魔法少女リリカルなのは エース・オブ・エースの弟   作:ロア

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「たまにゃ男同士腹割って話そうや」

というわけで、潤とティルクの愚痴回。


21話 StrikerS3

 俺は斎藤と一緒に、ミッド西部の森林内に発見された施設へと向かっている。

 

「にしても、お前さんとペアか。なんだかんだで、俺とお前の二人、ってのは初めてだよな?」

「ああ。普段は必ず後方支援の射撃ができる奴等を連れてたからな。近接戦闘しかできない俺達のコンビはバランスが悪い。まあ、今はそんなこと言ってられないがな」

「唯一の射撃ができる一騎は、今は地球か」

 

 出張任務、ということらしい。

 隊長陣とフォワード分隊は皆、第97管理外世界に出張している。高町もそれに誘われ、着いていった。

 97番(ちきゅう)は、高町姉弟や八神二佐の故郷らしく、出張先もその地域なんだそうだ。

 

「ま、たまにゃ男だけでやるのも悪かないね」

「それもそうだな」

 

 助手席で斎藤が楽しそうに笑うのに、俺も軽くそう返しながら、俺はジープを運転して移動を続ける。

 そして、斎藤がポケットからタバコを取り出し、指を鳴らして変換した炎で火をつける。

 

「お前、タバコなんて吸ってたのか」

「かっこつけたい年頃なんでね。おおっぴらには吸えないが」

「当たり前だ。未成年だろう」

「一騎なんて、俺がタバコをくわえた瞬間に切り落としてくるんだぜ。ありゃ寿命が縮んだ」

「まあ、あいつは好きじゃなさそうだしな」

「その点、隊長(おまえ)は寛容だな、こういうの」

「高町が戻ってきたら、どうなるか知らんぞ」

「あいつは今地球だ。問題ねぇよ」

 

 それを聞いて、俺はそういえば、と言い、

 

「お前はよかったのか?」

「なにがだよ」

「地球、だ」

 

 斎藤が眉をひそめる。

 

「『斎藤潤』……名前からして、お前も高町と同じ世界出身だろう。その変わった文字――カンジ、というんだったか――も、地球の特徴だろうに」

「それがどうした」

「行かなくてよかったのか?故郷の空気くらい、味わってきてもよかったろう」

「冗談はよしてくれ」

 

 斎藤が肘をつき、そう吐き捨てる。

 タバコの火が赤く光り、斎藤の口から紫煙が漏れる。

 

「俺はあの世界(ほし)になんの未練もねぇ。なにを言われようが、故郷も家も、帰りを待つ家族なんてのも居ねぇんだよ」

「ほう?」

 

 俺は群がってきた紫煙を手で払いながら聞き返す。

 

「俺は確かに地球出身だ。けど、あそこは俺が『終わった』場所だ。いい思い出はねぇんだよ」

 

 それを聞いて、俺は驚いて尋ねる。

 

「てっきり、お前は普通の奴だと思ったんだがな」

「俺の経歴ほど珍しいのもねぇだろうよ。家族は居ない、人殺し、ひねくれ者。随分な経歴だな、こりゃ」

「まったくだな……それを言うなら、俺ほどつまらない奴も居ないだろう」

「隊長殿はどういう出で?」

「普通だ。両親は健在。親父が少し剣術を嗜んでいたから稽古をつけてもらって、将来どうする、なんて考えるのは面倒だったから、安定している公務員を選んだ」

「いいじゃねぇか。俺なんて、当時は訳もわからないまま訓練校を勧められて、今こんなことになってんだ」

「だが正直、俺はまだ悩んでいる」

 

 俺の言葉に、何を、と斎籐は視線で問い掛けてくる。

 

「成り行きみたいな、行き当たりばったりでここまで生きてきて、この先どうなるか、どうするかも考えていない。六課で何が起こるのかは知らないが、この出向が終われば、また強行偵察課へ戻るんだろう。そして、そこでまた同じことの繰り返し」

 

 俺はそこで一息つき、

 

「俺は、どうも我が無いんだ。誰かになにかを任されればやり遂げる。そこそこの戦果をあげられる。だが、それを楽しんだことは無いし、それが評価され、昇級しても喜ばしく思ったことはない」

「充実してねぇのか」

「あまりな。まあ、当たり前のことをやっていくだけの、ただそれだけの日々だ。それも仕方無いかもしれないがな」

 

 それだけ言い、俺はジープを止める。

 モニターを出し、進路を確認する。

 

