雄英高校の授業は思ったよりも普通の授業だ。勿論内容は濃いものではあるけども、やっている事は普通の学校とさほど変わらない。違いといえば教師がヒーローである事。意外なのはプレゼントマイクが英語の先生であること。
「ふぅ〜。終わった終わった!肩がこっちまうぜ。」
「胞、ここ分かんなかったんだけどさ…。」
「あぁ、ここはね、」
「ちょぉい!!せっかく授業が終わって飯の時間になるってのに復習かよぉ!?」
「分からないのそのままだと気持ち悪いじゃん?」
「そんなの飯食いながらでいいじゃん!学食混んじまうからはやくいこうぜ!?」
あぁ、確かに…。と思い、席を立ちがある。
「耳郎、そこはそんなに難しくないから歩きながら教えるよ。だから早く行こう。」
「え、うん。」
「意外にも胞が食いついてきた…。」
雄英の学食は美味しい。とにかく美味しい。ハズレの品が無く、どのメニューもめちゃくちゃ美味しい。
「昨日は生姜焼き定食だったから、今日はザルそばだな。特盛とかあるかな?」
今日食べるメニューを頭で考えながら歩き始める。
「あ、あっくん!」
「緑谷も学食なんだ。」
「うん。お弁当毎日作ってもらうのも申し訳ないし…。」
「というか胞君…、量やばない?」
特盛を超えた大食い泣かせのメガ盛りがあるのだが、その上を行くギガ盛りを頼んでいる胞。
「そう?でも蕎麦だし。」
「蕎麦でもそんな頼まねぇよ…。」
「昼、実技の授業だけど平気なの?というか授業のやつ教えてもらってないし。」
「あ、ごめん。忘れてた。」
「まあ、今は昼食の時間だ!食べてから教えればいいのではないか!?」
さぁ!一緒に食べよう!と言わんばかりに動きが激しい飯田。上鳴と耳郎は苦笑いしながら席に座り、胞は飯田もお腹すいてるんだなと見当違いな事を考えていた。
学食も食べ終わり、教室に戻った6人。実技って言ってたけど何するんだろうな〜。なんて考えていると
「私が普通にドアからきたァ!」
「「オールマイト!!?」」
いつも思うけど1人だけ画風違うよなぁと心の底から思う胞。
「さぁ!今日は私が授業を見ることになった!よろしく頼むよ!」
おぉ!なんて声が上がり、何をやるんだろうと耳を向ける。
「とりあえず君らが申請したコスチュームに着替えて来てくれ!」
そう言って黒板に集合場所と時間を書き教室を後にする。
「コスチュームかぁ、どんな風になってるんだろうなぁ…。」
「あっくん、申請書ちゃんと出したんだ。」
「おい、そんな意外そうな顔するなよ。ちゃんと出したに決まってるでしょ。」
良かったぁ…と安心する緑谷。
「へぇ〜。胞君ってすごい真面目な印象あったけど違うんや〜。」
「いやいや、僕は普通に真面目ですけど。」
心外だ…。
「みんなカッコイイじゃないか!!似合ってるぜ!」
集合場所にはもうオールマイトがいた。というか緑谷、もうオールマイトファンだって丸分かりなコスチュームじゃん。ほら見て?オールマイトですら笑ってるから…恥ずかしい。
「胞…お前、真っ黒だな。」
「真っ黒だね。」
「うん。動きやすいコスチューム申請したんだ。問題ないよ。」
その瞬間話が耳に入った緑谷がもしかしてと思い。
「ねぇ、あっくん。申請書にどういう感じで書いたの?」
「え、普通に動きやすいやつでって。」
「ウチの勘違いじゃなければいいんだけど…アンタもしかして文字で書いたの?」
「耳郎、流石にそれはねぇって。夢が詰まった自分のコスチュームを文字て書くなんて…」
「…。授業の説明始まるみたいだから聞こう?」
あ、コイツ…とその場にいる全員が思ったという。
実技演習はヒーロー側とヴィラン側に別れての2対2の試験。クラスの人数的に1人余ってしまう為、そこは他のチームから1人貰うという事になった。質問攻めにされて聖徳太子!!と突っ込みを入れカンペを読み始めるオールマイトがなんだか可愛いく見えてきた。
