『鳳凰星武祭準決勝!既に聖ガラードワースペアを撃ち破り決勝進出を決めた星導館学園ペアと戦うことになるのはどちらなのか!?』
『まずは東ゲート!同じく星導館学園より序列四位≪氷狼≫高原空!&序列五位≪華焔の魔女≫ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトォォォォ!』
「もしかしたら...とは思ってたんだがな」
「あぁ、だが相手はアレになったか」
『対するは!本大会より参加が可能となった代理パペット!アルディ&リムシィィィィィィィイイイ!』
「『ふはははは!やはり我々の相手は貴殿になったな!高原空!』」
陽気にあの人形は話しかけてくるが、そのせいで俺は恐怖に怯えることとなった。
なぜなら名前を呼ばれなかった相方が隣で高熱を発しているからだ。
「『黙りなさいこの木偶坊が。それはマスターが仰っていたことでしょう。それに隣りにお姫様だっているでしょう』」
「...ふん、だいたい今ので今までのことの合点がいったな」
「『ふむ?一体何のことであるか?』」
「『貴方は気にしなくていいことです』」
「...え?もしかして今まで温存してきたの無駄だった?」
まさかまさかである。
可能性としては考えていたが、まさかユリスを襲ったサイラス・ノーマンに人形を流していたのがこのペアだったとは。
「いや、そうとも限らんだろう。隠し続けれていればアイツの処理能力に負担はかけられるからな」
「まぁそれで納得しておこうか...」
『さぁ決勝へと駒をを進めるのはどちらになるのか!?バトル...スタート!!!』
†††††
「『ふはははは!では今回も最初の一分は指先一つ動かさないとしてやろう!』」
『出たァ!アルディ選手この準決勝でもハンデを付けてきた!』
「...なぁ、それ破ったとしてお前に何かペナルティあるのか?」
「『む?どういうことであるか?』」
「空...今聞くのがそれか?」
今までやってきていたときも思っていたのだが、あいつがその縛りを破ってその間に攻撃したとしてヤツに何かペナルティを課すことはしないのだろうか?
じゃないと縛りとして成立してないように思うのだが。
「いやお前が自分でその縛り破ったとして何のペナルティもなかったら単なる騙し討ちだろ?って話だ」
「『ふむ...確かにそうであるな。しかし我々とで負けてやる道理はないのである...ううむ...』」
「まっ冗談だ。気にしないで始めるぞ《氷雷針》」
未だに唸っているアルディを無視して氷のエストックを5本周りに生成し、視認できるほど星辰力を迸らせる。
そして――――――
「行けッ!」
左右に2本ずつ超高速で飛ばす。
『高原選手、左右に大きく氷の剣を飛ばしたァ!』
『なるほど、今までの選手はあのバリアを壊すことに重きを置いてきましたが、高原選手はあのバリアを掻い潜ろうと―――』
「シッ...!!!」
――――――ギンッッッッ!!
「『むっ!?』」
俺は身体で隠して出しておいた刀型煌式武装でアルディの
その後左右に飛んでいったエストックは僅かに差を付けてこそいたが、全てをバリアに阻まれた。
「『これは...っ!』」
しかし、上からそのバリアを避けて飛来した
『おおっとこれはぁ!?』
『アルディ選手が被弾しましたね...その上身体を動かした』
『それよりも驚きなのは何と高原選手が剣型の煌式武装を使用しました!』
『今まで煌式武装は一度も使ったことの無い高原選手がここで初を出してきましたね...なるほど、アルディ選手の学習能力対策でしょうね。何故なら彼は未知に弱い』
『まさかまさかここでまたも新技が飛び出ました高原選手!一体どれだけ引き出しがあるのでしょうか!?』
