魔法少女リリカルなのは エース・オブ・エースの弟   作:ロア

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注意! 主人公達の立場上、本編にはほとんど関わりません。
フォワード陣の出番も皆無です。
暫くグダグダが続きます。


StrikerS編
19話 StrikerS1


「機動六課課長、そして、この本部隊舎の総部隊長。八神はやてです」

 

 六課隊員全員がホールに集まり、部隊長であるはやてさんの話を聞く。

 

「平和と法の守護者。時空管理局の部隊として、事件に立ち向かい、人々を護っていくことが、私達の使命であり、成すべき事です。実績と実力に溢れた指揮官陣。若く可能性に溢れたフォワード陣。それぞれ、すぐれた専門技術の持ち主の、メカニックやバックヤードスタッフ。全員が一丸となって、事件に立ち向かっていけると信じております。ま、長い挨拶は嫌われるんで、以上、ここまで。機動六課課長及び部隊長。八神はやてでした」

 

 ぼくはその挨拶の半分を聞き流しながら、隣に立っている二人を見る。

 ティルクは真面目に話を聞いているようだが、潤は目を閉じている。

 どうやら立ちながら寝ているようだ。

 

『真面目に聞きなさい』

 

 頭のなかに響いてきたのは姉さんの声だ。

 そちらを向くと、姉さんは笑顔でこちらを見ている。

 

『わかりました。まあ、もう終わったけど』

 

 ぼくはそう念話を返し、首を鳴らす。

 そんなぼくに、姉さんが呆れたように溜め息をついた。

 そして解散すると、全員がそれぞれの持ち場に散っていく。

 姉さんはフォワード分隊のメンバー四人に声を掛け、外に向かう。

 

「そういや、フォワード分隊とやらは今日から練習始めんだよな?」

 

 ぼくは潤の言葉に頷き、

 

「ああ、そうだ……教導は、確か姉さんが一年付きっきりなんだよな」

「珍しいのか?」

「ほとんど無いと言っていい。戦技教導隊の『教導』は、短期間に集中してトレーニングするんだ。長くても一ヶ月くらいだな」

「それが六課に出向、試験運用の一年間ずっと、か」

「つまり、フォワード分隊の新人達は恵まれてる、ってこったな」

「覗いてみるか」

 

 

~~~~~

 

 

 ガジェット・ドローン。

 ぼくらも相手をしたことのある、あの珍妙な機械の破壊が訓練の内容か。

 というより、実力の判断のためにやっている感じが強い。

 

「へぇ、中々考えるもんだ」

「フロントのあれ、身体強化魔法だな。センターは、あの歳でヴァリアブルショットを使えるなんて大したもんだ」

 

 ぼくは姉さん達から教わっていたとはいえ、充分に使えるようになるには数ヵ月掛かったのだ。

 

「あの――ライトニングだったか。ガードとフルバックの二人も、まだ子供なのに中々使えるようだが」

「将来有望な子達だな。姉さんが楽しそうにしてるのが容易に想像できる」

「お前達も来ていたのか」

 

 観戦していたぼくらは、そう声をかけられた。

 そちらを向くと、二人の女性。

 

「ヴィータさんに、シグナムさん」

「ヴィータ三尉……確か、シグナム二尉と同じ、フォワード分隊の副隊長、でしたか」

「ああ。お前らの事も知ってるぞ。『強行偵察課』のメンバーだろ」

 

 ほんの僅かに、ヴィータさんが警戒するように言ってきた。

 

「ティルク・アローン空曹長です」

「斎藤潤。陸曹です」

「一騎は知ってるからいい」

 

 流れであいさつをしようとしたぼくは、少し残念な気分になった。

 

「ヴィータさんも教導官の資格もってましたよね。参加するには……まだ早いですか」

「ああ。あんなひよっこを相手にしたら、冗談抜きで潰しちまう」

「それまでは、他のところでフォローですかね」

「他人事みたいに言ってるが、お前達も訓練の相手として駆り出されることもあるみたいだぞ。準備しとけよ」

「いつでもいいですよ」

 

 そういえば、とシグナムさんが、

 

「ティルク。今は空いているか?」

「ええ」

「よし」

 

 

~~~~~

 

 

 そういうわけで、無断で訓練場の隅を借りたぼくらの前には、セットアップをして静かにレヴァンティンを構えるシグナムさんと、自分の剣と盾を構え、冷や汗をだらだら流しているティルクが立っている。

 最近、ティルクの防護服は、一般局員が使用しているプレートつきジャケットから変更している。

 上半身に金属の鎧を着込み、その上に青いサーコートを纏っている。腕には五本指タイプのガントレット、脚には膝までを覆うグリーブ。それに剣と盾を構えたその容貌は、まさに騎士然としている。空戦魔導師として、ヘルムは視界が狭まるからという理由で設定していない。

 

「シグナムさん、いきなり全力で行ったりしないでくださいよ」

「わかっているさ。手は抜かん」

「ならいいです」

「いまいち会話が噛み合ってないんだが」

 

 ヴィータさんが隣で溜め息をつく。

 

「なんですか、これは」

「手合わせだ。お前の実力の程も知りたいしな」

 

 シグナムさんにさらっと返されたティルクはこちらを見て、

 

