十六夜の登る頃   作:雪楓❄️

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遅くなりましたが、そろそろ考えてた文章が尽きかけているので他作品と更新頻度が同じになるかもです。

一応、横浜騒乱編までは大まかなのは考えてあるのでほかの作品よりは早いかもしれませんがご了承ください


それでは!どうぞ!


7話

摩利さんに連れてこられた場所は凡そ風紀委員の部屋とは思えなかった。散らかり放題のその部屋は風紀を取り締まる側としては如何なものかという疑問さえ抱かせる。

 

「少々散らかっているが気にしないで掛けてくれ」

 

「少々ですか?」

 

この惨事を少々と片付けられる摩利さんの神経はかなり図太いのでは無いか、そう思ってしまうのは私だけではなく達也ですら目を見開いている。

これではいくら料理を頑張っても修次さんに呆れられてしまわないかと心配になってしまう。

 

「渡辺先輩、ここ片付けてもいいですか?」

 

「なに?」

 

「魔工師志望としてはCADが散乱している状況は見過ごせません」

 

私が口を開くより先に我慢できなくなった達也はそう言うとテキパキと散乱しているCADを片付けていく。

 

(魔工師志望ねぇ。物は言いようか)

 

達也の相変わらずの物言いに若干呆れながらも、私も手を動かしてCADの片付けを手伝う。

数分もすれば片付くはずの量だったのだが、一向にその数は減らずむしろ増える一方であった。

 

「…………摩利さん、何してるんですか?」

 

私の視線の先にいる摩利さんの周りには、片付けているはずなのに何故か先ほどよりも多いCADが散乱し、むしろ余計に汚れている。

 

「うっ……苦手なんだ。こういうのは」

 

言われなくてもわかるが自覚があるなら何故手伝ったのだろうか。流石、摩利さんと言うべきか悪い人ではないのだがこの辺りに修次さんの苦労が伺い知れる。

達也も呆れているのか、静かにため息を1つ吐くと摩利さんが散らかした場所を黙々と片付け始める。

 

「…でしたら、摩利さんはそこに座っていてください。お願いしますから」

 

流石の摩利さんもこれには静かに頷いた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

思わぬ妨害があったとはいえ、30分も経った頃には風紀委員室は見間違えるほど綺麗になり、私達も一息ついていた。

 

「こんちわーす」

 

「こんにちは」

 

the体育会系と言うような元気のいい挨拶と共に入ってきたのは、見るからに体育会系の男子生徒2人。

 

「姐さんいらしてたんですか」

 

姐さんとは摩利さんのことだろう。と思い、あまりにもイメージと当てはまり過ぎていて吹き出しそうになった私だがギリギリのとこで堪え、急死を脱する。

 

「痛てぇっ」

 

スパァン!という小気味のいい音とともに、先程摩利さんを姐さんと呼んだ男子生徒の痛がる声が聞こえた。

 

「姐さんと呼ぶなと何度言ったらわかるんだ」

 

先程の小気味いい音の発信源は、手にノートを持った摩利さんだった。若干頬を赤く染めている辺り羞恥心から来る怒りなのだろうが、あと少しの所で、私もあれの餌食になっていたと思うと本当に危なかった。

 

「そんなポンポン叩かないでくださいよ、ね……委員長」

 

ガタイのいい男子生徒が頭をさすっているところを見ると、やはり少しは痛いようである。なんにせよ、自分が喰らわなくて良かったと思う。

 

「……ところで、そっちの2人は新入りですかい?」

 

「あぁ、今日からうちに入ることになった。とはいえ、幾らお前らでも女子の方はわかるだろうがな」

 

「えぇ、流石に知らない奴はいないっすよ。でも、こうして見るとあんな風には見えませんがね、、」

 

そう言った男子生徒の値踏みするようなその視線よりも、私には男子生徒の言った"あんな風に"とは四葉の次期当主ということなのか、それとも十四使徒としての事なのかが気になってしまった。

 

「花楓を怒らせても、私は知らないからな。それこそ、命が惜しいならあまり花楓の癪に障るようなことは避けるべきだな」

 

摩利さんの一言で男子生徒2人は1歩後ろへと退る。

 

「いや流石に言い過ぎですって、摩利さん」

 

まるで化け物のような物言いをされてしまうのは、花の女子高生としてのプライドに傷がつくというものである。

 

「いや、花楓ならやりかねないだろう」

 

「私も達也くんに賛成だな、というより花楓を止められる者を私は知らないしな」

 

私のささやかな抵抗は私を最もよく知る者により否定され、摩利さんにはさらに余計な一言まで追加されてしまった。

 

