皮肉な僕のヒーローアカデミア   作:ゆず1252

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今回は主人公の個性が発生した頃の話です。本編はあまり進みません!


幼い僕の思い出話

 

個性が発生するのが遅かった理由として、体外に放出したりする個性じゃなかったからだ。よくある話で、個性が発生しないと思ってたらとっくに発生してたってやつだ。例えるなら..発汗量が増える個性とか。あるかは知らないけど千差万別の個性だからあるかもね。少し話がそれたけど、そういう個性だったらただの汗っかきだと勘違いされるだけでそれが個性だなんて思わないでしょ?

 

え?じゃあ何で僕の個性はすぐわからなかったって?簡単な話だよ。僕の体の中に癌細胞が無かったから。あったとしても微量なもので操作したとしても特に何も起こらなかったため。

 

なら何故個性が発生したか?それも簡単な話。8歳の頃、僕は癌に侵されたから。個性故なのか癌の侵食が予想以上に長く、闘病生活を強いられたんだ。子供の体な為にかなり負荷のかかる抗がん剤治療、ただでさえ精神的に未熟な子供、多大なるストレスのせいか僕の髪は気づいたら真っ白になっていた。調べてみたらハゲにもなる可能性があったらしく白髪で良かったと安堵した記憶はかなり鮮明に覚えてるかな。

 

その後、癌に侵されているのに食事や睡眠など普通に生活出来ている事に疑問を覚えた医師がもしかしたらと調べてみた結果、僕の個性が癌細胞操作だと発覚した。

 

当時個性が分かったことに対して僕は歓喜した。だがそれから医師の目、いや周りの目は変わっていった。癌とは誰しもが恐れる病。完治することなく、一生涯抱えていかなくてはいけないもの。好き好んで癌にかかりたい!だなんて思う人がどこにいる?

 

癌は誰かに感染するということはまず無いと言っていい。詳しくはないけど摘出した癌腫瘍を口にしたりしない限りはまずないだろうし、そんなことする人はいない。僕だって吐く息に癌細胞が含まれてるわけでもない。それでも嫌なのだ。そばに居るのが、近くにいるのが、例えそれが家族であっても近づきたくないだろう。うつるかもしれないから、そんな根拠もない理由で僕は嫌煙された。

 

しかし皮肉な事に僕の個性はなかなか有能だった。癌細胞を操れる。上限はない。元は細胞なのだ、傷ついた細胞の代わりにもなる。少し違うけど再生といったものに近いことが出来る。体外に出すことも可能。形状を変えることも、癌細胞で作った羽で遊んだりしたっけかな。羽だけでなく、腕、足、目、何にでもなる。ただ目に関してはあまり意味はなくただの飾りで終わった。

 

無知な僕は思った。なんてカッコよくて強い個性なんだ!!と。

 

ある日傷ついた鳥を見つけた。ヒーローになるんだから動物の1匹や2匹助けられなくてどうする!そんな衝動にかられ自分の個性で助けようとした。なぜ病院に行かなかったのか、今でもそう考える。どうなったかって?そんなの考えるまでもない。癌細胞を使って傷を治した..治したと言っていいとかも分からないけどね。するとどうなる?癌細胞がその鳥の体内に循環することになる。数日親に内緒で部屋で面倒を見ていた。餌も与えた、けど1週間で死んでしまった。理由は明白。そう、僕の個性のせいだ。その時悟ったよ。僕の個性は人を助けるための者じゃない。生き物を殺すための個性なんだって。

 

そして僕は全て理解した。あの時なんで医師達が僕をあんな目で見ていたのか、なんで家族で一緒にご飯を食べる事が無くなったのか、なんで急に僕個人の部屋ができたのか、なんでお風呂が最後なのか、なんで朝起きたら家に誰もいないのか。

 

分かってしまったんだ。

 

医師達はすごい個性だから驚いていたと思った。

違う、僕を恐れていただけ。

 

家族は忙しいから一緒に食べれないんだと思った。

違う、僕を恐れていただけ。

 

成長したから一人部屋を与えてくれたと思った。

違う、僕を恐れていただけ。

 

皆お風呂が好きなんだと思った。

違う、僕を恐れていただけ。

 

仕事が忙しいんだと思った。

違う、僕を恐れていただけ。

 

そして僕は、僕を恐れた。いや、僕は個性を恐れた。

 

それでも夢は諦められなかった。もしかしたらなれるかも、認めてくれるかも、いつかきっと..。だから僕は個性をしっかり制御することにした。誰も傷つけないように、誰も殺さないように。体も鍛えた。個性には極力頼らないようにするために。

寝る間も惜しんで努力した結果、自分で言うのもあれだけど才能もあったのか、完璧に制御するのにそこまで時間はかからなかった。だから僕は家族に言ったんだ。

 

「もう制御出来るから怖くないよ!」

 

返ってきた返答は苦笑。そっか..と思った。癌は癌。例えば、お化け嫌いな人にお化けが怖くないよ!って言ったところで何も変わらないのと同じ。千差万別の性格、個性があったとしても、人の共通認識は変わらない。怖いものは怖い。キモいものはキモい。グロいものはグロい。それと同じ様に、制御出来たとしても癌は癌なのだ。

 

そして親は世間体を考えたのか僕の個性届けを細胞操作として出した。僕としても有難かった。周りにあの目で見られるのが怖かったから。だからバレない努力をしようとした。結果は良好、皆から凄いと言われた。その日の夜は泣いた。嬉し泣きでは決してない。ただほんの少し個性が違っただけでここまで変わる現実を憎んだ。その日から僕は寝るという行為が出来ない訳では無いが、苦手になった。目をつぶると色々と考えてしまうから。

 

こんな僕にも友達がいる。緑谷出久、無個性だがヒーロー目指す少年。かなりのヒーローオタクで、くせっ毛のモジャモジャ頭。無個性と馬鹿にされながらも汚れない誠実な心を持っている。正直羨ましいと思った。無個性というのがじゃなく、無個性という現実を突きつけられてもなお、前を向けるところがだ。そう思える彼を恨んだ事などほとんど無い。ほとんど..つまり、少しはある。緑谷、君のせいで僕は夢を諦めきれない。無個性の君でもヒーローを目指しているのに個性を持ってる僕がヒーローになれないだなんて君に言ってしまったら、それは失礼ってやつだ。だから僕は毎度濁す、ヒーロー向きの個性じゃないからと。君に会う度、君と話す度、毎回思うことがある。

 

僕はヒーローになれるかな?




そろそろオールマイトの出番ですね
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