙。

 

 

さあて、気を取り直して触手さんこと、ビオランテを説得しに行くとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…う、ん?私は、確かG11を庇ってそれから………確か…って。何よこれ⁈」

 

意識を失っていた416。

目を覚ますと、身体を緑色の触手に囚われており、しかもそれが以前の触手とは比べ物にならない程巨大化している事に思わず叫んだ。

 

「く…この!離しなさいよ!」

 

416は触手を手で殴るが、ビクともしない。

打つ手がない事に歯噛みしながら416が下を見ると、よく見知った顔の人物がいる事に気がついた。

 

「あれは指揮官?一体何を………」

 

指揮官は触手の前に堂々とした面持ちで立つと、息を吸い込み語りかけてきた。

 

「触手さん、話がある!もしアンタに理性が残っているのなら、416を解放してくれないか⁉︎」

 

それを聞いた416は呆れたような視線を向けた。

まさか説得などで自分を助け出すつもりなのだろうか。

いくら何でもお花畑すぎる。

そもそも、この触手が説得に何て応じる訳がない。

そう思って指揮官を見ていると、次の瞬間指揮官は衝撃的な言葉を口にした。

 

「もし416を解放してくれたら、彼女が昨日履いていたパンツとブラジャーをやる!」

 

 

「待て待て待て待て待て待て待てぇぇぇぇーーーーッ⁉︎」

 

 

 

あんまりな言葉に、416は絶叫する。

何の冗談だ。

タチの悪い罰ゲームか何かじゃないのか。

最早訳が分からない。

そんな物で触手が応じる訳がない!と思いながら振り向くと、嬉しそうに巨大な身体の全体を揺らして喜ぶビオランテの姿が目に入った。

 

「アンタも嬉しそうにしてんじゃないわよ⁉︎」

 

ビオランテの反応を見た指揮官は、行ける!と思ったのか続けて言う。

 

「それだけじゃないぞ!更にオプションで416の生着替え写真も付いてくる!お得だろう⁈」

 

「何でそんな写真持ってるのよ⁉︎このクソ変態指揮官‼︎ぶっ殺す!後でアンタぶっ殺す‼︎」

 

殺意の波動を滲ませながら416はワナワナと両手を震わせる。

そんな416の心境など知らぬとでも言うかのように、ビオランテは牙状の口が先端にある触手を指揮官の方へと伸ばすと、早くブツを寄越せと触手をクイクイと動かして催促する。

 

「まあ待て、そう焦らずとも直ぐに渡すさ。ほれ」

 

そう言って、指揮官は片手に持っていたリュックの中から可愛らしい花柄がプリントされたパンツと官能的な黒いブラジャーを取り出した。

何で持って来てるのよ⁉︎と、ショックで項垂れる416。

 

「おっと、忘れる所だった。416の生着替え写真も渡しておこう。更にオマケとして45の下着姿写真もあるが…どうだ?」

 

ビオランテは二枚の写真を見ると、416の写真だけを受け取り、45の写真はポイッとゴミ箱に投げ捨てた。

 

「成る程、ペチャパイに興味はない………か。ま、45の胸じゃ仕方ない。所詮洗濯板だからな」

 

フッと笑って首を振る指揮官。

それを見ていた45は青筋を眉間に浮かべて指揮官の顔面を殴ろうとしていたが、他の人形達に止められていた。

416は416で、自分が着用している下着の趣味を公共の場で暴露されるという公開処刑に顔を両手で覆って羞恥に悶える。

一方、ビオランテは差し出された下着と写真を受け取ると、天辺に咲いている花弁の中にそれをしまい込んだ。

 

「よし、取り引き成立だな。416を解放してやってくれ」

 

指揮官がそう言うと、ビオランテは416をゆっくりと下に降ろす。

 

「良かったな、416!これで「死ねやあああああッーーーーーー‼︎」ごふぅッ⁉︎」

 

満面の笑みを浮かべる指揮官の顔に416の放ったコークスクリューパンチがめり込んだ。

 