「もしかして、ね……委員長そっちの奴も?」

 

男子生徒は達也と摩利さんの会話を聞き心配になったのか、そんなことを聞いた。

 

「達也くんは、服部の推薦だ。なんでも、服部と達也くんは何度も模擬戦をしているらしいのだが服部は達也くんに未だに一撃も与えられていないらしい」

 

摩利さんのその言葉に男子生徒2人は目を見開いて驚く。

 

「ほんとですかい?そいつは心強え!」

 

「逸材ですね!」

 

てっきり、二科生だから信じないと思っていた私と達也は呆気にとられてしまった。

 

「腕の立つ奴は大歓迎だぜ。俺は3-Cの辰巳鋼太郎だ、よろしくな」

 

「2-Dの沢木碧だ。二人を歓迎するよ」

 

「1-Aの四葉花楓です」

 

「1-Eの司波達也です」

 

自己紹介をし握手を交わそうとするが、私の前に達也が出て沢木先輩と握手をする。こういう、さり気ない男らしさが達也のいい所である。

 

「自分のことは苗字で呼んでくれ、くれぐれも下の名前で呼ばないでくれよ」

 

明らかに力が入っている沢木先輩の手。普通ならば握手をしている相手にもそれなりに影響がありそうな程に。もちろん、私ならば握り潰されていただろうが相手が達也では握手が何kgあればそれが可能になるのかは計り知れない。

 

「えぇ、初対面の先輩をそう呼ぶつもりはありませんよ」

 

そう言うとお返しとばかりに達也は手に力を込める。

 

「っ!?」

 

達也の握力に驚いた沢木先輩は思わず手を離す。

 

「俺の手を握りつぶすつもりかい?」

 

「お互い様です」

 

今は達也も不敵に笑っているが、最初沢木先輩が私に向けて手を出してきた時のあの対応の速さから察するに多分私がよく知らない男子と握手するのが嫌だったのだろう。

 

「へぇ、沢木が握力勝負で負けるとはな」

 

辰巳先輩は何故か実際に体験した沢木先輩よりも達也の握力に一人関心していた。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「そんなことがあったのね。あの子も大概ね」

 

風紀委員になった夜。摩利さんには色々と融通を効かせて貰えることにはなったが、念の為真夜さんに確認を取るために連絡をしたのだが…。私の相談については概ね制約はないため、自己判断で良いということにほんの5分ほどで結論が出た。本来ならばそれで終わるはずだったのだが、真夜さんに入学以降連絡をしていなかったつけが回りに回って現在にまで至る。そんなに達也たちのことが知りたいのならば、本人たちと電話をすればいいと思うのだが真夜さん曰く「それは無理」だそうだ。

 

「深雪ならまだしも、私なんて………」

 

「わかってないわねぇ、花楓ちゃんも。あなたの魅力は深雪よりも凄いのよ!?幾ら達也だってこんな可愛い姉弟が居たら知らない男になんか触れさせたくなくなるわよ?」

 

「は、はぁ」

 

「ね?水波ちゃんもそう思うわよね?」

 

真夜さんは私の返事が不満だったのか、見えて居ないはずの場所にいる水波ちゃんに話しかける。

 

「は、はい!!花楓さんはーー」

 

そこからは私にとってはただただ恥ずかしい思いをさせられただけだった。達也たちの話ならば幾らでも真夜さんの話を聞いていられた私だったが、いざ自分のことを永遠と褒められるという体験はした事がなく、ただ恥ずかしかった。

 

「あら、もうこんな時間なのね。水波ちゃん、花楓が変なのに引っかからないようにお願いしますね?」

 

「はい、お任せ下さい!!花楓さんの恋路は私が責任をもってお守りします!」

 

主従関係などどこかへと置き去るほどに意気投合した2人が会話を終えたのは、数時間経った頃だった。

 

「それじゃあ」

 

真夜さんの一言に大して、水波ちゃんは深く頭を下げ電話が切れる。先程までの打ち解け具合からしっかり主従関係は崩さない辺り水波ちゃんは同世代と比べてかなりしっかりしている。

 

「さて、水波ちゃん?言いたい放題言った代償は忘れてないよね?」

 

「あ、あの……」

 

私の言葉の意味が分かったのか苦笑いする水波ちゃん。

かなり可愛かいが今の私にその手は通じない。

 

「問答無用っ!」

 

私は逃げようとする水波ちゃんを捕獲し、抱き枕代わりにして翌朝を迎えた。

 

 

 

私がそれ以来時々、水波ちゃんを抱き枕代わりにして寝るようになるのをこの時はまだ私は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 






最後の締めのいらなかった感…。

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