「高町! なんとかしてくれ!」

「全力で行っていいぞ。シグナムさんは倒そうとしても倒せないだろうから、死ぬ気でやってみろ」

「なんだと!?」

 

 さあ始めるぞ、というぼくの言葉に、ティルクは頭を振ってやけくそ気味に構える。

 

「始め!」

「おおっ!!」

 

 合図と同時に、ティルクが地面を蹴る。

 振りかぶった剣を叩き付け、切り払い、突き、左へ薙ぐ。

 かなりの早さで打ち込まれたそれを、しかしシグナムさんはすべてを受けきる。

 

「無駄が多いな。早さはあるが、それでは当てることすらできん」

 

 シグナムさんが振るう剣を、ティルクは盾で受ける。

 ティルクはシグナムさんより背も高いし力も強いだろうが、その鋭い剣に大きく吹き飛ばされる。

 

「はああああああっ!!」

「く――っ!」

 

 シグナムさんが連続で打ち込む剣を、ティルクは剣と盾を使ってなんとか避けていく。

 

「下がるな! 間合いは重要だが、押されてばかりではどうにもならんぞ!」

 

 その言葉を聞くと、ティルクは盾でレヴァンティンを弾くと同時に体勢を低くし、肩からシグナムさんに体当たりをかます。

 僅かな隙が出来、二人の目付きが鋭くなる。

 

「「おおおおおおおっ!!」」

 

 互いに雄叫びをあげながら、剣を振るう。

 ティルクの剣がシグナムさんに届く前に、レヴァンティンがティルクの鎧を削る。

 そのまま追撃しようとしたシグナムさんを、ティルクはシールドバッシュを打ち込んで隙を作らせ、剣を突き込む。

 寸前で反応したシグナムさんは左手の手甲で受け流すと、その勢いで右足の蹴りを出す。

 それを首を傾けて避け、ティルクは剣に魔力を纏わせる。

 それを見て、シグナムさんもカートリッジをロードし、レヴァンティンが炎に包まれる。

 

「はあああああぁあぁっ!!」

「紫電一閃!」

 

 単純な魔力斬撃が衝突し、衝撃が巻き起こる。

 二人は吹き飛ばされ、大きく滑りながらも目はしっかりと相手を見据えている。

 

「やるな、あいつ。押され気味だけど、シグナムと打ち合えてるぞ」

「まあ、純粋な剣士としては訓練校のみならず、局でもそこそこ上位の実力じゃないですかね」

「シグナムも中々楽しそうだ」

「アローンはかなり必死みたいですがね」

 

 潤が楽しそうに笑って言う。

 

「まあ、本人も鍛練になるし、いいと思うが――」

 

 そこでガジェットが一機、ぼくらに向かってビームを撃ってくる。

 それにいち早く反応した潤が炎を纏わせた手でビームを弾いた時には、ぼくは既にイノセントハートをブレードフォームで展開し、空高く跳んでいる。

 

「――セァッ!!」

 

 重力落下による加速を活かし、鋭くイノセントハートを一閃させると、ガジェットは斬られた跡を残しながら四散し、かき消える。

 

「悪くねぇ反応だ。ちゃんと鍛えてるみたいだな」

「まあ、それなりには」

 

 ヴィータさんの誉め言葉に、ぼくはイノセントハートをペンダンドに戻しながら答える。

 潤は手の炎を振り払うようにして消すと、顎に手を当てて呻いた。

 

「これ、訓練に使ってたデータじゃねえか。なんで俺らを襲った?」

「訓練場に居る人間を襲うようにインプットされてるんじゃないかな――って」

 

 訓練に使っていたデータのガジェット。

 じゃあ、これは今潤が言ったように、フォワード分隊の訓練に使用していたものだ。

 

『ガジェット反応消失!?』

『え、どういうこと?』

 

 どうやら、やらかしてしまったらしい。

 今、ガジェットが来た方向から、アタッカーの子が向かってきている。

 

「あれ?」

「ごめん、ターゲット潰しちゃった」

 

 ぼくはアタッカーの子が喋る前にそう言う。

 

《Schlangeform》

「なっ、連結刃!?」

 

 アタッカーの子がまごついていると、他のフォワードメンバーも集まってくる。

 みんな、勝手に訓練場に居たぼくらに戸惑っているようだ。

 ぼくはヴィータさんに目を向けるが、肩を竦められた。説明してもらうことは難しそうだ、とぼくは溜め息を吐いた。

 

「えっと、貴方は……?」

「ああ、ぼくは高町一騎。もしかしたら知ってるかな」

「……『エース・オブ・エースの弟』」

 

 ガンナーの子が小さく呟く。

 

「ああ、そうだよ。ぼくも有名になったもんだ」

『一騎』

 

 ぼくの隣にいきなりモニターが出現し、驚いて身を引いてしまう。

 

「姉さん。ごめん、ガジェット潰した」

『やっぱり一騎だった。場所を借りるならひとこと言ってよ』

「いや、隅っこなら平気かな、と」

『そもそも、なんで無断で借りたの。一騎達の訓練?』 

「飛竜一閃!!」

「ぐおおおおおおおおおっ!!」

 

 隣で爆発が起こり、ティルクがぼくの後ろを吹き飛んでいき、ぼくは爆発で巻き起こった煙に包まれる。

 煙が晴れ、ぼくのしかめた顔を見て、モニターの向こうで姉さんが納得したような表情になった。

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