「『むぅ...どういうことであるか?』」
アイツはどうして被弾したのか不思議でたまらないのだろう。
それもそうだ。
何故ならヤツは≪氷雷針≫の防御のため前方にバリアを展開していたはずなのだ。
それなのに前方にいたはずの俺の剣を受けた。
勿論、俺が想像以上のスピードだったのはあるだろう。
エストックの加速にと思われていたはずの星辰力はその大部分が俺自身の加速に使われていたから。
「ネタバレするわけないだろ?」
「『それもそうであるな』」
そもそもこれはそんな大逸れたことではない。
ただ前方へ加速し、ソレ以上の速度で横へ移動、バリアを避けただけなのだから。
正確には足元に氷を生成して足場代わりにはしたし、方向転換に結構星辰力は使った。
それに≪氷雷針≫にも意識は向いていたはずだ。
前の試合で俺が近接戦闘を渋ったことにより、≪氷雷針≫を見て俺がまた近接戦闘を渋ると判断してしまった。
だからこそ、想定外の接近と、想定以上のスピードに対処出来なかったわけだ。
しかしもう無駄にする星辰力もないためやる気はない。
「『ふむ?存外に攻めてこないのであるな?』」
「......」
集中、集中だ。
相手が人ではなく、俺と同じく感情の無い相手だ。
疑似人格相手に敢えて余裕見せる必要もない。
余計な情報を与えないために黙るのが正解だな。
「『ふむ、しかし貴殿の言った通りになったな。一分の制約も破ってしまったし、普通に動かさせてもらうのであるが...うむ、これが申し訳ない、いや情けないであるか?』」
存外に最初のあれを気にしてくれているようだ。
俺にとってはありがたいことこの上ない。
「『―――何故、貴方は攻めてこないのですか、≪華焔の魔女≫』」
「ん?あぁ、別に舐めているつもりはないぞ。少々時間のかかる準備をさせてもらっていたしな」
そんなことを言うユリスの後ろには限りなく細長く絞られた数多の≪鋭槍の白炎花≫。
「『...どちらにせよあの木偶の坊が制約を破ったので私からも行かせて貰いますよ』」
アルディがハンマー型の武装を展開したのと同時に拳銃型の武装を展開したリムシィが発砲する。
「≪白城壁≫」
が、その全ては氷の壁に阻まれ、その間に俺は刀を手にアルディと切り合い殴り合い。
そしてその全てはアルディのバリアを掻い潜って、そのハンマーで防御をさせている。
「『ふははははは!なるほどな!剣を使えるまでは知っていたが、まさかここまでとはな!』」
「≪鋭槍の白炎花≫!」
準備時間を十分に使って圧縮されたユリスの槍は先の俺を越える速度で
「『なんと!?』」
「―――神月流剣術『
残念ながら俺はそう多くの神月流を修得しているわけではない。
抜刀術を始めとした居合術は全てを修得しているし、剣術は途中までの修得と、奥義の習いまではやっていたのだが、そこで誘拐されてしまったのだ。
正確には他の術も習いだけならある程度やってはあるが、きちんと把握できているのは剣術だけだ。
―――だが、だからこそ、その剣術だけは今得てるものの洗練も、知っていた奥義の練習も欠かしたことはない。
―――ギンッ!!!
「ちっ...!」
≪鋭槍の白炎花≫へバリアが向いた隙に『汐踏』で打つ寸前に一歩足をわざと踏み込み、半拍タイミングをズラして切り上げる。
バリアはユリスに対し展開され、ハンマーはタイミングをズラして間に合わない。
校章を狙えた―――はずだった。
しかし、実際にはハンマーから離した左腕が割り込み、その腕に傷をつけるだけに留まった。
戦ってるうちに奴が人の身でないことを失念していた。
「―――『ルインシャレフ』」
その驚愕に僅かに時間を取られた瞬間だった。
(まっずい!)
