短いです。
あとごめんなさい。
『さてさてさて!やってきました鳳凰星武祭一回戦第二試合!今年は星導館が熱い!熱過ぎるっ!先の第一試合では新旧一位ペアが新一位天霧選手の一刀の元、一瞬で試合を終わらせてしまいました!恥ずかしながら私、目で追うこともままなりませんでした!』
『あの速さは素晴らしいですね。今年の星導館は選手の層が厚いのでしょう』
『さて!第二試合もそんな乗りに乗る星導館学園からです!登場していただきましょう!高原空&ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトォォ!』
大歓声の中、登場口から歩み出る。
『リースフェルト選手は星導館学園序列五位にして≪華焔の魔女≫の二つ名を持つ本物のお姫様です。その魔女としての能力も強力ですが、星辰力と万応素の操作能力も目を見張るものがあります』
『強力な能力に、それに負けない制御力!そして!そんな素晴らしいお姫様のペアが普通であるはずがないっ!』
『高原選手は去年の王竜星武祭で大判狂わせをした≪氷狼≫の二つ名を持つ有名な選手ですね。去年は序列外だったんですが、今年は序列四位になっています』
ユリスと共にフィールドに降り立つ。
『さて!星導館学園序列四、五位ペアはどのような戦いを見せてくれるのか!』
息を一つ大きく吸い、そして大きく吐く。
『バトル....スタート!』
戦闘開始を合図に敵の黄龍の男子生徒二人が素早く駆け出す。
相手は序列こそは六十位と六十四位ではあるが、他校に置ける二十五位相当の実力がある。
その差こそが黄龍のレベルの高さを物語っている。
茶色で短髪の大柄な男と、紫色で編み込んだ長身の男。
どちらも拳士のようで、能力者ペアであるこちらに対し距離を詰めて来る。
「さっきは天霧が派手に行ったからな。負けてられんぞ、空」
つい先ほどまでこのフィールドで試合をしていた天霧、刀藤ペアは天霧がド派手に勝ちをかっさらって行った。
同じ星導館の者としても、ライバルとしても、負けてられない。
...と、言った感じにユリスが激励してくる。
「そこまで言うなら、お前がやってもいいんだぞ?」
「や、遠慮しておこう」
取り付く島もなく、断られてしまった。
「じゃ、お姫様を守る騎士は、大人しくお敵さんと遊んでおきましょうかね...」
言いながら空は二、三歩前に出ると星辰力を溢れさせ、万応素に干渉する。
そして、かつて無いほどの万応素を反応させ...
「≪大氷山≫!!」
フィールドの大半を氷が埋め尽くした。
氷がないのは空より後ろだけであり、その前方は防護壁に沿って凍り付いていた。
『な、なんですかこれは...』
元クインヴェールの女の実況者は魂の抜けたような声を漏らしていた。
『フィールドが氷漬け...高原選手の能力でしょうけど、これは正直予想以上ですね...』
『氷の中で意識を保っているらしくまだ校章による戦闘終了は宣言されていませんが、これはすぐに終わりますね』
『End of the Duel』
と、言っていたら終わったようだ。
『試合しゅーりょー!なんと一瞬で決着がついてしまった!ですがこれを毎回やれば余裕で勝てると思うのですが...』
『毎回やれれば勝てると思いますよ?ただここまで派手に能力を使うとなると相当なリソースが必要になるはずです。ので、恐らく開始直後からの二人の雑談をしている間に準備していたのでしょう』
『なんと!余裕そうにしていたのも理由があったとは!次の試合も目が離せませんね!』
そんな実況解説を背に退場するのだった。
▽△▽△▽△▽△▽△
ついにやってきた鳳凰星武祭。
開会式ではレギュレーションの変更が通達され、煌式武装の複数所持や、パペットによる代理戦闘が認められたとのことだった。
案の定アルルカントはパペットを使うペアが出るらしいのだが、それ以外の学園が芳しくない。
前回黄龍の優勝のペアも出ないし、クインヴェールからも特に名を聞く人たちはいない。
レヴォルフも中位の選手こそいれ、目立った強さは感じられない。
唯一ガラードワースからの出場者が危険視できるくらいだ。
ちなみに星導館からは空とユリス、天霧と刀堂、そして意外にもレスターと沙々宮辺りが有力選手として出ている。
さて第一試合が終わってしまったので一週間近く暇になってしまう。
勿論他の奴でも見ないといけない試合はある。
しかし全部見る必要があるものもなければ、リアルタイムで見る必要性のあるものもない。
直接応援したい奴もいないのでまさに暇になるのだ。
ああ、ユリスも似たようなものだ。
一応毎日体を動かす約束をしているが、疲れを溜めるわけにもいかないため、そんな長時間でもない。
そしてユリスも悲しいことに友人はいないためどうせ暇してるだろう。
ピピッ
と、インタビューを終えてどうしようかと迷っていると端末が着信を知らせた。
発信者は―――
シルヴィア・リューネハイム。
えぇ...
