皮肉な僕のヒーローアカデミア   作:ゆず1252

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遂にヘドロ事件までこれました!


遭遇と決意

 

ガリガリのおじさんと別れたあと僕と緑谷は一緒に帰り道を歩いていた。

 

「えっ..ヴィランに襲われた?」

 

「うん。そこであの人が助けてくれたんだ。」

 

「へぇ..。強そうには見えなかったけど、見かけによらないんだな。」

 

あのおじさんにあった経緯を聞いていると何やらボヤ騒ぎが起きており沢山の野次馬がいた。

 

「子供を人質にとってやがる!」

 

「迂闊に近づけない!他のヒーローが来るまで待機だ!」

 

どうやらボヤ騒ぎを起こしたヴィランは子供人質にとり逃走しようとしてるようだ。

 

「ちょっと見てくる!」

 

「あ、おい!」

 

さすが行動派オタクと言ったところか。ヒーローが関わると行動が速い。

 

するとどうだろう。ボヤ騒ぎの主犯を見つけた途端緑谷の顔がみるみる青ざめていく。

 

「おい..どうしたんだ?」

 

「あれは..あの時の。僕があの時しがみついたから、僕のせいで..。」

 

「おい!しっかりしろ緑谷!」

 

「あっ、うん、ごめん..。」

 

もう一度目を向けると..

 

「もしかしてあのヘドロの中にいるのって..」

 

「かっちゃん!」

 

人質にとられていたのはあの爆豪勝己だった。抵抗しているのか小規模な爆発が起きているがヘドロにはあまり効いていないようだ。

 

僕と緑谷は放心しながらもがく爆豪を見ていた。すると爆豪はこちらに気づいたのかは分からないが目が合ったのだ。

 

「「....っ!!」」

 

「っ!?馬鹿野郎!!止まれそこの2人!」

 

その時僕と緑谷はほぼ同時に飛び出した。なんでかって?分からない..分からないけど、気づいたら足が前に出ていた。

 

「どうしよう!どうしよう!何やってんだ僕!!」

 

そんなことを掠れた声で言いながら走る緑谷..。全くその通りだ。

 

「あの時の..ガキィ!」

 

「デ、デク..白髪ヤロォ」

 

こちらの存在に気がついたヘドロは攻撃を仕掛ける。

 

緑谷は咄嗟に背負っていたリュックを放り投げ中身が運良くヘドロの目の部分に当たった。流石行動派オタク、目のつけ所がいい。

 

「今のうちに..!」

 

その隙をついて接近する。が、しかしヘドロもそれを見越していたのか無闇矢鱈に腕のようなヘドロを振り回す。そのうちの一つが緑谷に当たりそうになるが必死な緑谷は気づかない。

 

「あぶっ..ないなぁ。」

 

咄嗟だったが、硬質化させた細胞を腕に創り出し攻撃をその腕で防ぐ。その間に接近していた緑谷はヘドロの中から爆豪を助け出そうと手を伸ばす。

 

「なんでっ..テメェらが!」

 

「わ、分かんない!ただ足が勝手に..。」

 

緑谷に攻撃が行かないようにフォローをしつつ近づく。

 

「くっ..。右に同じだよ。僕だって、こんな..危ないことしたくないさ!」

 

恐らく色々理由はあると思う。憧れていたヒーローに近づくために努力をしてきた。無理だと分かっていても求めてしまったその夢を..今ここで足を止めたら全て無駄になってしまう気がした。

 

でも..そんなの後から出てきた建前なんだと思う。あの時、あの一瞬、ただ..こう思ったんだ。

 

「「君が助けて欲しい顔してた!!」」

 

一瞬気が緩んだ所に大振りの一撃が来ようとしていた

 

(防げるかっ!?)

 

緑谷を庇いながら来るであろう痛みに備えて目をつぶる。

 

「情けない..自分が情けない!!」

 

「オ、オールマイト?」

 

僕か緑谷、どちらの声は分からないが..そんなことはどうでもいい。今ここに僕の憧れていたヒーローがいる。

 

「2人に諭しておきながら実践できないだなんて..。ヒーロー失格だ!!」

 

その意味を理解出来ず思わず放心しているとヘドロが更なる追撃をしようと試みる。

 

オールマイトはヘドロの中から爆豪の腕を掴んだ。

 

「君の言う通りだ、少年!いつだってプロは命懸け!個性の有無など関係ない!!」

 

「デトロイトォ!!スマァァッシュ!!」

 

もの凄い風圧に襲われ、耐えきれず倒れてしまった。混濁する意識の中で周りの歓声を聞きつつ一つの疑問が浮かんできた。

 

(あれ..オールマイトにプロは命懸けだなんて言ったことあった..っけ?)

 

 

その後目を覚ますと緑谷はプロのヒーロー達に怒られていて、僕はよく彼をフォローしてくれた!!と褒められていた。ごめんね緑谷、やっぱりヒーローに褒められると嬉しくて君も頑張ったこと言えなかったよ。

 

 

 

 

プロから解放された時には既に夕日が沈みかけていて、僕ら2人は疲れたね。と言いながら帰っていた。

 

「おい、オメェら。」

 

そこに現れたのは今回の事件の被害者、爆豪だった。

 

「無個性と雑魚の分際で俺を見下すんじゃねぇぞ。俺に恩を売ろうってか?」

 

「「えぇ..」」

 

「とにかく!見下すんじゃねぇ!クソカス共が!!」

 

「「タフネス....」」

 

あれだけ元気なら大丈夫だろうな、と内心安心しながらまた足を進める。

 

そしてまた新たなお客さんだ。

 

「やぁ..。」

 

「おじさん?」

 

「オ、オールマイト!?何でここに!?」

 

「え!?オールマイト!?」

 

「あぁ..そうか。君には言ってなかったね。」

 

いやいやいや..あのオールマイトとおじさんが同一人物だなんて、いや待てよ?確かあの時オールマイトが言ってた言葉は僕と会話した時の台詞..。じゃあ、もしかして..

 

「ま、マジですか..?」

 

「うん。マジだよ。」

 

色々な感情が湧き出てくる中オールマイトは言葉を発する。

 

「緑谷少年..だったね。私は君に言った。ヒーローにはなれないと。そちらの少年は..確か」

 

「え、胞です。」

 

「胞少年。君にはこう言った。ヒーローとはなるべくしてなるものだと。」

 

僕らはただ黙って次の言葉を待った。

 

「トップヒーローになったヒーローは学生の頃にも偉業を成し遂げている。そのヒーロー達は皆口を揃えてこう言うんだ。考えるより先に足が動いていた..とね。」

 

それを言われた瞬間、体にビリッと電気が走ったような感覚に襲われた。

 

「君達もそうなのだろう?」

 

あぁ..認めてくれた。僕を、緑谷を、あのトップヒーローが..

 

「君達はなれる。ヒーローになれるんだ。この私が保証する。」

 

隣で号泣する緑谷を横目に見て、僕は決意した。トップヒーローにそう言われて諦められるわけが無い。今まで曇っていた心の中が一気に晴れ渡った気がした。錆び付いていた思いが今動き出す。

 

「どうだい?胞少年..いや、聞くまでもない程にいい顔になったね。」

 

「はい。ありがとうございます。おかげで覚悟が決まりました。」

 

僕の夢はヒーローになることだ。

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