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入学式の翌日、日本政府は対外的にも戦略級魔法師【氷月真宵】の正体が私【四葉花楓】であることを発表した。
幻とされていた戦略級魔法師【氷月真宵】の正体が日本政府から公表されたことは世界各国を驚かせるには十分過ぎた。
理由は幾つかあるが、1つは今までどこの国もその尻尾する掴めていなかった正体を政府が公表したということであり、尚且つそれがある意味悪名高い四葉家の次期当主であること。そして、1番の大きな理由は氷月真宵が使うとされる戦略級魔法の存在が確実なものとなったことである。今まで、幻の存在であったためその戦略級魔法も非公認のものとされてきたため世界最強の威力を誇る戦略級魔法はアメリカの戦略級魔法師【アンジー・シリウス】が使うとされる【ヘヴィ・メタル・バースト】とされていた。だが、それを上回る威力とされるのが私の使う戦略級魔法【絶対零度(アブソリュート・ゼロ)】であり、その存在が確実なものとなった今、日本は世界に対して優位に立ったということになる。
(これで実質的に、日本は対外的に優位に立ったのかな?)
朝のニュースでは日本政府の突然の発表を大々的に報道している。
未だに社会が魔法師に大して良い印象を抱いていないとはいえ、戦略級魔法師というのは否が応でも興味を惹く話題なのだろう。
「凄いですね」
そう言うのは私と共に朝食を取りながら、テレビを見ている水波ちゃん。こうして、一緒に朝食をとるまでにどれだけ苦労したことか。
「確かにねぇ。でも、あの魔法ってちょっと収束系の魔法が得意なら誰でも出来るし」
「……いえ、無理ですよ?それは」
水波ちゃんに即否定されてしまったが、私は本気でそう思っている。事実、【絶対零度】は指定した空間の大気の熱運動を停止させることによる範囲魔法。簡単に言えば、深雪の【ニブルヘイム】の上位互換である。
「それに威力って意味なら、達也の【質量爆散】の方が上だと思うけど。被害的には変わらないけど…」
「達也さんは非公式ですから…」
私の発言に呆れ返る水波ちゃんを見て、これ以上は何も言わない方がいいだろうと思った。
「まぁ使うことがない方がいいんだけどね、戦略級魔法なんて」
「…ですね」
「さ、それじゃあ学校行こっか」
私はテレビを切り食器を下げ、身支度を整えに自室へと戻る。
(…はぁ、億劫だ)
制服に着替えたことである意味現実へと引き戻され、私は学校での周りからの反応を想像して少し落ち込むこととなった。
◇◇◇◇
水波ちゃんとも別れ、1人通学路を歩く私は残念ながら私の予想したように周囲の目に晒されていた。
大きな液晶に映されている顔がその辺をあるいていれば、そちらに目が向くのも仕方がないような気もするが少し遠慮があってもいいのではないだろうか。
(……有名人の気持ちが少しわかった気がする)
分かりたくもなかった気持ちは、私の歩みをさらに重いものにした。
◇◇◇◇
(……さて、寝ますか)
そこまで距離がある訳でもない学校までの通学路のはずなのだが、異様なまでに遠かった道のりは私の心身を疲弊させるには十分だった。私は一般生徒よりも早く学校に着いたため、手早く履修登録を済ませ机に突っ伏して寝ることにした。理由は言わずもがな、大勢に話しかけられるのを防止するため。
「………おやすみなさい」
誰に向けた訳でもないが、恒例となっている挨拶を1人呟き私は軽く意識を沈めることにした。
「……さん、えでさん、花楓さん!」
気持ち良く眠っていた私は身体を揺さぶられたことにより、目を覚ますこととなった。
(……むぅ。誰?私の睡眠の邪魔をしたのは)
ことと次第によってはその人とは金輪際接点を持たないまで有り得る。そう思ったが、その考えは相手の顔を見て即座になくなった。
「…ありゃ、深雪?どうしたの?」
「おはようございます、花楓さん」
いくら睡眠の邪魔をされたとはいえ、それが妹であるなら許してしまうのが姉であるというものである。
「それで、何かな?深雪」
私の寝起きが悪いと知っている深雪がわざわざ起こすのだから、それ相応の理由があるのだろう(なくてもいいのだが)と思った私は一応聞いてみた。
「いえ、私がではなくクラスメイトの方々が花楓さんとお話がしたいと……」
