前話さすがに酷いと思ったので書き加えたので良ければお読みください...
鳳凰星武祭準々決勝勝利のインタビュー後。
「全く、何で近接渋っただけで舐めプだの何だの言われないといけないのか...」
「わかってても突っつきたいやつらなんだろう。諦めるのが吉だな」
「それはわかるけど...」
一先ずエンフィールドが生徒会用の観覧席を開けておいてくれるらしいのでそこへ向いながら話す。
そう、今回の試合はまた近接戦闘については縛って戦ったのだ。
そのことにインタビューで突かれて辟易していた。
この話の何が面倒くさいって、面倒とは思ってないし何も感じてはないのに、何故か辟易出来るところだ。
無味に無い味を感じるようなものだろう。
「......」
「...そのために優勝を目指すんだろう?」
何も言わず手を見ていた俺の考えていたことがわかったのだろう。
この励ましはありがたい――――――と思う。
「そうだったな」
「ああ、無事終われば何人か呼んで祝勝会でもするとしようか」
ユリスのこの発言には素直に驚いた。
彼女は今までひたすら他人を遠ざけてきた。
そのユリスが自分から人を呼ぶと言ってるからだ。
「ふっ...そうだな」
「その時にはぜひ『万華鏡』も――――――
「呼んだかな?ユリスさん」
聞こえるはずのない声が聞こえた。
ギギギギ....と声のした方を向けばそこには我が姉君を先頭とした3人の女子。
「えっ...あっ...お久しぶりです」
「いった!」
ユリスの敬語が新鮮過ぎて思わず振り返ろうとして思いっきり足を踏まれた。
「うん、久しぶり。《氷狼》も」
「久しぶり」
ああ、これはありがたい。
これだけで我が姉が後ろにいる
――――――と言うのも、感情が戻ったら自分から会いに行く...つまり会いに来て欲しくはなかったのだ。
これが最後の線引きであり、感情が無いなりの拘りだった。
「お姉ちゃん《華焔の魔女》と《氷狼》と知り合いなの?」
底抜けの明るい声で聞くのは双子の妹の姉、
「この前星導館に行ったときに居合わせてね」
ピクリと二人とも反応したのが確かに確認できた。
「それって...」
先とは手のひらを返したように声の沈んだ拾華の声。
これだけでこの妹が俺に対しどんな感情を抱いているかがよくわかる。
「うん、霜くんに会いに行った時」
ミシッ
建物から軋む音が響き、大きく歪んだような感覚に陥る。
そしてそれに呼応するように大量の星辰力が周辺を威圧する。
ユリスも押されてるのか息を呑んで黙っている。
「拾華」
と、そんな拾華の肩に手を載せたのはその妹の零華。
口にしたのはそれだけだったが、拾華は星辰力の放出を止め大きく息を吐いた。
「ごめん、舞華姉」
「謝るのは私じゃないでしょ?」
「ごめんなさい、高原さん。リースフェルトさん」
大人しくこっちを向いて頭を下げるとパアァ!っと花が咲いたような笑みを浮かべた。
「それで?結構仲良さそうだけどどうしたの?」
くるりと零華たちの方を向いた拾華の後ろでユリスが目を白黒させていた。
...そう、これが拾華の本性だ。
基本的には底なしに明るいのだが、感情が高ぶると恐ろしいほど豹変する...というよりも、普段底なしに明るい猫を被ってるだけなのだ。
そして感情のセーフティラインが大きすぎる故、それを超えたとき豹変したように映るのだ。
「《氷狼》とは王竜星武祭についての話で少しね。ユリスさんとは共通の話題で盛り上がれたの」
「へーーー!それってど――――――」
「私、《氷狼》に興味ある」
と、ここでいきなり声を出したのは末っ子零華。
しかしその言い方がどこか意味深なのは気のせいだろうか。
「へぇ...どうして?」
「勘」
舞華姉の問いの答えに、ガクッと勢いを削がれたのは隣のユリスか。
「へーーー!零華の勘が反応したんだ!それじゃあ何かあるのは確実じゃん!」
マズイことになった、とダラダラ背中に汗を流す星導館ペア。
空は元より、ユリスも先の拾華の様子を見てバレたらヤバいことは認識していた。
「《氷狼》、良ければ連絡先をお願いしたい」
残念ながらここで端末を持ってないとは言えない。
何故なら今準々決勝を終えた所で、大会の期間中は運営からの連絡に直ぐ応えられるよう、原則端末を携帯しないといけないからだ。
そしてここで断っては後ろめたいことがあると自白しているようなもの。
「...えぇ、構いませんよ」
「私の方が下。タメ口でいい」
連絡先を交換しながら、
あぁ、日本語ってこういうのあるよな。ほらそもそもなんだよたこ焼きって。アイツらタコなくなってたこ焼きじゃん。しかもただタコ焼いてるだけじゃないのにたこ焼きなんて名前してやがって。いやタコもタコだろ何だよあの軟体動物。最初にアレ食おうと思った奴の気が知れないね。それで言ったらイカなんて絶対食っちゃいけ――――――