去年の王竜星武祭後にアドレスを交換してからと言うもの稀に連絡は取っていた。
だから電話してくること自体に問題はない。
問題があるのは今の状態だ。
まだシリウスドーム内のため周りにはたくさんの客がいること。
そして隣にパートナーのユリスがいること。
ここで電話に出れば、空間ウィンドウと声によって周りに歌姫との連絡がバレ、隣の王女様から詰問されることだろう。
いや、ユリスと俺は単なるパートナーであるから別に問題ないはずなのだが、まだ神月家にいたころ姉から、女の子といるときは他の子のこと考えちゃいけない、と厳命されていたから対処しにくいのだ。
ちなみに舞華姉さんと話してるときに妹の零華に構ったらそう言われた。
「ん?どうした?」
あぁ、バレてしまった。
感情のない今、すがるべき過去の約束を反故にはできない。
「あ、あぁ、ちょっと着信がな」
「?出てやればいいだろう」
ああ、すまない姉さん...
『遅ーーい!』
学生観覧席側の階段へと行き着信に出れば文句が飛んできた。
「なっ...戦律の魔女!?」
『あら?そこにいるのは華焔の魔女かな?』
俺の電話相手に驚きの声を上げたユリス。
どうでもいいが人の通話に入り込んで来るなよ...。
「...何故世界の歌姫が私のペアのアドレスを持っている?」
突然不機嫌になるお姫様。
あれ...なんか既視感。
『んー?さー?何ででしょーか?』
頼むから煽らないでくれ...。
「おい空、どういうことだ?」
「あー、去年の王竜星武祭の後シルヴィにオーフェリア対策を聞かれたって言ったろ?そん時に交換したんだよ」
「シルヴィ...?お前世界の歌姫を愛称で呼んでいるのか?」
「呼ばないと怒るから呼ぶしかないんだって...」
「...まぁいい。お前の交遊関係に口出しできる権利は持ってないからな」
と言うわりには不機嫌そうである。
これは今後我が姉の言葉は守った方が良さそうだ。
『あ、終わった?』
しかしこの反応は解せない。
「ああ、一応な」
『じゃあまずは、一回戦突破おめでとう』
「ありがとさん」
『随分派手な氷の使い方したね』
「お前には効かないだろうがな」
『流石にね?』
こいつにやったってすぐ溶かされるだろう。
「で?それだけか?」
『えー?反応ひどくない?』
「試合終わった所で疲れてるんだよ」
『ふーん.....そういうことにしといてあげる。それでね、星武祭の間どこかで会えないかな?』
隣のユリスがピクリと反応したのが怖い。
「あー...すまん、流石に開催中はな...終わってからならいいぞ」
『はーい!わかった!じゃあ予定合わすから閉会式から一週間以内には一回連絡してね!』
さて...今から怒涛の言い訳タイムだ。
次は本戦あたりまで時間飛びます