「チーム分けはコレだ!」
「あ、あった。」
「えっと、よろしく。」
「うん。よろしく。」
僕のチームになったのは尻尾が特徴的な尾白だった。
「そして最初に戦うのはこのチーム達!」
「え、マジ?」
緑谷、麗日VS爆豪、飯田
もはや運命を感じる。オールマイトが仕組んだ…わけないよね。こればっかりは頑張れとしか言えないなあ。
「さて、尾白。僕らの相手はあの特待生の人らしい。色々作戦を練ろうか。」
「そうだね。相方の障子の個性は何となく分かるけど…。」
「どういう風に守るのか爆豪達のを参考にしながら考えていこうか。」
「オイ、白髪野郎ォ…。」
「だから、白髪早めてって言わなかったっけ?」
「んな事ァどぉでもいいんだよ。テメェ、デクが個性出たの知ってたんか?」
「…知ってたよ。でも実際に見たのはこの前が初めて。」
「そーかよ。前にテメェが言ってた言葉…忘れたとは言わせねぇ。」
「言葉?何か言ったっけ?」
「俺があのデクに負ける時が来るつってたろーが。」
あぁ、その事。と呟き、
「そうだね、言ったよ。でも実力も個性の扱いも君が圧倒的に上だ。」
「ったりめぇだろうが。」
でも、と付け足し
「勝負事に絶対は無い。木偶の坊だと思って甘く見てると痛い目見るよ?」
「ハッ!テメェとやれなかったのが残念だ。」
そう言って準備を始める爆豪。
「もしかして胞って爆豪と仲良い?」
「え、何でそうなったの?」
心外だ…と顔に出しながら聞く
「だって爆豪って傲慢っていうか自尊心がすごいだろ?知り合って間もないのに分かるくらいだし。そんなあいつが胞と勝負したがってたように見えたからさ。」
「なるほど…。そう言えば緑谷と同じくらいの付き合いだけど、1度も勝負とかしたことないな。」
「だから仲良いというか認め合ってるのかなぁって…。」
「ん〜、別に仲良くないけど。実力は認めてるよ僕は。向こうは知らないけど。」
「そっか…。ってもう始まっちゃってるね。」
「あ、ホントだ。というか全然参考にならない。」
結果は緑谷、麗日ペアの勝利。褒められた勝ち方ではないが勝ちは勝ちだ。
「反省会も終わったし…次は僕達だね。」
「あぁ、頼りにしてるよ。」
作戦としては、障子の索敵能力を加味して遊撃には出ない。近接戦闘が得意なペアだからこそ核の目の前で待ち構える。胞の個性を使いデコイを作りはするが本物の核の場所はすぐ割れると考えたためである。
「尾白先に行ってて。」
「?分かった。」
尾白を先に行かせ胞が向かったのは爆豪の所。
「負けちゃったね。」
「…っ!」
「木偶の坊じゃなかったでしょ?」
俯いて答えない爆豪。
「……止まるの?」
「余計なお世話だ。」
短い言葉だが伝わったらしい。
「なら見てて、僕が戦うところ。」
そう言って尾白の元へ歩みを進める。
【スタート!!】
「さて、どう来る…!?」
スタートの合図とともにビル全体が凍らされる。
「冷っ!?」
「流石、特待生…やるね。」
足を凍らされて身動きが取れない2人。そしてその場に悠々と現れる特待生の轟。
「無理に動かねぇ方がいい。足の裏の皮が剥がれてひでぇことになるぞ。」
「くっ…。」
完全に心を折られる尾白。その横を通り過ぎる轟。
「甘いね。ヒーロー。」
バキッ!という音ともに横から轟の顔面めがけ蹴りが飛んでる。
「っ!?」
かろうじて避けるが、続けざまに回転を加えたバックブローが来る。
「がはっ!?」
バランスを崩し防御もままならずモロに食らう。
「お前、足を。」
障子が冷静に分析する。
「僕は言ったよ?甘いって。まだ僕は戦闘不能じゃない。なのに無警戒で横を通り過ぎるなんて…。舐めすぎ。」
