前書きでハッキリとさせておこうか……
俺に政治的なやり取りを期待するんじゃあねぇぜ!
俺ぁそんなに頭が良くねぇんだよぉ!!
つー訳で政治的な部分はサラッとユルユルすっぱ抜きするぜ?ぶっちゃけ飛ばしてもいいくらい。
それとシエルちゃんの専用装備にはそれぞれアンロックするための条件があります。
ヒント:玄武のアンロック条件は『他者を守りたいという気持ち』
シャルルさんの呟きを偶々聞いてしまったあの日、僕はどうにも彼女を放っておけなくなった。どうも僕は自分で思っているよりもお人好しなんだなぁと理解した。
それに何だかんだでシャルルさんとは同室の馴染みもあり、普段よりも接する時間が長いこともあって大体の人となりが分かってきた。
シャルル・デュノアは根っからの善人だ。彼女は自分の行いが法に触れるものであるとしっかり理解しているし、いつもにこやかに表情を保ってはいるけど皆を騙している罪悪感に押し潰されそうになっている。
そんな彼女を助けたいと思うのは必然だったのかもしれない。
だからこそ、僕は彼女と改めて話をしようと思う。
─────────
夜。シャルルさんに話があると持ち掛けてお互いのベッドの上で向かい合う。シエルは勿論僕の隣に座っている。ドアの鍵もしっかり掛けたので唐突な訪問者への対策も終えている。
「あの、話って何かな?」
「……正直に答えてほしい。シャルルさん、君は女の子だよね」
「っ、何を言ってるのさ?僕は男だよ?」
「お願いだ、シャルルさん。……もうそんな作り笑いは見たくないんだ」
「さっきから何を言ってるの?今日の衛はちょっとおかしいよ?」
シャルルさんはぎこちない笑顔で取り繕って誤魔化してくる。やっぱり正直には答えてくれない、か。
「……もう止めよう。君が一夏の戦闘データを盗もうとしていたのは分かってるんだ……」
「な……」
僕の告白にシャルルさんの顔が驚愕で染まる。そして徐々に青ざめていく。彼女にとってはバレてはいけない事だし、僕に知られてしまった以上彼女の運命は僕の手の中にある、と思われるだろう。
ここで取られる行動の候補は口封じの為に僕を制圧してくるか、同じように彼女も僕の弱味を握るか。そして彼女が取った行動は────
「そっ…か。やっぱりバレちゃってたんだ。そうだよね。衛は僕の性別がバレそうになる度に助けてくれてたもんね」
─────全てを認めることだった。
「ズルで分かったようなものだよ。協力してくれた人がいたからね。でも僕はシャルルさんから直接聞きたい。一体何があったのか、教えてほしい」
「……いいよ。むしろ聞いてほしいな、衛に……」
ゆっくりとシャルルさんは話し始めてくれた。
彼女の両親のこと、彼女が妾の子であること、父親とは疎遠であること、母親亡き今は何処にも居場所がないこと、父親の命令で名前と性別を偽り一夏の戦闘データを盗もうとしたこと、そして仲良くしてくれる皆を騙している罪悪感に苛まれていること。
まるで己の罪を懺悔するかのように次々と溢れ出す言葉に、僕は心が苦しくなった。シエルに至っては目に涙を浮かべている。
「………これが全部だよ。僕はずっと皆を騙してきた。何もかもを偽って、ヘラヘラ笑って、自分の罪に見向きもしようとせずに……」
「……ありがとう、シャルルさん。君にとって辛い事を聞いてごめんね」
「ううん、いいんだよ。衛には沢山助けてもらったから」
そんなことはない。僕は君を助けられてなんかいない。
だって君はそんなにも辛そうな顔をしてるじゃないか。
思わずギリッと小さく歯軋りを立ててしまう。これから僕が言おうとしていることも偽善であると理解している。それでも僕は、彼女へ手を差し伸べたい。
「シャルルさん。僕は君を助けたい」
「……え?」
「勿論僕なんかの力じゃ出来ることなんて殆ど無い。でも、それでも君の苦しみを少しでも軽くしてあげたいんだ。それに、何でか分からないけど……ここで何かを間違えたらきっと取り返しのつかない事になる。そんな気がする」
言うなれば直感。けれど無視をしてはいけない、そんな感じがするのだ。
「一人じゃ重くて辛いなら僕も一緒に持つよ」
立ち上がって笑顔で手を差し伸べる。勿論生半可な覚悟で言っている訳じゃない。彼女の話を聞いて改めて強く思ったのだ。この孤独な女の子の力になってあげたいと。
「……どう、して……」
そんな僕にシャルルさんは震えた声で小さく呟いていく。
「……どうして……こんな僕に手を伸ばしてくれるの……?」
その問いは彼女の心からの言葉。ずっと迷惑をかけて、ずっと知らぬ顔で頼り続けて隠してきた自分へ何故、と。
「そんなの簡単さ。泣いてる友達の力になりたい。それだけだよ」
「……ズルいよ。今そんなこと言われたら、本当に助けてほしくなっちゃうよ……手を……伸ばしたくなっちゃうよぉ……」
シャルルさんは泣きながら、おずおずと行き場を探すように手を伸ばし始める。まるで迷子の子供が母親を探すように。けれど罪悪感故か戻そうとした彼女の手を僕から掴んで引き寄せる。
「あっ……」
「大丈夫。僕は君を見捨てない。僕は君の力になるよ、シャルル。君はもう一人なんかじゃないんだ」
「…う…あ……あぁ……うあぁ……!」
「よく頑張ったね。君は凄いよ、シャルル」
「うぁぁぁぁぁ………!!」
抱き寄せて安心させるように背中をポンポンと軽く叩いてあげると、彼女はとうとう耐えきれなくなり僕の胸元に顔を埋めながら声を圧し殺して泣き始めた。そうとう溜め込んでいたんだろう。味方なんていない状態で彼女はここまでやって来たんだ。溜め込んでしまっていてもおかしくはない。
「今は好きなだけ泣いて良いからね。落ち着くまでこうしてあげるから……」
「あぁぁぁぁぁ……!」
この日、シャルル・デュノアが心に塞き止めていた苦しみは解放され、彼女は本当の意味で仲間を得ることが出来たのだった。
……やっべ。こっち久しぶりに書いたから感覚ブレブレ。ぶっちゃけアルベール・デュノアの話をそのまま続行していくか塗り替えちゃうか考え物。
うーん、うーん…(結果は闇の中へ)
そしてシャルルの力になることを決めた衛くん。とりあえずはヒロインになるかは置いといて、確実に協力者になることは間違いない(確信)
え?どうみたってヒロインだろって?
ばか野郎お前シャルは可愛いだろこの野郎!(なおヒロインになるとは)