「痛ってぇな‼︎何しやがる、暴力人形!水色オッパイタンク‼︎」

 

「うっさいわね‼︎アンタが悪いんだから大人しく殴られろ‼︎」

 

「はあああ?何ですかそれ?なーーんですかそれええええ⁉︎それが助けてやった命の恩人である俺に対して取る態度なんですかあ⁉︎全くこれだから最近のおっぱい人形は‼︎」

 

「おっぱいは関係ないでしょうが‼︎このクズ!バカ!アホドジマヌケ!セクハラ変態野郎ッ‼︎」

 

「デカイ声で喚かないでくれますかあ⁉︎パンツとブラジャーの犠牲だけで助かったんだから感謝しろ感謝‼︎」

 

「だったら私じゃなくて45かAR-15のパンツとブラジャーやればよかったでしょ⁉︎」

 

「アイツらに胸は無いだろーが!パンツもお子様むき出しパンツだし‼︎言わせんな恥ずかしい‼︎」

 

ぎゃあぎゃあと罵り合う二人。

すると、ドンッ!という音が響く。

 

騒いでいた二人が音の方向に振り向くと、其処には地面を足で踏み砕き、小さなクレーターを作った般若の形相をしたAR-15とUMP45がいた。

 

「こ、コルトさん………?」

 

「な、何よ?45?」

 

恐る恐る指揮官と416が声をかけると、ガシィッ!と二人の頭がAR-15とUMP45の手で掴まれる。

 

 

「「ちょっと」」

 

 

「「こっちに来なさい」」

 

 

 

満面の笑みを浮かべながら言う二人に、指揮官と416は恐怖に震えた。

 

「ちょ、ちょっと!元はと言えば指揮官が!」

 

「俺に罪を擦りつけるな!そもそも416が!」

 

 

 

 

「「黙れ」」

 

 

 

 

「あっハイ、すいません」

 

 

 

いつも通りのやり取り。

もう慣れてきたな、と指揮官が思ったと同時だった。

 

 

何処からか放たれた光線が、ビオランテの体躯を包み込み爆炎が広がる。

 

 

 

「な…に………が⁉︎」

 

 

 

全員が、光線の飛来した方向を見る。

 

其処には。

 

 

 

 

不気味に頭部のバイザーを赤く発光させるガイガンがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数分前〜

 

正規軍の司令本部は混乱の極みに達していた。

威信をかけて開発した新兵器・ガイガンが謎の武装勢力に奪われ、奪還の為に特殊部隊を向かわせるも、当の武装勢力は何者かによって特殊部隊共々殲滅。

更にガイガンが起動し街を破壊した上に、突如現れた四つ足の怪獣と熾烈な戦いを繰り広げた後、何処かへ飛び去るという事態に発展していた。

四つ足の怪獣はその後地中へと姿をくらまし、軍はガイガンの捜索に懸命になっていた。

 

「ガイガンの居場所はまだ特定出来ないのか⁉︎」

 

「間も無く特定出来ます!………特定完了!ガイガンは現在、S-13地区方面へと向けて飛行中!」

 

「よし!直ちに進行ルートに地対空ミサイルを展開!ガイガンを撃墜しろ!」

 

 

報告を受けた司令官は地対空ミサイルの発射を指示。

命令を受け展開された地対空ミサイルがガイガン目掛けて発射された。

 

「………地対空ミサイル、ガイガンに命中。ガイガンの速力が低下。ッ⁉︎ガイガンが降下しました‼︎」

 

「何処だ⁉︎何処に降りた‼︎」

 

「S-13地区!グリフィンの駐屯地です………!」

 

 

悪くなる状況に、司令部の中は重く静かな空気に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガイガンの電脳は、一つの命令に支配されていた。

 

『………命令を受諾。これより、ガルビトリウム干渉体を所持する目標の回収及び接続を優先。………目標を確認。これより降下し、目標の回収を実施します』

 

バシュウウ!とパルスジェットエンジンの出力を調整しながら、ガイガンは地上へと降下。

其処はS-13地区と呼ばれている場所であったが、ガイガンにとっては知る由も無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何あれ………?」

 

突如として現れたガイガンの姿に、9が呆然と呟く。

それは当然ともいうべき反応だった。

勿論、俺も内心動揺を隠せない。

そもそも何故ガイガンがここに?