俺を狙っているのかユリスを狙っているのかわからないが、どちらにしろまずい。
俺ならば避けることに気を取られるとアルディに対処が間に合わなくなる可能性があり、ユリスの前にある≪白氷壁≫はあまり星辰力が込められていないし、今は生成後の放置中であとは崩壊を待つのみ。
壊れやすさは平時の同一の技より大きい。
「ユリスッッ!!」
「ああ!」
「≪白銀世界≫!」
出来上がったのは俺達とパペット達を遮断する、厚さのほぼない
そう、コレの役目はユリスと俺―――リムシィの標的を隠すためのもの。
瞬間、ユリスのすぐを横を通り抜ける極太レーザー。
同時に壊れる目隠し白幕。
『なんと!?不意に打たれたリムシィ選手の超火力レーザー!しかしこれは高原選手の咄嗟の白幕によって狙いを外されたぁ!』
『これ、さりげないですけど高原選手の呼び掛けでリースフェルト選手に標的向けさせてましたね』
「≪九輪の舞焔花≫!」
「神月流歩術『
これは地面を蹴る瞬間にのみ星辰力を圧縮、集約することで凄まじい速さを出すための歩術。
黄龍の≪天苛武葬≫に並ぶほどの―――、いや直線においてはソレ以上の速度にも成りうるモノだ。
最初の突撃と違うのは、あればスタート時にのみ星辰力を爆発させ、同様に方向転換時のみ星辰力を使う加速方法。
一発当てるだけではなく、剣術で切り合う殴り合うならば、歩術の方が適している。
そして何より、
「『む!?これは!?』」
先の≪白銀世界≫を作っていた氷の破片はまだ落下途中のものが多く、それ故に俺の姿を隠してくれている。
その煙幕に紛れ間合いまで近付き―――
「神月流剣術『
静かな、しかし迅速な一突き。
「『むぅぅぅん!』」
回避は間に合わないと悟ったのか、ハンマーで弾かれた。
「≪氷柱剣山≫」
地面から生えた氷柱がアルディの校章を狙う――――――が、それはリムシィの射撃により壊されてしまう。
「ああもう!」
『なるほど、星導館ペアはユリス選手を氷の防壁の後ろに置いて攻撃に専念させてアルディ選手の防壁を引き付け、高原選手が刀と氷で武器を弾いて校章を狙っているようです。』
「『ふはははは!流石であるな高原空!まさかここまで全て作戦通りだったとは!』」
正確には狙いと戦い方が作戦通りなだけで、攻撃手順は最初以外ユリスと話し合ってはいない。
「『さて、このままでも行けない気はいないのだが、ここで本気を出さねば相手に失礼というもの!』」
...ああ、なるほど、一昨日のインタビューであそこまで言われたのはそういう点も含まれていたのか。
感情がないとは言え人間より機械がそこに気付くとは皮肉なものだな。
「『そのままやっても勝てるとは思いますが...いいてしょう。圧倒的に倒してこそマスターの素晴らしさを知らしめられるというものです――――――『ルインシャレフ・Maximum』』」
リムシィはその武装から光が漏れるほどのチャージをし、上に発射した。
それは最高到達点まで行くと散弾の用に周りに降り注いだ。
「っ...《白氷城》!」
俺とユリスを囲うように氷の城が出来上がった。
「《赤熱の灼斬花》!」
「《銀群鳥》」
ユリスの火の玉と俺の氷の鳥たちは、いくつか被弾しながらも散弾を避け、リムシィへ近付いて行ったが――――――
「『一歩遅かったですね』」
『カミラ・パレート校章破損!』
合体を止めることは叶わなかった。
「『後は任せましたよ』」
「『うむ、任されたのである』」
「やってらんねぇな...」
「まぁそんなものだろう。どうする?」
「あんま使いたくなかったがやるしかないか」
「そう悲観す――――――「『ウォルニール・ハンマー、発射!』」...っ!?」
轟音を鳴らしながら氷の城には大穴が穿たれた。
「...おいおい、星辰力渋ったとは言えここまで簡単に壊されるか?」
「...前回より火力上がってないか?」
「『ふはははは!だがまだまだ終わらないのである!ウォルニール・ハンマー...』」
「やってらんねぇな!?」
「『発射!』」
俺とユリスは城から出て二手に別れて回避。
「《氷雷針》」
「《九輪の舞焔花》!」
多角的に飛んでいった氷のエストックと炎の槍は、しかし個別に展開されたバリアに阻まれた。
「確かにこれはやってられないな...本当にいいんだな?」
「構うか、やれ」
「『む?何かやるのであるか?』」
アルディは俺たちが何をするのか楽しみにしているようだ。
「はぁ...≪六弁の爆焔花≫」
「『む、一つだけ...それに威力もそんなにないのであるか?』」
「これには一定の火力があればいいからな...行け」