「空!」
「え、あ、すまん、どうした?」
「いきなり反応が無くなった」
無表情かつ抑揚の乏しい声に、どこか責めるような視線と声色が載って飛んできた。
零華はパッと見感情が分かりにくいのだが、慣れると逆に相当に分かりやすいのだ...このように。
「えー、あー、すまんな」
「むぅ...まだ固い」
「勘弁してくれ、ガラードワースの『静姫』相手なんだから仕方ないとしておいてくれ」
そう、我が妹、神月零華は聖ガラードワースの序列6位で『静姫』の二つ名を持つ実力者だ。
そもそもバリバリの武術家の子供なのだから、小さい頃から訓練を積んでいたために弱いわけがない。
序列入りこそしてない――――――と言うより、あまり興味がないのか殆ど戦ってないが、拾華も相当に強いはずだ。
「それを言うなら空は星導館の4位。それに王竜星武祭のベスト4」
「ダブル4ですね!」
ダブル4が何だと言うのか...
「まぁ了解した。少し時間が掛かることは了承して欲しいが努力するとしよう」
「うん」
「じゃあこれで失礼する」
「あ!ユリスさん!《氷狼》!準決勝進出おめでとう!」
「「ありがとう」」
返事をすると舞華姉は笑顔で去っていった。
†††††
「好きな食べ物は?趣味は?誕生日はいつ?」
我が
今日は別の組の試合だけだから日課の訓練と、準々決勝の観覧を終えればゆっくりするつもりだった。
そして今何故か俺はカフェで年端も行かない少女に詰問されていた。
ど、どうしてこうなった...?
そう、それは今日朝からユリスと軽く合わせをして、別れてからシャワーを終えた時だった。
ピピッ
「お?」
端末がメールの受信を知らせた。
今日は特に何も予定は無かったはずだが...と、送信者を見れば、昨日再開したばかりの
内容は、
『前略、本日デートしましょう』
これだけだった。
最初に挨拶があったわけでもないし、疑問形でも何でもなく本当にこれだけだった。
「えっ...えぇ...」
我が妹ながらこれはどうなんだと思わざるを得ない。
いやそれ以上にガラードワースの生徒がこれでいいのかと心配してしまう。
しかしこれもまたどうしようか迷う所だ。
拾華なら準決勝前なのでごめんなさい一択なのだが、残念ながら零華の俺に対する感情が分からないため察されて良いものかどうか迷う。
「...いや、行こう」
行けば少なくとも分からない以上のことは分かるはずだから――――――
†††††
「ごめん、遅れた」
「大丈夫だよ。...っと、今日行くとこは決めてる?」
別にそこまで固くなったつもりは無かったつもりなのだが、ジトーっと睨まれて口調を直す他無かった。
「決めてない」
「じゃあ色気無くてて申し訳ないけど準々決勝見に行かせて欲しい」
「ん、大丈夫」
恐らく予想はしていたのだろう。
特に渋られる事なく快諾してもらったので一応調べておいた観覧席へ向かうことにする。
「どっちが勝つと思う?」
「パペット」
だよなぁとしか言えない。
今回のカードはパペットvs沙々宮紗夜&レスター・マクフェイルだ。
残念ながらと言うかなんというか、この対戦に星導館ペアが勝てる未来が見えない。
確かにレスターの『ブラストネメア』や沙々宮の煌式武装は強力だが、あのバリアを破れるようには思えない。
あれは天霧の『黒炉の魔剣』のような協力無二なモノでなければ破れないだろう。
でなければ奴の処理能力の上を行くか。
そして今の所そのどちらもあのペアが持ってないと判断できるため、パペットと言う答えになるのだ。
「自分の学校の人、応援しなくていいの?」
「ん?ああ、どうせ優勝狙いであいつらも倒さないといけないんだから正直なとこ言ったほうがいいだろ」
「そう」
うーん、デート...って言う割にはいつも通り会話を繋ぐ努力が見られない。
前からそうであったが、まさかそれが治る所か顕著になってるとは思わなかった。
「...何を願うの?」
「―――っ、俺の抱えてる問題の解決を、な」
間が悪い。
いや、狙ったものかもしれないが、会話を終えて少し俺の気が緩んだタイミングでの質問だったせいで、目に見える反応が出てしまった。
しかし、それ以上は踏み込んでくる気がないのか、何も行動を起こそうとせずに黙々と歩いていた。
†††††
「あ、終わった」
見ていて想定以上に価値のあるものだった。
負けたマクフェイルの立ち回りと《ブラストネメア》の使い所、沙々宮の強力な煌式武装など、今大会ではもう戦うことはないが、今後のいい参考になった。
そしてそれ以上に、パペットの武装合体は先に知れて助かった。
出力もある程度は把握できたからいきなり知らない殺しはされないだろう。
「さて、一先ず移動しようか」