あれは軍の部隊が奪還したんじゃなかったのか?

いや、今はそれよりも………!

 

「全員、この場から退避だ!ガイガンの目的は分からんが、ここにいれば巻き込まれ………ッ⁉︎」

 

 

次の瞬間、俺の身体が妙な浮遊感に包まれる。

ガイガンの腕から放たれたケーブルが、俺の身体を拘束していたからだ。

この野郎、いつの間に………⁉︎

 

「指揮官!このッ………‼︎」

 

AR-15がケーブルを狙って発砲するが、弾はカンカンと虚しい音を立てて弾かれる。

 

「俺の事はいい!お前達は早くここから逃げろ!」

 

地上の皆に向かって叫ぶと同時に、俺の身体がグングンとガイガンに向かって引き寄せられていく。

ギギギという耳障りな音と共にガイガンの口が開く。

こいつ、俺を喰うつもりか。

 

「クソ………こんな事なら、もっとおっぱい揉んどきゃ良かったな」

 

最後に残す言葉がそれか、と聞く奴がいれば呆れるであろう台詞を言って、俺はそのまま奴の口の中へとーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

「キュアアアアアアアアアッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

入る事は無かった。

 

 

何故なら、何処からか伸びてきた触手がケーブルを叩き切ったからだ。

当然ながらケーブルを切られた為に、俺は地面へと真っ逆様に落ちていく。

しかし、それも別の触手が俺を受け止め地面とのダイナミックキスはかろうじて避けられた。

 

 

その触手を伸ばしているのは勿論、『彼』以外に存在しない。

 

 

 

「ビオランテ………!まさか、俺を………?」

 

 

 

俺を地面へとゆっくり降ろし、数多の触手を掲げてガイガンを威嚇するビオランテ。

 

 

 

「指揮官さま!ご無事ですか⁉︎」

 

 

 

大丈夫だ、カリーナ。

それより今すぐ軍に電話を繋いでくれ。

お前ら御自慢の兵器がウチの基地で暴れようとしてるから何とかしろってな。

クルーガーとヘリアンにも今の状況を説明しなきゃならん。

ここはともかく、数キロ先には街がある。

もしガイガンが街に攻撃でも仕掛ければ、大惨事になるのは確定だ。

何としてでもガイガンを食い止めるぞ。

 

「だが、実際どうする?あんなデカブツ、はっきり言って手に負えないぞ」

 

確かに普通に考えればそうだろうな。

だが、ガイガンを倒す必要はない。

奴の気をそらして街から出来るだけ引き離すのが今回のミッションだ。

 

「簡単に言ってくれるけど、どうやって?下手に近づいたら踏み潰されるのがオチよ」

 

それも問題ないぞ、コルト。

地上から接近するのが危険なら、空から行けばいい。

そして、そのミッションをこなせる優秀なパイロットがウチには一人………いる。

頼んだぜ、パイロットのオッサン‼︎

 

「フン…話は聞かせて貰ったぜ。任せときなァッ!」

 

ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべるパイロットのオッサン。

毎度のことだがホントに野太い声だよなアンタ。

よし、準備が出来次第作戦を開始する!

カリーナは基地のスタッフを引き連れて街に避難指示と誘導を。それと並行して、大至急軍に援軍を送ってくれと伝えてくれ。

軍の火力がないとガイガンを倒すのは厳しいしな。

肝心の部隊編成だが、今回だけは特別編成だ。

俺の指揮する部隊とARと404の人員を一時的に混成する。

BAR・LWMMG・416・SOPを第1部隊として、俺とヘリコプターに。

上空から接近し、ガイガン頭部バイザー部分への火力集中攻撃を。

春田さん・モシンナガン・わーちゃん・AR-15は第2部隊に。

ここから北の方角にある電波塔が見えるだろ?