「…………はい?」
深雪のまさかの裏切りに、私は反応が遅れた。だが、深雪の引き攣った顔を見て深雪も苦労したことがわかった。
(……さようなら、私の安寧)
◇◇◇◇
クラスメイトとの会話もとい、尋問はHRが始まるまで続いた。それで終われば良かったのだが、深雪のお陰で崩れ落ちた私の安寧は、折角の達也との時間まで奪われかけていた。
「四葉さん、どこに行きましょうか?」
「やはり闘技場ですか?」
「いや四葉さんのことだ、工房ですよね?」
などなど、深雪とともに達也たちの元へ行こうと思っていた私たちの思惑は残念ながらクラスメイトたちによって阻まれていた。
「えっと、だから私は深雪と……」
「もちろん司波さんもご一緒ですよね!」
先程からこれの繰り返し。いい加減、私の話も聞いて欲しいものである。
「だから………」
「私は花楓さんと2人で回りたいんですが、よろしいですよね?」
深雪の一言はクラスメイトたちには効果抜群だったようで、みんな先程までの勢いを失い1歩後ろへと下がる。
「さ。行きましょうか、花楓さん」
「あ、うん」
未だに動けないクラスメイトたちを置いて、私と深雪は2人で見学へと向かった。
◇◇◇◇
二度あることは三度ある。とはよく言ったもので、今日という日は私にとって厄日なようである。
深雪のおかげで回避することが出来たのが1度目、元々約束していた達也たちの昼食のときに2度目が。そして、達也たちと帰ろうとしている今、3度目が起ころうとしている。
元々第1高校には選民意識があると聞いてはいたが、こうして自分自身が体験するものとは思ってもいなかった。
「それにしても、あの子達もしつこいね」
「えぇ、お姉様に迷惑をかけるなんて万死に値します」
「いや、それはやらなくていいからね?」
深雪がお姉様呼びしていられるのも、一科生であるクラスメイトたちと友人である二科生のエリカたちが大声で言い争っているからである。
理由は言うまでもなく一科生たちの選民意識から来るものらしく、私たちが二科生であるエリカたちと一緒にいるのが気に食わないらしいとかなんとか。だが実際のところは、深雪に近づきたいという下心が1番なのだと私は思っている。
(私か達也よりも強くない人に、深雪はあげないけどね)
深雪のことを考えても、今のところ任せられそうなのは達也ぐらいしかいないが達也は兄妹であるから結婚は無理。そうなってくると、あとは一条くんぐらいだけど彼はヘタレを直さない限り可能性はないだろう。
達也にも幸せになって欲しいが、中々達也に良さそうな相手というのも見当たらず未だにおすすめの人物は発見できてない。
(……うーん。達也なら、水波ちゃんもありかなぁ。でも、達也なら年上でも………!?それなら、穂波さんがいるじゃない!達也と結婚してくれたら、義姉って呼べるし一石二鳥……?)
思いがけない伏兵の存在に気がついた私は場違いなほどテンションが上がっていた。
「……花楓、大丈夫か?」
それこそ、達也に心配されてしまうぐらい。
「え、あ、うん。それよりも、そろそろ止めないと……」
先程から木陰から真由美さん達が見ているのには気が付いていたが、中々出てくる気配はない。
そろそろ止めようかと思い、前に出ようとした時だった…
「深雪さん、花楓さん!そんな隣に立ってるだけの冴えない二科生の奴よりも俺たちと帰りましょうよ!!」
一科生軍団の1人の生徒の言葉だった。
「入学したてで、あんた達と私たちでそんなに差があるとでも?」
「なんだ、ウィードのくせに!!」
エリカの挑発じみた言葉に頭に血を上らせた一科生の何人かが各々のCADをエリカたちに向ける。
だが、私にはそんなことすら関係がなかった。
「……冴えない?」
私の前で達也を馬鹿にするとはいい度胸である。
次の瞬間には周りが"夜"に包まれた。
「……誰が冴えないのか、詳しく教えて貰えるかな?」
昼の時もそうだったが、流石に達也のことを馬鹿にされて黙っていられるほど私も大人ではない。
「……そこまでだ」
達也の低い声が聞こえたと同時に、私の発生させた"夜"は消滅した。
「………冗談よ。それよりも、達也【術式解散】使えるんだね」
