血まみれヒーローと黒の少年   作:べにこ

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第6章・謎の少年④

 

「みんな今日はもう用事ないんでしょー? なら一緒に帰ろ! 駅近にめっちゃ美味しいパン屋さんできたんだって! みんなで買って食べようよ!」

 

 

 教室でひときわ溌剌とした声が上がり、出久の思考は一時中断された。声の主は1-Aクラスメイトの芦戸三奈だった。ピンク色の肌に真っ黒な瞳というエキセントリックな配色の外見に違わず、賑やかで常にクラスの中心にいる生徒だ。

 

 

「おぉ~いいね!」

「賛成~!」

 

 

 彼女の提案に、何人かのノリの良いクラスメイト達が間髪入れず賛同した。が、そこに険しい表情をした飯田が割り込んでくる。

 

 

「みんな! 寄り道は良くないぞ! 学校が終わったら速やかに帰宅しよう!」

 

 

 直角に曲げた腕をぶんぶんとロボットのように振り回しながら抗議する飯田に、芦戸がげんなりした様子で言う。

 

 

「ま~た飯田はそうやって水差す~」

 

 

「つかさぁ、雄英の校則には放課後寄り道禁止なんて書いてねぇし、ほら、交流深めるのも大事じゃね? 俺ら何だかんだまだ会ったばっかなんだし」

 

 

 そう反論したのは同じく1ーAの生徒である上鳴電気だ。彼は出来合いの反論をしただけのつもりだったのだろうが、飯田ははっとしたように手を顎に当て、真剣に何事かを考え出した。

 

 

「なるほど……今後クラス全体で演習をこなしていく中で、交流を深めておくことは確かに重要ではある……意志疎通も容易になるし、何より信頼関係を築く上でコミュニケーションをとれる機会は必要不可欠だ……」

 

 

 しばらくぶつぶつと考え込んだ後、飯田はびしりと腕を上げた。肩から指先まで針金が通っているのかと思うほどの美しい直線だ。

 

 

「僭越だが俺も参加させてもらっていいだろうか!!」

「いえーい、おっけー! 何かわかんないけどー!」

「前から思ってたけど飯田ってすげー言いくるめやすいよな……」

 

 

 厄介者が易々と懐柔されてくれたので、芦戸はひときわ高い声を上げて喜んだ。自分の言葉を勝手に誇大解釈された上鳴は、飯田の説得のしやすさに半ば呆れの表情を浮かべる。

 

 

 それを後目に、切島が荷物をまとめていた翔を振り返って言った。

 

 

「なあ、一ノ瀬も来るだろ? せっかくだし」

「ああ、うん。邪魔じゃなければ」

「何言ってんの全然邪魔じゃないよ! 行こ行こ一緒に!」

 

 

 そう元気に声をかけたのは同じく1ーAの生徒である葉隠透だ。一見すると女子用の制服がぴょこぴょこと飛び跳ねているようにしか見えないが、彼女は確かにそこに存在する。透明人間とは思えないほど明朗活発で個性にあふれる生徒だ。

 

 

「緑谷くん! これはクラスメイトとの交流を深められるまたとない機会だ! 用事がないならぜひ参加しよう!」

 

 

「う、うん、そうだね。じゃあ僕も少しだけ……」

 

 

 至近距離からの飯田の剣幕に気圧され、出久もほとんど頷かされる形で「寄り道組」に加わった。(ちなみに切島が勝己にも声をかけていたが、「んな馴れ合いなんぞするかカスが!!」と一蹴されていた。こう言っちゃなんだが予想通りの反応だ。)寄り道の提案は瞬く間にクラス全体に広がり、最終的な参加人数を数えると結構な数になった。参加するメンバーが決まると、皆ひとかたまりになって教室を出る。わいわい騒ぎながら昇降口へと向かう様は、エリート校ながら年相応の高校生といった感じだ。

 

 

 

「……あれ?」

 

 

 そのまま校門にさしかかった時、出久が声を上げた。

 




飯田くん書いてて楽しいな~(カチカチ
こういう個性が立ったキャラって中々自分じゃ生み出せませんね!

翔はその辺特徴がなくてつまらんですね←
しかしまあ、そういう当たり障りのない他人との関わり方にも理由があるので……そういう子なんだなと思って見守っていただければ嬉しいです。
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