君達第2部隊の役割は其処からの狙撃による援護射撃だ。

狙う箇所は同じくバイザー部分。

そしてM16・M4・UMP45は基地の自動迎撃システムを再起動し、ガイガンに対しての攻撃を行わせろ。

RO・UMP9・G11はカリーナ達と一緒に避難作戦の支援をしてくれ。

それと、避難作戦に携わる人形達の全指揮権をROに委ねる。

街の方は任せたぞ。

 

 

何か言いたいことはあるか?

 

「指揮官、ちょっといいか?」

 

どうした、M16?

 

「狙う箇所は頭部のバイザー部分と言っていたが、何故なんだ?」

 

ああ、それな。

さっき俺がガイガンに食われそうになっただろ?

あの時にな、見えたのさ。

奴のバイザー部分に、僅かにだが亀裂が入っているのがな。

右腕に至っては鎌状の部分が綺麗に切断されている。

理由は分からないが、恐らく奴は此処に来るまでに外殻に損傷が入る程の外敵と交戦したんだろう。

それが軍なのか、若しくは別の何かなのかは分からんが。

 

質問はそれだけか?

他に意見がないなら、作戦に取り掛かる。

 

全員持ち場に移動し、それぞれの任務を遂行しろ!

 

 

 

「「「「「了解‼︎」」」」」

 

 

 

 

 

〜ヘリコプター機内〜

 

「ガイガンとの距離120メートル!指揮官さんよォ、どれくらい奴に接近すればいいんだ⁉︎」

 

「最低でも100メートル以内!勿論、できる限り近くが望ましいが、アンタの匙加減に任せる!」

 

「ハハハッ‼︎中々無茶な事を言う‼︎いいだろう、少々揺れるが振り落とされてくれるなよォ‼︎」

 

パイロットの男は野太い声で笑いながら、操縦桿を握り直し、ガイガンへと機体を近づけていく。

 

「今だ!全部隊、攻撃開始!」

 

指揮官の号令と共に、人形達が一斉に射撃を開始する。

LWMMGとBARの放つ無数の徹甲弾と、416とSOPの榴弾がガイガンのバイザー部分に次々と着弾。

爆炎がガイガンを包み込む。

 

 

 

 

 

「キィィィィィィィィィォォォッ‼︎」

 

 

 

 

 

攻撃を受けたガイガンは、機械的な叫び声を上げて鬱陶しそうにヘリコプターへと視線を向けた。

 

「よし!奴の注意を引きつける事に成功したな!街から遠ざける為にも、更に攻撃を加え続けるんだ!後は基地の自動迎撃システムが起動すれば、かなり時間を稼げる筈だ。M16、応答しろ。迎撃システムは後どれくらいで起動できそうだ?」

 

『後少しで起動できる!だからそれまで持ち堪えてくれよ、指揮官‼︎』

 

「任せておけ。しかし妙だな………何故奴は攻撃してこないんだ?」

 

指揮官が感じる小さな違和感。

ガイガンに対し、攻撃を加えているが反撃というものが全くない。

理由は分からないが、それがどうにも不気味であった。

 

 

「ピィィィィィィォォォッ‼︎」

 

 

そんな中、甲高い声のようなものが響き渡る。

何事かと思いながら指揮官達が音の聞こえた方向を見ると、ガイガンの身体が幾重にも重ねられた触手によって拘束されていた。

 

「ビオランテが………!アイツ、ガイガンと戦うつもりか⁉︎」

 

触手を巻き付けられたガイガンは触手を振り解こうと暴れるが、暴れれば暴れる程触手の締め付けは増していく。

 

「凄いな………あれなら軍が来るまで持ち堪えられそうだぞ」

 

暫く暴れていたガイガンは、拘束が解けないのを悟ったのか、急に動くのを止めた。

それと同時に、カシュン‼︎という音と共にガイガンの両肩付近から何かが射出される。

 

