「いやぁ!逸材だね彼は!」
ネズミの姿をした生物は何を隠そう雄英高校校長根津校長だ。
「戦闘能力、判断の速さ、レスキューポイント、筆記試験と面接も問題なしか。非の打ち所がないとはこのことだな。」
「相澤くんがそういうのなら間違いないね!」
「しっかしまぁ、最後のあの攻撃はなんだァ?ヒーロー顔負けの威力だぜ!?」
「お前も教師なんだ、自分で考えろマイク。」
「考えろつったってよ〜…俺にはただ刀を振り下ろしたようにしか見えなかったぜ?」
「答えはスローモーションカメラにすれば分かると思うよ!」
根津校長の発言もあり、全員が映像に集中する。
「ここ、振り下ろした瞬間。何かが飛び出してるのが見えるかい?」
「コレは…?」
「この無数の針の様な物は恐らく彼の個性で生み出した細胞なんだと思うんだ!そしてコレを巨大ロボの正中線に沿って差し込んだんだ!」
「ですが校長差し込んだとして、そこからあの真っ二つにするのは…。」
「彼の個性は細胞操作。あの針が細胞だとしたら?操作ということは動きも形も恐らく大きさも自由ということにならないかな?」
「刺したあとに一気に細胞を巨大化させたと?」
「なんじゃそりゃ…。ってことは刀出した意味ねぇじゃん!」
胞がやった行動は、まず自分の細胞を針状にして飛ばし正中線に沿って差し込む。そして硬化させつつ針を点として線をつなげるように巨大化。切ると言うより内側から割るという表現がわかりやすいだろう。
「戦術は自由自在だが、人を簡単に殺めることの出来る個性だね。胞君がもしヴィランだったらオールマイトでも手こずるんじゃないかい?」
「どうでしょうね…。彼は発展途上、まだまだ伸びしろがあると考えると将来が末恐ろしいと感じますよ。」
平和の象徴までもが認める強個性。皆同じくして思う、ヒーローを目指してくれて良かったと。
「細胞の操作が可能ならもしかすると…。」
根津校長が言おうとする言葉はオールマイト自身も理解出来たが…。
「まだ彼は子供です。そんな責任を負わせることは出来ませんよ。」
それを考える間もなく否定。平和の象徴として子供に対して助けを求めるのはどうなのか?なんて浅はかな考えではなく単純に重荷を背負わせたくないという意味で否定。
「うん。ともかく彼は合格ということで異論はないね!?」
一同肯定の意を持って頷く。
「じゃあここからが大事な話だからよく聞いて欲しい。」
柄にもなく真面目な表情で話す根津校長。
「胞君の家庭の話さ。」
家庭?と資料を見るが何処にも家庭に問題があるとは思えない。中学にも通い実家暮らし、虐待があったのか?と思考を巡らせる。
「彼の母校に連絡を取ってね、話を聞いたところ彼の両親を見た教師が一人もいないのさ。」
両親を見た事がない。授業参観、三者面談、親と出会う場面はいくらでもある。それなのに1度もない、明らかに異常。
「つまり両親が居ない可能性があると?」
オールマイトが驚いたように言う。
「そうさ。ただし問題はそこだけじゃないんだ。この先は私自身が今後雄英に来た後、話をさせてもらうつもりさ。」
彼の問題は簡単なものでは無いと察し、根津校長に任せようと皆理解する。
「彼の事は…相澤君。頼めるかな?」
「はい。そうだろうと思いました。」
「頼もしいね。それじゃあ会議はここまでにしようか!」
お疲れ様ですの掛け声で各々席を立ち、部屋を出ていく。
「オールマイト。ちょっといいかな?」
「はい。なんでしょうか?」
「胞君とは以前に面識があると聞いたけど本当かい?」
ギクッ…とその体を震わせ、やはり敵わないと諦める。
「はい。プライベートで何度か…。」
「彼の個性について何か思うところはあったりするかい?」
「個性、ですか?」
今まで彼が個性を使ったところを見たのは緑谷少年とのトレーニング中とヘドロ事件、そして入試試験の時のみだが、不審な点は特に思い当たらない。
「いえ、これと言ったことは…。言うなれば彼が自分の個性をあまり好きではないという所でしょうか。」
考えに考えて出た答えがそれくらいだった。
「なるほど…。君にだけは伝えておこうと思ってね。」
「はい。」
「彼は個性を偽っている可能性があるということさ。」
「虚偽申告…ですか。」
虚偽申告とは言ってもその名の通りの個性というイメージが強い。
「それが悪い意味での虚偽ではないと私は考えている。それでもやはり真実を把握しなくてはならないのもまた事実。もし何か分かったことがあったら報告して欲しい。」
「分かりました。」
一礼をし、部屋をあとにするオールマイト。
数日後。胞家にて。
「ただいま…。って誰もいないよね。」
テーブルを見ると書き置きと今晩の夕食代が置いてあった。
「家族でご飯食べたのっていつが最後だったっけ?」
記憶を辿るが一向に思い出せないのでまぁいいかと思考を止める。
「そういえば合否通知来てるかな?」
ふと思い出しポストに歩みを進める。
「あ、あった。流石に緊張してきた。」
というか親はポストの中身見て出かけなかったのか?と疑問に思うが出かけた後に来た可能性もあったため今は目の前の封筒に注意を向ける。
「中身は…書類と、なんだこれ?」
何かの投影機?ボタンを押すと、
「私が映ったァ!!」
「オ、オールマイト!?」
結果の合否は合格ではあったがそれよりもオールマイトが移ったことの方が驚きであった。
「良かった…。受かってた。」
緑谷に連絡と思ったら短く受かった!と連絡が来てた。これでもし僕が受かってなかったらどうするんだよ。と思いつつ僕も受かった。と短く返信した。
「これで僕も晴れてヒーロー候補生かぁ…。」
と呟きながら寮生資料に目を通すのであった。
できるだけ更新をしていかなくては…。他の小説も書かなくては…。忙しい( ºωº )チーン…