十六夜の登る頃   作:雪楓❄️

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急にかなり増えたので驚きましたが、嬉しかったです



今回はあまり進みませんが、お楽しみください


6話

午後の授業を何事もなく順調に終わらせた私と深雪は、クラスメイトたちに囲まれるよりも早く席を立ち急ぎ足で生徒会室の方へと向かった。

 

「それにしても、危なかったね」

 

「えぇ、お姉様のことをあんな目で見るなんて……」

 

周りに人が居ないことをいいことに深雪が呼び方を変えていることは、今更注意してもなおることでもないし、私自身も嫌な気はしないので注意はせず周りへの警戒のみを強めるだけにしている。

だが、それとは別に深雪がそのうちクラスメイトに危害を加えないか私は心配で仕方がない。

 

(流石に深雪もわかってるよね…………?)

 

そう信じたいものなのだが、深雪の表情を覗く限り強く確信が出来ない私であった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

生徒会室に着いた私たちを出迎えたのは、昼休みのメンバーに服部さんを加えた先輩方。

ちなみに、先に着いていた達也は既に服部先輩と仲良さそうに話をしている。

 

(本当に変わったなぁ)

 

服部先輩との出会いは約半年ほど前に真由美さん達に第一高校の勧誘を受け、真由美さんと共に学校案内をしてくれたときである。あの頃の服部先輩は、正直私は嫌いであった。校内案内をしている時も二科生たちが近くにいるとあからさまに嫌な顔をし、二科生たちの多い部活動の場所は極力避けたりなど、明らかに二科生たちを見下したような態度をとっていた。

元より、真由美さんと十文字さんから差別意識があるということは聞いていたし、その事で真由美さん達が悩んでいることも知っていた私は服部先輩をどうにかしようと考えた。それが達也と出会わせることであり、それが無理なら生徒会から排除するのも厭わないと思っていた。服部先輩の父が穂波さんの元上司であることは知っていたので、私は穂波さんに頼み込み達也と服部先輩に上手いこと接点を持たせることに成功し、結果から言えば服部先輩の意識を変えることに成功した。

それ以来、服部先輩は達也のことを買っているらしく、私があの後学校見学時も二科生のことを馬鹿にするような素振りも見えなくなっていた。

 

「生徒会副会長の服部刑部です。司波深雪さん、ようこそ生徒会へ」

 

深雪だけに挨拶をすると、深雪は不満そうな顔をするが私自身は特に気にはしない。理由は言うまでもなく、私は達也と違い服部先輩と仲がいいわけでもなければ生徒会の役員でも無いのだから。

 

「四葉さんも、忙しい中風紀委員への助力感謝するよ。出来ることなら、生徒会に入って欲しかったが四葉さんにも立場があるだろうからね」

 

服部先輩のこの言葉には深雪だけでなく、私も驚いた。人間変わればこんなにも変わるものだとは思わなかったから。

 

「いえ、微力ですけど学校のために頑張らせてもらいます」

 

「あぁ、それで1つ頼みがあるんだが……俺と模擬戦をしてもらえないか?」

 

「……はい?」

 

先程までの良い雰囲気はどこへと消えたのやら、服部先輩がこんな戦闘狂だとは思わなかったが、達也の肩が少し笑っていることから達也が何かを言ったのだろう。

 

「既に会長と渡辺先輩には許可はとってある」

 

こうなった相手に何を言おうと無駄なことは知っているし、隣の深雪の輝かしい笑顔に逆らえるはずもない。

 

「……分かりました」

 

「よし、それじゃあ二人とも着いてこい」

 

何故か服部先輩ではなく、摩利さんに誘導されるまま私たちは演習場へと向かった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

第3演習場に到着した私たちは、お互いCADなどの軽い調整を済ませ所定の位置に立つ。その際、服部先輩が私に言ったのは「本気で頼む」の一言だった。

 

私たちが所定の位置に立ったところで審判役の摩利さんがルールの説明をする。

 

 

 

 

「……ルール説明は以上だ」

 

摩利さんの説明したルールは、相手を死に至らしめる術式ならびに回復不能な障碍を負わせる術式の禁止、直接攻撃は捻挫以上の負傷を与えない範囲でなら許可、武器の使用は禁止、素手による攻撃は許可、蹴り技を使う場合はソフトシューズに履き替える、勝敗は一方が負けを認めるか審判が続行不能と判断した場合に決するというものである。

 

「準備はいいか?」

 

摩利さんの掛け声に既に準備を完了している私達はお互い頷く。

 

「では、はじめ!」

 

掛け声とともに、私と服部先輩はお互いに動き出す。

服部先輩に言われた「本気を出す」というものに答えられるか分からないが、それでもこのルール内での本気を出す。

 

私は即座に起動式を展開し、服部先輩の周りの重力子を地面へと収束させる。

 

「……なっ」

 

急激に強くなった重力により、服部先輩は膝をつき立ち上がれない。

 

 

 

「そこまで!!勝者、四葉花楓」

 

摩利さんが服部先輩が行動不能であると見なし、勝敗が決したところで私は重力子への干渉を辞める。

 

「………大丈夫ですか?」

 

「………はぁ。あぁ大丈夫だ、わがままを聞いてくれてありがとう」

 

服部先輩はため息を吐いたあと、ゆっくりと立ち上がりその場をあとにする。

 

「ところで、花楓。今何をしたんだ?」

 

傍から見ていた摩利さんたちは何故服部先輩が膝をついていたのか分からないようで、私に質問して来る。

 

「えっと……秘密です」

 

特に秘密にするほどの事でもないのだが、説明するには少々面倒なこともあるため、無難に秘密ということにしておいた。魔法の詮索はマナー違反でもあるため、こう言っておけば深く追求されることも無い。

 

「魔法の詮索はあまり褒められたことではないわね、、気になるけど、取り敢えず生徒会室に戻りましょうか」

 

摩利さんも真由美さんも気にはなっているのだろうが、流石に好奇心を抑えつけているのか毅然とした態度をとっている。

 

「そうだな、私達も風紀委員室へ行こうか」

 

私は頷き了承の意を伝えると、摩利さんは歩き始め私達もそのあとに続くようにして演習場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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