回転斬滅鋸(ブラッディ・ソー)と呼ばれるそれは、緩やかな軌道を描きながらガイガンを拘束している触手をあっさり切り落としていく。

自由の身になったガイガンが、ビオランテの方を向く。

次の瞬間、ガイガンのバイザー部分から赤く光る光線………拡散赤色光線(ギガリューム・クラスター)が立て続けに放たれた。

 

「ピィィィアアアアアアアアッ⁉︎」

 

堪らずビオランテが悲鳴のような音を発するが、ガイガンの攻撃が止まる気配はない。

回転式電磁砲(ガトリングレールガン)が唸りを上げて弾幕の嵐をビオランテに浴びせ掛ける。

炎がビオランテを瞬く間に包み、断末魔をあげながらビオランテの巨大な植物の身体が燃え落ちていく。

 

「ビオランテ………!クソッ!」

 

「指揮官‼︎アイツがこっちを‼︎」

 

邪魔者を排除した事に満足したのか、ガイガンは頭を指揮官達の方へと向けた。

 

その顔に広がるのは、サイボーグ兵器とは思えない邪悪な笑み。

 

 

 

 

「不味いッ!避けーーーー」

 

 

 

 

カッ‼︎とガイガンのバイザー部分が発光し、次の瞬間ヘリコプターを爆炎が呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………?い、生きてる?」

 

いつまでたっても来ない衝撃と爆炎に、恐る恐る416は反射的に閉じていた目を開けた。

 

「何、これ………?」

 

視界に広がる金色の粒子。

無数に散らばる金色の粒子が、ヘリコプターを守るかのように包み込んでいた。

粒子が集まり、それは一つの形を取る。

 

 

「ビオランテ………!アンタなの⁉︎」

 

 

粒子が形作ったビオランテの姿を見て、呆気に取られる416。

皆が呆然としていると、粒子は再び収束し地面の中へと吸い込まれていく。

それと同時に、地面が激しく振動し、メキメキッ‼︎という何かが砕けるような音が辺り一帯に響き渡った。

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

それは現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、元は取るに足らない一輪の薔薇だった。

極々普通の大地に根を張り咲き誇る一介の植物だった。

しかし、何の運命か世界は薔薇をそのままにしてはくれなかった。

人間の手によって身体を弄られ、醜悪な触手の怪物とされ、挙句の果てには怪獣といっても差し支えない存在に成り果てた。

 

それでも彼は願い続ける。

 

 

 

 

 

生きたいーーーーーーと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天が揺れた。

地が砕けた。

星で眠る巨大生命達が、その生命の息吹を感じとった。

 

 

 

 

 

彼は今日までは、怪獣となっても植物の延長線上に過ぎなかった。

 

 

 

 

 

舞い上がる土煙が晴れた先に、彼は佇んでいた。

緑がかった泡状の表皮。

金剛力士像のような筋肉質のマッシブな体躯。

身体全体を這う葉脈。

その背に生えるは、柊の葉のような巨大な三列の背鰭。

 

 

 

 

そして、確かな知性を感じさせる蒼く輝く瞳。

 

 

 

 

何度か瞬きをした彼が、眼前のガイガンを視界に収める。

 

 

 

 

 

 

「グウォォェェェェェェェェェェェェェェェェンッ‼︎」

 

 

 

 

 

はち切れんばかりの大質量の咆哮が響く。

 

 

 

 

 

 

彼の名は、ゴジラ

 

 

 

 

 

 

否。

 

 

 

 

 

 

ゴジラ・アース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

「自然発生の『特異点』…⁉︎」ーーーーーーMONARCHの研究者 エレナ・コールマン

 

「(何あれ………?ガイガンの後ろに、何かいる?)」ーーーーーーAR小隊の隊長 M4A1

 

「そんな………‼︎どうして、貴方がッ⁉︎」ーーーーーー404小隊の隊長 UMP45

 

「ん?あたいの事知ってるの?」ーーーーーー人間を憎む記憶を失った人形 UMP40


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