幾ら手を抜いた【流星群】とはいえ、こうまで簡単に消されてしまったのは癪だったのでわざと真由美さん達に聞こえるように言った。とはいえ、今のは【術式解散】ではなく【雲散霧消】だが。
それから少ししたところで、真由美さんと摩利さんが到着する。
「花楓ちゃん、これはどういう状況?」
真由美さんたちは今ここに来たということを主張したいのか、腰を抜かしてる一科生たちを見て驚いたように私に聞く。
「見てましたよね?真由美さん。まぁいいんですけど、彼らが私の友人たちを馬鹿にした上に、魔法を使用しようとしたので少し脅かして止めた迄ですよ」
実際のところ違うのだが、先にCADを構えたことを考慮した最もらしい理由を取ってつける。
「そ、そう。でも、少しやりすぎかなぁって」
「……摩利さんもそう思いますか?」
「あぁ、少々な」
「そうですか。ごめんなさい」
摩利さんにもそう言われては謝るしかなく、私は一応形だけ謝る。
「それでは、花楓とその子以外の1-Aの生徒たちは話を聞くためについてきてもらおうか」
摩利さんの言葉に腰を抜かしながらも、驚きの表情を浮かべる一科生たち。それはそうだろう、魔法を発動させようとはしたものの私のせいで発動は出来ず、その発動させた張本人の私は呼ばれていないのだから。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
なんとか立ち上がった一科生の男子生徒が摩利さんに対して反論する。
「何故、僕達だけなんですか!?アイツも使いました!」
彼がそう言って指差すのは私ではなく、私の横に立つ達也。
それならば、私もであろうと思うが十師族には色々と特権のようなものがあるのでそれを考慮したのだと思いたい。
「いえ、達也は私の魔法を【術式解散】で未然に防いだだけです。もとより、発動させるつもりはありませんでしたが」
「君、【術式解散】が使えるの!?」
「術式解散?」
聞きなれない魔法に首を傾げる摩利さんと、興味津々といった様子で達也へと詰め寄る真由美さん。達也は恨めしそうな顔でこっちを見てくるが冴えないとか言われて黙っている達也が悪い。
「それより、連れていくならそっちの2人はむしろ止めようとしていたので見逃して貰えますか?特にその子は魔法を使ってまで止めようとしてくれてましたし、ね?達也」
「…あぁ」
ここで達也の株を少し上げておくのも悪くないと思った私は、敢えて達也へと話を振る。
「ほう、君も見えるのか」
「実技は苦手ですが、分析は得意ですので」
達也の言葉に摩利さんは若干呆れ気味にため息を吐くと、唖然としている一科生たちを連れて行った。
「さ、帰ろ」
思いかげない邪魔が入ったせいで、予定よりも少し時間が押してしまっていた。これで水波ちゃんを1人で待たせるようなことになった時にはあの一科生たちもただじゃおかない。
帰ろうと歩き出した私は直ぐに呼び止められる。
「あ、あの私光井ほのかって言います。さっきは助けてくれてありがとございました」
「北山雫。ありがとう、助かった」
私を呼び止めたのは、先程私が庇った2人だった。
別にこの2人は達也たちを馬鹿にしたわけでも、無理やり私たちを誘ったりしてきていなかったのでそこまで苦手意識はない。
「ううん、無実の人が責められるのはお門違いだからね」
用はそれだけかと思い、私は再び帰ろうと歩を進めようとしたがまた呼び止められる。
「あ、あの……」
「ん?どうかした?」
呼び止めた光井さんは口篭っていて中々言葉が出てこなず、振り返った私に若干怯えているような気もした。
「四葉さん、私達も一緒に帰ってもいいかな?」
「もちろん、それと"四葉さん"なんて他人行儀じゃなくて、花楓でいいよ」
「うん、ありがとう花楓。私も雫でいい」
こうして、私は初めてクラスメイトと友達になることが出来た。そのあと、深雪達のおかげで怯えなくなったほのかちゃんとも友達になれ、なんとか水波ちゃんを1人で留守番させることもなかったため、厄日にしては最後にいいことがあった1日だと言えるだろう。
少し長くなってしまって申し訳ないです。キリを良くしようと思ったら、こんなに長くなってしまいました…。
花楓の戦略級魔法についてては、簡単に言えば全てを凍らせるってことです!
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