銀河英雄ガンダム 〜ラインハルトは援軍の巻物を読んだ〜 作:ラインP
ザフトとの新たな開戦から数日。
オーベルシュタインを失ったラインハルトは悲しみから目をそらすかのように苛烈な戦いに明け暮れていた。
だが、定時になると彼は1人書斎に籠もるようにもなった。
「オーベルシュタイン。お前がいなくなってから夜、孤独な夜を過ごす苦しみをようやく思い出したよ」
LGBTQに配慮しているこの銀河では同性愛が標準で異性愛など異端とされている。
帝国では女性を好きな男性、男性を好きな女性など性犯罪者として捕まり、公開処刑にされるのが常識だ。
なので、ラインハルトはオーベルシュタインと毎晩のようにまぐわっていた。
ラインハルトの華麗なる男色の歴史の中でも、オーベルシュタインとの蜜月は特に長い。
キルヒアイスとの別れからなのでもう数千年は一緒に過ごしただろうか。
ホログラム体のラインハルトとコーディネーター化手術を受けたオーベルシュタインは寿命も長く、後数兆万年は生きれたはずだった。
ラインハルトは悲しみを忘れるかのように、書斎でオーベルシュタインと共に楽しんだ読書に没頭していた。
本を読み終わったラインハルトは次の本を読もうと書架へと目を移すと、いつの間にか見慣れぬ巻物が置かれていることに気付いた。
「新しい本が入荷したとは聞いていないが・・・」
ラインハルトが訝しがりながらもその巻物を手に取る。
「これは日本語か。何々・・・『援軍の巻物』? 軍略についての書物か?」
ここ最近はBL本ばかり呼んでいたので、たまには実用書も良いだろうと、ラインハルトはその巻物を広げた。
すると巻物が光を放ち、ラインハルトが余りのまぶしさに目を押さえ地面をのたうちまわっていると、いつの間にか目の前に1人の女性が立っていた。
「クソ、なんて光量だ。ヘルメットがなければ即死していたぞ・・・いや、誰だ貴様。いつからそこにいた?」
女性の方も当惑しながら、それでも平静を装いながら口を開く。
「私はElonaよ。小城の主よ。おかしいわね。私はエ・ランテルの住民に水に沈められて窒息死したはず。這い上がる場所は小城のはずなのだけど」
そこでElonaと名乗った女性はラインハルトの側に落ちている広げられた援軍の巻物に気付く。
「なるほど、どうやら死ぬ直前にその援軍の巻物で呼ばれてしまった訳ね。確かに貴方との縁が出来ているのを感じるわ」
本来なら呼び出されたElonaはラインハルトのペットになるはずだったが、存在の格が違いすぎるため、どうやら主従が逆転しているようだ。
ラインハルトはElonaのペットになった。
「なるほど分からん。もっと詳しく、教えろ」
Elonaに詳しく話を聞くと、どうやらElonaは先ほどまで、異世界にいて、そこでペットのカルカという女性の依頼で、魔導国とその本拠地であるナザリックを徹底的に滅ぼした後、処刑されていたそうだ。
「その後、這い上がってからアルシェの世界線に戻ろうと思っていたのだけど、どうやらより高次元から干渉を受けて世界そのものが削除されてしまったみたいなの」
どうやらElonaがいた世界はより高次元の存在達の娯楽として存在していたらしく、バランスブレイカーなElonaが介入した結果、その高次元存在に疎まれ、『感想欄』という戦場で激しい攻撃を受けて消滅してしまったらしい。
「だけど、私の存在を好意的に見ている一部の高次元存在が援軍の巻物をラインハルトの書架へと転送して助けて頂けたようね」
どうやらその魔の手は別の次元を経由することで辛うじて回避することができた。
「カルカの世界は完全に崩壊したようだけど、アルシェの世界はこの次元を巻き込むことで別次元と高次元存在を錯覚させることで復活させる事が出来るわ」
そう言って、Elonaはラインハルトと帝国軍を連れて、アルシェの世界線へと戻ることになった。
小城を常に監視していたナザリックでは、蜂の巣を突いたような大騒ぎになっていた。
「なんだあの宇宙艦隊は!!・・・あ、抑制された」
アインズは、情報魔法のモニターに映った小城の光景に困惑していた。
小城の上空には数兆隻もの帝国軍の軍艦があり、さらには人工惑星まで存在していた。
「ユグドラシルはSFみたいな世界もあったが、流石にあの規模の宇宙艦隊など実装されていないぞ。まさか本当にユグドラシル2が始まったというのか」
Elonaの物語は更に苛烈を増す。
この悲しみに暮れた世界を救うことができるのはただ一人。
未だ眠る彼のみ。
キラ・ヤマトが参戦するまで後2時間37分。
ちなみにアルシェの世界に転移する前にElonaは批判的な感想を投稿する輩を軒並み虐殺したそうだ。
感想を書くときは注意しよう。Elonaはいつだって見ているぞ。