それはもはや質問ですらなく、ほぼ決定している事項の確認のようなものだった。それほどの確信を持って相澤は言葉を発したのだ。着席してからいくばくもない詰問だ、相手は必ずぼろを出してくるだろう。そうなったら教師として然るべき対応をしなければと、相手の出方を慎重にうかがう。
白銀は涼しい顔で砂糖入り緑茶――もとい緑茶を吸った砂糖を啜っていたが、沈黙が訪れると淀みない所作で湯飲みを置いた。少し濡れた薄い唇が、筆で描いたような細い三日月の形をとる。
「いやァ、お見事!」
白銀は高らかにそう言うと、胸の前でぱんぱんと数度手を打った。突然身に覚えのない拍手を送られ呆気にとられる相澤の表情に、白銀はにんまりと笑みを深める。
「なぁるほど、たった数分かそこらであれの本質を見抜いたというわけですね! 本当に素晴らしい審理眼だ。さすが雄英の教師を務めていらっしゃるだけのことはある」
詰問を意にも介さず、心底愉快そうに振る舞う白銀を見て、相澤は思い切り顔を歪めた。仮にも生徒の保護者の前でして良いような表情ではけしてなかったが、それでもそうせずにはいられなかった。まさかとは思うが、この男。
「……どういう意味ですか。一ノ瀬を使って私を試したと?」
「ははっ、まさしくそういうことになりますねえ! あれの鍛錬の度合いを見抜けないような盆暗ヒーローが担任なら、わざわざ雄英に入れることもないわけですし」
やはりそうだった。この男は相澤が転校生の戦い方に疑問を持ち、自らを詰問してくることを最初から予想していたのだ。いや、むしろそれを待っていたとすら言えるだろう。相澤は試されたのだ。転校生の戦い方の違和に気づけるか、気づけないかを。
だがなぜそんな真似を。相澤が疑問を口にするまでもなく、目の前の男はゆったりと足を組み、静かに話し始めた。
「あれは……翔は、違法研究所から救い出した子どもです。個性を違法に研究する、畜生にも劣る人間どもの欲望が渦巻く場所からね」
違法研究所。相澤はその言葉を脳内で反芻した。聞き覚えのある言葉だ。最近ではほとんど聞かれなくなったが、十数年前、それこそ相澤が中高生だった頃には頻繁に耳にした言葉だ。
いぶかしむ相澤に、白銀は白衣の内ポケットから一枚の紙を取り出した。サイズを見るに、名刺のようだ。
「申し遅れました。私、防衛大臣直属のエージェントグループ『Save』所属、『未成年個性事件特別対策室被害児保護課』の5等級役員、白亜凪人でございます」
ひどく勿体ぶりながら差し出された名刺を受け取り、相澤は視線を走らせる。そこには印刷された黒い文字で目の前の男の身分が事細かく記されていた。
防衛庁所属団体『Save』
未成年個性事件特別対策室被害児保護課5等級役員 兼
都立特別孤児院『アザミの家』院長
白銀凪人
団体名ばり適当です(鼻ほじ
パッションが伝われば設定とち狂っててもいいんじゃあ!!!←
とはいえ、実際ヒロアカの世界にはこういう政府所属のエージェント的組織いても良いとお思うんですよね。
ヒーロー側の腐敗・汚職とか普通にありそうだし。政府の犬というか、直属で動ける組織いないと統制取れないんじゃんじゃないかな~と。
あとあと原作で登場しないか今から不安です……ドキドキ……。