ユリスの手から離れた火球は
そして起爆し俺の身体は吹き飛ばされた。
†††††
『おおっとこれはどういうことだ!?秘策が出るのかと思えばまさかの同士討ち!?』
『リースフェルト選手がミスをするとも思えませんし...故意だとは思うのですが...』
「『確かにどういうことであるか?』」
「さてな、では踊り狂って貰うとしよう...≪栄裂の炎爪華≫!」
地面から生えた炎の爪はアルディを握りつぶすように縮まった。
「『何のこれしき!』」
アルディがはハンマーを振り回し、その火柱を掻き飛ばした
――――――刹那
「アハハハハハハ!」
アルディが吹き飛ばされた。
「『これは!?』」
『これはまさか...去年の王竜星武祭でリューネハイム選手との戦いのときになっていた状態...』
「ハハハハハハ!」
空は手に持っていた刀型煌式武装を吹き飛んだアルディに投げつけ、ソレにも劣らない俊敏さでアルディを追い越しまたもアルディを蹴る。
またも飛ばされたアルディの先には――――――投げられていた刀。
「『なんと!?』」
刀には気付いたためバリアで防げたが、全く以て規則性のない動きに、空本体の攻撃にはバリアを張れないでいる。
そして合間を縫って届くユリスの攻撃。
こちらこそバリアを張れてはいるが、お陰で空からの攻撃に対し、回避が取りにくくなっている。
『ラッシュラッシュラーーーッシュ!』
『わからないことだらけではありますが、暴走みたいな割りにちゃんと対策の元攻撃されてますね』
そう、空の攻撃には全て一貫性がない上、あまりユリスの射線に入らない中、多角的に攻められているのだ。
「『ぐっ...ぬっ...のぉっ!?』」
「ここっ!綻べ!≪大輪の爆耀華≫!」
ユリスはなんとここで空が近接戦闘しているのにそれを巻き込む大技。
『なんと!?リースフェルト選手、仲間をも省みない大技!』
『今までの戦いから見ても、恐らく高原選手から自分ごと、と言うオーダーが出ていますね』
『なるほど!何か防ぐ手立てがあるということでしょうか!?しかし、今の状態の高原選手にそれが出来るのか!?』
だがその心配は杞憂に終わる。
足を止めたアルディはバリアを複数枚使って≪大輪の爆耀華≫の火力を全て塞き止めて見せ、空の取り直した剣の突きには手を腕まで貫通されることで防いでみせた。
『おおっと!しかしその大技も高原選手の攻撃も両方防がれてしまったぁ!』
『これは高原選手がこの状態になってしまったからこそですね。先に敵が人の身でないことはわかっていたけど、この状態故に判断出来なかったのでしょう』
煌式武装の展開を解き剣を抜いた空は、再度展開した剣を手にアルディへ駆けて行く。
「『獣の如き不規則さ...なるほど有効と認めざるを得ないのである...しかし!距離を詰めるのには些か不適切出会ったようだな!』」
しかしアルディの直前で方向転換が見破られ、ハンマーの手痛い一撃を食らい吹き飛ばされる。
「『ははははは!これだけ距離があれば流石に方向の予想はつくのである!』」
「空!ちぃっ!綻べ!≪赤壁の断焔華≫!」
『おおっと!今度は炎の壁だ!ユリス選手大技大盤振る舞いですね!』
『ああ、最初の1分はこの大掛かりな設置型の準備に使っていたわけですね』
『高原選手は意識消失こそまだしてはいませんが、大ダメージから動くことが難しいか!?』
「『―――しかぁぁぁし!』」
ユリスの炎の壁はバリアで通り道を作られ、直ぐに通過されてしまった。
「『そう簡単に我輩は止められないのである!』」
そこでアルディが目にしたのは、膝をついて―――――しかし、左の腰に剣を構えた空の姿。
「咲き誇れ≪九輪の舞焔花≫!」
「≪斬焔≫及び、神月流抜刀術―――『緋扇』」
しかしアルディはその攻撃は一度
故にバリアを空の方へ張り、ユリスの≪九輪の舞焔花≫の軌道を確認するために視線を外してしまう
――――――自分の障壁に自信があるから。
「――――≪
「『むっ!?』」
空へ向けていた左腕が突如膨張、表面の装甲を突き破って出て来た氷の蔦がアルディを締め付ける。
――――――途端、バリアはその形を歪め無くなる。
――――――瞬間、空間を斬撃が通り抜ける。
――――――同時、校章が二分した。
†††††
『エルネスタ・キューネ、校章破損!』
『試合終了ぉ!勝者!高原空&ユリス・アレクシア・フォン・リースフェルト!』
『終始驚愕と納得の連続でしたね』
『まさにその通りでした!初の煌式武装使用に始まり、アルディ選手の被弾、高原選手の予想外の剣の実力、そしてユリス選手の同士討ちと、大技連発ですね!』