轟は戦慄する。両の足の裏からは少なくない出血が見える。つまり皮膚や筋肉を剥がしてまでも自分に蹴りを放ったと理解したからである。そしてその足がグジュグジュと生々しい音を立て治っていくのを見て言葉が出ない。
「なんだ、あの個性。」
「後で教えてあげる。尾白、ごめん。助けてる暇無いみたいだ。」
「あ、あぁ!気にしないでくれ!」
「轟、手を貸そう。」
「いや、俺一人で十分だ。」
「おい!」
「仲間割れ?」
「「っ!?」」
言葉が聞こえて振り向いてみると真後ろに移動している胞。狙いは勿論、
「セイッ!!」
「あがっ!?」
「障子!!」
障子の肋にミドルキックが深く刺さる。
「どうするの?ヒーロー。」
モニタールームでは。
「胞君ってあんな強かったんや…。てか、足が」
「あれはあっくんの個性による治癒だよ。近接戦闘においてかっちゃんとタメを張れるくらい強い。」
「というか人変わってね?胞ってもっとこうスタイリッシュってイメージだったのに…。」
「確かに…ウチもそう思ってた。」
「ヴィランに徹してるってのもあると思うけど…。あっくんは多分勝負事で手を抜いてくれるほど優しくない。」
場面は戻りビル内
「来ないの?轟。」
「うるせぇな。」
轟の右足から氷結が来る。
「大雑把。」
瞬時に移動し接近。
「このっ!?」
接近した後、首を掴みあげ勢いのまま壁に押し付ける。
「ぐっ…。」
「自分より速い相手に対して姿を隠せる場所を作ってどうするの。」
隙だと思い咄嗟に首を掴む右手を掴むが。
「そればっかりだね。」
胞の左拳が轟の二頭筋付近に突き刺さり筋肉潰しのような痛みが走る。
「まだやれる?」
障子は未だ立ち上がれず、轟は右腕を負傷し呼吸がままならない。
【終ー了ー!ヴィランチームWin!!】
終了と勝利の知らせが届き右手の力を抜く。
「なっ!?」
「尾白。足平気?」
「心配するなら最初から助けてくれよ。」
苦笑いしながら部屋をあとにする。尾白。
「障子は僕が担いでいくよ。右雨で上がらないでしょ?」
放心状態のようにピクリとも動かない轟。
またまたモニタールーム。
「いやぁ!完勝って感じだな!少年達!」
「いや、俺はほとんど動いてないですけど…。」
「仕方ないよ、足凍ってたんだし。」
「さて!反省会と行こうか!今回のMVPは言わずもがな胞少年だな!凍らされてもなお冷静で、奇襲に転ずる行動力。大したものだ!」
おめでとう!と拍手を送られる。ヒーローチームには反省点が言われたがあまり覚えていない。ただ僕もやりすぎには注意と言われたので気をつけなくちゃ。
他の生徒達がまた実技を行っている中
「なぁ、いいか?」
「ん?轟。どうしたの?」
「まだ個性、教えてもらってねぇから。」
そう言えば後で教える的な事を言った気がする。
「気になるの?」
「あぁ、増強系か?」
「ん〜、多分そうなのかな?」
「あの再生みてぇな個性、あれにはビックリした。」
「あれが僕の個性みたいなものだし、これから慣れてってね。見る機会はいっぱいあると思うし。」
轟との会話で、何かそう、よく分からない親近感がある。
「轟はさ、もしかして自分の個性が嫌い?」
「…あぁ。左の力が憎くて仕方ねぇ。」
お互いに、やっぱりかと思いながら軽く笑う。
「胞も、俺と同じか?」
「轟がどんな風に悩んできたかは分からないから同じかは分からない。けどこの個性が無ければって思い続けてきた。」
「なぁ、胞は何のためにここに来たんだ?」
何のために…。
「分からない…って言うのが本音。」
でも、と呟きつつ考える。ずっと願ってきた普通。家族と一緒に…。゛もう大丈夫 ゛って言いたい。それで…
「認めてもいたいのかなぁ〜。」
「そうか。」
そこからお互いの個性を伝えこれからよろしくと手を握り合うのだった。
戦闘シーンはやはり難しい…(;`皿´)グヌヌ