「うん」
周りで今の戦闘について話してる人たちの合間を抜けドームを後にする。
この後は、観戦しなかった時用に考えていた少し離れたところにあるカフェに行くつもりだ。
「どうだった?」
「存外悪くない試合だったな。マクフェイルは直情型の性格が緩和されて冷静に戦況を見れていたし、その上で恐らく作戦を立てて戦えていた。沙々宮も武装のクセが強かったがそれを上手く扱えていたと思う」
「うん、じゃあどうやってたお――――――」
「え?あれ!?零!?零が男の人といる!?」
え、うるさ。
零華の声を遮って聞こえたのは甲高い女の声。
そちらを見ればそこにはガラードワースの制服を着た少女。
「アンリ、うるさい」
零華も同意見のようだ。
それにしてもアンリ...アンリ・レイミッドか。
『神速』の二つ名を持つ聖ガラードワース学園序列9位。
零華同様まだ中等部ながら冒頭の十二人に参列する実力者。
なはずなのだが
「いやでも男の気配の無かった零が男と歩いてるんだよ!?これは大ニュースだよ!!」
このアホみたいなテンションの上げ方はうちのパパラッチに通ずるものが見えて、あまり強いようには見えない。
「アンリうるさい、失礼」
「あっはい....っとぉ!申し遅れました!聖ガラードワース学園序列9位、アンリ・レイミッドと申しまぁぁぁあああ《氷狼》!?」
え、うるさ。
ようやくここでその隣りにいた俺の正体に気づいたようだが、やかましさが倍増して嬉しみがない。
「紹介不要だろうが、《氷狼》高原空だ」
「ど、どういうこと!?零!?」
「この前偶然居合わせた」
「どーしてそこから今日二人っきりになるの!?」
「デート誘った」
「わけがわからないよー!?」
うーん、零華の口数の少なさでは今の状況ですら説明するのは難しいだろう。
が、俺は俺で面倒くさそうでしかないから説明する気が起きない。
なら、ここは
「すまないが、デート中なんだ。また後にしてもらえるか?」
「えっ?あっ!はい!すいませんでした!」
彼女はぴゅーっという効果音が聞こえてきそうな程の快速で走って逃げてしまった。
「これでよし」
「助かった」
「まぁ後日面倒になるかもしれんが、了承してくれ」
「ん」
と、話していると目指していたカフェに到着した。
その雰囲気と凝ったスイーツ、香りのいいドリンクと人気なのだが、その席が外のオープン席から仕切られた個室まで揃えられてるのがそれに拍車をかけてる。
「知ってたんだ」
これは...まぁ恐らくこの店を、と言うことだろう。
去年の王竜星武祭のことと先の発言を含めて戦い一辺倒だと思ってた俺がこんなお洒落な店を知ってるからの言葉ではないだろうか。
「去年クローディアに連れてきて貰ったからな」
「≪先見の盟主≫」
「そ、うちの3位の生徒会長サマ」
案内された先は奥のほぼ個室の席。
正確には締め切られた部屋ではないのだが、植物の壁と近くに席がないことから個室と言っても差し支えないだろう。
「仲いいの?」
「それなりに?去年の王竜星武祭から接触が増えたかな」
「≪華焔の魔女≫は?」
「えー、あー、そこはすまん、アイツの個人的な事情が関わってくる」
「わかった」
聞き分けがいいのはありがたい。
っと話していると頼んでいたスイーツが届いたのでお茶を楽しんだ。
「おいしかった」
「それはよかった」
「そういえば」
「お?」
「どうやって倒す?」
「んっ?あー...ふむ......合体はさせないのが前提として、俺ならデカいのは多面的に攻撃してオーフェリアの時みたいに隙を狙う、女型の方はー...まぁ俺が足止めしてユリスにトドメ打ってもらうがいいかな」
いきなりですぐにはわからなかったが、そう言えばパペットについての話が途中だったからそれについてだろう。
それについては俺の火力ではアルディのバリアは破れないし、いざユリスでダメだったら手詰まりになる。
ならば、ユリスが火力押ししてもらい、能力の扱いが上の俺がガードを避けることを意識すべきだろう。
勿論いくつかプランは考えてあるが、アイツらの限界が見えきった訳ではないために、想定通りとはいかないだろう。
「そう」
「......」
さて、そろそろか。
「それで?何のようだ?」
「....余裕のない男は、嫌われる」
おっふ、何と言うことか。
俺が結論を急いだばかりに、妹に男を説かれてしまった。
「......」
「けど、いい」
俺が何とも言えないような顔をしていたのだろう。
それでも直ぐに話してくれるようだ。
「私の姉妹については?」
「昨日一緒にいた二人だな?黄龍の≪万華鏡≫とクインヴェールの神月拾華」
「うん、でも私達には兄弟が、兄がいる」
話の先が見えない。
ここで俺のことを言及してどうするつもりだ?