『順番に確認していきましょうか。高原選手の煌式武装使用ですが、実力と使い慣れてる感じからして随分前から使っていたものでしょう。次にアルディ選手の被弾ですが傍目から見ると分かりやすかったですね』
『我々から見れば目で追うことは難しかったですが、その軌道は一目瞭然でした!』
『ただ障壁を避けただけですが、その前に使用した氷の剣で一先ず近接のつもりがないと判断してしまったこと、速度を三段階に分けていたために障壁で防ぐことが出来なかったようです』
『なるほど、最初に使った氷の剣はただの陽動ではなかったと!剣の実力に関しては先に言っていた通りですね!』
『次に同士討ちですけど、これはまぁ高原選手をあの状態にするためですね。そしてあの状態にしたのは規則性のある攻撃をしないためと、恐らく最後の仕込みのためですね』
『最後の仕込みと言うと...アルディ選手の腕から氷の蔦が出て来たものでしょうか?』
『はい、戦闘中にも言いましたがあの状態でもちゃんと対策が為されていたので冷静な部分が残すことに成功したんじゃないでしょうか?そして最初の接触で、どこかで身体で受けることがわかってたんじゃないでしょうか』
『なるほど、それを狙って残しておいた冷静な部分で布石を残していたってことですね!ですがそもそもなぜあの障壁は消えてしまったのでしょう?』
『あれは恐らく腕が壊れてエネルギーの伝達系に支障が出てしまったせいですね』
『もしや狙っていたのでしょうか!?』
『まぁアルディ選手は障壁を張るのにそちらへ手を向ける癖があるようでしたからね。何らか関係していたのは予想していたでしょう。変わってリースフェルト選手の大技大盤振る舞いは、高原選手が防御を担当することで余裕を生んでたために出来てたことですね』
『ところで気になるのは最後の攻撃ですが...』
『あれは恐らく流星闘技かと思われますね。それも恐らくロボス遷移方式を取り入れた高火力広範囲の攻撃でしたね。星導館学園の沙々宮選手の煌式武装にも使用されていた構想ですね』
『まさかまさか高原選手に近接戦闘能力と火力が追加されてしまいました!』
『それに目立ってこそいませんがユリス選手の尽力と連携がその前に下にありましたね』
『派手な能力と目立つ新たな情報で隠れてましたが、火力連携策略どれを取っても強いペアと言うことでした!』
「『ふははははは!なるほどな!確かにこれは正気ではないと油断していた我輩の落ち度である』」
「ま、お前らはデータ故に信用しすぎるところがあるからな」
「それに私の炎の熱で貴様らの動作はほんの少し悪くなっていただろうからな」
「『ふむぅ...そんなことまで考えていたのであるか...』」
「さてまぁこれからどんしたもんかなぁ...」
「『決勝の天霧綾斗、刀堂綺凛ペアであるか?』」
「それもなんだが...」
「なるようにしかならんぞ」
「『?』」
†††††
それは昨日の午後、とあるカフェにて。
「あなたは、誰?」
俺への視線を一切外すことのない零華の瞳にあるのは疑念。
そしてとほんの少しの期待と警戒。
別にここでバラしたって本質的な話構わない。
しかしそれは
家族は、舞華姉はこんなとこまで俺を探しに来てくれた。
拾華は家族の関係に罅が入ったことに起こってくれている。
そして零華もここまで来たと言うことは、俺を探していることは確かだろう。
そんな家族達に対し今まで隠れていた俺が、"見つかってしまったからしょうがないね、事情を話すよ"、では筋が通らない。
だからと言って適当に誤魔化して聞く相手にも思えない。
確信のもとこの話を出していて、何か要求その他があるからこうして追及してるのだ。
ではやれることは、誤魔化しではなく...
「悪いな、話せないんだ」
完全なる拒否だ。
「...どうして?」
「俺の...最後の意地なんだ」
店に流れる穏やかな曲が俺たちの間を支配する。
どれ程そうしていただろうか。
「...そう」
それだけ言って、彼女は紅茶を口に含んだ。
「すまんな」
「いい。今後とも普通に付き合ってくつもりだし、まだあなたのことを調べ続ける」
「それは...おっかないな」
飲んでいたコーヒーよりはマシな表情が出来たと思う。
書いてたら約9000字だって。
なろうに書いてるオリジナルもこんくらい筆が進めばいんだけどねぇ...
さて次回は決勝!対星導館学園新旧一位剣士ペアです!
...構想もあまり考えてなかったし全くの書き溜めなしなので次回はあまり近くないと思います。