血まみれヒーローと黒の少年   作:べにこ

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第6章・謎の少年①

 

「翔のヤツ、転校初日でカミングアウトしたって。ほんとかよ」

 

 

「凪人が言うにはマジらしい。ほら、例の、オールマイトの継承者」

 

 

「ああ……」

 

 

「やっちゃったネ! やばい!」

 

 

「元々言う気だったんじゃないの? 僕はそう思ってたけど」

 

 

「だとしてもさ、初日にバラすのはまずくね? はらはらすんよ、こっちはさ」

 

 

「まーなー。でもまあ、いずれは知ることだし……」

 

 

「遅かれ早かれ、だよね。むしろ初日に思い切って良かったと思うよ、俺は」

 

 

「ていうかそもそも、翔が自分で決めたことには口を出さないって決めたでしょ。忘れたの?」

 

 

「いや忘れてねーけどさ……そいつが信頼できるかなんてわかんねーじゃん」

 

 

「オールマイトの秘蔵っ子、ねえ」

 

 

「ヒゾウ? 脾臓!」

 

 

「違うよ、陸。秘めるに蔵で、秘蔵」

 

 

「まあ何にせよ、俺たちは見極めるだけだぜ。なあ?」

 

 

 

 

 

 

「ああ。そいつが翔の隣に立つにふさわしいかどうか。俺たちにとって重要なのは、それだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一ノ瀬、これ借りてたリーディングのノート! ほんと助かった~~! ありがとな!」

 

 

「いや、こんなもんでいいならいつでも貸すよ」

 

 

「え、てか待って一ノ瀬くん書くとき鉛筆なの!? シャーペンとか持ってないんや!?」

 

 

「ああ、うん。なんかこっちの方が使いやすくてさ」

 

 

「麗日今気づいたのかよ、一ノ瀬転校初日から鉛筆使ってたぜ」

 

 

「シャーペンだと、ほら、俺爪がとがってるから滑っちゃうんだよね。鉛筆ならこう……いい具合に食い込むというか」

 

 

「食い込む」

 

 

 一日の授業がすべて終わり、放課後。切島から受け取ったノートを鞄にしまいつつ、お茶子と言葉を交わすのはこのクラスに転校してちょうど一週間を迎える一ノ瀬翔だ。

 

 

 転校初日に突然の対人戦闘訓練という洗礼を受けたものの、1-Aの中でも指折りの戦闘力を誇る爆豪勝己を難なく打ち破り、晴れてクラスメイトの一員として認められた。転校してきてから今日まで、彼の周りに絶えず人が集まっているのがその証拠だ。まあ、もしあの訓練で負けていたとしても翔はすぐにクラスに打ち解けられていただろう、と、出久は推測する。ただでさえ、あの攻撃性の権化とも言える勝己を何の抵抗もなくすんなりと受け入れるような傑物揃いのクラスだ、穏やかで物腰の優しい彼がクラスに馴染めない理由などなかった。

 

 

 翔が転校してきて一週間――つまり、彼が出久の受け継いだNo.1ヒーロー・オールマイトの個性、ワン・フォー・オールの秘密を知っていると出久に暴露してから、一週間。出久は翔を囲むクラスメイトの輪を遠巻きにしつつも、ずっと彼の動向を目で追い続けていた。

 

 

 ごく一部の人間しか知らないはずの、ワン・フォー・オールの秘密を知る転校生。どうして彼がそれを知っているのか。そしてそれを出久に暴露した意図は何なのか。それを知りたくて、持ち前のオタクスキルを発揮してこの一週間穴のあくほど観察してはみたものの、得られた情報は皆無に等しかった。

 

 

「一ノ瀬くん、転校してきてから間もないが、もうすっかり1ーAの一員だな! 喜ばしいことだ!」

 

 

「う、うん……そうだね……」

 

 

 同じクラスの生徒・飯田天哉が腕を直角にして素早く動かしながら話すのに、出久は生返事をする。翔がこのクラスに馴染むことを手放しで喜べる位置に出久はいない。翔の素性も意図も何一つ明らかにならないこの現状では、疑心ばかりが膨らんで教室にいてもどうにも落ち着かない気分になってしまうのだった。

 




今回から新章突入です~。
たくさん考えてる夢主、今章次章あたりから本格的にお披露目できそうです……!
全員作者の性癖でしかないんじゃ……!

各々の人生を描き切れるように頑張ってまいりますので、今後も応援よろしくお願いします!
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