「ここから先は走りだ。森の中を四キロほど行くぞ」

「準備運動にはぴったりだな」

 

 

~~~~~

 

 

「施設を視認。かなり小さいな」

「また金属錠かよ。最近多いな」

「電子錠は『アンロック』ですぐに解かれるからな。金属錠の方が、慣れていない魔導師は手こずるんだろう――よし、開いたぞ」

「慣れた奴にかかりゃこの通り、ってか」

 

 扉を開き、足音を立てないように歩いていく。

 途中、白衣を着た科学者らしき人物が居たので、両腕を拘束して問いただす。

 

「ここで何を研究している」

「素直に答えた方がいいぜ、おっちゃん」

 

 斎藤が男の顎を持って威圧する。

 男は慌ててうなずき、

 

「ガ、ガントレットだ。古代ベルカの遺跡から発掘されたガントレットを調べている」

「へぇ。他には?」

「そ、それだけだ。ここには他になにも無い!」

「ありがとよ」

 

 斎藤は笑顔で言って男を気絶させる。

 

「レリックじゃないみたいだな」

「ああ。そこはハズレなんだろうよ。けど、ガントレットたぁ、興味をそそられるね」

 

 斎藤が駆け出し、奥の扉を開く。

 どうやら、他に人は居ないようで、安堵の息を吐きながら後を追う。

 斎藤はガラスケースの前で立っていた。

 

「……ほう」

 

 少しだけ声が漏れた。

 ガントレットは肩から手首までを覆える長さの装甲があり、手の甲部分にはデバイスコアと思われる翠の宝石が埋め込まれ、指は五本指に別れており、関節ごとに細かく金属パーツが分かれている。

 無駄な装飾は無く無骨で、けれど何処か洗練された美しさを感じさせる作りだった。

 

「かなりの業物だな」

「ああ、こりゃすげぇ」

 

 斎藤がガラスケースを開き、それを手に取る。

 探るようにこちらを見てきたので、俺は頷いてやる。

 それを見た斎藤は笑い、ガントレットを装着した。

 

「――軽いな」

 

 その一言だけ言い、腕を動かす。

 

「しかも、しっかりと細かいパーツに分けられてるから、動きが阻害されない。こりゃすげぇや。なんというか、俺に合わせて作られたみたいにフィットするぜ」

「それはさすがに無いと思うがな……っと、研究記録だぞ」

 

 俺は近くにあったコンソールを操作する。

 

「『デバイスとしての機能全てを、拳の威力強化と炎熱変換に特化させている』」

「炎熱だと?」

「お前には炎熱変換があったよな?」

「ああ、まあな。といっても、手足に纏って殴るくらいだが」

 

 俺は顎に手を当てる。

 

「お前の『ブレイブ』に術式を入れれば、そのガントレットと併用して、攻撃の幅が広がるんじゃないか?」

「貰っていいのか、これ」

「戦利品だ。それに、偉いさんは古代ベルカの巨大兵器ならともかく、ガントレットなどに興味は無いさ」

「んじゃ貰って、後で一騎に見てもらうとすっか。後はどうする?」

「施設は報告すれば後は向こうでやってくれる。他の部屋を回って全員制圧して搬送するぞ」

「了解」

 

 斎藤はガントレットを装着したまま、楽しそうに言った。

 

 

~~~~~

 

 

ケーニッヒ(Koenig)フランメ(flamme)。炎の王、って感じか」

 

 斎藤からガントレットを受け取り、デバイスルームでフィニーノと協力して調べたらしい高町は、次の日俺達を呼び出してそう言った。

 

「名前に違わぬ炎熱仕様だ。シグナムさんのレヴァンティンみたいに、威力を増加させることに特化している」

「つまり、使用者の技術がものを言う、って感じかい?」

「そうなります。それにしても、古代ベルカの物って言ってましたよね。名前といい、諸王時代の物でしょうか」

 

 フィニーノが首をかしげながら言う。

 

「諸王時代……たしか、古代ベルカで、何人もの王が戦争をした、といった話だったか」

「詳しくは知らん。けど、それであながち間違ってはいないだろうな」

 

 高町はそう言い、

 

「ブレイブに収納しとくぞ。セットアップすればフランメの方も装着されるように設定しておく。スバルのと同じ感じだな」

「ああ、任せるよ」

 

 そこで、放送が入る。

 

『リーコン分隊。出撃準備をして駐機場に集まってください』

「お、任務か?」

「だろうな。さっそくフランメを使う機会がくればいいが」

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