皮肉な僕のヒーローアカデミア   作:ゆず1252

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ここから原作に絡んでいきます!


動き出す物語

緑谷にヒーローになろうよと言われて数週間後の放課後。

 

「「アハハハハ!!」」

 

教室から馬鹿でかい笑い声が聞こえた。普段爆豪と絡んでる奴らの笑い声だ。

 

「はぁ..マジか。体操着忘れて取りに来たのに、不幸だな。」

 

緑谷と帰るつもりだったが用事があるって言って断られた。進路の件だろうな。僕も考えないと。

 

「アイツホントにダイブした方が良かったんじゃねーか?」

 

この季節に水泳はキツイと思うが..。やっぱり考えることが違うな。

 

「まぁ、する度胸もねぇクソナードには無理だろーな。」

 

そう言って高笑いする爆豪達。

 

そんなことも気にせず教室の扉を開ける

 

「..白髪野郎かよ」

 

めっちゃ睨んでくる。忘れ物取りに来ただけなのにな。さっさと帰ろう。

 

体操着の入った巾着袋を手に取った僕はさっき開けた教室の扉に足を進める。

 

「そうだ勝己!胞の野郎にも聞いてみようぜ!?」

 

「ああ!確かに気になるわな!いつも緑谷といるし!」

 

僕の足が..止まった。

 

「緑谷が..どうした?」

 

「あのクソナード、無個性だろ?だからこの教室の窓からダイブすれば来世で個性使えるようになるんじゃねーかって言ってやったんだよ。」

 

なるほど..。ダイブってのはプールにじゃなくて窓から地面に、か。

 

「白髪野郎。お前はどー思ってんだ?あのクソデクはあろう事か俺と同じ雄英に行こうだなんてぬかしやがる!そんな夢見てる暇あったら来世に期待した方がマシだと思わねーか?」

 

本来、こういう場面で僕のたった1人と言っても過言ではない友人を馬鹿にされたら、いや自殺に追い込むような事されたら怒るべきなのだろう。ただ僕の中に生まれた感情は..

 

「..はぁ。」

 

ただただ哀れ。それに尽きた。

 

「他に話すことないなら僕は帰るよ。」

 

「あぁ?まだ何も答えてねーだろうが。」

 

「答える必要性を感じないだけだよ。」

 

「ははっ!そうか。薄々思ってたんだが、お前がいつもデクと一緒にいる理由ってのはアレだろ?優越感を得るためだろ?」

 

少し考える。確かに僕にだってそういう気持ちが無いと言ったら嘘になるかもしれない。緑谷という無個性の人間がいる事によって救われた面もあった。..やっぱり少し違う?優越感じゃないか。安心感?自分と似たような存在がいることによって得られる..。つまりは傷の舐め合い。緑谷がどう思ってるかは分からないから、いやそんなこと思ってるわけないか。結局は僕の一方的なものなんだろうな。

 

「そりゃそうだろうな!無個性のヤツが隣にいればどんなヤツだって自分の方が上だって思えるもんな!」

 

確かに..個性抜きにしても今の緑谷に負ける気はしない。

 

「案外お前はちいせーヤツだったんだな!」

 

「「ハハハハハ!!」」

 

爆豪に合わせ周りの取り巻きも笑う。

 

「いつ僕が小さくない人間だなんて言ったよ。意外と過大評価してくれててビックリだ。」

 

「はっ!オメェみてーな石ころを評価なんざするわけねーだろ。ただ思った以上にその石が小さかっただけだ。そう考えると確かに過大評価だったかもな。」

 

「奇遇だね。僕もそう思ってたんだ。」

 

「あ?」

 

「僕も、君の事過大評価してたよ。」

 

「どういう事だ?」

 

ホントにこいつ人1人くらい殺してるんじゃないかって目つきしてるぞ。

 

「緑谷から何度も聞いていた。爆豪はすごい人なんだって。だから僕もそう思ってた。横暴だし、目つき悪いけど実力はある。でも..少し違ったよ。」

 

今の僕が出来る最大の哀れみを込めた目つきで。

 

「君って..器が小さい人なんだね。」

 

「....は?」

 

「じゃあ僕は帰るから。ヒーローになりたいなら自殺を進めるようなことするの止めなよ。」

 

そう言って教室をあとにする。後ろから待てコラァ!!!と怒声が聞こえるが僕は振り返らない。

 

 

 

 

 

「雄英って..爆豪みたいな人ばっかなのかな。違うと思いたいけど、少し残念だ。」

 

帰り道大通りを歩いていると何かが僕の真上を通り過ぎた気がして上を向くと..