何かに気が付いた?
有り得る。
零華はうちの家族で
それは決して戦いだけではない。
ではそんな零華相手に初耳のフリをする?それともクローディアから聞いたことにする?
――――――よし、
「ほお、それで?」
流すことにした。
下手に演技するよりは何か知られることは少ないだろう。
「...でもその兄は数年前から私たちの前から姿を消した」
「.........」
「それから、少しずつ変になっていった。お父さんはより厳しく、お母さんは影でよく泣くようになった」
悲しい。
それは何よりこの話を聞いて何も感じない自分に対してそんな言葉だけの感想を描く。
「その事に拾華は怒って、舞華姉は兄を探しにアスタリスクに向かった」
ここはそんなとこだろうなって予想通りではあった。
「そして去年、その舞華姉が王竜星武祭に優勝し、兄の捜索を願った」
「......」
「そして舞華姉は星導館学園に私達の兄...舞華姉にとっては弟がいたことを報告してくれた」
「...」
「けどその正体をいつまで経っても話そうとはしてくれなかった」
「...つまりその兄を探してくれ、と?」
「結論を急ぐと嫌われるよ」
またか...
「ここで一つだけ不審なことがある」
「それは?」
「
こ、れは...
「昨日のあなたの試合後遭遇したときの話、舞華姉は≪華焔の魔女≫はファーストネームで読んでいた。それは話が盛り上がったって言うからそうだと思う。けど―――」
「.......」
「けど、あなたは二つ名で呼んだ。王竜星武祭について話をして、ある程度親しげに挨拶をした。それなのに
バレた...いや正確には黒に程なく近いほどのグレーだろう。
まだ確信を持っているわけではない。
しかしこれは...
「最初はほんの少しのただの違和感だった。けどこれが完璧な疑問になったのは、とある本戦第二回戦の映像を見たとき」
っ...
「私達の家、神月流は無手から剣を越え、ありとあらゆる武器に通じた流派。その先は勝利であり、柔を成し剛を成せを真髄とする勝つための技術。そして―――」
零華は空間ウィンドウを起こし、俺の前へとある映像を持ってきた。
それは鳳凰星武祭本戦第二回戦、俺達とレヴォルフのペアの試合の、俺とマジルの近接戦闘の映像。
「―――ここ。ここでこの選手...あなたの攻撃は防御を突き抜け、相手に刺さった。型の無いこの格闘技は神月流居合術『頸打』。そして今までにうちの門下をくぐった人に、その歳でその名前の人はいなかった」
スッと目が細められた。
「あなたは、誰?」
俺は大きく息を吸って...そして吐き出した。
はてさて大学生私は春休みとなりまして、次話もある程度書いてはいるのでこの春の内には投稿できると思います。
しかしまぁ休暇が終われば、忙しさから更新はまた止まる気がします。
あと『小説家になろう』に全く違う名前でオリジナルの小説を投稿していまして、そちらにも時間がとられています。(まぁそっちも今止まってるんですけど)
と言うか、そちらはコレより駄文になってて悲しみが溢れてます。
まぁ何かしら気になることがあれば頑張ってお聞きくだされば、なるべく答えていこうと思いますのでよろしくお願いします。