 

「緑谷?ビルの上で何してるんだ?」

 

あの緑谷が何故?

 

足がビルの方向に進む。

 

爆豪の言葉が蘇る

 

『来世に期待した方がマシだと思わねーか?』

 

いや、そんなこと有り得ない。あの緑谷だ。

 

そう思いつつも進む足は早くなる。

 

 

そして屋上出みた光景は..。

 

「緑谷..と痩せこけたおじさん?」

 

気が抜ける..とはこの事だと僕は思う。

 

「え、あっくん?何でここに?」

 

「緑谷こそどうしてこんな所にいるんだよ。そんでそのガリガリの人誰?..もしかして誘拐?」

 

「「違うよっ!」」

 

あ、違うのか。

 

「なんて言うか..。助けてもらったんだ。この人に。」

 

助けてもらった..。明らかに助けてもらう立場にしか見えないけど。まあ深くは聞かないでおこう。

 

「君は..この少年の友人かい?」

 

「そうですけど?」

 

「すると、この少年の夢も知ってるわけだね。」

 

「まぁ、はい。知ってますね。」

 

「その夢が厳しいものだと言う事も理解してるね?」

 

無個性だから..と言いたいのだろうか。良い人だな。もし無個性ということを秘密にしていたらということを配慮した聞き方だ。

 

「もちろん。理解してるつもりですよ。」

 

「..君に聞きたい。止めようとは考えなかったのかい?」

 

後ろの緑谷が少し俯いているのが分かる。事実、実現は厳しい。故にこの人に聞いてみたい。

 

「貴方は、止めよう思ったんですか?」

 

「..ああ。そうだね。止めたさ。無個性でもヒーローにはなれるかもしれない。ただそこで命を落とす可能性とてつもなく高まる。そんな危険な橋を渡らせるなら私は止めるさ。」

 

その通りだ。命は一つしかない。なくしてしまったらそこまで。

 

「さて..君はどうなんだい?」

 

「僕は止めようとは思いませんよ」

 

即答だった。

 

「..何故?」

 

あまりのハッキリとした回答に驚きを隠せない様子だ。

 

「何故って..逆に止める意味が分かりませんよ。」

 

「君の友人が命を落とすかもしれないとしても?」

 

「夢は人生において数少ない平等なものなんですよ。自分の中で夢見る事なら誰でも、いくらでも出来る。その夢を実現したいと言うならすればいいと僕は思います。命を落とす危険がある?当然でしょう。ヒーローとはそういうもの何ですから。」

 

「だが..いくら何でも無茶だとは思わないのかい?現実的ではないと..。」

 

「現実的な夢を語る人間はつまらないですよ。そんなのは夢じゃない。ただの目標です。叶うかどうか分からないことを本気でなそうとすることが出来る人間にこそ夢を語る資格がある。それができない人間が語る夢なんてホラ吹きにかわりないですよ。」

 

「だが無茶にはかわりないだろう?」

 

「その夢が無茶かどうか思うのは貴方の役目ではないですよ。それは緑谷が考えることですから。」

 

「..なるほど。良くわかった。ありがとう。答えにくい質問だったのに答えてくれて。もしかして君もヒーロー志望だったりするのかい?」

 

そこで先程までよく働いていた思考が止まる。心の中で声が聞こえる。偉そうに言っていたくせにお前はどうなのだ、と。

 

「..僕は、まだ悩んでます。ヒーローになるのか。」

 

「HAHAHA!!あれだけ啖呵切っておいて自分はまだ悩んでる途中なのかい?」

 

血反吐吐きながら笑わないでください。いろんな意味で心に悪いです。

 

「少年。一つレクチャーしよう。ヒーローとはなろうとしてなるんじゃないんだ。ヒーローとはなるべくしてなるものなんだよ。勿論人によるだろうけどね?多分君はそれに当てはまるタイプだと私は思うよ。」

 

なるべくしてなる..か。つまりなりたくない人でもなるかもしれないって事だけど、まあ難しく考える必要は無さそうだ。

 

「今は身を任せたままでいいんじゃないかい?後ろの君もだよ?まだ君たちは若い。挑戦するのも悪くないのかもしれないし、諦めるのもいいと思うよ。」

 

そう言って用事があるからと、この場を後にするガリガリなおじさん。一体何者なんだろうか..。

 

「なんというか..すごい人だな。」

 

「うん、すごい人だよ。あの人は。」

 

ただ僕達は思いもよらなかった..。

僕は選択を強いられる。

 

挑戦か 傍観か




次回はあのヘドロ事件に入りたいと思います!
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